14 魔法の練習をする。
模擬戦で負けたのは、相手が先生だったから仕方がないとはいえ、やはり悔しい。俺は、買い物が済むと学校の近くの高台までやってきた。魔法の練習をするためだ。先生のメテオを自分でも放てるのか試してみたい。この辺りだと、山の地肌が出ているところもあって、自然破壊にもならないだろう。
俺は破壊力がわからないので、できるだけ小さい石を落としてみる。しかし、ほとんど威力はない。メテオは落ちてから爆発した。ただ、石を落としても爆発はしない。おれは、早くも行き詰まった。そもそも先生のメテオは、呪文を唱えていたし、魔法陣が浮き出した。俺の魔法とは、何か根本的に違う気がする。やはり呪文が必要なのかな。
呪文に関しては、何もわからないので授業で習うまでは無詠唱で行くしかない。普通は呪文詠唱から、無詠唱にレベルアップするものだと思うが、逆になっている。
俺は、もう1つの課題に取り掛かる。基本属性の魔法の習得である。火、土、風、水は基本だと思うが、俺の知っている中にはまだ、氷と、雷がある。実は、今までにも試してみたが、氷と雷は成功した事がない。
俺はまず、氷を出そうと頑張る。魔力はもう何もしなくても感じる事ができる様になった。見ようと強く思うとかすかに魔力が可視できるレベルまで上がっている。問題はイメージ。氷のイメージをいくらしても魔法が成功しない。何故だろう、似たような属性の水魔法はできるのに。ここで俺はなんとなくピンときた。水の温度を下げていくと氷になるんだよな。だったら、氷を出そうとするのではなく、水を出すつもりで水の水温を下げるイメージですればどうなるんだろう?俺は、早速試してみた。
魔力を少しつかって、冷たい冷たい水をイメージする。すると、少し冷たい水が手のひらに出現した。なんとなく上手くいきそうな気がする。俺は、もっともっと冷たい水をイメージしていくと、次第にシャーベットのような水ができ始め、最後には氷が手のひらに残った。
「やったーー、できた!!」
おれは、つい嬉しくなりその場でガッツポーズをしてしまった。
次は、氷の矢を作り出して、そのまま飛ばしてみた。一度氷を作ることができれば、あと飛ばしたりするのは火魔法とかと同じである。特徴的なのは、固体なので地面に刺さってもずっと残っていることだ。これは、物理攻撃になる。
次に、雷の魔法をどうやって完成させるか、悩みに悩んだ。雷は電気だよな。と言うか、雷を出そうとイメージするのではなくて、電気を出すイメージが正解なのではないか・・・?おれは、早速、電気のイメージで魔法で電気を出す練習をした。しかし、電気のイメージってよくわからん・・・。
電気と言えば静電気が身近だ。あれは、衣服と衣服がこすれ合って電気が発生する。うーん、衣服がこすれ合っているのをイメージしろっていうのか・・・?何度かやっても電気が発生することはなかった。
もっと、電気のことを詳しく思い出そうと、俺は中学校で学んだ化学の授業を思い出していた。電気は確か、マイナスのイオン・・・、じゃなくて、えーと電子だ。電流はマイナスからプラスに流れる。流れているのは電子だったはず。記憶がなんか曖昧である。要は、電子が流れているイメージをすればいいのじゃ?
俺は、少し自信が出てきた。早速、電子のイメージを頭の中で何度も繰り返す。電子電子電子電子。。
しかし、一度も成功しなかった。
「うわーーーーイライラする。、できん。何故だ。」
そこで、また俺は閃いた。そうか、プラスとマイナスを作ってやればいいのか。俺は、右手をプラス。左手をマイナスだとイメージする。その間を電子が流れる。流れる。流れる。すると、手の間をバチバチバチっと閃光が走った。おおおおおお、成功か!!でも、まだ問題があった。手の中では電気が流れたが、これをどうやって敵に放つんだ。敵がプラス端子を持っているわけでもあるまい・・・。いや待てよ。俺の右手も、別にプラス端子と言うわけではない。さっきは、イメージで右手をプラスとしたんだった。だとすると・・・。
俺は今度は、右手をマイナスにイメージをする。近くにあった木を無理やりプラスとイメージする。そして、電子よ右手のマイナスの場所から、プラスのなっている木まで走れ!!とイメージをした。すると、右手から狙った木まで閃光が走った。
「おおおおおおおおおお、成功だぁ。」
かなりイメージが面倒くさいが、雷魔法もなんとか習得できた。
しかし、魔法ってイメージしただけでかなり自由にできるんだなぁ。イメージで爆弾とかできないのかな。俺は、頭の中で爆弾をイメージした。導火線がついていて、火をつけると爆発する爆発する爆発する。・・・、何も変化はない。ですよねー。。そんなに簡単にできてしまったら苦労はしない。俺は、ふと頭に浮かんだ。ニトログリセリン。あれは、その物質単体で小さな衝撃でも爆発する。それならば、魔法もできるのでは・・? 俺は、半信半疑で右手にニトログリセリンを生成するイメージをした。
「げっ。」
右手の上には透明な液体がふわふわと浮いていた…。
「これ・・、やばい奴や。。封印しよう。。」
俺は、そっと魔法を解除した。俺は考えただけで物質が発生するのに少し恐怖を感じた。
確かに、あまり考えていなかったが、土魔法は無から土という物質を作り出す。ある意味錬金術のようなものではないか?あれ、それだと金とか作り出せるのでは?そう思って、頭の中で金をイメージして右手に出ろっと呟いた。右手には…、何もなかった。おかしい。物質の中でも、作り出せるものと作れないものがあるのは何故だろう。
まぁ、念願だった氷と雷魔法は習得できた。予想外に危ない物質も作ることができたが、あれはできれば使いたくはない。量を間違えれば、下手をすると自分まで大きなダメージを受けるかもしれないのだ。封印だな。。そして、俺は寮へと帰っていった。
それから数か月は、平凡な日々が過ぎ去っていった。魔法の詠唱は今のところ覚えてみたものの、無詠唱のほうが早いため使っていない。あと、ひとつ気が付いたことがある。この世界には、雷魔法がまだ解明されていないらしく、魔法として雷属性というものが存在しなかった。。俺はまた一つ、チートな力を手に入れてしまったようだ。ちなみに、氷魔法は存在した。
シルフィーも、外出する時は俺もついて行ったので何事もなく過ごしている。流石にまだ一人で買い物とかは心配で行かせられない。過保護かもしれないが、一度誘拐され、一度路上で絡まれたのだ。5歳の女の子1人で歩かせることはできなかった。。
そして、月日は流れ2年が経過した。俺は、7歳になっていた。そして、俺にとって大事件が発生する。