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10 魔法学校の入学式です。

 俺が誘拐されてから数日が経った。父さんが、誘拐の件で町の兵士さんたちがいる詰め所に、何度か呼ばれたらしい。俺は正直関わりたくなかったので、父さんに任せていた。


 明日は、いよいよ学校の入学式である。明日からは、宿をでて寮に住むことになる。学校の寮とはどのような所なんだろう、少し興味がある。おそらくだが、二人部屋か四人部屋じゃないかなと思う。寮は学校の敷地内にあって、巨大なマンションのような建物が何棟か建っているらしい。


 そして、明日入学式に出席すると、父さんはそのまま村に帰るそうだ。そりゃそうだよね、いつまでも一緒にいるわけにもいかない。だから、明日の朝父さんとはお別れになる。少し寂しいけれど、しょうがない。こんな時って、特に何を話したらいいのかわからなくなる。最後の日の宿で、俺はぐっすりと眠った。


 翌朝、俺と父さんは宿で最後の朝食を済ますと、ルイスおばあさんに深く礼を言って宿を出た。学校まで歩いてやってくると、父さんが革袋を渡してきた。犯罪奴隷として売った分のお金だそうだ。数百万ゴールド入っていた。あまり無駄遣いはするなと言われたが、こんな大金怖くて持って歩けないよ。。学校の前で、父さんとはお別れだ。


「じゃぁ、父さん。俺はクラスの教室に行かないといけないらしいから、もう行くね。」

「うむ、頑張って勉強するんだぞ。何か困ったことがあったら、冒険者ギルトに行きなさい。力になってくれるように頼んである。」

「うん、わかった。ありがとう。頑張るね!!」


 俺は、そのまま校舎のほうに走っていった。途中で振り返り大きく手を振ったら、父さんも手を振り返してくれた。また、俺は走って校舎の中まで行った。


 校舎に入ると、クラスの一覧表が貼られてあった。自分の名前を探していくと、自分はAクラスの中に名前があった。Aクラスかぁ、9年間ずっと変わらないのかな?まぁ、いいか。とりあえず、教室に急ごう。校舎の中は、石造りの壁に木造の床でできていた。教室に目をやると、石壁の内側を全て木で覆われているみたいだ。窓は長方形で、扉が二枚外側に開く仕組みの窓だった。教室に窓は3つ、あまり外の光は入ってこないみたいだな。


 自分のクラスに入ると、すでに何人か人がいた。さすがに人間だらけだ。当然、竜神族は俺一人。他に獣人とかはいないのだろうか?人間だけなのかなぁ。俺は、机に貼られた名前の紙を見ながら、自分の席を探してまわった。俺の席は、窓側の前から三番目だった。窓側と言っても、窓はない。少しずれてる。残念。時間が経つにつれ、人が多くなってきた。俺から見たら、みんな子供なんだけど、同じ年か一つ年上なんだよな。前世が45歳だったせいで、精神年齢高すぎて困る。実年齢では、俺が一つ年下かぁ。


 時間になると、先生がやってきた。なんと、エルフだ。初めて見た。


「はーい、全員席に着きなさい~。」


 みんなが、蜘蛛の子を散らすように自分の席に座った。


「みなさん、おはようございます。」

「「「おはようございまーす!!」」」


 くっ、小学生からやり直すとわかってはいても、このノリにはついていけない。。


「はい、よくできました。私がこのAクラスを担当する、エルフのライラです。皆さんよろしくお願いしますね。えーと、このクラスは特別クラスとなります。クラスはAから、Dまであるのですが、Aクラスのみすでにかなりの実力があると見込まれる子供や、王族、貴族、大商人の息子など。そんな選ばれた子供たちが集められています。」


 げ、まじか。目立ちたくないのですけど。


「えーと、まず領主の娘さんがいますね。何故か、入学式前日に一年早いのに無理やり入学したいとねじ込んできた三女のエヴァさん。」

「は、はいっ。よ、よろしくお願いいたします。」


 領主の娘?まじか。。あまり関わりたくないな。と言うか、名指しで紹介されるのか・・。その紹介もなんか酷いぞ。。ねじ込んできたとか、普通言わないぞ。


「次、外国からの留学生君もいます。」


 外国・・・、ま、まさか。


「いきなり、無詠唱で魔法をぶっ放したとんでもない生徒ですね。。それも、あの伝説の戦士、竜神族の子供です。何かありますと、うちの町なんか消し炭にされますので、対応には十分注意して接してくださいね。」


 な、なんだその紹介はぁ~。お前が一番気をつけろーーー。


「はい、アレクシス君挨拶を。」

「あ、はい。アレクシスです、よろしくお願いします。そんなに腫れ物のように接してこられても困りますので、普通にお願します。。」


 俺は、深く頭を下げた。う、うわぁ・・・、多くの視線が後頭部に突き刺さっているのを感じる。。


「はい、それ以外は普通の人です。みなさんも、この特別のクラスに恥じない成績を残すようにがんばって勉強しましょう。では、入学式の時間です。体育館に行きますので全員、廊下に並びなさい。」


 俺たちは、速やかに廊下に並んだ。


 入学式は、どこにでもある学校の入学式だった。とにかく校長の話が長いやつだ。この学校は校長ではなく、その上の理事長が挨拶をした。この学校は私立なのだろうか?よくわからない。


 入学式が終わると、また教室で集まった。今度は寮の説明がある。Aクラスの寮は好待遇となり、一番新しい寮の広めの部屋が与えられるという。それも、一部屋に一人だ。貴族なども入る場合があるかららしい。といっても、貴族の場合、学校外に家を借りてメイドも一緒に引っ越してくるらしいが。貧乏の貴族は寮に住むらしい。俺は、貴族でもなんでもないただの村人なのだから、当然寮で住む。


 学校での説明が終わると、ぞろぞろとみんなで寮へと向かう。今回のクラスは全員寮に住むのかな?でも、領主の娘がいたはずだが?領主の娘も寮に住むのだろうか?寮は、特に性別で分かれているわけでもなかった。部屋の中にトイレも、風呂もあるので分ける必要もないのだろう。寮の前で各自部屋の鍵を先生から受け取って、その場で解散となった。俺の部屋は、どうも一番上らしい。これも、好待遇のひとつだろうか。最上階は最も広い部屋があり、その一つを俺が一人で住むことになった。


 俺は部屋の前まで歩いてきて、先生から預かったカギを取り出し鍵を開けた。扉を開けると、そこにはかわいい女の子がちょこんと座っていた。・・・ん?


「あ、おかえりなさいませ、ご主人様。」

「・・・どちら様でしょう?」







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