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31 後期授業が始まります

 今日から後期授業が始まる。魔法の実技はつまらないが、魔法の歴史や護身術の授業は楽しい。


 家の家事は、シルフィーばかりに押し付ける訳にはいけないので、二人で分担する。シルフィーは反対したけども。料理、洗濯、掃除はシルフィーに。お風呂と買い物は俺の仕事になった。お風呂は今まで通り、魔法で水を出して火の玉を沈める。洗濯もやろうと思ったけど、シルフィーに洗濯物を見られるのが恥ずかしいと強く反対された。たぶん、下着を見られたくないのかなと何となく思った。


「じゃ、行ってくるね。」

「はい、行ってらっしゃいませ。」


 シルフィーとお別れの挨拶をすると、玄関を出てそのまま飛んで学校の校舎入り口まで行く。上から降りていくと、その周辺の人があまりの驚きでこちらを凝視したまま固まるが、俺は無視して教室まで歩いて行った。


 教室に着くと、エヴァが話しかけてきた。

「見てたわよ、空からやって来るなんて。相変わらず常識が通用しない人ね。」

「ああ、夏休み中に覚えたんだよ、飛翔魔法。竜が飛ぶのは常識だと思うんだけど?」

「う、うん。そう言われるとそうなのだけど。。なんか納得いかない。」


 そんなこと言われても、便利なんだから使わない手はない。


 ああ、御使い様騒動で、一時期大変なことになったので、跪いたりするのは時と場合を考えてしてくれと言ってある。基本的には、学校はプライベートで御使い様として接するのは禁止である。


 さて、これから護身術の授業だ。好きな授業のひとつである。体育館に移動すると、男女に分かれて組手の練習に入る。俺の相手は、だいたいレイルと言う男だ。この男、どうやら有名な魔法使いの家系らしい。そして、何故か俺をライバル視しているのだ。


「よっしゃー、アレク。今日こそお前に一本入れてやるからな!」

「うん、どっからでもかかってきなさい~」


 おれは、いつもの様に右足を半歩下げて構える。すると、レイルは何やら唱え出した。

「お、おい。魔法使うのは反則だろ」

「うっさい、お前にはこのくらいハンデがあって丁度いいんだよ!」

 それって始めから負けてますって言ってるのと同じなんだけどなぁ。


 レイルが唱えていたのは、どうやら身体強化の魔法らしい。そんなのまだ習っていないぞ。。


 レイルがジリ、ジリ、と間合いを詰めて来ると、一気に飛び出して右手ストレートを放ってきた。俺は落ち着いて後ろに下がり、間合いを取る。それに追いついて来るように、左右の蓮撃が来る。すぐ腕で受けながら左に回り込み、軽く右足で回し蹴り。レイルはガードをするが、そのまま少し後退する。おれは、チャンスと思い低い姿勢のまま、相手の懐に潜り込みボディーに軽く一発放つ。それを、ギリギリ躱され右脚が斜め下から飛んでくる。俺は、しゃがんで蹴りを躱しながら、その反対の軸足を足で刈った。レイルはそのまま倒れた。


 レイルは起き上がって、構えたところで後ろから先生にど突かれた。


「いってーー。」

「なーに魔法を使ってるのよ。。」


「いい? 護身術は魔力切れの時に、最後の手段となる奥の手よ? 身体強化を使ってやってたら練習にならないじゃない。身体強化は、魔法が苦手な前衛の者が攻撃力を上げるために使われる魔法よ。まあ、極稀に魔法で近接戦闘に特化した、変わり者魔術師もいるけどね。」


 それはもう魔術師とは言わないのでは。。もしかして、魔法剣士とか言うのかな。そこで今日の授業は終わった。


「はい、みんな止めて。片付けたら今日の授業は終わりです。解散!」


 俺は、着替えると荷物を持って学校を出た。もちろん飛んで帰る。寮に戻るとシルフィーが出迎えてくれた。

「おかえりなさい。」

「ただいま!」


これから一緒にギルドへ行く約束をしている。村へ帰る時に狩った魔物を買取に出すのだ。もちろん肉は引き取って自分たちで食べる。少し村でお土産として置いてきたけども。


ギルドに着くと、いつもの受付の女の子のところに並ぶ。しばらく待っていると、俺たちの順番になった。


「こんにちは。魔物の買取をお願いしたいのですが、量が多いので直接解体場所に持って行った方が良いですよね?」

「そうですね。直接解体場所にお願いします。」


受付の女の子はにっこり笑って言った。すると、シルフィーが慌てて尋ねた。


「すいません、白金貨を金貨に両替とかできますか?なかなかお店で白金貨を出せなくてですね…。」

「ああ、可能ですよ。何枚交換しますか?」

「よかった。では、白金貨5枚を金貨に、あと、金貨2枚を銀貨に交換お願いします。」

「わかりました。えーと、金貨を50枚と、銀貨を20枚ですね。少々お待ちください。」


すると、シルフィーが話しかけてきた。

「アレク様、お待たせしてすみません。なかなか白金貨を使える店が無くてですね。」

「そういえば前回の買取金、白金貨しか残ってなかったな。気づかなかった、ごめんよ。」

「いえいえ。大丈夫ですよ。」


少し待つと、両替を終えて女の子が戻ってきた。


「はい、お待たせいたしました。」

「ありがとうございます。」


お金を受け取ると、俺たちは解体場所へと向かった。場所は前回も行ったので分かっている。

解体場所に着くと、そこには以前もお世話になったリーダーと思われるおじさんがいた。


「すみません、オークが17匹、ビックボアが6匹、買取をお願いします。」

「またお前らか。今度は随分ため込んだな。」

「村へ帰省してたんですよ。その往復で近くにいたのを討伐してたんです。それで、前回と同じように肉だけは俺たちが貰います。」


本当は、片道分だけどな。


「じゃ、またこのスペースに低めに積んでくれるか?」

「はい、ではここにまとめて置きますね。せーーーーのっ」



ずっずーーーーーん。



すごい音がした。何事かと周りの冒険者たちもこっちを見ている。


「はぁ・・。全部終わるまでは2-3日待ってくれ。この量はなかなかキツイものがある。。」

「はい、急ぎませんので。ゆっくりで構いません。」


俺たちは、深く礼をしてギルドを出た。



そして、寮へ帰ってきた俺たちは、玄関の扉を開けた。

そして中に入ると、そこは何もない真っ白な空間だった。


「え?」

「え?」


「やあ、家に帰るのを待っていたよ。」


女神様が、にっこりと微笑んだ。


「「ええええええええええええええええええええ!?」」


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