第69話:シンフォニア教布教2000年式典
<ユーエリア視点>
シンフォニア教布教2000年式典はより多くの人を迎えられる
マージョ大聖堂で式典は行われます。
どうやら革新派が式典を仕切ってるらしいです。
大聖堂に入れない一般のお客さんはサントロ広場に集まっています。
すでに広場にはたくさんの信者や神父や牧師やシスターが集まっています。
それに加え、大聖堂では諸外国のお偉いさんたちも
式典に参加するよう正装で参加しています。
大聖堂には8000人は入ってるらしいです。
私も白いシンプルなドレスで出席しました。
宗教の式典なので派手な装飾なドレスは着れないらしいです。
大聖堂は宗教画のような女神と9人の大精霊の降臨が描かれた
ステンドグラスが高窓にあり、
祭壇の上には女神の銅像と先の曲がった十字架が掲げられていました。
一般客は広場に入るのにもセキュリティチェックをしなくては入れないです。
事前に無料のチケットをもらっておくと、
椅子があるスペースに入ることができるのですが、
チケットがなくても広場に入ることはできます。
私の場合、国外の来賓なので大主教の権限で来賓用のイスに座っています。
なので、大聖堂の中にいます。
イノーゼの身内なので結構前の方で座っています。
「まずは広場で一般客に謁見を大主教はするみたいね」
「なんか、一般客に祝福をするらしいな。
今頃、外で一般客用の式典の謝辞を述べてるだろうぜ」
「なんか大勢人がいたにゃ」
ウィキはそれを想像して苦い顔しています。
ああ、悪魔だから宗教は苦手なのか;
ハイにゃんは外を見てきたのかすごい人の多さにびっくりしてるようだ。
なんか広場には12000人は入るらしい。
大主教が外で式典をやっている間、私たちは大聖堂の中で待っていました。
「イノーゼは大聖堂での式典で姿を現すらしいわね。大丈夫かしら?」
「そうだな。それにしてもどんな恰好で出てくるのだろうな?」
「イノーゼが巫女姿って想像できないな」
「でも、綺麗なんだろうねw」
ノッレと雷信と拓海はイノーゼの事を心配そうにしていた。
拓海はイノーゼの巫女姿が想像できないのか若干想像力が足りないようだ。
お初ちゃんはイノーゼの巫女姿に期待をしてるようだったw
「ふむ、日ノ本の神道の巫女とは違うのだな。少し楽しみだな」
信長は日本の巫女しか知らないので
イノーゼの巫女姿に興味を示してるみたいだ。
「ノブナガ殿はシンフォニア教の式典に参加するのは初めてか。
想像するにシスターの恰好に近い物になるだろうな」
「そうですわね」
「親父はそっち系の行事にも参加してるもんな」
「神聖な物になるだろうね」
「イノーゼちゃん綺麗でしょうねw」
リムニスタ陛下と王妃様は何回か
シンフォニア教の式典に参加しているので想像が付いてるみたいだ。
リックも改めて陛下夫妻の王族感を感じてるようだ。
リチャードもしみじみイノーゼの姿を想像している。
スーナ嬢も楽しみにしているようね。
「イノーゼがシスター服かw結構似合うかもなw」
「写真魔法で撮ってもいいかしら?ファッション服の参考にしたいわw」
「記念w記念w」
ニッキーはイノーゼのシスター服姿を想像してわくわくしてた。
ロザンナは服のファッションが気になるのか写真魔法で撮る気らしい。
マークスもその気だそうだ。
そして午後1時、マージョ大聖堂で記念式典が行われた。
まず、祭壇の前に大教主カレドニア・ムジカ・シンフォニア13世が
導師のシルフェニア・ムジカ・シンフォニアとともに出てきた。
さすがに宗教のトップなので地球のローマ法王に近い服装をしてた。
導師もそれっぽい服装をしていて銀地のに白の刺繍のシスター服を着ている。
「シンフォニア教布教2000年式典にようこそおいで下さった。
今日という日を迎えられた事を救世の女神に感謝します」
そう言って大主教は祈りを捧げた。
「私は自らの信仰を貫きながら、
平和と人間の大義に献身することをお互いに確認し、
より忠実に平和のために献身し、平和のために働き、
かつ苦しむ覚悟をもって、真の平和がこの地球に訪れるまで祈り続け、
行動する責務を痛感しさらに宗務協力の絆をより深めたいと思います。
救世の女神は天地を創造された時から我々人間を見守っています。
そして大自然の大精霊たちと共に世界を守ってきました。
混沌なる世の中を影から支え世界の秩序を守っています。
なので世界を支える女神と大精霊に感謝して
シンフォニア教布教記念式典の謝辞とさせていただきます。
平和のために祈るべく集ったわれわれの営みが、
世界のいたる所で繰り返され、大いなる平和の賜が、
我々の時代に与えられんことを」
そう言って大教主は再び女神に祈りを捧げました。
式典の参加者の続いて祈りを捧げます。
「それでは修跋の儀を行います。全員ご起立下さい」
導師がそう言って出席者全員を起立させた。
そして大聖堂の祭壇に巫女服を着たイノーゼが姿を見せた。
「おお・・」
「なんて神々しい・・」
イノーゼは純白の布地に金の刺繍が施されたシスター服を着ていた。
まるで高級な食器類の装飾に似ていた。
周りはイノーゼの巫女姿を神々しく思ったのか祈りを捧げている。
ロザンナやマークスはこっそり写真魔法でイノーゼの巫女姿を撮っていた。
後でユーエリア商会でそれのプロマイドを売ろうかしら。
「頭をお下げ下さい」
導師の声で起立した状態で一同少し頭を下げた。
巫女姿のイノーゼが祭壇に向かってお辞儀を二拝した。
「偉大なる救世の女神と9つの大精霊よ
我ら敬虔なる信徒に祝福を与えたまえ」
聖書の一文を唱えながら、参列者の身を浄めるためのお祓いをしたみたいだ。
榊の枝をシャカシャカと振りながら
お清めの祈りをささげているようだった。
榊の枝はシンフォニア教の聖樹でもあるので
聖なる効果があるそうだ。
だから式典にも用いられてたのか。
「お直り下さい。ご着席ください」
導師の声で一旦、一同着席した。
「それでは、降神の儀を行います。全員ご起立下さい」
続いて降神の儀を行うみたいだ。また全員起立した。
「頭をお下げ下さい」
再び起立した状態で少し頭を下げた。
「救世の女神よ えー・・・地上における創造神として・・・
えー・・・全ての・・・母なる・・・命における・・・
えー・・・豊かさを祈り・・・
神を降ろしたまえ・・・9つの大精霊よ・・・女神の祝福と共に・・・
えー・・・御前に・・・魔力の・・・元素の力を与えたまえ・・・
女神と大精霊の・・・えー・・・降神を・・・させたまえ・・・」
イノーゼが降神の詞を述べた。
初めて聞くとビックリしたけど、
時折、「えー・・・」というのは警蹕の声を発して
神が降りてきているのを注意しているらしい。
その事がパンフレットに書いてあった。
「お直り下さい。ご着席ください」
再び私たちは着席した。
「献饌の儀を行います。全員ご起立ください」
女神にお供え物を差し上げる儀式のようだ。
お酒の瓶が運ばれそれを飲む儀式のようで、
イノーゼは赤ワインの入った瓶から聖杯にそれを注いだ。
すると信者の代表であろうヒデトが祭壇に現れ、それを飲もうと
聖杯に手をかけた、そのとき・・・。
「その儀式、待った!!!!!!」と
灰色の髪と目をした神父の正装の宗教関係者だろう男が
大聖堂の扉を開けて乗り込んで来た。
灰色の神父服に身を包み、聖書を片手に持ちながら
たくさんの僧兵であろう騎士団に囲まれながら祭壇にやってくる。
その神父の他に貴族らしい30代の栗毛の髪と目の男も一緒なようだ。
「な!!パトロ大司祭!!
それにヤーコブ!!!なぜ生きているのですか?
あなたは処刑されたはずでは?」
大教主はやってきた彼らに驚きを隠せないようだ。
「僕はこのパトロ大司祭に助けられたのですよ。
6年前、処刑寸前に逃がしてくれたのです。
「処刑の服毒薬は仮死状態にさせるものにすり替えておいて、
彼が墓地に埋められた後、私が助け出しました」
「「なっ!!」」
ヤーコブと大司祭の言葉に大教主と導師は驚いているようだった。
「私はシンフォニア教の原理主義派としてこの式典に異議を唱えます!!
そこの信者の男は人間ではありません!
吸血鬼なのです!!!」
「「「「「な!!!!!!!!!」」」」」」
パトロ大司祭の言葉に大聖堂にいた一同絶句した。
「そこのワインも生き血ですね?
宗教の式典に合わせて巫女から採取したものですね」
「うん。おじいさんから血を取られた。
ヒデトおにいちゃんが儀式のために飲むって」
「・・・くっ」
パトロ大司祭が大教主たちを問い詰めた。
それでイノーゼが正直に答えたので悔しそうにヒデトは爪を噛んだ。
「私は大司祭としてタカライヒデトを拘束させてもらいます!!
それに先代の巫女を殺したのもこいつです」
「「「「「な!!!!!!!」」」」」
先代の巫女・・・イノーゼの母親がヒデトに殺された?
どういうことなの?
「僕は妻である先代の巫女のエリーゼが
影で吸血鬼の贄に血を吸われているのを知っていた。
それで助け出そうとしたら、
僕の目の前でこの吸血鬼は血が枯れるまで
彼女を吸いつくしたんだ!!!」
「・・・」
ヒデトを憎々しげにヤーコブは睨みつけた。
ヒデトは黙ったまま彼を見つめている。
ヤーコブはもしかしてイノーゼの父親なのか?
「もしかして、お父さん?」
「イノーゼすまなかった。
イノーゼを救うためには君を孤児にせざる負えなかったんだ。
イノーゼを偶然そばにいた浮浪者である小人族の娘に託すよう、
わざと森に置き去りにしたのだ。
しかし、戻って来てしまったのだな・・・」
ヤーコブがイノーゼを見つめる目は少し悲しげだった。
どうやらイノーゼを捨てたのではなく逃がすために
森の中に置き去りにしたようだ。
「その吸血鬼を捕らえよ!!!!」
大司祭の命令で僧兵の騎士たちが祭壇に武器を持って突撃した。
しかし、あっさりヒデトの護衛の少年に倒された。
あ、その使用人は前日、食事の説明や配膳をした人だった。
「ヒデト様!!大教主様!!導師様!!お逃げください!!」
「アロン!!あとは頼んだ!!」
ヒデトはそう言うとイノーゼをムリヤリ連れて大主教たちと
祭壇の下の隠し階段を開きそこへ降りて行った。
「イノーゼ!!!」
ノッレは慌てて隠し階段に向かったが
その階段の入り口は閉じられてしまった。
「く、逃げられましたか・・・」
「あなたたちの相手は僕です!!!」
パトロ大司祭が憎々しげに閉じられた階段の入り口を睨んだ。
アロンはパトロ大司祭たちに向かって剣を構えた。
私たちは大司祭の前に武器を構えて立ちふさがった。
「何者です?!」
「イノーゼの今の家族と仲間よ!!
あなたを倒してイノーゼの連れ去られた場所を吐かせるわ!!」
そう言って私たちは戦闘の構えを取った。
このままだとイノーゼが吸血鬼の生贄にされてしまうかもしれない。
だから、こいつを倒して連れ去られた場所を吐かせるわ!!
覚悟しなさい!!
つづく
イノーゼがヒデトたちに連れ去られてしまいました;
イノーゼってよく攫われるよね;
イノーゼの父親と大司祭も登場し混迷してます;
次回に続きます。