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27 後片付けと、久しぶりの里帰り

 女神様が去った後、国王様がその場の指揮をとった。俺がシルフィーが攫われた事を告げると、宗教関係者は全員重要参考人として連れていかれた。


 俺とシルフィーは、その日のうちに教会を出て宿屋に移った。教会の外に出ると、そこは領都だった。どうやら俺たちは領都の教会まで連れて来られていたらしい。


 今後、教会は孤児院として生まれ変わる予定だ。国からの支援金を横取りしていた教会は、町の衛兵たちによって取り調べを受けている。国王様より、以下のような通達が国内の全ての領地に出された。


 女神様の指示により、以下の項目について命ずる。

 1、現教皇は、女神様によって破門になったため、身分を男爵当主相当とする。尚、今後の取り調べによってこの爵位を剥奪する場合もあるとする。

 2、国内外の教会は活動を禁止、解散するものとする。

 3、孤児院の業務を行っていた教会に限り、孤児院の業務を続けるものとする。

 4、現教皇を除く聖職者は、役職及び、爵位を全て剥奪。平民として孤児院の運営に従事するものとする。


 かなり、厳しい処分となった。教皇は、もともと御使い様であり平民にまで身分を落とす事にためらわれたらしい。しかし、今後の取り調べによっては平民になる可能性もある。教会の中で、孤児院の業務を行っていなかった建物は売却されることになった。その利益は孤児院の運営資金に充てられる。俺は、少しでも孤児院の子供たちの待遇が良くなることを願った。


 この教会の事件の後、俺を私利私欲のために抱え込もうとする者たちがいなくなった。この教会の末路を考えると、とても安易に手を出せる存在ではないと、考え直したようだ。俺としてはありがたい。


 俺は、しばらく領都に残り、今回の事件の後処理を手伝っていた。リオに戻っても、事情聴取とか言われてまた領都に戻って来いとか言われても困るからだ。そして、数日間で後処理を終え、俺たちは寮に帰ってきた。しばらくのんびりしたい。。



 ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇  



 教会の事件から数か月が経過した。学校が夏の長期休みになり、俺とシルフィーは久しぶりに実家の村へ帰ることにした。5歳の長期休みには帰っていたのだけど、6歳の休みには帰れなかったのだ。今年は、絶対に帰って家でゴロゴロしたい。シルフィーにも、お休みをあげる予定だ。もちろん、有給扱い。なんてすばらしいホワイト企業ではないか。長期休みは約一か月ある。


 シルフィーも、5歳の時に実家に一緒に帰っている。俺の両親からは本当の娘のように可愛がられていた。いままで、あまり愛情を注がれたことがないのか、戸惑っていたのがまた可愛かった。


 俺たちは、冒険者ギルドで商人の馬車を手配してもらった。護衛を雇うか迷ったが、あのビックボアより強い魔物はこの森にはいないらしいので、俺が護衛として行くことにした。


 出発の日、商人からいきなり跪かれた。俺が御使い様と言うのはリオでも結構知られるようになっていた。俺は偉いのは女神様であって、自分は偉くないのでやめてくださいと言ったのだが。これから毎回こんなやり取りをするのかな。。


 馬車が出発すると、俺は以前から試そうと思っていた電波を使った探知魔法の練習をしていた。俺は右手に高周波電流を流すと、前方に磁界と電界を発生させながら電波が飛んでいく。その反射を左手で受信した。その戻ってくる時間で距離を掴むことができた。その電波に魔力を乗せて放出すると反射した物質の詳細がわかる。


 試しに森に向かって探知魔法を使う。すると、生物がいるとその詳細と方角、距離がわかる。魔力を多く乗せるほど遠くまで探知することができた。1番近い魔物でオークが約1キロ先にいる。襲ってくる事はないだろう。


 だいぶ日が傾いてきた。あたりは次第に夕焼けの赤みを帯びてきた頃、野営できる場所が見つかった。俺は桶いっぱいに水を出した後、土魔法でかまどを作る。かまどに火をつけると、シルフィーに食事の準備を任せた。俺は、食事ができるまで、半径2キロくらいまでにいる魔物を全部狩りに行った。生活費の足しにする為と、近くの魔物を狩っておけば夜中に襲ってくる確率を減らせるから。もちろん、交代で見張りもするけども。


 竜神族の村までは3日かかるけど、全く魔物に襲われることも、盗賊に会うこともなかった。何事もなく、予定通り俺たちは村に着いた。3日で仕留めた魔物の数は、オークが23匹、ビックボアが9匹だった。村で何匹か、お土産に渡そう。家に着くと、俺は早く家族に会いたい気持ちを抑えきれずに、走って門まで行って玄関の扉を勢いよく開けた。


「たっだいまーーー。とーさん、かーさん帰ってきたよーー!!」


 しばらく玄関で待っていると、みんなが出迎えてくれた。

「おーー、アレクおかえり!」

「アレク、おかえりなさい!」


 ああ、久しぶりに父さんと母さんの顔を見られて、ほっとする。


「疲れたよー。あ、帰りにオークとビッグボアがいたので狩ってきたんだけど、村でお肉食べたりするかな?」

「おお、それは助かる。お前たちは怪我はないんだよな?」

「うん、余裕だよ。」

「そうか、で?どこに置いてあるんだ?表か?」

「ああ、シルフィーのアイテ・・・、あ、えーとね、シルフィーが女神様からアイテムボックスの特殊能力を授かったんだよ。その中に入れてある。」

「えええええー!? じゃ、じゃぁ、シルフィーは御使い様に?」

「え!?いえ、御使い様はアレク様です。私は、アレク様のサポートを頼まれました。」


「「えええええー」」


 あー、これは説明が大変そうだ。。






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