第4話:王都エンジェと商業ギルド
私、ユーエリア・アークレイ伯爵令嬢は風魔法で空を飛んでおります。
アイ・キャン・フライ。
私は翼を広げた鳥のように華麗に舞う。
なんちゃってw
「王都まで2~3時間で着くのが魔法使いのお得さよね」
「馬車でちんたらやっているよりいいよな」
「お~ほっほっほっ!!馬車がごみのようだわ!!」
眼下を走っている馬車がゴミのように小さい。
馬車だと王都まで2、3日かかるのに。
まさに天上人、空を飛ぶ人の特権だね。
「あ~でも空を飛ぶのってかったるいよな。
俺の魔力がもう少し戻れば瞬間移動でぱぱっと移動できるのに」
「私にもできる?それ。」
瞬間移動か~某青狸のドアみたいに私も移動してみたい。
「お嬢様は魔力かなり多目だしできるんじゃね?
瞬間移動は魔力コントロールが繊細だからムズいけど」
「アイ・アム・チート!!すぐに習得してみせるわ」
こんなとき自分のチートさがうれしいよねw
めざせ青狸のドア。
で、王都に到着。門番が検問やってるけど
貴族なので順番を特権で抜かす事が出来る。
チェックの際、馬車も無しにどうやって来たのか
訝しがられたが風魔法で飛んでみせて納得してもらった。
とどめで貴族の紋章を見せて王都の門をスルー。
門番の人が「は、伯爵家のご令嬢?!失礼しました」と言うと
門番の片割れが「バカ、ようこそ王都へだろ;」と突っ込みを相方にいれる。
それで門番は「しつれいしました。ようこそ王都エンジェへ」と
慌てて言い直してた。
とのやりとりに少し笑った。
「構いませんわ。がんばってくださいね」
私がスマイル0円を喰らわせると。
「「ありがとうございます////」」
と門番ズが真っ赤になった。
わずか6歳児の笑顔に動揺するとはお前らロリコンか?
ともかく王都到着である。
「ここが王都エンジェね。本の通り立派だね」
「400年前にくらべて立派になったもんだな」
王国最大の街にウィキは来た事があるのかしら?
聞いてみると
「大昔はド田舎だったんだぜ。エンジェって名称でもなかった。
ヨード村って名前で牛や鶏がたくさんいたぞ」
ちょっと影を作りながらウィキはそう言った。
牛や鶏にトラウマでもあるのかな?
「とにかく、王都の事について教えてくれ。
実質初めてのようなもんだし」
「じゃあ説明するわ」
王都エンジェはエンジェルム王国の首都。
お城を中心とし、その周りに住居や店が存在し、
一番外側を城壁が囲むといった形の城塞都市。
王国一の広さの街で闘技場や博物館や美術館や
図書館や大劇場や教会などさまざまな建物があって。
港に行けば海に面していてさまざまなガレオン船が
水運を担っていて王国一の玄関として名を馳せてる。
漁船も多くてサバやいわしやマグロなどの海産物も多いわ。
他の大陸とも貿易してるらしいし。
レンガ作りのヨーロッパ風の建物が多くて
商業ギルドや冒険者ギルドや魔法ギルドなど人々を支える民間機関も多いわね。
商業ギルドは私たちが行く目的地ね。
建物の中で特に立派なのがエンジェ城、
まさに白亜の宮殿と言う感じで白と青のコントラストが綺麗で
エントランスに続く建物が、全長550メートル、
700以上の部屋から成る宮殿で超リッチ。
地球でいう所のバロック風の建築様式で数千人の貴族や高官が
ここに集まって政治を行って1~2万人の従者が働いているらしいわ。
中の庭園はバラが咲き乱れる平面幾何学式庭園で平地を幾何的に切り分け、
川や池や泉を配置して植物が豊かね。
庭園の中心は宮殿からアクアの泉を引いて巨大な噴水を形作っていて
国の文化財に指定されてるほどよ。
以上の事をウィキに説明した。
「平たく言えばRPGの王様が住む街そのものといった感じかしら」
「すごい分かりやすい例えだな;
でもすごく分かった。でも俺達には関係ないな」
「そういうこと、ただの商売の本拠地でいいし
さ、行きましょ」
私たちにとってはそんな認識でいいもんね。
ウィキもそんなに感心なさそうだし。
さっそく商業ギルドに向かう私たち。
街の人にギルドの場所を聞いて到着した。
商業ギルドはレンガ作りのしっかりした2階建ての建物で
金貨が入った袋の絵の分かりやすいマークの看板が掛かっていた。
「ここが商業ギルド、さすが本店、立派ね」
「本店?」
「領ごとに支店が国中にあるのよ。ここ王都が本拠地」
当然、アークレイ伯爵領にも支店はあるけど王都で商売するから
ここで登録する。
「なあなあ、なんで金貨の入った袋の看板がマークなんだ?」
ウィキがなんとなく看板に疑問を投げかけてる。
「まさにお金大好きwなマーク。
きっとギルド長は目が$のマークになってるわ」
「商人ってのはそういうもんなんだな;」
変に商人について誤解しつつギルドの中へ入る。
中は役所っぽいけど木造で変にファンタジーがミックスされた感じ。
部署ごとに木製のついたてで仕切られていて
美人の受付嬢がお客さんに説明してる。
商売の依頼や店の投資の募集や従業員の募集などの書いてある紙が
隅の方のボードにいくつも貼られていた。
それをにらめっこしている商人たちがちらほらいる。
さすが商人ギルド;商人の戦場ね。
「突っ立ってないで早く済ませようぜ。どうするんだ?」
「まず、商業ギルドに登録するわ」
ウィキに急かされ登録課の受付に並ぶ。
貴族と言えど商人なので順番抜かしはしない、
出来るのは王都の門の入り口だけ。
順番が来て美人の受付嬢がスマイルで出迎える。
「ようこそ商業ギルド王都エンジェ本店へ。
本日はギルドカード登録でよろしいですか?」
「はい」
私も対抗して笑顔で答える。バイトで鍛えた接客力を見せる時。
「では商業ギルドの説明をいたします。
当ギルドでは王国の商売の認可を一任されており、
どの年齢、性別、種族でも国の者であれば加入できます。
ギルドの許可なく商売をすれば騎士団に逮捕されますのでご注意ください。
商売の功績に応じてランク分けがされていまして
FランクからAランクまでございます。
高ランクな会員ほど国や同業者に顔が広がりやすくなります。
可能ならば同業者と協力して事業もできるわけです。
Aランクになりますと王室御用達の認可が得ることができます。
店の品質が保証され、商人の品格も保障されます。
あと、国の商法に違反するとギルドを除名されますのでお気を付け下さい。
ランクアップは自動で行われますギルドの覆面調査員が
定期的に店をチェックしていますので
違反者が居ればそく罰せられます。
しかし、良い商店だと一気にランクが上がる事もございます。
以上の事を守れば誰でも加入は可能です」
なるほどAランクになると王室も利用されるようになるわけね。
つまり、コネも広がりやすくなる。やる気出て来た。
覆面調査員か・・・マルサみたいなもんかな?
あの映画みたいに脱税とかしないように気を付けないと。
「説明は以上になります。
では、ギルドカードを作成致します。
登録料は2000イエンになります」
私は2000イエン(銀貨2枚)を払った。
2000イエンは日本の2000円と同価値である。
金貨には初代国王、銀貨には初代王妃、
銅貨には初代国王のペットの犬の横顔が
それぞれ裏表両方に刻印されているわ。
銅貨1枚が100イエンで銀貨1枚が1000イエンで
金貨1枚が100万イエンと分かりやすい相場になってる。
イエンって絶対お金の単位決めたの日本のトリッパーか転生者ね;
「血を採取いたしますので針をお貸しします」
「針?」
血って;なんでまた?痛いのはイヤ;
「ギルドカードを作成する際、血液に含まれる魔力反応で本人確認いたします。
魔力反応は人によって異なりますので」
「わかりました」
つまりDNA認証に近いものかな?
ファンタジーな世界なのにハイテクがここに。
なんて考えつつぶすっと針を挿して
血をギルドカード製造器の反応皿に垂らす。
イタい;
するとなんかガタガタ製造器が揺れてカードが出てきた。
「おめでとうございます。晴れて商業ギルド会員ですね」
「ありがとうございます」
ギルドカードは銀地に渕が金色のデザインになってる。
データが黒字で書かれている。
名前/ユーエリア・アークレイ
出身地/エンジェルム王国アークレイ伯爵領
年齢/6歳
商業ランク/F
以上が私の商人としてのデータって訳ね。
「あら渕が金色ですね。全属性とは珍しいですね。
カードの渕は本人の魔力の属性の色になるのです」
「なるほど」
全属性なのは知ってたけどカードまでそうなるとは照れる;
驚かれつつ受付嬢からギルドカードを渡された。
「では、ユーエリア・アークレイさん商人としてがんばってくださいね。
ってアークレイ?まさかアークレイ伯爵家のお方では?!
しししし失礼いたしました、すぐギルド長をお呼びいたしますので;
ギルドマスター!!!マスター!!」
王都でもアークレイ伯爵家は有名なほうだったらしい。
受付嬢が美人な顔を焦らせてギルド長を呼びに行った。
5分後。
「アークレイ伯爵家のご令嬢が我がギルドを御利用とは嬉しい限りです。
私、商人ギルド総ギルド長を務めております
トリーコ・カネダイースッキです。
どうぞお見知りおき下さい。
こんなところでは何ですし、ギルド長室へお越しください」
お金大好きそうな変な名前の
何だかハゲた小太りのRPGの闘う商人みたいな男が出てきた。
ハゲ以外がまんま龍のクエストの商人みたいだ。
相手が貴族でも対応に慣れているのが歴戦の商人を思わせる。
どうやら私らはVIP待遇されるらしい。
コネを作るのに丁度いいのでもてなしを受ける事にした。
「目が$のマークじゃないんだな(ぼそっ)」
「冗談に決まってるでしょ。マジで考えてたの?
ウける~(笑)天然?(小声)」
「俺は魚かよ;養殖物ではないと思うが(小声)」
ウィキ、お前はいけすの魚ではない;
冗談を真に受けないで;
「あの?何か?」
「あ、いえ失礼いたしましたわ。ではご案内ください」
こそこそやってるのを不審に思われたのかギルド長はきょとんとしてる。
あわててギルド長室に案内してもらうことにした。
変に思われたじゃないのよ;ウィキ、後でお仕置きね。
ドSなムチの試し打ちにしようかしら?
「何だか寒気が;」
ウィキが背中を震わせた。
ちっ、気づかれたか。
つづく
商業ギルド長はト●ネコがモデルですw(ハゲ以外)