2話
創作ってむずかしいですね。
ユンファンの町は、ここから5時間ほどいったところにあるらしい。
「アスカ、ちょっと面倒が起こりそうだ」
町についての話をしていたとき、ジンさんがふいにそういった。心なしか、馬も緊張しているように見える。
ジンさんが見つめる方をみると
身の丈3メートルほどだろうか、四つ足の虎のような黒色の化け物がこちらに近付いてきていた。
「ジンさん、あれはなんですか。」
「アスカ、おまえはしらないのか、いや忘れているのかあれは、バトルタイガーの異種個体だ。マドラスの密林にしかいないはずなのになんでこんなところに」
どこか、飄々としているジンさんの顔から緊張が見える
「逃げるのは?」
「無理だ、アスカ俺が時間を稼ぐからお前は馬にのって逃げろ。ユンファンの町はここをまっすぐいけばつく。」
「でもそれじゃジンさんが」
「心配するな、俺は元冒険者だおまえを守りながらだと厳しいだけだ。」
ジンさんはそういってるが、嘘だろう。あの化け物は人間が倒せるものではない。
「ジンさん、俺も戦います。大丈夫です、囮くらいにはなりますよ。」
不安がないわけではないが、もしかしたら俺は事故で死んでたかもしれないんだ、命はおしくない。
「アスカ、いや、ああ、すまねぇもうそんな時間もなさそうだ。荷台に長剣がある、俺ができるかぎり引き付けるから好きがあったら攻撃してくれ。」
バトルタイガーはもう、30メートルくらいまで近付いてきていた。
荷台の長剣を探そうと後ろを見ると
リュックが光ってる!?
時間はないが、確認しなければいけないそんな気がする。
リュックを手にとり、中を確認すると
尺八が…
光ってた。
竹が光るって、かぐや姫かよ。
もうすぐ命をかけた戦いをしなければいけないのに、頭が追い付かない。とりあえず、光ってる尺八に手を伸ばした。
手にとった瞬間、頭にメッセージがはいってきた。
親愛なる 飛鳥 空様
この度は、因果率株式会社の手違いにより、死亡予定のところを異世界転移に変更してしまい誠に申し訳ありませんでした。
今後の対応ですが、飛鳥様が異世界にて死亡された場合、当初の予定通り、日本で死亡した場合と同じ処理がされますのでご安心ください。また、今回の補償といたしまして飛鳥様の尺八に特別機能を実装いたしました。以下、実装機能の説明です。
尺八スキルシステム
この尺八にはスキルシステムが実装しております。スキル機能はモンスター等の討伐、または善行を行うことにより成長します。
スキル関して
7段階の身体バフとともに各段階において3つのスキル付与がされます。スキルは解放されると自動インストールされるので任意でお使いください。スキルにより1日の使用回数が制限されてるものがあります。ご注意ください。
初回特典として
メッセージ終了後、1段階目 初伝の解放をいたします。
それでは、良い異世界ライフを!
今のは何だ時間は、時間はたっていないようだジンさんはバトルタイガーを見つめている、バトルタイガーの位置も変わっていない。
でも、
「尺八スキル‼」
言葉を唱えた瞬間、頭が真っ白になった違う、真っ白な空間だ、ここはどこだ!?
「飛鳥様、はじめまして私はあなたの尺八でございます。この空間のみ会話が可能です。当空間での時間経過はございませんのでご安心ください。」
もうわけがわからない、白い空間で、しゃべる俺の尺八。そういえば、スキルが実装したとかさっきのメッセージでいってたような
「しゃっ尺八と呼べばいいのか?」
「名前はつけられておりませんので何か登録されますか?」
そういえば、尺八に名前をつけてなかった。この尺八は祖父から受け継いだもので、銘は、古雪とある。江戸の作品で地無しという作り、節をぬいて漆をぬっているだけだがとても良い音がする。名前か
「では、銘からとって雪でいいか?」
「はい、登録完了いたしました。それでは、いまから初伝の身体バフとスキルのインストールを開始いたします。」
身体の芯が熱くなる、身体バフだろうか、身体バフってなんだろう。
「インストール完了いたしました。それでは、使用説明をいたします。まず、身体バフに関してですが音声での切り替えが可能です。通常、バフがかかった状態ですが、初伝バフオフでオフにできます。また、オンにする場合は初伝バフオンと発声ください。初伝バフの身体強化レベルですが、通常日本人の10倍とお考えください。次に、初伝スキルの3つの説明になります。1つ目『本手調子』一歩目から自己の出せる最高スピードが出せます。使用回数1日5回。2つ目『鉢返し』任意の対象の方向ベクトルを逆にできる使用回数1日5回。3つ目『一二三』30秒だけ身体バフを3倍にできる使用回数1日1回。以上になります。スキルの使用は発声、もしくは演奏で行ってください。演奏の場合、1分以上の演奏で効果は2倍になります。なお、私自身は破壊不能属性がついておりますので、鈍器としての使用も可能です。それでは、次は、中伝でお会いしましょう。」
雪がそういった後
景色がもとに戻った。よくわからない、でも戦える。俺は雪を手にとり。
「ジンさん、俺、戦ってきます。」
「おい、アスカ無理するな、俺もいく。」
ジンさんと俺は、馬車をおりバトルタイガーと対峙した。バトルタイガーとの距離は10メートルまで縮まっている。
ジンさんが動いた、距離をつめ横から斬りかかる、バトルタイガーが後ろに下がりそれを避け、そのまま突進した。
咄嗟に剣でガードするがそのまま吹っ飛ばされた。
ジンさんは立ち上がろうとしているが
バトルタイガーが止めを刺そうと飛びかかる
「鉢返し」
バトルタイガーに向かって叫ぶ
バトルタイガーが引っ張られるように後ろに飛んだ。