第73話:地下古代遺跡シンフォニー3
<ユーエリア視点>
私たちはシンフォニー地下古代遺跡の最下層の地下5Fまで辿り着いた。
地下5Fは深層の奈落が多く風魔法で飛ばないと向こう側へ行けないようだ。
私たちは空を飛び奈落を飛び越える。
「ここは初代大教主様の墓を守るため地面の空洞が多くなってます。
気を付けて進んでください」
アロンに導かれ私たちは先へ進んだ。
「イノーゼはどこにいるのかしら?」
「たしか、初代大教主様の墓にいるはずです。
そこで儀式を執り行うらしいのですが・・・」
アロンの証言からイノーゼは半吸血鬼の
ヒデトの儀式に付き合わされるらしい。
「一体なんの儀式なんだ?」
「そこまでは僕は聞かされていません;
血を吸うのが確かなのですが・・・」
ウィキが儀式の内容をアロンに聞いたが
その詳しい内容は聞かされてないようだ。
「イノーゼの血を吸うだと!!
そんな儀式は絶対させん!!」
「そんな事、絶対させないわ!!」
ヤーコブとノッレはヒデトに対して怒りを燃やしていた。
「ともかく、
大司祭として悪しき吸血鬼を止めなくてはなりません。
一刻も早く先に進みましょう」
パトロ大司祭も焦っているのか急いで先に行くよう促した。
「あ、何か来るぞ!!」
「なんか黒いな」
リックとリチャード様が何か黒い飛んでいる物を見つけた。
「あれは!!レッサーデーモンか!?」
「な、なんで聖域である地下遺跡にあんなのがいるのですか?!」
「怖いにゃ・・・;;;;」
ウィキが驚いて声をあげると大司祭は真っ青な顔をした。
どうやらここに下級悪魔が入り込んでいるようだ。
コウモリの翼をはためかせヤギの角と
こわもてな顔をして襲ってくる。
ハイにゃんもそれを見て怖がってるようだった。
「切り捨てるぞ!!!」
「悪魔も悪霊の一種!!霊力を込めて切る!!」
「俺たちが先導するからレッサーデーモンを倒しながら進むぞ!!」
信長と雷信と拓海が刀とクナイで
レッサーデーモンを倒しながら進んでいく。
「げっ!!1体じゃないみたいだ!!」
「僕らも、武器に、聖水、かけて、戦う」
「こっちにくるわ!!」
レッサーデーモンは複数いるらしく
飛んでどんどんこっちにくる。
ニッキーとマークスとロザンナも
剣に聖水を振りかけてレッサーデーモンを切り捨てた。
「しつこいな;」
「そうね;」
「でも、こいつらを倒さないと
イノーゼ殿のところへ辿り着かないぞ」
リックとノッレとリチャード様は次から次と来る敵に
苦い顔しながら倒して進んでいた。
「焦らないで1体ずつ確実に倒せ!!」
「そうよ!!武器と魔法を連携して倒すのよ!!」
ウィキと私が指示するとみんなも武器と魔法を連携し始めた。
「『水龍双牙縛斬』」
「『ニードルミサイル』!!」
「とりゃ!!!!」
リックが流れるような水流の衝撃波で
レッサーデーモンを縛り付けると、
ノッレが岩でできた鋭いミサイルを発射して
敵を貫いた。
リチャード様も動けない敵を切り捨てている。
「ワシも陰陽術を使うぞ!!
『青龍』」
「成敗!!」
「斬撃!!」
信長もリックと似たように陰陽術の青龍を召喚して
レッサーデーモンを雁字搦めにした。
その隙に雷信と拓海が敵をやっつけた。
「僕もがんばる。
『ダイヤモンドダスト』」
「おっ!ユーエの使った魔法だな。
固まったぜ!!マークスも使えたんだな」
「今のうちに攻撃するわ!」
マークスも氷の魔法を使って
レッサーデーモンを凍りつかせ固まった。
マークスが私の使った魔法を使えた事に
ニッキーとロザンナは驚きつつも凍った敵を剣で切った。
敵は粉々に砕け散った。
この調子で私たちはレッサーデーモンを退けて、
前へ進んだ。
イノーゼ待ってて!すぐ行くわ!!
<イノーゼ視点>
わたしは今、石でできた遺跡の中に
おじいさんとおばあさんとヒデトおにいちゃんと一緒にいた。
どうやらここは遺跡の一番奥みたい。
「わたしをここに連れてきて何するの?」
わたしはヒデトおにいちゃんに何をするのか聞いてみた。
「すまない・・・。
俺は君の血を吸わなくてはならないんだ」
そう言って、ヒデトおにいちゃんは口を開けて牙を見せた。
ヒデトおにいちゃんは吸血鬼みたいだった。
「俺は聖なる者の血を吸わないと完全な吸血鬼になってしまうんだ。
理性を失い血を吸うだけのただの化け物になってしまう・・・。
だから、君の血でその吸血鬼化を抑えなくてはならないんだ」
ヒデトおにいちゃんの話からわたしの血を吸わないと
おにいちゃんは化け物になるらしい。
「イノーゼ、私たち一族は代々、
ヒデトの吸血鬼化を抑える役割を担ってきた。
だから、聖なる巫女は血を吸われる役割を持つんだ」
「ごめんなさいね・・・イノーゼ・・・」
おじいさんとおばあさんも涙目でそう言ってる。
けど・・・。
「お母さんはヒデトおにいちゃんに殺されたの?」
「「「・・・!!!」」
わたしがそう言うとおじいさんとおばあさんは真っ青な顔をした。
「いや・・・エリーゼは」
ヒデトおにいちゃんがお母さんの事を何か伝えようとすると、
誰かがここにやってきたみたい。
「あら?先客がいるわね」
「例の物を探しに来たけど、ここはハズレの様だね。
波動を感じない」
赤い目と黒い髪をした角の生えた女の人と男の人が来たみたい。
男の人は鬼の仮面を頭につけていて、
女の人は黒いビキニっぽいカッコをしてる。
あ、男の人は前にライシンラ国でティアラを盗んだ人だ!!
確かノダだっけ?
「何者だ?」
「私はリリスプリム」
「小生はノヴァエビル。
探し物をしにここへ来たがハズレだったようだね」
ヒデトおにいちゃんが怪しい人達を睨むと
やれやれといった感じでリリスプリムと
ノダ・・・じゃなくてノヴァエビルが
おにいちゃんを見た。
「おや、君は人間じゃないみたいだね。
吸血鬼か・・・でも半分だけのようだね」
ノヴァエビルがそういってヒデトおにいちゃんを興味深そうに見てた。
「だったらどうした?」
「そこにいる当代のシンフォニア教国の
大教主と導師と親しいみたいだし。
どうだろう?ここは小生らの仲間にならないか?」
「仲間だと?」
ノヴァエビルの誘いにヒデトおにいちゃんは怪しそうに2人を見てた。
「小生らは世界中にある9つのアイテムを探してるんだ。
だから、戦力がたくさん必要なんだよ」
「あんた強そうだしニブルヘイムの国に歓迎するわよ。
なんだったら大六魔騎士の一人に推薦してもいいしw」
どうやらヒデトおにいちゃんは怪しい人達の仲間に誘われてるみたい。
偉い役職につけてもいいって言われてるみたいだし。
「断る。なんか怪しそうだし。
それにニブルヘイムといったら魔族の国だろう。
大昔に魔王をボスにかなり世界に
被害を与えたらしいじゃないか。
そんな奴らの仲間になんてなれない!!
だから断る!!」
ヒデトおにいちゃんは怪しい人達の誘いを断った。
どうやらこの人達は悪い人みたい。
「おやおや。断られたね」
「私たち大六魔騎士の誘いを断るなんていい度胸じゃない!
だったら・・・」
ノヴァエビルとリリスプリムがヒデトおにいちゃんに
怒りながら近づこうとしたその時、
「あああ!!!デカパイ女!!!」
「野田もおるな!!!この謀反者め!!」
リックおにいちゃんとノブナガさんが驚きながら
ここの部屋にやってきた。
ユーエおねえちゃんたちが助けに来てくれたみたい。
「デカパイって言うな!!このガキ!!」
「信長と出会うとはこれは気遇だな」
リリスプリムとノヴァエビルは
リックおにいちゃんとノブナガさんと知り合いみたい。
「だって胸デカいじゃん・・・」
「気遇だと!!
雷森羅国に歯向かった賊め!!
刀の錆びにしてくれるわ!!」
リックおにいちゃんは呆れつつ、
ノブナガさんは刀を抜いて怒りながらこっちに来た。
「どうやら、魔族たちはヒデトと繋がりがあるのかしら?」
「いや、そこの吸血鬼の出来そこないは
初対面だ仲間にしようと誘ったが今しがた断られた」
「私たちが誘ってあげてるのに失礼な奴よね」
ユーエおねえちゃんはこっちに来ると、
怪しい人達の言葉を聞いて訝しげにヒデトおにいちゃんを見た。
「ホントなの?」
「ああ。魔族と組みするわけにもいかないからな」
「そうなのね。偶然に合わせただけか」
ヒデトおにいちゃんの言葉にユーエおねえちゃんは
納得したようだった。
「これは好都合だね。
前に邪魔された恨みを晴らすのもいいか。
『ブラッドサッカーズ』!!!」
「な、何を!!
うわあああああああああ!!!!!」
ノヴァエビルがヒデトおにいちゃんに何か魔法をかけた。
するとヒデトおにいちゃんは牙が伸び目が鋭くなった。
「ぐがあああああああ!!!!!!!」
「な、吸血鬼化が促進した!!
完全に吸血鬼になってやがる!!」
「ヒデト様!!!!!!」
ウィキおにいちゃんはヒデトおにいちゃんを見て驚いた。
アロンおにいちゃんも真っ青な顔してる。
どうやらヒデトおにいちゃんは吸血鬼に完全になってしまったらしい。
ヒデトおにいちゃんは暴れ出した。
血の衝撃波で周りの壁や地面にヒビが入っている。
「はははは!!!
この魔法は吸血鬼化を促進させる魔法だ。
このまま化け物にやられてしまえ!!
小生らは逃げる。いくぞ、リリスプリム」
「いい気味ね。じゃあねw」
そう言ってノヴァエビルとリリスプリムは瞬間移動の魔法で消えた。
「な、なんてことを!!!!!」
「ヒデトしっかりしなさい!!!
聞こえないの!!」
おじいさんとおばあさんは真っ青な顔をして
ヒデトおにいちゃんを止めようとするが。
「ぐがあああああ!!!!!!!」
「きゃああああ!!!!」
「うわあああああ!!!!!」
ヒデトおにいちゃんの爪でおじいさんとおばあさんは弾き飛ばされた。
血がにじみ出して地面に倒れ込む。
「ああ!!大教主たちが!!」
「この吸血鬼め!!!」
大司祭のおじさんやお父さんがそれを見て
ヒデトおにいちゃんを睨みつけた。
「大司祭殿とヤーコブ殿は
危ないから後ろに下がってて!!
こうなったら戦うしかないわ!!」
「なんとかしてこの状況を打破しないとな」
「戦うにゃ!」
ユーエおねえちゃんとウィキおにいちゃんは
拳と剣を構えて立ち向かった。
ハイにゃんも戦うみたいだ。
「く、強そうだがやるしかないか;」
「吸血鬼とは戦った事が無いけどやるしかないな」
「イノーゼを守るためにも戦うわ!」
リックおにいちゃんとリチャード様と
ノッレおねえちゃんも戦いの姿勢を見せてる。
「屍鬼の化け物を倒して見せるぞ!!」
「武士の力を見せる時!!」
「俺もクナイでサポートするぜ!!」
ノブナガさんもライおにいちゃんも
タクミおにいちゃんも武器を掲げて
ヒデトおにいちゃんに切り掛かった。
「俺たちもできるだけ援護するぞ!!」
「当然!!」
「援護は任せて!!」
ニッキーおにいちゃんとマークスおにいちゃんと
ロザンナおねえちゃんはポーションを使って
みんなの戦いで受けた傷を癒やして援護するみたいだ。
みんな、ヒデトおにいちゃんと戦っているけど、
苦戦しているみたいで爪の傷がどんどん増えてるみたいだし;
どうしたらいいの?
みんな戦ってほしくないよ;
どうしたらヒデトおにいちゃんを助けられるんだろ?
つづく
ヒデトが完全に吸血鬼になってしまいました;;;
魔族たちも逃げられてしまいましたし;
さて、どうなるのでしょうか?
次回に続きますw