第62話:エリザベス様とジークハルトの結婚式 前編
<ユーエリア視点>
6月30日。
今日はエリザベス・サムエル・エンジェルム様と
ジークハルト・シュタイナー殿の結婚式です。
結婚式は王都にあるエンジェ大聖堂で行われます。
全長127m、身廊の高さは32m、幅は12mの
壮大なスケールの王国一の大聖堂です。
大アーケード、トリビューン(階上廊)、高窓の3層構造になっていて、
内装は水平的分割線が見られず、
分断されることなく上昇する小円柱群が目立ち、
垂直線が強調されています。
バロック式の建築みたいで内装は荘厳な感じがします。
高窓には救世の女神をイメージしたステンドグラスに
光をさして輝いていて綺麗です。
そこでは国内の貴族だけでなく国外の貴族や王族も教会の長椅子に座り
エリザベス達の登場を今か今かと待っています。
大聖堂内には9000人は来ているらしいです。
「ついにエリザベス様の結婚式ね」
「・・・俺、教会に入るのイヤだったんだけどな;
荘厳な聖域って感じでビリビリしてるし;
俺、悪魔だから拒否感がものすごいある;(小声)」
「我慢なさい。
エリザベス様は家族だけなくて従者のあんたと
使用人たちやユーエリア商会幹部のノッレたちも
まとめて招待してくれたのよ」
正体が悪魔であるウィキは教会にいるのが居心地悪そうだ;
しかし、せっかくのエリザベス様の結婚式、
家族だけでなく周りのみんなも招待される事はめったにない事だし。
しかも、祭壇が近い特等席で見れるとは光栄なことだわ。
「まさかこんなに近くで見れるなんて思わなかったわ」
「教会綺麗w」
「そうだろ?姉貴もたぶん感無量なはずだぜw」
ノッレとイノーゼも真近くで結婚式が見れるのにうきうきしてた。
リックも自分の姉の晴れ姿の期待にわくわくしてるようだった。
「俺たちもいつかここで結婚しようねw」
「リチャード様////はいw」
リックの兄でエリザベス様の弟のリチャード様も
スーナ嬢と一緒に結婚式に参加していた。
かなりバカップルで時折、いちゃつきながら将来について語ってた。
王妃様のリリアーヌ様もそれを黙って笑顔で見守ってた。
「俺、なんか場違いかな?」
「き、緊張;」
「そうね;なんか貴族に囲まれて変な感じだし」
「みなさん、緊張してるのは分かりますが。
せっかくのお誘いですし。
素直にエリザベス様たちを祝いましょう」
ニッキーとマークスとロザンナもこの雰囲気に緊張気味だった;
キラはそんなみんなをリラックスさせるように優しい口調でそう言った。
「ふむ、えんじぇるむの祝言とは
こういう所で行うのか」
「俺もいつかユーエたちとここで結婚式をするんだな」
「さすが王族の結婚式、豪華だな~」
「綺麗な所です」
隣国のトップとして織田信長や
息子の雷信や護衛の拓海や女中のお初ちゃんも結婚式に参加してた。
大聖堂が珍しいのか信長たちはきょろきょろしていた。
「すごいですね。さすが王族の結婚式です」
「さすがですね」
「・・・いつかユーエリアもここで結婚するんだな(涙)」
「まだ8年もあるのですから今から想像して泣かないでください。
あなた、王家の祝いの席ですよ」
「旦那様、ハンカチです」
「すまんの;」
弟のアルフォンスは初めての結婚式に感心してた。
従者のドーソンも同様のようだ。
父は私がいつか結婚するのを想像して涙目になってた。
それを義母は呆れてた。
筆頭執事のカイルは父にハンカチを差し出してた。
父はそれで涙を拭いてた。
「私たち使用人も結婚式に参加させて下さるとは
エリザベス様は懐が広いお方ですな」
「そうですね。
それだけ親しい間柄という事なのでしょう。
お嬢様に感謝ですね」
「きゃ~www綺麗な所ですw
いつか私もここで結婚したいですw
ねwウィキさんw」
「え?;///////」
アドバーグやクレアやアンナも正装をして結婚式に特別に参加してた。
特にエリザベス様はリック経由で時々、私の別邸に遊びに来てたので
アドバーグ達とも顔見知りだったからね。
アンナは自分の結婚を想像しながらウィキに抱きついてた。
ウィキは照れながら焦ってた;
ウィキは悪魔だから神様の前で結婚できるのか?
彼らの将来が不安である。
そんな様子にため息を突きつつ祭壇を見た。
高窓の下の祭壇にはシンフォニア教国の大教主の
カレドニア・ムジカ・シンフォニア23世が
結婚式の司祭として立ち会っている。
やっぱり王家の結婚式だから
高位の大教主が司祭でないといけないのだろう。
「それではエリザベス・サムエル・エンジェルム様と
ジークハルト・シュタイナー様の結婚式を取り行う!!」
カレドニア・ムジカ・シンフォニア23世が
結婚式の開始を宣言して結婚式が始まった。
<ジークハルト視点>
俺は大聖堂の扉の前で父で介添人のシュナイダー前公爵と一緒にいた。
「ううう・・・。緊張するな;」
こんな大勢の前で結婚式をするとはかなり緊張する。
俺はドギマギしながら足が震えてた。
「そう緊張するな息子よ、
エリザベス様を嫁にもらうので緊張するのは分かるが
彼女にとっても晴れ舞台だ。気合入れていけ」
「はい・・・」
そう父に言われて俺は自分の頬を両手で叩き気合を入れた。
そうだエリにとってもこれは大事な式なんだ。
エリの為にもここで怯えるわけにはいかないよな。
そう思って俺は気持ちを奮い立たせた。
「新郎ジークハルト・シュタイナー様ご入場!!」
入場の宣言がなされ扉が開いた。
俺は父に付き添われて祭壇の前に向かった。
真紅のバージンロードを歩き、
シンフォニア教国の大主教の前に立った。
こんなに偉い方が結婚式の司教をやるのか;
さすが王家の結婚式だな;
そう思いながら新婦のエリザベスの登場を待った。
<エリザベス視点>
ついにジークとの結婚式を迎えたわw
みんなに祝われながら結婚式をあげられるだなんて素敵w
そう舞いあがりながら大聖堂の扉の前で幸せに浸ってた。
「ついにエリザベスも結婚か・・・」
「はい」
父であり国王のリムニスタ陛下も横で入場を待っています。
今までの事を思い返ししみじみとしてるようです。
「幸せになるんだぞ」
「はい」
父は涙目でそう言って私と腕を組んだ。
ついにバージンロードを歩くのねw
緊張して来たわ。
「新婦エリザベス・サムエル・エンジェルム様のご入場!!」
そう宣言されて、大聖堂の扉がついに開かれました。
一歩一歩真紅のバージンロードを歩いて行く私と父。
国内外の貴族や王族たちも私の晴れ姿に息をのんで見守っているようね。
私はプリンセスラインの真っ白のウエディングドレスを着ています。
上半身はタイトでスカートにふんわりとしたボリュームを持たせた形で
レースがとても素敵で光属性の魔道石の飾りが散りばめられとても綺麗です。
チョーカーにも大きい光属性の魔道石が飾られています。
そして王家の国宝の『光のティアラ』を被り、
30メートルはあるレースのベールを纏っています。
ベールの後ろを使用人たちがそれを持ち、
籠に入った色とりどりの花びらを振りまきながら付き添っています。
みんなに注目されながらついにジークのいる祭壇に辿り着きました。
私は新郎のジーク左側に行きました。
父は涙目になりながら私ををジークの所に送り届けると。
「エリザベスを幸せにしなかったら承知しないからな」
小声で父はジークにそう言ってました。
それにジークは「はい」と苦笑いしてた。
もう、父ったら私はジークといるだけで幸せなのに。
心配性ね。
そう思いつつ父とジークがお辞儀をして、
ようやく私とジークは一緒に祭壇に立ちました。
私、幸せです!!!
<ユーエリア視点>
「全員ご起立下さい。聖歌斉唱!!」
そう大教主が言い全員で聖歌を歌います。
参列者には歌詞が配られていますが、
分からなければ聞いているだけで大丈夫らしいです。
偉大なる救世の女神よ~♪
愛は溢れ、大地に揺らめく御身に~♪
その大地は豊かになり~♪
きらめく翼は~♪
遥かな空へと旅立つ~♪
夜の闇を切り裂き~♪光溢れる世界へと~♪
大地に光が包まれてゆく~♪
繰り返す命よ~♪
我が世界に~♪幸せを与えたまえ~♪
愛より深く~♪すべてを捧げ~♪
温もりに~♪包まれし世界よ~♪
心の光は御身の中にある~♪
遥かなる空の向こうに~希望は~♪
もうすぐ~♪叶えられるきっと~♪
たとえ御身の胸に~♪
悲しみが溢れようとも~♪
空に飛ぶ鳥のように~♪
自由を求めさすらうだろう~♪
終わりのない魂の~旅~♪
生まれる魂と~♪輝ける翼を~♪
未来へとつなぐ希望~♪
空はいつか~♪
輝く光が満ちて幸せとなる~♪
愛は溢れ~♪大地に揺らめく御身に~♪
希望のある世界へと~♪
終わらない未来へ~♪
偉大なる救世の女神よ~♪
大いなる~♪祝福あれ~♪
大聖堂内の聖歌がエリザベス様とジークハルトを
祝福して荘厳な雰囲気に包まれました。
そして次に大教主が聖書を朗読して、お祈りします。
「祝福のにいたる門は小さく、
その道は遠い。
そしてそこから入って行く者は少ない。
命にいたる門は狭く、その道は細い。
そしてそれを見出す者は少ない。
その道を互いに見出し生きる。
それが男女の生きる道である。
新婦と新郎よ、互いにその道を探るべし」
そう言って大教主は榊の枝を取り出して
2人の頭に振り祝福をした。
新郎新婦とは目を閉じて静かに祝福を聞いていました。
そうして結婚式は続きます。
つづく
エリザベスもついに結婚しますw
ジークハルトと並ぶとお似合いですねw
結婚式はキリスト教に近いシンフォニア教で行うようですw
さて、長くなったので後編に続きますw