22 女神からの天罰
あれ、俺たち助かるのか?
「いいですか、私の仕事はこの世界の管理です。この惑星には多くの魔力が溜まっているのです。たまに、魔力の溜まり場ができて、そこでは自然災害が発生します。それが起こった事をすぐに察知し、すぐに駆けつけて生命を可能な限り救うのが私の主な仕事です。たまに、自然災害が女神様の天罰だとか言う人間がいますが、見当外れもいいところです。決して、女神の意に反したからって消したりはしないし、してはいけないのです。」
「もちろん、人間だけを優先に助けるとかはしません。あらゆる生命を助けます。ただし、女神の使者はもちろん、その人物がのちに重要な働きをするとわかっている場合なども優先的に助けることはあります。まぁ、今回は使者である竜の子を助けに来たと言う訳ですね。まぁ、多少個人的な部分があって、仕事とは言えないかもしれませんが。ふふふ。」
俺たちは、頭を下げて言った。
「「ありがとうございます。」」
「それでは、竜の子の罰を伝えます。」
「は、はい。」
「以前与えた女神の祝福の全てを剥奪すると可哀想ですからね、あまり使っていないと思われる鑑定のスキルを没収します。」
そ、それで許していただけるのか。。俺は深く感謝した。
「ありがとうございます。謹んで罰を受けたいと思います。」
「はい、今後はこのような事が無いようにお願いしますよ。」
そして、付け加えるように女神様は言った。
「今回の問題点として、竜の子に解呪の魔法を授けます。古代の魔法に分類されるけれど、今回の鳥かごや結界のような魔術を解く魔法です。上手く活用してください。」
「はい、ありがとうございます。」
俺は、もう一度深く頭を下げた。
それから、数分間たわいのない雑談などをして過ごした。その雑談の中で、俺は聞きたかったことをいくつか質問した。ひとつは、使者の自分が、人を殺めてしまってもよいのか?それに関しては、全く問題ないらしい。むしろ、女神ができないことを使者がする。その為の使者である。なんて言われた。
もうひとつは、この世界の文化を著しく早く進化させたり、大きく変えていくことは良いのかどうか。その返答は、大きすぎる変化は文明を滅ぼしたり、無理が生じるのであまり推奨はしないらしい。だが、使者のお前自身が使うのは構わないし、現在ある商品を改変するとか、あまり変化のないものなら可能らしい。ただ、空を飛ぶ乗り物をつくったり、大量殺りく兵器などを作るのは駄目と言う事らしい。
あ、電気を広めるのも、もちろん駄目らしい。ですよねー。文明が進化してしまう。
「では、何処に送ればよいでしょう? さっきの屋敷はもう用はないですよね?」
「あ、はい。それでは、リオの寮までお願いいたします。」
「わかりました。それでは、また何かありましたらよろしくお願いしますね。」
「はい。」
そこで、景色がまた変わった。俺たちは、寮のリビングにいた。
「つ、つかれたぁ・・・」
「はい、つかれました・・・・」
今日はもう寝ようか。。
「あ、あの、アレク様。私の事を守ると誓ったって言ってくれたこと、すごく嬉しかったです。ありがとうございます。」
う、うわ。。恥ずかしい。
「う、うん。シルフィーも女神様を相手に俺を庇ってくれるなんて、普通出来ないよ。。ありがとう。」
俺たちは、しばらく見つめ合っていた。でも、相手は7歳。それ以上何も起こる事はなかった。
俺たちは、すぐに別々の部屋に別れて寝た。シルフィーって年の割には言葉遣いとか大人だよなぁ。俺に影響されているのかな。。女性は成長が早いと言われるけれど、それにしても早すぎる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
次の日、まだ体がだるくて疲れが残っているようだった。シルフィーは、ファイアボールをあれだけ受けたのだから、まだ休んでいないと駄目ですって言って、看病してくれている。もう一日くらいはのんびりしてもいいのではないかな。ファイアボール自体のダメージはほぼ無かったのだが、そのあとの女神様との会話で、精神的なダメージのほうが大きかったようだ。
その日は、ぐだぐだと寝て過ごした。シルフィーに甘えて1日がのどかに過ぎ去っていった。
その翌日、俺たちは学校に、休学の取り消しの手続きをしにやってきた。が、そこに待ち受けていたのは、早馬に乗った領都からの使者だった。受け取ったのは、伯爵様からの手紙。嫌な予感を胸に抱きながら手紙を読み始めると、この様に書かれてあった。
『女神様の御使い様。私は今回の件、どの様に国王様に報告すればよいのか悩んでおります。しかし、全く報告しないわけにもまいりません。可能ならば、御使い様もご一緒に国王へお会いしていただき、女神様のお言葉を伝えていただけないでしょうか。。どうか、ご考慮ねがいます。』
ですよねー。。女神様が顕現されたのだ。。まったく何もなかった事に、なんてできないよね。。
『だが断る。』
俺は、そう返事を書いて兵士に渡した。
これで良しと。別に国王に対して、女神様が伝えてほしい話なんて聞いていないし。国王様にたとえあったとしても、『国王様に、女神様のお言葉はありません。』で話は終わってしまう。それなら、行く意味がないだろう。伯爵様は、あったことをそのまま報告すればいいのだ。
俺は、この日から学校に復学し、日常の生活が戻ってきた。あー、これだよ。このスローライフ。俺が求めていたのは、のんびりと過ごす事なんだよ。ちょっと、魔法の講義は簡単すぎてつまんないけど、来年になれば魔法陣とかの講義も始まるらしいし。非常に楽しみにしている。
そして、それから1か月近く過ぎたころ、リオの町に国王様がやってきた。
なんじゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。