45 リオに帰ろう。
俺は森の中から不思議な木を抱えて自分の村まで帰ってきた。家にたどり着くと、シルフィーが大体の説明をしてくれていたので助かった。父さんが帰ってきたら、この木をどこに植えたらいいのか相談しようと思う。
夕食の前に父さんも帰ってきたので、みんなで食事をする時に相談をする事にした。
「父さん女神様からここにある不思議な木を、この村に植えるように言われたのだけど、どこに植えたらいいと思う?」
「ん?女神様から言われたのなら、何処に植えても誰も文句は言わないと思うぞ。この村でもおまえが御使い様に選ばれたのは有名な話になっているしな。」
誰が広めたんだよそれ。まさか父さん、俺の事を御使い様だって自慢してないよね?
「この木はすごく大きくなりそうな気がするんだ。だから、周りに何もないあの丘のところに植えようと思うんだけど大丈夫かな?」
「おお、あそこなら誰もあまり行くこともないし、問題ないと思うぞ。」
俺は植える場所を、この村を一望できる小さな丘に決めた。俺のお気に入りの場所である。でも、今日はもう遅いので明日植えに行こうと思う。
しかしこの木、本当に大きくなってきている。念のために植木鉢をもっと大きくしたほうが良いかもしれない。俺は早速土魔法で大きめの植木鉢を作成した。そして前の植木鉢を錬金術で土に戻すと、すぐに隣に置いてある新しい植木鉢に移す。鉢のすかすかの部分は土魔法で埋めた。これで今晩木が成長しても植木鉢が割れたりすることはないだろう。俺は安心して木を外に置いたまま家に入った。
その日の夜は、久しぶりに帰ってきた息子が、何故か白狐の幼女を連れて帰ってきたことで話題が持ちきりであった。俺は女神様からの神託で、領都で奴隷として売られていた彼女を購入したと言ったら、目を丸くしていた。もちろん、奴隷の身分からも解放したぞと言うと、よくやったと褒められた。
ニーナは少し人見知り気味だったが、うちの両親にはそんなの通用しない。どんどんと話題を振られていろんな事を話していた。小さかった頃の記憶はないけれど、今の生活は本当に楽しいと言ってくれた。
今日は母さんとシルフィーとニーナが一緒にお風呂に入った。母さんも、娘ができたみたいで喜んでいたから、一緒にお風呂に入るイベントもやりたかったのだろう。明日には帰る予定だと告げているので、今日は沢山娘たちとの時間を楽しんでほしい。いかんな、精神年齢45歳だとついおっさんくさい考え方になってしまう。俺ももちろん父さんと母さんに甘えるつもりだ。
シルフィーとニーナは、いつものように同じ部屋で寝ることになった。
姉さんが、明日の朝はシルフィーちゃんのご飯が食べたいと懇願していたので、明日はシルフィーに朝ご飯を作ってもらう予定だ。自分も楽しみである。姉は、『あんな美味しいご飯をいつも食べているなんてずるい』と、いつも怒るのだ。
朝が来た。姉が奇声を上げて貪り食う朝ご飯をみんなで食べ、俺は食後シルフィーを誘って木を植えに行った。ニーナは母さんに捕まっている。
俺たちが外に出ると、外に置いてあった例の不思議な木はもう2メートルの高さになっていた。俺が昨日植木鉢を大きくしたからまた成長したらしい。まぁ、持てない重さではないので全く問題はない。
竜神族の村が一望できる小高い丘に俺たちはやってきた。もちろん、手にはあの不思議な木を持っている。始めは葉っぱだけだったのに、いまでは立派な木である。俺は丘の一番高い辺りに30センチほどの穴をあけてそこに木を置いた。植木鉢を錬金術で土に変えると、土魔法で上から土をかぶせる。シルフィーにも土を少しだけど魔法で出してもらい、上からふりかける。シルフィーは森の加護があるからその方が成長する気がしたのだ。俺は土魔法でお皿のような物を作り、そこに水を溜めた。そして、シルフィーの手で木にその皿の水をあげてもらった。
木の植え替えを終えると、俺達は木が無事に大きく成長するように祈った。
さあ、リオに帰ろう。俺たちは、またリオまで空の旅をする事にした。今度はシルフィーが先だ。シルフィーをリオの手前の森のあたりで降ろして、ログハウスを出してもらう。そして、俺は結界を張りまた村へ戻る。そして今度は、ニーナを連れてログハウスまで飛ぶ。何故寮まで飛ばないかと言うと、ニーナの住民証が無いのだ。門の駐在所の様なところで新たに発行してもらう必要がある。そこでは三人の方が良いのだ。
俺たちは、ログハウスを収納してもらい門へ向かった。門は相変わらず誰も立っていない。こんなんで警備の方は大丈夫なのだろうか? 俺は、門をくぐって駐在所らしき所へと入っていった。
「すいません、この子の住民証を作りたいのですけど。」
同時に、俺とシルフィーのギルドカードを提示した。住民証が仮に無くても、ギルドカードがあればどの国でも入ることは可能だ。犯罪歴などもギルドカードに記載されている。犯罪歴があれば、逆にどの国にも入れない。
「はーい、えーとどの子ですか・・・・・な? げ、御使い様。これは失礼いたしました。」
慌てて跪く兵士さん。。しかし、「げっ」ってなんだよ。。
「あー、止めてください。今は、プライベートですので。。」
流石に、兵士さんにはよく知られているようだ。誘拐犯のアジトを壊滅させたこともあるし、竜神族の子供の事は有名だもんなぁ・・・。
「それより、この子の手続きをお願いいたします。」
「は、はい。ただいま。えーと、この子お一人様で入国税3万ゴールドですね。」
ふむ、子供でも結構高いんだな。大人子供関係ないのかもしれないけど。
俺は、シルフィーに頼んで3万ゴールド支払い、ニーナの住民証を作ってもらった。
俺たちは、無事に入国を済ませると、寮に向かって歩き出した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
俺たちは、また普段の生活に戻っていった。
シルフィーは、形だけの住み込みメイドとして、ニーナは、俺たちの寮のお手伝いさんとして住んでいる。学校に復学の手続きをしに行ったら、御使い様のお仕事中は出席扱いにしてくれるそうだ。無事に進級もできるだろう。
ああ、オーク討伐の件で解体所にオークを60匹くらい出した時は流石に怒られた。30匹ずつを分割でしてもらったり色々大変だった。
最近は、女神様からの神託もなく、本当に平凡な毎日を過ごしている。何もない平和な日常は俺にとって、ずっと求めていたものだった。毎日、美味しいシルフィーのご飯を食べ、3人で休みの日は買い物に出かけて。時には、ギルドの討伐依頼を受けて刺激のある日も悪くなかった。
俺たちは、ずっとそんな平和でのんびりとした日々がずっと続くと信じていた。
なのに、そんな日々は突然終わりを告げる。
10歳になった頃、俺たちは突然国王様に呼ばることになる。
ここで一旦話は終わりです。次から新展開で年齢は10歳になったアレクを書いていきます。よろしくお願い致します。




