第77話:レオンバロン皇国の王女リンカと王族たち
<ユーエリア視点>
レオンバロン皇国の首都バロンに到着した私たち。
首都バロンはアラビアン・ナイト風の街で
堅固な城塞の壁に囲まれ、北門、東門、南門、西門があり
国の各主要都市へつながっている。
城壁は三重におよび、レオンバロン皇国のお城である
街の中心には、国の勢威を内外に示すため、ラオニール城と呼ばれる
アラビア風の黄金の宮殿が建てられ、それぞれの城壁のドームには
レオンバロン皇国では高貴な色とされた緑色のタイルで覆われている。
周囲には、文官が仕事をする所管庁、各地方から来ている豪族の館、
騎士団の駐屯所などが並び立派な町並みになっている。
街には猫、犬、狼、うさぎ、くまなどの獣人たちが
アラビア風の格好でたむろしていた。
「すごい、これがバロンの街か!!」
「異国に来たって感じがするわね」
「動物さんいっぱいw」
「みんな八頭身にゃwうらやましいにゃw
ハイにゃんも背が高くなりたいにゃw」
リックとノッレは初めてのバロンの街に興奮していた。
イノーゼは獣人たちを珍しそうに見ていた。
ハイにゃんは獣人たちが八頭身なのがうらやましいみたいだ。
ハイにゃん、背がニ頭身だもんね;
「ふむ、着物も独特だな」
「まさにアラビアン・ナイトの街だなw」
雷信は異国のアラビア風の町の人の衣服が気になるみたいだ。
拓海はアラビアン・ナイトの話を思い出してるのかわくわくしてた。
「なんで、女性は布で髪を隠してるんだ?」
「一般の未婚女性、髪見せては、いけない、らしい。
本で、読んだ」
「ふーん、そんな決まりがあるのね」
ニッキーは街の人の女性が布で髪を隠してるのが気になるみたいだ。
どうやら普通の一般の未婚の女性は髪を隠す決まりらしい。
マークスは事前に勉強してきたのかそう説明した。
それを聞いたロザンナは街の女性を見ながら感心していた。
「髪を隠すなんて不便そうですね」
「暑いのにな」
キラはその女性たちを見ながら不便そうだと気の毒に思ってるようだ。
ヒデトは暑いのに女性が布で髪を隠してるのを不憫に思ってるみたいだ。
「お嬢様、この獣人のハーフの女の子どうするんだ?」
「とりあえず宿を取って休ませましょ。
このままじゃ日射病になるわ」
暑い日差しの中、歩いてきただろう気絶した獣人のハーフの女の子を
ウィキが背負いつつ私たちは宿を探した。
そのバロンの街を進みながら私たちはとりあえず
『メッカの宿亭』と看板に書いてある宿屋に入って休むことにした。
宿屋は石造りでまさにアラビアンだった。
「大部屋の14人分で宿を取りたいのですが?」
「はい、14名ですね。117000イエンになります」
私は宿屋のおかみさんであろう女性にお金を渡すと
(大陸ではイエンが共通通貨になっている。
国によってコインのデザインは異なるけど
同じように使える)
私たちは大部屋の部屋に入った、
紫のシースルーの天蓋付きベッド付きで
まさに異国情緒ただよう部屋になっている。
私たちは女の子をベッドに寝かせると一息ついた。
「で、この女の子は何者なんだろう?」
「この国の人ってのは分かるんだけどね;」
私とウィキは女の子の顔を覗き込んで女の子が何者なのか疑問に思ってた。
「この女の子、髪隠してない」
「そういえばそうね」
マークスの指摘で女の子が髪を隠してないことに気がついた。
まだ中学生ぐらいに見えるから確実に未婚だろう。
「未婚、髪隠さないのは、王族だけ」
「じゃあ、この女の子はこの国の王族って事なのか?」
マークスがそう言うとリックは驚いて女の子を見た。
「ううう・・・ん;はっ;ここはどこ?」
どうやら女の子は目が覚めたみたいだ。
「目が覚めたみたいね。
ここは首都バロンの宿屋よ。
あなたを砂漠で倒れているのを見つけてここまで運んだわ」
「私、行き倒れてたみたいね;」
私がそう言うと女の子はしゅんとした表情をしていた。
「ありがとうございます。
私はリンカ・ヴァン・レオンバロン。
この国の王女よ」
「やっぱり王族だったんだ」
どうやら予想通りリンカはこの国の王女のようだ。
リックはやっぱりという表情をしてリンカを見た。
「なんで砂漠で倒れてたの?」
「隣国のエンジェルム王国へ行こうと思ったの。
エンジェルム王国は水が豊富でしょ、
だから飲み水を大量に運ぼうと思ってたの。
今、レオンバロン皇国は水不足で日々の生活の水も困ってるわ。
エンジェルム王国にお父様が使者を送ったらしいけど、
待ってられなくて砂漠超えしてエンジェルム王国へ行こうとおもって」
「で、倒れたと?」
「うん;砂漠越えする水もなくて・・・;」
どうやらリンカはエンジェルム王国へ水を求めて行こうとしてたらしい。
で、水が足りなくなって倒れたわけか;;;
「それなら心配ないわ。
私たちはエンジェルム王国の外交団よ。
このレオンバロン皇国に水道建設の許可をしにやってきたの」
「えっ!!ホント!!」
私の言葉にリンカはぱっと顔を輝かせた。
「私はユーエリア・アークレイ。
エンジェルム王国のユーエリア商会の社長よ」
「あの人気の商会の社長?!
最近ではここレオンバロン皇国にも支店が出てたわ」
私がユーエリア商会の社長だと知るとリンカは驚きの表情をした。
最近では各近郊の国に支店を出すほど商会は拡大して有名になっている。
「俺はユーエリアお嬢様の下僕・・じゃなくて従者の
ウィキリードだ。ウィキって呼んでくれ」
「ハイにゃんはハイにゃんにゃw
ドMにゃwしばいてくれるとうれしいにゃw」
「俺はセドリック・サムエル・エンジェルム。
エンジェルム王国の第2王子だ。
リックって呼んでくれ」
「私はノッレ。小人族よ」
「わたしはイノーゼ」
「俺はニッキーだよろしくな」
「私はロザンナよ」
「僕、マークス」
「俺は雷森羅国の武士、織田雷信だ。
優絵・・・ユーエリアとイノーゼの婚約者だ」
「俺は鷹宮拓海。忍者やってる。
ちなみに俺も優絵・・ユーエリアの婚約者だ」
「僕はキラ・スターダストです。よろしくおねがいします。
医者でユーエ先生とウィキ先生に錬金術を教わっている弟子です」
「俺は宝井秀人。ユーエの護衛だ」
「よろしく。それにしてもたくさんいるわね。
王子様までいるし。さすがエンジェルム王国ね」
みんなが自己紹介するとリンカもあいさつした。
かなりの大所帯なのでリンカもみんなの顔を覚えようとじっと見ている。
「それで、さっそくこの国の皇帝に会いたいのだけど?
動ける?大丈夫?」
私は収納魔法から水の入った瓶を取り出してリンカに渡した。
「ありがと。少し休めば良くなるわ。
エンジェルムから外交団が来たってお父様に知らせないとね。
これで水不足も解消されるわwよかったw」
リンカは水の瓶を飲みながらほっとしていた。
こうして宿屋で2時間ほど休憩した後、
私たちはレオンバロン皇国のお城のラオニール城に行くことにした。
ラオニール城はまさにアラビアン・ナイトの宮殿といった感じで
全部が黄金でできていた。
中に入るとかなりゴージャスな建築様式と分かる。
曲線で構成されたアラビア風の壁から天井に滑らかに
漆喰でできた装飾が美しく、
金や銀もメッキされていて各所には本物の銀や金も
建築資材として使われていた。
まさに黄金宮といった感じのお城だった。
「すげえな~wうちの城とは違ったゴージャスさだぜ」
「すごい高そうね;」
「金や銀がぴかぴかw」
リックがエンジェ城との違いを比べつつラオニール城の美しさを感嘆した。
ノッレやイノーゼもあまりのゴージャスさに恐れおののいているようだ。
「かなり洗練された建築様式のようね」
「まさに異国の宮殿だな」
「すごいお城にゃw」
「30年前に建てたばかりらしいわ。
かなりお父様は成金趣味だし;」
私とウィキとハイにゃんがお城に感心してると
リンカは成金趣味だと父親の皇帝に対してため息をついてるようだ。
「ふむ、杏槌城とは違った美しさだな」
「杏槌城の黄金の天守閣よりもゴージャスだぜ;」
雷信も自分の国の城と比べて感心している。
拓海もゴージャスさに圧倒されているようだ。
「ば、場違いかな?俺ら?」
「ニッキー、今更よ;
それにこれからこの国の皇帝と会うんだし;
私も緊張してるけど;」
「どきどき;」
ニッキーとロザンナとマークスは
あまりの異空間に緊張してるようだった。
「そうですね。人という字を書いて飲むといいみたいですよ?」
「キラ;お前ベタだな;」
「人;人っと;;;;」
「飲む、飲む」
「それでもドキドキが止まらないわ;;;」
キラがベタなアドバイスをすると、ヒデトは呆れていた。
ニッキーたちはキラのアドバイスを実行するが
緊張はほぐれないようだ。
「ここが謁見の間よ。
お父様、エンジェルム王国の外交団が来たわ」
「入れ」
リンカが白地に黄金で装飾された扉を開けると
そこには黄金のゴージャスな王座に座った
二足歩行のライオンの獣人の王様がいた。
まさに百獣の王といった風格で漆黒のヘッドピースとローブ、
赤のチュニック、黄金のベルトとズボンそれに柄の入ったマントを着ていて。
アラビアの王っぽかった。
横には王妃と側室であろう女性がいた。
王妃様はハーフのようで三毛猫のような耳としっぽを付けた人間の姿をしてた。
黒目でセミロングの黒髪が日本人っぽい。
側室の女性はキツネ獣人の様で赤が混じった黄金色の毛並みをしている。
両方共アラビアのお姫様風でヘッドベール、トップス、ボディベール、
スカート、アームバンド、ファブリックバングルが綺麗だった。
しかもへそ出しなのでかなりアラビア感が出てる。
王妃様は透ける紫のベールを被っていてさすが
王妃様といった貫禄を見せていた。
側室の方も赤いベールを被っている。
「よく来たな。エンジェルムの外交団たちよ!!
俺がレオンバロン皇国の皇帝、ライオネル・ヴァン・レオンバロンだ!!」
ライオネル皇帝は豪快にガハハと笑いながらニヤリと猛禽類な表情を見せた。
「第一王妃。レイナ・ヴァン・レオンバロンです・・・」
「第二王妃。フレア・ヴァン・レオンバロンよ」
第一王妃のレイナはクーデレっぽい表情をしていてまるで
どっかの水色の髪のロボアニメのパイロットのようだった;
第二王妃はつんっとした表情をしてあいさつした。
こっちはツンデレかしら?
「エンジェルム王国。
第2王子のセドリック・サムエル・エンジェルムです」
「エンジェルム王国、アークレイ伯爵家第一子。
ユーエリア・アークレイです。
ユーエリア商会の社長をしております」
代表して王子のリックとユーエリア商会の社長である私が皇帝にあいさつした。
もちろん貴族の礼にしたがって跪いている。
「おお!!エンジェルム王国の王子と
今、大陸を騒がせている商会の社長が来るとは光栄だな」
皇帝は驚いた様子で私たちを歓迎していた。
どうやらユーエリア商会は大陸内で有名になってるらしい。
「ふむ、エンジェルムのアークレイ伯爵家の令嬢か。
聞いたぞ、ライシンラの国の王と決闘して
王子の婚約者の座を勝ち取ったとか。
ふむ、かなりの武闘家のようだなすごい魔力のオーラが漂っているぞ」
「ありがとうございます。ライオネル陛下もすごい力を感じます」
「ふっ。昔この国を統一した実力は今も衰えていないからな」
皇帝は私の魔力チートが分かるみたいだ。
皇帝の方こそかなりの覇王のオーラを感じる。
かなり余裕なのかニヤリと笑ってた。
かなりの実力者と見た。どうやら皇帝は今の現役らしい。
「どうだろう?俺と模擬戦をしてみないか?」
「模擬戦ですか?」
皇帝から模擬戦をしないかと私は誘いを受けた。
「お父様のバカ。バトルマニア」
「リンカ;バカとはなんだ?;
俺はただ単に強い者と戦いたいだけだぞ;」
「そこがバカなのよ」
「バカ;;;;;;orz;;;」
リンカにそう言われて皇帝は凹んだ;;;
どうやら皇帝はバトルマニアのようだ。
「・・・それでユーエリア殿。
俺と戦わないか?」
「そうですね。余興として戦いましょう。
親交試合というのもおもしろそうです」
私は皇帝の誘いに乗ることにした。
修行の一環になりそうだしw
「がははははは!!!ユーエリア殿もバトルマニアだな!
よしっ!!城の演習場へ向かうぞ!!
楽しくなってきたぞ!!!」
「はあ・・・;;;」
皇帝はノリノリで私との試合を行うようだ。
お城の演習場でやりあうらしい。
その様子にリンカはため息をついていた。
こうして私は皇帝と親交試合を行うことになった。
さて、皇帝の実力はどれぐらいあるのかしら?
面白い試合になりそうねw
つづく
皇帝とバトルする事になったユーエリアw
皇帝は脳筋ですねw
次回は皇帝とバトルですw