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16 旅に備えていろいろ準備します。

 出発まであと3日。俺は、この3日をいろいろ準備に充てることにした。


 まず俺は、シルフィーとパーティを組む事にした。その手続きのため冒険者ギルドを再度訪れた。シルフィーも冒険者として登録するためだ。自分は既にFランクの冒険者として登録済みだ。シルフィーは、年齢制限もクリアしているし、荷物持ちとしてパーティに参加させると言えば、大丈夫だと思う。俺はギルドの受付にやってきた。


「こんにちは。今日は彼女とのパーティ登録を、お願いしたいのですが。」

「あ、アレクシス様。シルフィー様とパーティを組むのですね。では、シルフィー様のギルド登録をしてからになりますね。こちらに記入してください。」


 ギルドには毎月来ているので、もう顔馴染みである。

「あ、はい。」


 シルフィーが記入していると、それを見ていたのか、受付の女の子が唖然とした感じで言った。

「あれ、シルフィーさんは貴族の方でしたか。」

 え? そうなのか?

「え、違いますけど。」

「え?」

「え?」

「でも、名前にフォンが付く人は貴族ですよ?」

「あれ、でも正式名称を書くときはこう書けと、母から。。」


 俺も紙を見ると、シルフィー・フォン・ルサーナと書いてあった。あれ、シルフィーって貴族だったのか。没落したとかかな?


 まあ、今はとにかく登録ができればいいので、そのまま提出した。


「えーと、すいません。職業の欄が空になってますが、シルフィーさんはどのような職業でしょう?」

「サポーターです。料理したり、荷物を運んだりします。」

「荷物をあなたがですか?」

「あ、アイテムボックスを持っているので・・・。」

「ああなるほど、わかりました。アイテムボックスですか。どのPTも欲している人材ですね。では、この内容で登録してきますね。同時にパーティ登録も進めてきますので、しばらくお待ちください。」


 シルフィーもFランクからスタートになる。しばらくすると、パーティの登録処理をしていた受付の人が戻ってきた。


「パーティの登録は済んだのですが、アレクシス様はあと1ヶ月間で1度も依頼達成実績がないままですと、ギルド会員の資格がなくなってしまいますよ?」


 なんだって?ああそうか、確か1年間仕事をしないと、Fランクの冒険者は登録抹消になるんだった。


「今から日帰りで受けられる依頼ないかな。」

「今からだと難しいですね。常時依頼のゴブリンとかなら、いつでも大丈夫ですけど。」

「それだ!」

 俺たちは急いでゴブリンを探しに行った。


 森に入ってしばらく歩くと、リオに来る時に父さんが倒した、デカいイノシシがいた。あれも肉が美味かったので、氷の矢でめった刺しにした。肝心のゴブリンがいない。俺たちは森深くまで入っていった。しばらく歩くと今度はオークが二匹歩いていた。小説でもこいつの肉は美味いらしいので、穴に落として水攻めにしてとどめを刺し、そのまま凍らせた。全ての獲物は、シルフィーがアイテムボックスにしまっている。


 夕方くらいまで、遭遇した魔物はすべて倒して進んだが、肝心なゴブリンはここにはいないようだ。仕方がなく俺たちはギルドに戻った。


「すいません、西の森でゴブリン探したのですけど、いませんでした。どこにいるか知ってますか?」

 俺は、受付の女の子に聞いた。いつも対応してくれる女の方は、別の件で対応中だったので、この女の子とは初めてになる。

「え、西の森はビッグボアがいて、ゴブリンなんかも体当たりされたりしてよく殺されるため、通常はいませんよ。ゴブリンは、北側の門からでて北東に進んだあたりの森にいますよ。」


 なんだよ、やっぱりいないんだった。。無駄な時間を過ごしてしまった。。


「そうですか、ありがとうございます。それで、そのデカいイノシシを狩ってきたのですけど、買取とか可能なのでしょうか?あと、オークもいたので狩ってきました。」

「えええええ、ビッグボアはDランクでやっとソロで狩れるくらいなんですよ?」


 え、そんなに強そうには見えなかったけど、俺はランクFだから、戦ってはいけない相手だったのかな?

「えっと、大したことなかったですけど。。それで買取は?」


「そんな嘘つかなくてもいいですよー、もう。どこにもビッグボアなんていないじゃないですかぁ。」

「いや、PTメンバーがアイテムボックスを持っているので、その中に。。」


 この受付のひと全く信じてない。。いつもの女の子はまだ対応中だし。困ったなぁ。

「アイテムボックスですか。そこまで言うなら解体場まで案内しますよ。」

 やっと動いてくれた。。はぁ。


 受付のお姉さんについて、俺たちは解体場所までやってきた。

「じゃ、ここのカウンターに出してくれる?」

「え?、いや、ここではスペースが足りません。魔物はもっと沢山います。」

 今度はシルフィーが答えた。


「もー、いいから出してって。」

「いいんですか?それでは、できるだけ高く積みあがるように出しますね。せーのっ」


 どすんっっ。



 そこには、オークが10匹。ビッグボアが3匹。変なムカデみたいなのが一匹乗っかっていた。


「・・・・・・。」

「やっぱり、上の方手が届かないですよね?」

 シルフィーが首をかしげながら言った。


 そして、受付のおねーさんは固まったまま動かなくなった。





 このまま、再起動を待つのもあれなので、俺は要点だけをお願いした。

「えーと、食べられるお肉はこっちでもらいますので、それ以外買取でお願いしますね。」


 うん。お肉を持って帰れば、食費の節約にもなるよね。

 すると、解体所のカウンターの向こうから怒鳴り声が。。


「誰だ、こんなに高く積みやがった奴はー。」

 うわ、怖そうなおじさんがきた。たぶん、解体の責任者かな。。


「えーと、このおねーさんの指示です。」

 俺とシルフィーは、二人でうんうんと首を縦に動かした。


「す、すいません。まさか本当に子供がこんなに魔物を狩ってくるなんて・・・。まさか本当にアイテムボックスまで持っているとは思わなくて・・・。」

「馬鹿野郎、そのガキは今話題の竜神の子だろうが。このくらい想像できなくてどーする。おまえら、アイテムボックスを持っているんなら、すまんがもう一度しまってくれねーか?」

「あ、はい。わかりました。」


 シルフィーが一瞬で収納した。それを見たおじさんは、「はぁ?」って顔でシルフィーを見た。


「まったく、竜神の子だけすごいのかと思ったら、こっちの子もすげー容量のアイテムボックス持ちかよ。規格外がふたりも現れて驚くぜ。。すまんが、こっちの広いところに低く全部出してくれや。」

 シルフィーは言われた通りに広い場所に再度魔物を出した。


「すいません、食べられるお肉はこっちでもらいますので。それ以外買取でお願いしますね。」

 おれは、おじさんに再度同じことをお願いした。


「わかった、すぐには無理だから明日にでもまた来てくれや。それまでには終わらせておく。」

「よろしくお願いします。」


 俺たちは、深く頭を下げてその場を逃げるように出た。

 外に出ると、もうすっかり日が沈んでいた。





 俺たちは、帰りに軽く食事をして、寮まで帰ってきた。シルフィーも疲れただろうから、晩御飯は外食にしたのである。この世界でも月はある。欠けている月をまだ見たことはないが。自分の部屋の階まで上がると、自分の部屋の前に誰かがいた。


「あ、よかった。戻ってこられたのですね。」


 そこには領主の三女、たしか名前はエヴァが立っていた。あまり偉い人と関わりたくなかったので、あまり親しくはなかったのだが。何しに来たのだろう。


「こんな夜中に、どうしたのですか?」

「学校で聞いたのです。アレクシス君が休学して領都に行くと。」


 誰だよ話したのは・・。何となく、あのエルフの先生の顔が浮かんだ。にっこりと笑った先生の顔が。。これは困った。。学校にも本当の理由は言っていないんだぞ。学校には家庭の事情としか言っていない。まさか、女神ウェヌス様の神託を受けたから休学させてくださいとは言えないよな。言ってしまったら、その日のうちに国王様から呼び出されそうだもの。


「お願いします。理由をお聞かせ願います。どうして私のお父様のいる領都へ、休学してまで行かなければならないのでしょう?あなた方、竜神族の方と関係があるのでしょうか?戦争でも起こそうと企んでいるのですか?もし、竜神族の方々に攻められれば、私たちの領都など簡単に滅ぼされてしまうでしょう。その時私は、父のそばにいたいのです!!」




うん、この子は、俺の想像の斜め上を軽く超えてきたな。





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