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ドS伯爵令嬢の異世界転生漫遊記(またの名を悪魔のドM下僕受難記)  作者: ねこもどき(ラルク)
シンフォニア教国の吸血鬼編
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第75話:代々続く血の絆

<ヤーコブ視点>


エリーゼが生きていた。

俺はおもわず駆け寄り彼女を抱きしめ泣いていた。


「エリーゼ!!エリーゼ!!」


「心配掛けてごめんなさい。あなた」


そう言ってエリーゼは微笑んでくれた。


「お母さん?」


「イノーゼなのね。ごめんなさいね。

 あなたにも苦労かけたわね」


そう言ってイノーゼもエリーゼは優しく抱きしめた。


「あの。イノーゼのお母さん。

 これはどういう事なのかしら?」


ユーエリア殿が恐る恐るそう尋ねてきた。

そうだ、エリーゼはなぜ今まで死んだふりをしてきたんだ。


「それは今からお話します。

 私は6年前ヒデト様に血を吸われ

 半吸血鬼状態になりました」


「「「「・・・・!!!!」」」」


エリーゼが半吸血鬼に!!!

ヒデトめ!!!なんて事してくれたんだ!!!


「私の浄化の力は初代の大教主に比べて

 微々たるもの、なので血を吸ってもらわなければ

 ヒデト様の吸血鬼化を阻止できませんでした」


「エリーゼがそんな吸血鬼の犠牲になる事ないじゃないか!!」


俺は思わずそう叫んでいた。

エリーゼは少し悲しそうな顔してた。


「巫女としての宿命を逃げ出す事なんて私はできないわ。

 しかし、浄化の力が弱い私は逆に吸血鬼の力に

 飲まれてしまったのです」


だから半吸血鬼化してしまったというのか・・・。

なんて事・・・。


「巫女が吸血鬼になるのはシンフォニア教国で醜聞になります。

 それを重く見たヒデト様とお父様(大主教)たちにより、

 私は仮死状態になる事を選びました。

 これ以上、吸血鬼化する事を防ぐために」


「・・・そうだったのか」


それで今まで死んだふりをしてきたのか・・・。


「俺はその事を何とかするために、

 イノーゼをここにつれてきたんだ。

 イノーゼは稀代なる浄化の力を使えるから」


「ヒデト様!!!」


「よかった」


ヒデトが気絶から目覚めたようだった。

エリーゼとアロンがほっとした表情をしていた。


「イノーゼの血の力なら吸血鬼化を抑えられるかもしれないからね」


「しかし、それだけだと不十分だ」


ヒデトの言葉にユーエリア殿の従者のウィキ殿が

そう言ってとある果物を取り出した。


「これは『ピュアスーパープルーン』といって

 吸血鬼から人間に戻せる果物だ。

 聖水と聖者の血とプルーンを材料に

 無属性の魔力を繊細に変質させ錬金術で作られてる。

 これを食べ続ければ人間に戻るはずだ」


そう言ってウィキ殿はエリーゼとアロンとヒデトに

その果物を渡した。


「ありがとうございます!」


「これでヒデト様たちは人間に戻れます!!」


「・・・これでやっと」


エリーゼは丁寧にウィキ殿にお礼を言い。

アロンはぱっと顔を輝かせた。

ヒデトは感涙して涙を流した。


「しかし、元とはいえ吸血鬼をシンフォニア教国に

 居させるわけにはいかないですよ」


「大司祭!!!!」


パトロ大司祭は苦い顔をしてエリーゼたちを見た。

大教主は真っ青な顔をした。


「それに代々影で大教主が吸血鬼をかくまっていた

 なんて事が信者たちにバレたら大変な事になります」


そうだった・・・。僕たちは一同暗い表情をした。

エリーゼも半吸血鬼だ。

そうだとしたらバレたら処刑されてしまう。


「しかし、なぜ大教主の血を受け継ぐものは

吸血鬼をかくまっていたんだ?」


「それはこんな記述があります」


僕の疑問に大教主は初代大教主の棺の蓋の裏を見せた。

そこには初代大教主の遺言が残っていた。


『私の血を引く子孫たちへ

 私はタカライヒデトと出会い

 一生をそのかけがいのない人と生きてまいりました。

 そしてそのヒデトは吸血鬼化で苦しんでまいりました。

 かなり、大昔にとある吸血鬼に血を吸われ

 半吸血鬼化したらしいです。

 ヒデトは半吸血鬼とはいえ心は人間です。

 私をいつくしみ影で支えてくれる優しい人でした。

 私は長くは生きられないでしょう。

 私は一人の人間として大教主として

 慈悲の心をもってヒデトを救いたい。

 【どのような存在でも慈悲の心を与える】

 その教えを忘れないでほしい。

 私の子孫たちよ。

 代々の血の絆を大切にしてほしい。

 それとヒデト側に寄り添えなくてごめんなさい。

 ・・・私は天からあなたをいつまでも見守っています。

 愛してます。

 シンフォニア教初代大教主メグ・シンフォニア』


そう棺に初代大教主の遺言が彫られていた。


「・・・メグ」


ヒデトは初代大教主の遺言を読んで涙を流した。


「私たちはヒデトに慈悲を与え守ってきたのです。

 初代大教主様の想いを受け継ぐ者として

 私は慈悲の心をもって助けたいと思ったのです」


「・・・」


大教主の言葉に大司祭は初代大教主の想いを噛みしめてるようだった。


「・・・【どのような存在でも慈悲の心を与える】ですか。

 聖書の一文にもそう書かれていましたね」


そう言って大司祭はヒデトに視線を移した。


「私は大司祭としてあなたに慈悲を与えます。

 あなたの事は私の心のうちにしまっておきましょう」


「ありがとうございます」


大司祭はどうやらヒデトの事は口外しないつもりらしい。

ヒデトは涙を流しながらお礼を言った。


「・・・僕は腑に落ちないが。

 エリーゼの事もあるし。許すよ」


「ヤーコブさん、迷惑かけてすまなかった」


僕もヒデトを許す事にした。ヒデトは僕に頭を下げ謝った。

とにかくイノーゼとエリーゼも戻ってきたし

これからの事に目を向けないといけないしな。


「どうやら一件落着したみたいね」


「これでやっと遺跡から出られるな」


ユーエリア殿とウィキ殿はほっとした様子でその様子を見ていた


「そういえば式典」


「「「「「「「「「「「あ・・・」」」」」」」」」」」」」」


イノーゼの一言に僕たちは式典の最中だった事を思い出した。

マージョ大聖堂に来賓客を待たせてしまっているはずだ。

僕たちはいそいでマージョ大聖堂に戻った。


 

<ユーエリア視点>


こうしてマージョ大聖堂に戻った私たち。

陛下たちとおはつちゃんもイノーゼの無事を喜んでいた。

翌日、改めてシンフォニア教布教2000年式典を行った。

いきなり消えた大主教たちに来賓の人達は怒ってたが;

大教主の謝罪で怒りを抑えてもらった。

ヒデトの事は大司祭の勘違いという事でごまかしてもらった。

そして先代の巫女のエリーゼが生きていた事に来賓客は騒然となった。

この事は魔族に命を狙われたから隠れていたと説明した。

悪い事は魔族のせいにしてごまかした。

あんだけあの魔族どもは私たちに迷惑かけたんだから、

これぐらい泥を被ってもらおう。

昨日と同じくイノーゼが儀式を大聖堂で行い厳粛に進んだ。

私も大精霊の契約者として祭壇に立たせてもらった。


「『雷の大精霊ラウームド。水の大精霊ウンディーネ。召喚!!』」


私は祭壇前でラウームドとウンディーネを召喚した。


「「「「「「「おおおおおお!!!!!!」」」」」」」」」


2人の大精霊の出現に式典の出席者は驚きの声をあげた。


「今日というめでたい日に私たちは信者たちに祝福を与えます」


「麻呂たちも世界創造の一端を担う物として祝福を!!」


ウンディーネとラウームドは大聖堂の周りを飛び回り、

水と雷の大精霊の祝福を大聖堂にいるもの全てに与えた。

水と雷の魔力が穏やかに輝き優しい光を放っていた。


「私たち原理主義派も革新派に歩み寄る事にしました。

 これから大精霊もあがめ。

 教義を考え直そうと思います」


パトロ大司祭はそう言って両派閥の協調を宣言した。

原理主義派も目の前で大精霊がいる事を証明されたので、

考えを改めるだろうね。


「今日というあたらなる一歩として

 これからもシンフォニア教の教えを享受して

 シンフォニア教国は進んでいく事でしょう。

 御来賓の皆さま、今日はありがとうございました」


大教主の締めの一言に式典の来賓客は拍手をし、

こうして式典は大成功に幕を閉じた。


その日の夜、ルフォー城のバルコニーで

ヒデトと私は面会していた。


「迷惑をかけてすまなかったな」


「いえいえ、同じ故郷にほんの者として当然の事だわ」


「やっぱり君は日本の人なのか?」


ヒデトはやっぱりという表情をして私を見た。


「私は転生者よ。

 日本の元名古屋人」


「そうだったのか」


ヒデトは私からそれを聞いて納得していた。


「それとあなたの事は前世のバイト先のお寺でも

 語られていたわ。

 お寺の祖先が吸血鬼を異世界に送りだしたって。

 天先家の人も語り継いでるみたい」


「まさか葉凛の・・・?」


どうやら語り継いでる話は本当だったようだ。

ヒデトは驚いて私を見た。


「そう、私はお寺でその事を聞いたわ。

 まさか転生してその吸血鬼と会うなんて思わなかったけど」


縁と言うのは奇妙な物ね。

そうしみじみと私は感じていた。


「そうか葉凛の家はまだ続いているんだな」


ほっとした表情でヒデトは懐かしんでいた。

故郷を思い出しているのだろう。


「それで、あなたはこれからどうするの?」


「シンフォニア教国に居辛いからな。

 大教主たちに迷惑かけるわけにもいかないし、

 どこか新天地でも探すさ

 人間に戻る方法もみつかったしな」


そう言って夜空を見上げてヒデトはそう言った。


「じゃあ、うちくる?

 私はユーエリア商会の社長なの。

 あなたをユーエリア商会の従業員として

 給料と医療保証と年金は確保してあげるわ」


「ユーエリア商会ってお前が社長だったんだな;

 いいのか?こんな俺を雇って」


いきなりの申し出にヒデトは戸惑ってるようだった。


「1人増えたってかまいわしないわ。

 それに来れば医療保証として

 『ピュアスーパープルーン』をただで

 あげてもいいし」


「・・・そうだな。

 それじゃあ、お世話になります」


こうしてヒデトもとい宝井秀人たからいひでと

ユーエリア商会の従業員として加えることになった。

こうして、新たな仲間が加わったわね。

同じ故郷の仲間ができるのはうれしいし、

楽しくなりそうね。


<イノーゼ視点>


「お父さん、お母さん、

 おじいさん、おばあさん。

 アロンおにいちゃん。

 お世話になりました」


式典から翌日、わたしたちはエンジェルム王国へ帰る事にした。


「イノーゼ、もうここにいてもいいんだぞ」


「そうよイノーゼ。ここがあなたの家なのだから」


お父さんとお母さんがそう言って私を抱きしめた。

けど・・・。


「ユーエおねえちゃんたちも私の家族だから。

 離れる事はできない」


「「イノーゼ・・・」」


わたしの言葉にお父さんとお母さんは寂しそうな顔をした。


「大丈夫よ!!イノーゼの面倒は私がみるわ!!

 それにルフォー城内にも『ワープポイント』を設置する

 ってユーエも言ってたわ」


「ノッレおねえちゃんいつのまに」


ノッレおねえちゃんがわたしを抱きしめ

そうお父さんたちに言った。


「正直、まだイノーゼをヤーコブさんたちに

 渡すのはイヤだけど。

 たまに会う事は許してあげるわw」


そうノッレおねえちゃんがピースサインで

お父さんたちに言うとお父さんたちは苦笑いしてた。


「じゃあ、お父さん、お母さん、

 おじいさん、おばあさんまたねw」


「いつでも遊びにきなさい」


「待っていますよ」


「旅のご無事を祈ってます」


「イノーゼ!お父さんはすぐに会いに行くからな!」


「私も一緒に行きますねw」


「うん」


わたしは笑顔でおじいさんたちにそう言った。

またいつでも会えるよね。


「大教主に導師にアロン、

 エリーゼにヤーコブさん

 今までお世話になりました」


「ヒデト、いつでもシンフォニア教国に戻って来なさい」


「ここはあなたの家でもあるんですからね」


ヒデトおにいちゃんは深くお辞儀して

おじいさんとおばあさんやお母さんやお父さんにお礼を言ってた。

おじいさんとおばあさんは少し目を潤ませながら

ヒデトおにいちゃんとの別れを惜しんでいた。


「ヒデト様・・・」


「アロンお前は自由だ。

 これからは自分の思うまま生きてくれ」


「はい。でも、これからもあなたの心の従者でいます。

 なにかあったらすぐ呼んでください」


アロンおにいちゃんは涙目でヒデトおにいちゃんを見てた。

これからもずっとお友達でいるみたい。


「ふん、じゃあまたな」


「また会えるのを心待ちにしてますね」


お父さんは素直じゃないのかヒデトおにいちゃんに

ふんっとした表情をしてた。

お母さんは笑顔でヒデトおにいちゃんを送り出していた。


「ばいばい~w」


「さようなら」


「それではお世話になりました」


「すばらしい式典だった。

 また会える日を楽しみにしている」


「また来る事があればよろしくお願いする。さらばじゃ」


ヒデトおにいちゃんとわたしはさよならを言い。

ユーエおねえちゃんと陛下とノブナガさんはみんなを代表して

おじいさんたちに別れを告げてた。

こうしておじいさんたちと別れて、

シンフォニア教国からエンジェルム王国に帰った。

おじいさんやおばあさん、お父さんとお母さんに会えてよかった。

わたしは笑顔でそう思った。

いつかお父さんたちが家に来たらエンジェルム王国を案内してあげよう。

そうわたしは楽しみにしていた。


つづく

こうしてシンフォニア教国の吸血鬼騒動は収まりましたw

ヒデトもユーエリアの仲間になりましたw

めでたしwめでたしw

次回は新章ですwww

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