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33 領都までの護衛任務。

 その日の夕方、俺たちはまたギルドへと足を運んだ。護衛任務を受けないといけないからだ。


 ギルドへ着くと、普段の雰囲気に戻っていた。よかった。俺は、何もなかったように依頼を張り出しているボードの前に立つ。さて、護衛の依頼はないかなぁ。隅々まで読んでいると、丁度商人の護衛任務があった。タイミングもばっちり、明日出発予定らしい。


 通常、護衛の任務を受けるにはCランクのPT以上でなければ受けられない。しかし、今回は比較的安全な領都までの街路と言う事で俺たちのPTでも特例として受けることができた。ちなみに、俺たちのPTランクは現在Dランクである。昨日の魔物買取の時にDランクに昇格した。俺は、Dランクのままだが、シルフィーはEランクに昇格した。シルフィーは私が何故昇格できるのでしょうと質問していたが、ギルドの職員は『アイテムボックスの容量から考えて、AクラスのPTからも十分誘われるでしょう。個人の能力が高いと評価されたための昇格です』と言った。


 俺たちは、お金稼ぎのために領都までの護衛任務を受けた。商人の馬車の護衛、五日間である。


 ついでに、少し早いと思ったが解体場所に向かった。解体場所に着くと、いつものおじさんがいた。

「すいません、明日から町を離れないといけなくなりまして。解体の方はどんな感じですか?」

「ああ、もう解体は済んだぞ。嬢ちゃん、こっちに肉を置いてある。」

 よかった、解体の方も間に合ったらしい。シルフィーはおじさんに付いて冷凍庫の中へと入っていく。そして、持ち帰る分の肉を収納して戻ってきた。


「それでと、買取金額の説明をするぞ。」

「はい。」


 おじさんは明細を探して手に取った。

「えーと、オークが17匹肉無しで買取額、884万ゴールド。ビッグボアが6匹で肉無し買取額、180万ゴールドだな。合計で1064万ゴールドだ。この用紙を受付に持っていけ。お金と交換してくれる。」

「わかりました、ありがとうございました。」


 俺たちは、おじさんに深く頭を下げた。

「たまには、肉も売ってくれよな。ビッグボアの肉は高価で買い取るからな。」

「はい、またよろしくお願いします。」


 ビッグボアの肉って高いんだな。たしかに、シルフィーの料理でもビッグボアの肉は最高に美味い。。ギルドの受付でお金を受け取って俺たちはギルドを後にした。




 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇





 次の日、俺たちは待ち合わせ場所で待っていた。しばらくして馬車が二台やってきた。この馬車の護衛かな?馬車が止まってしばらくすると、ひとりの商人が降りてきた。俺は、すぐに挨拶をする。

「こんにちは、冒険者ギルドから派遣された冒険者です。領都までの護衛を任されました、よろしくお願いします。」

 すると、商人は少し首をかしげる。

「うん?まだ子供じゃ・・・」

 うん、普通の反応だな。。


「うん、頭に角!? 角がある子供。。竜神族の子供?」

 商人は、すぐにその場で跪いてしまった。あらら、知っていたか。流石商人の情報ネットワークである。


「えーと、今回はプライベートで冒険者としての対応でお願いしたいのですが…。」

「は、はい。申し訳ございません。よろしくお願いいたします。」

「あ、そんなに硬くならないで結構ですよ。。こちらこそ、よろしくお願いします。」

 俺とシルフィーは深く頭を下げた。


「え、やめてください。頭なんか下げられたら、俺は女神様に叱られます。。」

 なんか、やりにくいな。。そんなことで女神様は怒らないですよ。


「えーと、それではそちらの女の子は、アイテムボックスの少女で・・・?」

「あ、はい。シルフィーと申します。よろしくお願いします。」


 商人は、興味深そうにシルフィーを見ている。その子は渡さないよ?


「あ、あの。早速ですが護衛任務のために、積み荷を一時預からせてもらってもよろしいですか?」

「え?積み荷をですか?」

「はい、いざと言う時に私が持っているほうが安全だと思いまして。。」

「あ、はい。いいですけど。」

 商人は、これ全部入るのか?って、顔をしている。

「では、失礼します。」

 そして、シルフィーは馬車ごと収納してしまった…。


「え・・」

「馬が残ってしまいましたね。どうしましょう?」

「え?」

「え?」


 話が進まないぞ。早く出発しようよ。そして、その馬車担当の御者は言った。

「あの、私の仕事はどうなるのでしょうか・・・。」

「あ。」

「あ。」


「馬は、とりあえず戻してこよう。向こうについて、馬だけ借りればいいだろう。御者さんは、そのまま馬車に乗って交代で馬車を操車してくれ。それで大丈夫だろう。」

 商人さんはすぐに話をまとめた。


 さぁ、出発だ。

 俺たちは、空になった馬車のなかでのんびりと旅を楽しんだ。盗賊、魔物などは電波レーダーで監視中だ。


 夜になった。今晩は野営である。

 止まれそうな少し広くなった場所に馬車を停止させる。すると俺は、馬車を大きく囲うように結界を張る。今回は、みんなにも見えるようにわざと色を付けた。


「この結界の中なら安全ですので、見張りも立てなくて結構ですよ。」


 商人も、御者もポカーンとしていた。口を閉めようね。


 そして俺たちは、いつもの野営の準備を始める。俺は、土魔法でかまどを作り、火をつける。シルフィーはでかいテーブルと椅子を収納から出して、その上に調理道具とお皿などを出していく。俺は、もうシルフィー以外の料理は満足できなくなっているのだ。干し肉なんか、商人から差し出されても食べる気がしない。申し訳ないが、俺はシルフィーの料理をいただく。


 すると、近くで電波レーダーに反応があった。お、あれは鹿だ。


「失礼します。少し魔法を使いますね。」


 俺は、ひとことことわってから、氷魔法で氷の槍を10本ほど空中に出現させる。それを近くに浮かせたまま、俺は鹿に向かって飛んで行った。遠くに鹿が見えたので槍を差し向ける。二本目でなんとか命中。止まっている的ならば、ある程度誘導して確実に当てられるのだが、動いている獲物はまだ命中率はあまり良くない。俺は、かなり大きい鹿を仕留めた。


 俺は、その鹿を片手で持って飛んで帰ると、商人と御者がまた固まる。そろそろ俺たちに慣れてほしい。


「シルフィー、鹿がいたよ。」

「わー、ありがとう。鹿肉って美味しいのよね。」

「うんうん。」


 しかし、鹿の解体なんてやったことがないので、そのままシルフィーに収納してもらう。帰ってからギルドで解体してもらおう。すると、商人が残念そうに言った。


「あの、その鹿は食べないんですか?」

「あ、解体できないので持って帰ります。」

「あ、あの。。鹿を解体しますので、俺たちにも少し食べさせてくれませんか・・。」


 なんか、懇願された。まぁ、鹿が食べられるなら文句はない。


「じゃ、お願いします。」


 シルフィーが鹿を出すと、商人はスムーズに解体していく。


「あの、よかったら、角と毛皮も買い取らせてもらえないでしょうか・・・?」

「おおー、お金になるのでしたら、どうぞどうぞ。でも、俺たち相場はよくわからないのですけど。」

「あ、それは女神様に誓って相場よりも少し高めで買い取らせていただきます。氷で仕留められていますので、火などで倒された場合と比べてとても綺麗な状態です。この毛皮はかなり高値がつくでしょう。」


 どうやら、信用できそうなので俺は角と毛皮を売った。相場はよくわからないが、150万ゴールドで買い取ってくれた。


 しばらくすると、シルフィーが料理を運んできてくれた。今日は、ご飯と鹿肉のローストだ。見るからに涎が出てくる。本来なら、シルフィーの料理は金を取りたいくらいだが、鹿も任務中に捕らえたし、自分たちの食材はほとんど使っていない。米と調味料だけだ。今回は、全員に振舞った。


 そして、お約束だが商人たちがひと口食べると硬直する。そして、御者のひとりはナイフを手から落としたほどだ。


「こ・・・、これは。何と言うか・・・う、美味い、美味い、美味すぎる。。」

 やはり、美味いしか言えなくなるな。ふふん、シルフィーの料理はすごいだろう。シルフィーの料理を褒められると俺も嬉しくなってしまう。みんな無我夢中で食べだした。


 寝る時間になって俺とシルフィーは馬車で眠ることになった。地べたで良いと言ったのだが、「とんでもございません。」と断られた。


 夜中に、レーダーの反応で目が覚めた。どうやら盗賊が出たようだ。俺は、眠い目をこすりながら馬車から出ていくと、御者が起きて見張っていた。どうやら信じられていなかったようだ。


「あら、見張っていたのですか?」

「あ、はい。なんとなく気が抜けなくて。すいません。」

「丁度いいですね。いまから盗賊がきますので、見物しましょうか。」

「え?」


 まだ現れてもいない敵を、言い当てる俺に不思議そうな顔をする。すると、森の奥から音がしだした。草をかき分けてくるような音だ。御者にも聞こえたようだ。

「大丈夫です。ここは安全ですから。」

「は、はい。」

 すると、林の奥から男たち6人の盗賊たちがやってきた。うん、典型的な盗賊らしい格好をしている。たぶん、盗賊で間違いないだろう。


「ふはははは、子供と商人だけの護衛もいない馬車が走っていると、聞いて来てみれば本当だったとは。」


 失礼な。子供だけど立派な護衛だぞ。。

「おじさんたち、盗賊?」

 俺は、子供っぽく聞いた。

「そうだぞ、おじさんたち盗賊だぞー」

 はい、言質いただきました。


「えっとね、結界張ってあるから入れないと思うよ。」

「ふんっ、結界なんてすぐ壊してみせる。」


 おっさんは、大きな斧を振りかぶった。結界に斧が当たると、おっさんは大きく跳ね返った斧につられて後ろに倒れた。それを見ていた他の者も一斉に結界に攻撃を始める。


 数分後、盗賊たちは力尽きた。それを商人と御者たちがぼーっと見物している。


「だらしないなぁ。6人いても破れないの?」

「う、うるせぇ・・・。。ど、どうなってやがる・・。」

「仕方がない、逃げられても困るから相手してあげるよ。」


 俺は、とことこと結界の外に出た。そして、座り込んでいる一番隅の男を横から軽く蹴っ飛ばした。その横にいた男も一緒に吹っ飛ぶ。そして俺は、右手に死なないと思われる電流を走らせながら、盗賊たちを一人ずつ殴っていった。軽くだ。一撃で簡単に意識を奪うことができた。そして、俺は6人を縄で縛り上げると6人を一本の縄で繋げていく。


「何をしているのです?」

「ああ、このまま領都の門まで歩かせるのですよ。犯罪奴隷として売れますからね。」


 うん、馬車に乗せるにはスペースが足りないのだ。盗賊たちには頑張って歩いてもらおう。馬車のスピードはそれほど速くない、大丈夫だろう。もし、力尽きたら引きずられるだけだ。盗賊たちも頑張るだろう。。


 残念ながら、その日以降は盗賊に襲われることもなく、日々は過ぎ、無事門までついた。流石に、捕らえられている盗賊たちを見ると、襲う気にもならないのだろう。


 俺たちは、門の兵士を呼んで盗賊どもを引き渡した。





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