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【1】 序

 どうしても、担当編集に聞いてみたかったことがある。

 それは多分、このタイトルにピンと来て本稿を読んでいただいている方の大多数も同様に知りたいことであろうと思う。

 ――すなわち。


「どうして出版社は、拙作のような低ポイントの作品を拾い上げてくれる気になったんですか?」


 私の担当編集は女性だが、かなりの毒舌家で、言いたいことははっきり言うベテランだ。

 問いかけた電話の向こう越しに、低い、しかし愛嬌のある声が、1拍の間もなく、明瞭に、ハキハキと流れてくる。

 

「――ああ、それはね」



 これから私は、ひとりの「WEB作家」が、出版社に拾われ、書籍化に至るまでの道筋を、連載形式のノンフィクションとして綴っていこうと思う。

 

 単なるサクセスストーリー? 自慢かよ?

 

 とんでもない。確かに『拾い上げられる』のは幸運以外の何ものでもないけれど、『書籍化』というのはそんなに生易しいものではない。はっきり言ってしまえば、ひとつの『試練』ですらあることが、本稿を読み進めるに従って、わかっていただけると思う。多分にナルシシズムなところはあるが、嘘は書いていない。



 また、本稿を読み進めることによってまた、多くの人が『F文庫』というレーベルに興味を持ち、このレーベルで書きたい、と思うようになるかもしれない。それくらい魅力的な編集者さんたちが出てくる。


 『F文庫』は後述するように、作家にとっては、良いレーベルだと思う。

 別にレーベルに強要されて書かされているわけではない。素直にそう考えている。

 それは、印税であるとか、部数であるとかに起因するものではなく、F文庫に所属する『人』達の質の良さがあってこそのものであり、私はそれを肌で感じてきたし、ここに書き綴る駄文により、その息吹でも感じていただけたらと思う。


 あらかじめ予想されることであるから、先に言ってしまうと、『F文庫』で書くためには二通りの方法がある。

 

 ひとつめは正攻法。F文庫が開催しているコンテストに作品を送ることだ。

 F文庫は基本的に『お仕事』に関する小説を前面に出しているレーベルで、現在、第二回目の結果が出たところのようだが、この先も、このコンテストは開かれる。


 もうひとつは、WEB小説で、『お仕事』に関する小説を掲載(できれば完結)させて、オファーを待つこと。いわゆる拾い上げである。私はこれに当たる。

   

 いずれの選択肢を選ぶにしても、まずは、『狙う』ことよりも、自分が楽しいと思う小説を投稿すること。これに尽きるのではないだろうか。



 前置きが長くなった。


 次の節からは、私の体験した、赤裸々な出版前夜の様子を、できる限り詳細に、正直に綴っていくことにしよう。

 

 では、始めよう。出版に至るまでの、前夜祭だ。


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