36 ニーナ2
結局、オーダーメイドの服を数着注文した。三人がそれぞれ採寸のため別室へ案内される。それぞれ三人とも、貴族とも会うことができるような高級な服と、ゆったりとした普段着を二着ずつ、計九着注文した。完成まで一か月くらいかかると言われたので、その頃また取りに来ますと伝えた。空を飛べは数分だから。
三人とも採寸が終わると、俺は旦那さんに質問した。
「すみません、ニーナの服をすぐにでも着替させたいのですが、既製品などは売ってないですかね?」
「ああ、少しならございますよ。お客様のキャンセル品などですがよろしいですか?」
「見せてもらっても?」
「はい、サイズは分かっておりますので、一番近い服をお持ちいたしますね。」
しばらくして、戻ってくると
「すみません、サイズが合うのが無かったのです。ひとつサイズの大きい物をお持ちしました。お子様は大きくなるのはすぐですからね。それを考えると、少し大きめの方が長く着られて良いかもしれません。」
「そうですね。試着はかまいませんか?」
「はい、ではご案内します。」
ニーナとシルフィーも付いて行った。
戻ってきたニーナを見ると、嬉しそうにニコニコしている。
「ご主人しゃま、これとても綺麗。」
そう言って、クルリとその場で一回転する。
いかにも高級そうな生地を使っている。ニーナの白い髪にもよく似合う、黒の生地に白いラインのアクセントが入った、おしゃれなワンピースだった。これはかわいい。。良く似合っている。しかし、普段着にするには少し高級すぎるかなぁ。
「とても似合っているよ。じゃぁ、これも購入します。ああ、そのまま着て帰りたいので、前の服は処分してもらえますか?」
「ありがとうございます。キャンセル品で長らく在庫として売れない服でしたので、お安くしておきますね。」
すると、あとからシルフィーも新しい服を試着して戻ってきた。同じく、キャンセル品だと思う。
「アレク様、私も勧められて着てみたのですけど、どうでしょうか・・・?」
「お嬢様、とてもお似合いですよ。」
旦那さんも褒めている。俺は、一瞬見惚れてしまって声が出なかった。
「旦那さん、シルフィーの服も是非売ってください。。かわいすぎます。」
「はい、ありがとうございます。」
シルフィーは恥ずかしそうにモジモジしていたが、買ってもらえて嬉しそうだ。結局、この店では15万ゴールドほど買ってしまった。原価なので、本来の価格はもっと高いのだろう。
「では、また一か月後に伺いますね。」
「わかりました、お待ちしております。本日はありがとうございました。」
「ありがとう。」
俺達は、服屋を後にした。後ろでは、親子三人がいつまでも深く頭を下げていた。
今度は、髪を整えてもらうかな。そう思って俺は床屋さんらしいお店を探していた。
「今度は、髪を整えてもらおう。」
「そうですね。私も同じように服を買ってもらい、髪を整えてもらいましたね。懐かしいです。。」
「うん、そうだね。」
おっと、その前にいかにも高そうな服を着ているので、攫われやすいと思った俺は念のため娘たち二人に結界を張っておいた。油断は禁物なのである。
俺達は、床屋さんに入っていった。
「すいません、この子の髪を整えてほしいのですが。」
「はい、いらっしゃいませ。こちらの席までどうぞ。」
よかった、すぐやってもらえるようだ。
ニーナの髪は、白くて緩やかに波のようにカーブしている。天然パーマってやつかな。長さは肩の少し上くらいだ。奴隷商人が適当に切ったのか、毛先の長さはバラバラだ。この際、髪も洗ってもらってオイルもつけてもらって綺麗にしよう。シルフィーも同じように整えてもらうように頼む。
「え、わたしもいいのですか?」
「もちろん。」
一時間くらい待っていただろうか。ウトウトしていると終わったと声をかけられた。そこには、ふたりの綺麗な少女と幼女がいた。シルフィーに、また見惚れてしまった。今回はニーナもかわいい。ニーナの髪はフワッフワになっていてモフモフである。ツヤもでていて綺麗だ。シルフィーは、黒い髪がサラサラでツヤもあってキラキラしている。シルフィーは言うまでもないが、ニーナもこうやって着飾っていると、何処かのお嬢様のようだ。顔も整った形をしているし。
そのあとは、近くの店で食事にして、昼からはまた買い物に出た。
少し安めの既製服のお店も何件か回り、シルフィーにニーナの下着なんかも買って来てもらった。さすがに下着売り場には行きずらい。。ニーナの分の食器や鞄、靴など。大体の必需品は買い揃えたと思う。
「今日はこの辺にして、宿に帰ろうか。」
「うん!」
「はい。」
宿に戻ると、フロントのおにーさんが迎えてくれた。
「あ、お嬢様。新しいお洋服とてもお似合いですよ。」
「えへへ、ありがとー。ご主人しゃまが買ってくれたの!!」
「良かったですね。」
う、何故かほかの人に、「あの子、ご主人様と呼ばせているんだ」と思われると、居心地が悪い気分になるな。。俺は、フロントの人に軽く会釈をして部屋へと戻った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「さて、今から家族会議を始めます。」
「家族会議ですか?」
不思議そうにシルフィーが答える。
「うん、ニーナが家族に加わって、これから三人で暮らさないといけないでしょ。だいぶお金も使ってしまったから、ギルドでの仕事もこれからはできるだけ受けたいと思ってさ。」
「はい、そうですね。」
「んー、ぎるどぉ?なにそれ」
ニーナはよくわかっていないみたいだ。
「問題は、俺とシルフィーが依頼で町を出発すると、ニーナが寮で一人になってしまうことだ。」
「あー、確かに。。そうですね。」
「えー、ニーナひとりはいやぁぁーーー」
「そこで、ニーナの面倒を見てもらう家政婦さんを雇うか、それとも、シルフィーが残るか、もしくは、ニーナも連れていくか。どうしたらいいと思う?」
「ニーナもいっしょにいく。」
「私は、アレク様と離れたくありません。」
「でも、ニーナを連れていくと、危険じゃないかな?」
「アレク様が結界を張っていただければ、大丈夫だと思います。この間も私、ファイアボールをまともに受けましたけど、無傷でしたし。むしろ、アレク様のそばの方が安全とさえ感じます。それに、獣人族はもともと人間より基本的に能力は上ですから、三歳だとしても、私よりは強いかもしれませんよ。私は、戦闘力は皆無ですから。。」
シルフィーは悲しそうに言った。
「いやいや、シルフィーに抜けられると、俺一人では両手にせいぜい一匹ずつ、一度に二匹しか持って帰れないからなぁ。効率を考えると、シルフィーは絶対に必要なんだよ? 常に結界を張って、三人でいつも行動を共にするでいいだろうか?」
「それがいいー。」
「はい。私もそれが一番良いと思います。」
「では、家族会議終了します~。これからも、何か問題があれば話し合って決めよう。」
「はい。」
その日は、シルフィーとニーナは一緒のベットで寝た。ああ、寮に帰ると、ニーナの寝具も買わないといけないなぁ。それと、明日は何をするのか決めるのを忘れていたよ。。まぁいいか。。明日考えよう。
俺は、ゆっくりと眠りに落ちた。




