4 魔法の練習をしよう。
フェアリー族のシルキー様が帰ってから、家では大騒ぎになっていた。そりゃぁ、母さんがフェアリー族を見たからで、母さんが機関銃のように目を輝かせて話しまくっている。
「それでね、アレクがよーせーたんとか○○○○○○。ある一点を見て、○○○○だから何事かと思ったのよ。○○○○○○様子を見ていたら、突然フェアリー族○○○○倒れてたのよー。」
母さんは、さっきからずっとこの調子である。父さんは半信半疑で聞いていたが、妻が嘘をつくことはないと信じているのか、一緒に驚いている。父さんの名前は、何だったかな。あまり話題に出てこないのでまだ覚えていない・・。すまない、父さん。
フェアリー族というのは、竜神族から見ても珍しい存在のようだった。姿は消せるし、滅多に見られないのだろう。前世でも、神の言葉を伝える御使い様とか言われていたし。特別な存在らしい。
「○○○○、アレクはすごい魔法の素質が○○○○○○○○? フェアリー族を始めから見つけていたようだし、ずっと見えているようだった。フェアリー族を見るには、○○○○魔力が多い魔女様とかじゃないと無理だった○○○。これは○○○。アレクはきっと特別な星のもとに生まれてきたのよー!!」
まだ、話してるよ。それにしても、この世界には魔女もいるのか。確かに俺は、普通に生まれた存在とは違うと思うけど、目立つのは嫌だからね。スローライフが一番だよ。ああ、テレパシーのことはまだ両親には秘密にしている。それを話すのは、自分が転生してきたことも話さないといけないからね。
ちなみに、家族はもう一人いて、姉がいる。名前は、システィナ。前世に同じ名前の礼拝堂があった気がする。なのですぐ覚えた。姉さんも規格外の美人だ。そういえば、父さんもイケメンである。うちの家族は、みんな揃ってイケメン・美女・美少女である。これは、自分もきっととてつもないイケメンに違いない。鏡は見たことがないのだが。この期待、裏切らないでほしい。。
姉さんは、7歳で少し年が離れている。最近、見習いとしてお手伝いを始めたらしく、家に帰ってくる時間も遅い。確か、10歳から正式に働きに行くそうだ。
この世界は、どうやら学校というものが無いようだ。人間世界にはあるのかもしれないが、竜神族のこの村では学校はない。学校というのは、お金のある貴族や大商人の息子などが行くところらしい。竜神族にとっては、学問はあまり必要ではないのだろう。主に、狩猟と農業で生活をしているらしい。あくまで外には出たことはないので想像なのだけど。
俺は、相も変わらずベットに寝かされている。天井を見ながら、さっきから魔法の練習をしているのだ。今は目の前に、小さなつむじ風がくるくると回っている。風の魔法であり、ごくごく小さな魔力で練習している。結構、長時間同じ場所に留めておくのは難しい。ずっとそこに止まっているとイメージし続けなければいけない。もっと簡単な方法はないものか。
結界なんかは、イメージしなくてもずっとそこに設置する感じのはずだけれど、そんな場合はどうすればいいのだろう。そもそも結界というのは何魔法?火、風、水、土、どれにも当てはまらないような気がする。なんとなく、土のような気もするが。土は土が出現するのではないのか?そういえば、小説などではまだ光と闇の魔法も有名である。光は、人を癒したり光そのものをライトとして使ったり。闇は人を呪ったり、あまり良いイメージはない。ああ、魔法の詳しい人に教わりたい。シルキー様戻ってこないかな。
とにかく、わからないものはしょうがない。結界を作るようにイメージすればできるかもしれないので、俺は結界魔法を試しにやってみようと思った。結界魔法、魔力はどのくらい必要だろうか。始めは少しだけでいいかな。目の前に四角い結界を作ろう、物理攻撃などを防ぐ結界だ。
俺は、まず魔力を感じる。体内にある魔力だけで十分である。手に集めた魔力だけを使って、イメージをする。作るのは結界。目の前に固定されている結界。物理攻撃を通さない、盾のようなもの。かたいかたいバリアーのようなもの。目の前に出ろ!!
そうイメージすると、目の前に真っ黒な四角い物が出現した。しかし、しばらくすると消えた。魔力が尽きたのかな。やはり、固定でずっと存在する魔法なんて無理なのかもしれない。いや、まてよ。もしかすると、魔力が尽きれば消えるのなら、ずっと魔力を送ってあげればずっと存在できるのでは?あと、真っ黒なのは光を通さないからか。今度は、先ほどのイメージに加えて、光を通す事と、魔法を解除するまで自身の魔力をずっと送り続ける事をイメージしてみた。
すると、今度は透明の四角い物が出現した。光は通すようになったようだ。これで向こう側も見える。そして、いつまでたっても消えない。成功かな。魔力を感じてみると、確かに一定量ずっと自分の体から結界へと流れている。しかし、これは何魔法になるのだろう。イメージだけでできるのなら、何魔法かなんて関係ない気がしてきた。
数時間後、まだ結界を張ったままでいつまでもつのか試していたら、自身の魔力が少なくなってきたのか、軽い倦怠感を感じてきた。魔力ってすべて無くなってしまうと死んでしまったりするのだろうか?怖くなったので、すぐに結界を解除した。減った魔力は徐々に回復するみたいだけど、今日はこれで終わりかな。
そして、ゆっくりと眠りに落ちた。