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18 旅の準備をします。二日目

 領都に行く日まで、あと二日になった。


 昨日はエヴァを酷く怯えさせてしまったので、今からフォローに行こうと思う。ついでに、領主様にフェアリー族の捜索を手伝ってもらえるように、手紙でも書いてもらえないかと思ったのだ。しかし、エヴァの部屋は何処なのかわからないので、学校に向かう予定だ。


 部屋から出ると、そこにはエヴァと護衛の者三名が立っていた。お、驚かせないでくれよ。。エヴァ達は、俺に気づくとあわてて跪いた。


「アレクシス様、昨日は失礼の数々、大変申し訳ございません。」

「ああああ、これから謝りに行こうと思っていたのです。昨日はこちらこそすいませんでした。女神様の眼前だったものですから、かなり強く言い過ぎてしまいました。本来は、貴族に跪けなんて言えないですよ。」


 こちらも、深く頭を下げた。


「いえ、女神様の御使い様であられる、アレクシス様にあのような失礼なことを申したのです。当然の報いです。本日は、女神様に命まで取らないように図らっていただいたお礼に伺いました。」

 まぁ、確かに女神様の神託を授かった時点で、使者の資格はあるのかもしれない。


「あの、確かに女神様の言葉を直接聞いたけれど、自分自身は偉いわけではありませんから。そんなに跪かないでください。女神様が偉いのであって、自分は普通の竜神族ですから。」

「い・・・、いえ。竜神族だとしても、人間よりは遥かに偉い存在なのですから・・。」


 なんか、お互い下に出ようとしている。


「ところで、領主様に最近フェアリー族を入手した貴族がいないか、捜索の協力をお願いできないでしょうか?できれば、エヴァ様からの紹介状と一緒に手紙を書いてもらいたいのですが。」

「では、私が直接ご案内いたします。」


 え!?、この子も付いて来るつもりなのだろうか。


「しかし、エヴァ様は学校があるじゃないですか。」

「いえ、私の住む領地での出来事に、女神様が注視しておられます。これは、領地の生死がかかっている非常事態なのです。一刻も早く私は領都に戻り、父に伝えなければなりません。」


「可能な限り、女神様の事は秘密にしたいのですが。難しいでしょうか?」

「御使い様のお言葉、と言う事にすれば可能だと思います。よろしいですか?」


 できれば、俺も目立ちたくないのだがなぁ。。それに、俺の言葉、イコール、女神様の神託なんで同じことだと思うのだが。。もう事が大きくなりすぎて、隠せなくなってしまった。。まずいな。でもまぁ、女神様はこの世界で普通に信仰されている神なので、話に出ても問題ないのではないかな。


「わかりました。私の言葉として領主様にお伝えください。女神様が力を使われた事は、ご内密にお願いします。」

「わかりました。女神様に誓って秘密は洩らしません。」


 うっ、本当は俺の力なんだけど、女神様に嘘をついているようで罪悪感が・・。やはり、正直に謝って本当のことを話すべきなのではないか・・。うーん。


「それでは、いつ出発なさいますか?私の馬車でいつでも出発は可能ですが。」

「馬車で連れて行ってもらえるのですか?出発予定は二日後だったのだけど、時間が短縮できて助かります。少し、冒険者ギルドに用事があるので、お昼過ぎにでも出発できればと思います。どうでしょう?」


「それでは、昼過ぎに寮の前でお待ちしております。」

 それで俺たちは別れた。冒険者ギルドに、買取分のお金を貰いに行かないとね。




 ◇    ◇    ◇    ◇




 俺と、シルフィーは冒険者ギルドに向かった。お肉は、旅の途中でシルフィーに料理してもらうとして、買取金額で本でも買って知識を増やしたいな。電気の知識とかはこの世界には無いのだっけ。前世の本とかが手に入ったらなぁ。


 俺たちが冒険者ギルドに入ると、昨日の受付のおねーさんがパタパタと走ってきた。

「アレクシス様、お待ちしておりました。先日は失礼な発言の数々、本当に申し訳ございません。」

 おねーさんは、深く頭を下げた。


「いえいえ、気にしてませんよ。」

「では、早速解体場所まで案内しますね。」


 俺たち三人は解体場所にやってきた。受付のおねーさんは、解体の責任者を呼びに行ってくれた。


「よう、おまえらか。肉は用意できているぞ。アイテムボックスの嬢ちゃんこっちだ。」

 おっちゃんは、シルフィーを連れて冷凍庫へと案内していった。保存してある肉は冷凍庫の中に置いてあるのだろう。シルフィーは、それを全てアイテムボックスに収納して戻ってきた。


「あいかわらず、すごいアイテムボックスの容量だな。。買取金額については、ギルマスの所まで行ってくれ。お金はギルマスが直接渡したいんだと。」


 あれ、ギルマスは逮捕されたんじゃ。。俺は、受付のおねーさんに連れられてギルドの二階へと案内された。いつも案内される部屋だ。そこには、副ギルドマスターのアンさんがいた。もしかして、今のギルマスって・・・。


「こんにちは。新しくギルドマスターに任命されましたアンです。今後ともよろしくお願いいたします。」

 やっぱり、昇進していたんだね。


「おめでとうございます。」

「ありがとう。さて、今回の買取の件ですが。まぁ、座ってちょうだい。」


 俺たちは、勧められてソファーに座った。

「えーと、明細を順番に伝えますね。。オークの肉以外の買取金額が10匹で、526万ゴールド。ビッグボアが3匹で、90万ゴールド。こちらも肉抜きの価格です。キャタピラーが一匹。これは肉は食えないから無しね。買取金額は、100万ゴールド。キャタピラーは防具の素材になるので少しサービスした。合計で、716万ゴールドです。」


 な・・、716万だとぉー?そんなにお金くれるの??


「あと、オークの常時依頼があったので、依頼達成報酬50万ゴールドが支払われます。それを合計しますと、766万ゴールドになります。」


 あれ、ゴブリンだけじゃなかったのか。ってことは、ギルドメンバーの資格は剥奪されなくて済むのか。これは嬉しい誤算だ。


「では、確認してください。」

 ギルマスは、机の上に革袋を置いた。袋の中には白金貨76枚と、金貨6枚が入っていた。


「白金貨初めてみました。。確かにあります。確認しました。」

 俺たちは、座ったままだけど軽く頭を下げた。


「うん、また何か討伐したら持ってきてください。よろしくお願いしますね。期待してます。」


 そう言って、ギルマスは立ち上がった。俺たちも立ち上がって、部屋を後にした。受付まで戻ってくると、さっきのおねーさんが声をかけてきた。


「もう、聞いたと思うけれど。オークは常時依頼があったの。もうゴブリンは狩りに行かなくても大丈夫よ。ああ、それとね、あなたたちのPTランクだけど、今回の討伐実績を考慮してランクEに昇格することになりました。おめでとうございます!!」


 ええっ、そんなに簡単に昇格してもいいのかよ?


「そんなに簡単に昇格ってするものなの?」

「いいえ、でも今回の討伐はすべてランクD以上の魔物だったのですよ。。そんなPTをランクFのままにしておけないでしょう。。そして、各個人のランクですが、シルフィー様は残念ながら今回の昇格はなしです。アレクシス様はソロでランクDの魔物を14匹倒した実績で、飛び級でランクDに昇格です。おめでとうございます。」


 俺は、唖然として突っ立っていた。ランクDだと?飛び級?俺は、困惑しながらも深く礼をした。

「いいんでしょうか? ありがとうございます。」


 それで、俺たちは冒険者ギルドを後にした。


 寮に帰る途中、俺はシルフィーに相談する。

「シルフィー、今回のお金どうしようか。二人で山分けでいいかな?」

「ええー、私は何もしていませんし。。全部アレク様の物ですよ。」

「いやいや、そもそもアイテムボックスがないと、魔物を持って帰ること自体出来てないからね?」

「しかし。。倒したのはアレク様ですし・・。」


 納得ができないようだ。不満な顔をしている。。うーん、仕方がないな。。

「それじゃぁ、PTのお金として使おうか?PTに必要なお金とかをここから出す。あくまでPT用で個人で使用するのは禁止にする?あー、でも討伐のお金がないと、シルフィーのお給金払えなくなるかも・・・。」

「そんなぁ、お給金なんていりませんし。。私は、そのぉ・・。アレク様と・・・・うぅ。」

「俺と何??」

「な、なんでもないですぅ。。」


 なんか、シルフィーが変だ。少し顔が赤くなっている?


「と・・、とにかくこのお金はシルフィーに預けるね。アイテムボックスに入れといて。」

「えー、私が持っていていいのですか…?」

「うん。」


 シルフィーなら安心できるからね。

「あ、忘れてた。寮に戻る前にちょっと本屋さんに寄って行きたい。」

「はい。」

 俺たちは、本屋に向かった。


 この世界の本はまだ印刷技術もないのか、とにかく高い。一冊金貨数枚が普通だ。色々迷ったが、たくさんの本の中から選んだのは、錬金術の本と鍛冶の本だ。手が器用になっているので、きっと知識の泉の力も利用してよい物が出来上がるだろう。二冊で金貨6枚支払った。。高い。前世の感覚で、入門書が二冊で6万円だよ・・・。。



 俺たちは、寮へと戻ってきた。さて、馬車でいよいよ出発しますか。














 

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