第74話:吸血鬼を救え!!イノーゼの浄化の力!!
<ノッレ視点>
私たちはイノーゼを救うために暴走した吸血鬼を倒す事にした。
だけど、さっきから攻撃しても効果が薄い。
吸血鬼は辺りを壊しまくり
爪や血の衝撃波の攻撃で私たちを追いつめていった。
「『ニードルミサイル』!!」
「『水破大波剣』」
私とリックの
土のミサイルと水を凪ぐ剣術の波状攻撃にもびくともしない!!
「『王剣乱舞斬』」
「『神拳波連散』」
「『暗黒十字剣』」
「『水の爪』にゃ!!」
リチャード様の舞うような剣術と
ユーエの黄金の魔力の三連続パンチと
ウィキの闇属性の剣術も攻撃を仕掛けるけど効果が無いみたいだ。
ハイにゃんの爪も効果ないみたい。
「く・・・魔力の籠った攻撃は無効化されるわ」
悔しそうにユーエは吸血鬼を見た。
「だったら霊力はどうじゃ!!
臨兵闘者皆陣列在前
『九行霊波突』!!」
ノブナガさんが霊力の籠った9つの突きの衝撃波を放った。
しかし・・・
「がああああああ!!!!!!!」
吸血鬼の血のバリアでそれらが封じられた。
「父上の奥義が・・!!!!」
「く、手詰まりかよ・・・!!!」
ノブナガさんの技が封じられるのを見て
ライシンとタクミが唖然としてた。
「があああああ!!!!!!!」
すると、突然、血でできた剣が降ってきた。
「なっ!!」
「がっ!!」
「うっ!!」
「きゃっ!!」
「うおっ!!」
「にゃああ!!!」
前方にいたノブナガさんとライシンとタクミと
ユーエとウィキとハイにゃんが血の剣に切り裂かれ傷を負った。
「マークス!!ロザンナ!!
ポーションだ!!
俺が奴を引きつけてる間に飲ませろ!!」
「了解!!」
「わかったわ!!」
ニッキーが吸血鬼を引きつけてる間に
ユーエたちにマークスとロザンナはポーションを飲ませて
回復させた。
「・・・傷の治りが遅いわね;」
「なんで?」
ユーエたちにポーションを飲ませてるけど
回復が遅いとマークスとロザンナは苦い顔してた。
「吸血鬼の特殊な血の攻撃は傷が治りにくいのです」
「・・・伝承にも一種の呪いとある;」
「く・・・吸血鬼め!!」
アロンとパトロ大司祭がなぜ傷が治りにくいのか説明した。
悔しそうにヤーコブさんは吸血鬼を見た。
「どうすればいいの?」
「特殊な浄化の力さえあれば可能ですが・・・」
私が大司祭に聞くと浄化の力さえあれば何か打開できるらしい。
「・・・もしかしてイノーゼ?」
「はい」
どうやらイノーゼの浄化の力が鍵になるらしい。
大司祭はうなずいた。
「そうとなれば話が早いわ!!
私たちが吸血鬼を引きつけてる間に
大司祭たちはイノーゼの所に行って」
「俺たちに任せろ!!」
ユーエとウィキが傷を負いながらも立ち上がって
拳と剣を構えて吸血鬼に立ち向かって行った。
「行きましょう!!」
「イノーゼ殿のもとへ!!」
「イノーゼ待ってろ!!」
私と大司祭とヤーコブさんは
ユーエたちが吸血鬼を引きつけてる隙にイノーゼの所に向かった。
<イノーゼ視点>
おじいさんとおばあさんを助けなきゃ。
そう思って側にあった棺桶に手を置いて立ち上がろうとした時、
不思議な記憶を見た。
「これは・・・ヒデトおにいちゃん?」
記憶の中には吸血鬼化したヒデトおにいちゃんと
私と同じ白い瞳で白髪の綺麗なシスターの女の人が戦っていた。
2人とも傷だらけになりながら教会の中で戦っていた。
『・・・必ずあなたを助けて見せます。
約束しましたからね。
『ブラッドピュリフィケーション』」
女の人は聖なる波動で辺りを照らしてた。
そして、ヒデトおにいちゃんはその波動で
吸血鬼から人間の姿に戻った。
『すまなかった・・・』
『あなたが無事ならいいのです。
私が死んだあとも私の子供や孫、
子孫たちがあなたを助けるでしょう。
血の絆の力を私は信じているのです』
そう言って女の人はヒデトおにいちゃんの
手を握り微笑んだ。
『迷惑掛けてすまない。
ありがとうメグ』
『・・・約束ですからね』
そう言って2人は微笑みながら手を握り合った。
「はっ;今の記憶は?
・・・ヒデトおにいちゃん、わたしも助けるから。
おじいさんもおばあさんもみんな」
そう、わたしは決意して傷ついたおじいさんんたちの所へ向かった。
<ノッレ視点>
イノーゼの所に辿り着くとイノーゼは大教主たちを魔法で癒していた。
「おじいさん、おばあさん!!起きて!!」
イノーゼは必死になりながら瀕死の大教主たちを癒やしていた。
すると、傷が癒され血が流れるのが止まったのか
大教主たちの表情が穏やかになった。
「イノーゼ。なんでこんな奴らを助けるんだ?
お前を攫った奴らだぞ!!」
ヤーコブさんはなぜイノーゼが大教主たちを助けるのか分からなかった。
「死にそうな人をほっとけない。
それにおじいさんとおばあさんは悩んでた。
私がヒデトおにいちゃんに
血を吸われるようわたしに言った時、
悲しそうな表情をしてた。
それにヒデトおにいちゃんも吸血鬼になる事を嫌がってた。
わたしはそんなおじいさんたちや
ヒデトおにいちゃんを助けたい」
イノーゼは真剣な表情でそう言った。
イノーゼは優しいわね。こんな人達を助けたいだなんて。
「でも、お前が犠牲になるなんて嫌だ!!!!
血を吸われるなんて!!」
「お父さん・・・」
そう言ってヤーコブさんはイノーゼを抱きしめた。
イノーゼは複雑な表情で微笑んだ。
「わたしは誰も犠牲にならない方法で助けたい。
わたしも含めて」
「でも、そんな方法ってあるの?」
イノーゼは誰も犠牲にしない方法で助けたいと言った。
だけど、そんな方法ってあるの?
「最初の大教主様の記憶を棺桶を触った時に見たの。
その大教主様は昔のヒデトおにいちゃんと戦ってた。
なんか浄化の力を使って吸血鬼化を抑えてた」
「そういえばシンフォニア教の歴史書にも
そんな記述がありました。
初代大教主様が吸血鬼を戦って浄化したという記録が」
イノーゼは大昔の初代大教主の記憶を見たらしい。
大司祭も歴史書でそれを読んだのかぱっと顔を輝かせた。
どうやら浄化の力には吸血鬼を抑える力があるそうだ。
「わたしの力は『ちーと』だって
ユーエおねえちゃんが言ってた。
だから助けられるかも」
「イノーゼ!!!」
「危険だ!!」
そう言ってイノーゼは杖を持って
私とヤーコブさんが止める暇もなく
吸血鬼に向かって行った。
<ユーエリア視点>
「く・・・はぁはぁ・・はぁ;
大精霊を召喚する体力も魔力も残ってないわ;
ラウームドもウンディーネもペンダントに戻ったままだし」
「く、このままじゃじり貧だ;」
「ハイにゃん、痛いの好きだけど死ぬのはイヤにゃ;」
「俺の体力がもたない・・・;」
「・・・限界だ;」
「霊力も刀も通じないとは・・・」
「このままやられるわけには・・・くっ;」
「こいつは化け物だぜ;;;;」
「ポーションも切れた;;;」
「限界」
「どうしたらいいの?!」
私たちは吸血鬼の力に押されて傷だらけになり
体力も限界にきていた。大精霊を召喚する魔力も残ってない。
実はノッレたちがイノーゼの所に行ってる間、
大精霊を召喚していたが
大精霊2人の力をもってしてもヒデトに効かなかった。
ニッキーたちもポーションが切れたのか手詰まりだった。
「がああああああ!!!!!」
ヒデトが力を集め始め、
ものすごいオーラが辺りを覆い尽くす。
これを撃たれたら私たちはやられてしまうわ!!
「ぐがあああああああ!!!!!」
ヒデトはオーラを集め血の赤いビームを超高速で撃ちだした。
すごい勢いでこっちに飛んでくる。
体力が限界なので反応が遅れた。
私はその場に倒れ込んだ。
「お嬢様!!!!」
「ユーエたん!!!」
「「「「ユーエ!!!!」」」」
「ユーエ殿!!!」
「優絵殿!!」
「「優絵!!」」
みんなは叫び声をあげて私を見た。
やられる!!!!
私は死を覚悟した。
「『アルティメットシールド』!!!」
するとイノーゼが私の前に立ちふさがり、
強力な盾の結界で血の巨大なビームを相殺した。
「おおお!!!!
イノーゼ殿の浄化の力が結界にみなぎってます!!」
「これがイノーゼの力なのか?!;」
「イノーゼ・・・。
もしかしたら何とかできるかもしれない!!」
大司祭とヤーコブとノッレがイノーゼの力に驚愕している。
イノーゼの浄化の力ってここまですごかったのね。
「『ブラッドピュリフィケーション』」
イノーゼが杖で浄化の力を解き放つと、
辺りに癒しの波動が広がった。
「傷が癒えていく・・・」
私たちの吸血鬼に受けた傷も綺麗に癒されて治っていった。
「うううううう・・・・あああああああ!!!!!」
ヒデトは苦しみ出したが少し経つと気絶して穏やかな表情をしていた。
どうやら人間に戻ったようだ。
「イノーゼ!!!!!!!!」
「よくやった!!!!!」
ノッレとヤーコブがイノーゼを満面の笑みで抱きしめた。
「すごいです。
イノーゼ殿は初代大教主様以上の力を持っているようです」
大司祭はイノーゼを見ながら奇跡に感涙していた。
「ヒデト様!!!!」
アロンは気絶しているヒデトに駆け寄った。
「息はあるようですね。よかった」
生きているヒデトにアロンはほっとしたようだ。
「どうやら一件落着のようね」
「一時はかなりピンチだったけどな」
私とウィキはほっと一息ついてヒデトとアロンを見た。
「・・・この吸血鬼め!!」
「お父さん!!」
ヤーコブが剣を持ちながらヒデトに近づいていった。
イノーゼは慌ててヤーコブを止めようとした。
「ヤーコブさん・・・・」
「アロンとかいったな。
そこをどけ!!!
僕は妻のエリーゼの仇を討たなくてはならないんだ!!」
ヒデトを庇うアロンにヤーコブは恫喝した。
そういえばヤーコブの妻で先代の巫女のエリーゼは
ヒデトに殺されたらしいし。
「どかないとお前ごと切り捨てる!!!」
「嫌です!!!ヒデト様は僕が守ります!!!」
もの凄い形相で切りかかろうとするヤーコブに
アロンは意地でもヒデトを守ろうと立ち塞がった。
「じゃあ、一緒に死ぬがいい!!」
そう言ってヤーコブが剣を振り上げようとしたその時、
「やめてください!!!」
どこからか女の人の声がした。
どうやら棺桶から聞こえてくるようだ。
すると棺桶のふたが開き、
中から白い長い髪のシスター服を着た女の人が出てきた。
イノーゼと顔立ちが似ている。
「え、エリーゼ・・・!!!!」
「私は死んでいません。生きています。
久しぶりですね。あなた」
どうやら女の人はエリーゼらしい。
突然現れたエリーゼにヤーコブは驚きと喜びが入り混じった表情をしていた。
エリーゼは死んだのではなかったようだ。
どうして死んだ事になっていたのだろうか?
私たちは詳しい話をエリーゼから聞く事にした。
つづく
ヒデトの吸血鬼化が抑えられて一安心。
それと、イノーゼの母親のエリーゼは生きていたようですw
なんで、死んだ事になっていたのでしょうか?
次回に続きますw