第78話:皇帝ライオネルとの模擬戦
<ユーエリア視点>
ライオネル皇帝と模擬戦するために
ラオニール城の演習場にやってきた私たち。
演習場は城の中にあり白いドーム状になっていて
土の地面の上にはたくさんの騎士たちが剣を振るい戦いの演習をしていた。
「おや?陛下、また演習するのですか?」
背の高い黒豹の獣人の騎士が皇帝にまたかと呆れながら聞いてきた。
「いや。今日は客人との模擬戦だ。
エンジェルムの外交団の中に強そうなのがいてな、
戦ってみたくなったのだ」
「また陛下の悪い癖が・・・;;
あ、申し遅れました、私、レオンバロン騎士団の
筆頭騎士団長をしておりますビューマ・ヒュロンと申します」
ビューマは皇帝のバトルマニアな所に呆れつつも
私たちに丁寧に挨拶してくれた。
どうやらこの人はレオンバロン皇国の筆頭騎士団長らしい。
「はははははwビューマ!!
このユーエリア殿はかなりの魔力の使い手らしいぞ。
噂ではライシンラ国の王を素手で殴り飛ばしたとか。
武術もなかなかのものと聞いている。
これから模擬戦をするので審判を頼む」
「ほう・・・この方が噂の・・。
分かりました、ではお二人共演習場の中心に来てください」
私に感心しながらビューマは見つめていた。
どうやら雷森羅国での
私と信長の決闘は国外でも噂になってるらしい。
私と皇帝は演習場の中心に行き向かい合った。
「ユーエ!!!がんばれよ!!」
「お嬢様なら負ける気がしないよな」
「ユーエたんがんばってにゃw」
リックとウィキとハイにゃんが演習場の隅で応援している。
他のみんなも同じように観戦モードだ。
やじ馬としてレオンバロン皇国の騎士たちもわくわくしながら
決闘楽しみにしているようだった。
「でも、あの皇帝も強そうよ」
「すごい魔力・・・」
ノッレとイノーゼは皇帝からほとばしる覇気と魔力に圧倒されてた。
「ふむ、あの皇帝もなかなかの武人だろうな」
「ライオンの皇帝の腕と足、すごい筋肉だぜ;」
雷信も皇帝の強さを感じているようだ。
拓海は皇帝の腕と足の筋肉を見て驚いている。
「・・・かなりの戦いになりそうだな;」
「皇帝、火の魔力、感じる」
「水の魔法でどれだけ戦えるかが鍵になるわね」
ニッキーもこれから起こる模擬戦に戦慄していた。
マークスは皇帝から火の魔力を感じ取ったようだ。
皇帝は火の魔法の使い手みたい。
ロザンナはどれだけ私が水の魔法で戦えるか予測してた。
「怪我したらすぐにポーションで治しますからね!!!」
「がんばれよ!!ここで負けたら女が廃るぜ!!!」
キラはポーションとエリクサーと救急箱を準備して待機していた。
ヒデトも応援してくれるみたいで、がんばらないとねw
「お父様、ほどほどにがんばって」
「陛下、がんばって・・・」
「陛下の戦い楽しみだわ」
リンカや王妃のレイナと側室のフレアは皇帝を応援していた。
フレアは皇帝の戦いを見るため特等席の近くで見ている。
「ではお二人共、準備はよろしいですか?」
「ああ」
「いいわよ」
審判のビューマは私と皇帝を見て準備がいいか聞いてきた。
お互い拳を構え準備は万端だ。
「では、初め!!!!」
ビューマの合図で私たちはお互いに拳を交えた。
皇帝は私と同じ徒手空拳タイプのようで
拳のキレがすさまじい。
風を切るような速度で殴ってくる。
「俺の拳を避けるとは人間にしてはかなりやるようだな」
「お褒めいただいて光栄ですわ!!!
『散華連撃』!!」
私は蹴りと拳のコンビネーションで
テンポよく攻撃した。
皇帝はそれを筋肉の素手で防御した。
「固いわね」
「ははははは!!これしきの攻撃ではやられんぞ!!
『獅帝爆炎拳』!!」
皇帝は炎をまとった拳で殴ると爆発の炎が私を襲った。
「『アクアシールド』」
私はとっさに水の膜で爆炎を防御した。
「ほう、水の魔法か。
さすが水の国エンジェルムの者だな。
だが、これならどうだ!
『炎速迅連脚』」
皇帝はものすごい速度の炎の蹴りを無数に仕掛けてきた。
かなりの速度で脚が見えない。
しかし、私は長年の武術のカンで水の魔力を腕に纏いながら
脚の攻撃を捌いて防御した。
「これも効かないとは!!やるな!!」
「それはどうも!!では、こっちも反撃させてもらうわ!!」
私は皇帝の足を掴み、思いっきし地面にぶん投げて叩きつけた。
「なっ!!!」
「「「「「「「おおっ!!」」」」」」」
皇帝はとっさの攻撃に驚き、観客は皇帝の巨体を
私がぶん投げたことに驚愕の声を上げた。
「まだまだ行くわよ!!
『ジャイアントスイング』!!!」
私は皇帝の両足を持ち、回転させて向こう側へ投げた。
しかし、皇帝は空中で体勢を立て直し着地した。
ライオンの獣人だから猫の動きもできるみたいだ。
「ふっ!!やるな!!
俺、わくわくしてきたぞ!!」
どっかの戦闘民族みたいなセリフを皇帝は言いつつ
炎の魔力のオーラを立ち上らせた。
目に見えるくらいすさまじいオーラが演習場を覆う。
「『獅子炎緋強襲撃』」
緋色の炎に包まれつつ弾丸のような速さで拳と蹴りのラッシュを
皇帝は仕掛けてきた。
「くっ・・・;」
「ほら!!どうした!!どうした!!
守るだけでは俺は倒せんぞ!!!」
皇帝の蹴りや拳は一撃一撃が重く、かなりのダメージが蓄積させていく。
ここで反撃しなければ頭打ちになるわね;
私は拳に水の魔力と霊力を込めた。
「『青龍清濁水波拳』」
私は陰陽術の霊力の四神の青龍のオーラと水の魔力を合わせてパンチを
一撃必殺で殴りつけた。
巨大な水の拳が皇帝の炎の拳とぶつかり合い
じゅう・・・っと熱気がほとばしっている。
「おお!!!これはすさまじい拳だな!!」
「ライオネル陛下こそ、すごい拳ですね!!」
お互いが拳で殴り合い水蒸気があたり一面に漂う。
私と皇帝は互角でかなりの拳のやりとりをした。
「ここら辺で最大の攻撃をお互いにしてみないか?」
「そうですね。互いの力を比べてみるのも一興ですねw」
陛下の提案にお互いニヤリと笑いあった。
ここで最大の攻撃をしようとは皇帝も面白いわねw
「では行くぞ!!!
『獄炎噴迅超是空撃』!!」
「『黄龍四神降霊拳』!!」
皇帝の地面から湧き上がる溶岩の炎を身に纏った拳の攻撃と
私の四神と黄龍のオーラの拳の衝撃破がぶつかり合った。
溶岩と黄金のオーラがお互い衝突し合い、お互いが見えなくなった。
「ぬう・・・どこだ?」
皇帝は私が見えないのかきょろきょろしていた。
その隙に私は渾身の飛び膝蹴りを喰らわせようと跳びかかった。
「『跳躍飛龍脚襲』!!」
「ここか!!『獅子蹴飛脚』」
お互いが空中で蹴りをし合って弾き飛ばされた。
両者とも壁に激突して動けなくなった。
げっ、背骨イったかも;;;;;
「そこまで!!!!両者引き分け!!!」
ビューマの判断で私と皇帝の模擬戦は引き分けに終わった。
「ぬう・・・動けん;;引き分けか;;」
「そうですね;私も動けません;;;
かなりの戦いでしたわ」
皇帝と私はお互い動けないけ良い戦いだったので笑いあった。
「大丈夫ですか!?
ああ・・;2人共、背骨にヒビが入ってますね;」
「エリクサー持ってきたぞ!!飲め!!」
キラとヒデトは懐からエリクサーを取り出して、
私と皇帝に飲ませた。
エリクサーが体に染み渡り背骨の痛みもなくなった。
「ありがとう」
「ふむ、この薬はすさまじいな。
傷が一瞬にして癒えたぞ」
私はキラとヒデトにありがとうとお礼を言った。
皇帝はエリクサーの効果に驚いてるようだった。
私が作った高濃度のエリクサーだもんね;
普通のエリクサーよりも効き目が高く、
どんな病気や怪我も一瞬で治る薬です。
「ユーエ!!すげえ!!すげえ戦いだった!!」
「お嬢様と皇帝が互角とは・・・;
皇帝もチートって事だな」
「ユーエたんと皇帝すごいにゃw」
リックは興奮しながら私たちのところへ駆け寄ってきた。
ウィキとハイにゃんは感心しながら皇帝と私を見ていた。
「ユーエってホントに規格外よね;
それに互角な皇帝も皇帝だけど;」
「2人共すごかった」
ノッレとイノーゼは私と皇帝の戦いが
規格外過ぎたのか呆れや尊敬の目で私を見ていた。
「すさまじい戦いだったな;父上との死合いよりも
迫力があったぞ」
「・・・優絵ってホントになんでもできるんだな;
頭だけじゃなくてバトルもチートかよ;;;」
雷信と拓海も私と皇帝の戦いを見て、
その迫力に心躍ったようだ。
拓海は若干、私のチートさに引いてるようだ。
「俺、こんなすごい人に雇われてんだな;;;」
「超、すごい」
「改めてユーエは次元が違うって思い知ったわ」
ニッキーとマークスとロザンナは
私のすごさに改めて違いを思い知ったようだった。
「お父様と互角なんて・・・;
ユーエリアってすごいわ;;;;;
初めてそんな人見た」
「すごい・・・」
「まさか引き分けるなんて、ホントに人間なの?;」
リンカとレイナとフレアは皇帝と私が互角なのが信じられないようだった。
フレアは私がホントに人間か信じられないようでまじまじ私を見ていた。
「ははははは!!楽しい戦いだった!!!
こんなに楽しかったのは久しぶりだな!!
よしっ!!!宴をやるぞ!!!
エンジェルムの外交団を祝して騒ぐぞ!!」
そう言って皇帝は周りの騎士に宴の準備を指示した。
「ライオネル陛下、その前に私たちとの水道設置の契約をしなくては・・・;」
「そうだったな;
後で契約書にサインしよう。
もろもろの細かいことは後で話しあおう。
さ!!今日は騒ぐぞ!!!!!」
エンジェルム王国との水道設置の契約は後でするそうだ;;;
水不足なのにパーティーして大丈夫なのかな?;;;
皇帝はノリノリで豪快に宴を楽しみにしているようでニヤリと笑った。
とにかく、親交試合は楽しく終えることができたのであった。
ちなみに演習場はすさまじい戦いの影響で
1週間は整備で使えなくなったらしい;;;
騎士の皆様、ごくろうさまです;;;;
つづく
ユーエリアと皇帝のバトルは引き分けでしたw
両者ともチートですからね;
もし、本気でやり合えばお城が全壊するでしょう;
次回に続きますw