第61話:リチャード様はスーナ嬢だけを愛すと誓う!!
<ユーエリア視点>
あの後、ウィキが調合した解毒剤を王妃様に飲ませて
無事、王妃様は昏睡から回復した。
それに陛下は泣いて喜び、
リックとエリザベス様とリチャード様は安堵して素直に喜んだ。
王家の人々を害して逃げたリリスプリムと
逃亡を手助けしたノヴァエビルは指名手配となった。
こっそりウィキが写真魔法で奴らの顔を撮っていたので
その写真の顔が手配書に載って王国中に広まった。
本物のジュディ・ローグナートは
ローグナート家の屋敷の地下に監禁されてた。
屋敷は瘴気が充満してて騎士たちは入るのが苦労したそうだ。
ローグナート家の家族や使用人も地下に閉じ込められていたらしい。
それを緑の騎士団が救出して一家は
監禁による衰弱により王立病院に入院中らしい。
全快豆だけだと回復せず、
瘴気が屋敷に充満してた影響で衰弱がひどくなってたようだ。
瘴気を抜くため投薬がしばらくの間、必要になるらしい。
今回の事件は魔族が国の中に人間に化けて
出入りしているのが浮き彫りになったので
王国に危機感を募らせた。
なので赤、青、緑、3つの騎士団は今まで以上に国内の警備を強化させた。
そして、後日、リチャード様とスーナ嬢の婚約発表のやり直しが行われた。
再びお城で舞踏会を開くらしいので私たちも招待を受けた。
前回と同じメンバーでリムジンに乗り込み王城へ向かった。
今度の私のドレスは白のフリル付きのピンクです。
もちろん光の魔道石で飾られた物ね。
ちなみにイノーゼとお揃いですw
そしてパーティーはつつがなく進んで王家の方々が出てきた。
当然、スーナ嬢はリチャード様の隣にいる。
スーナ嬢はいつもの黒のドレスではなく
白いレースのドレスに水色の薔薇が胸に飾られた物を着ていた。
「改めて我が息子リチャード・サムエル・エンジェルムと
スーナ・ナカハラト公爵令嬢の婚約を発表する!!」
改めて陛下がリチャードとスーナ嬢の婚約を発表した。
するとリチャード様が立ちあがってこう言った。
「改めて僕は宣言したい事があります」
そうリチャード様が言うので会場はざわついた。
また、婚約破棄じゃないだろうね?
一瞬、会場が戦慄した。
「僕はいままで女遊びがひどすぎました、
女性全ての王子として振舞いへらへら笑って
女の子を周りに複数、侍らせ、
どうしよもないヘタレな王子でした」
リチャード様の告白をみんな静かに聞いていた。
「しかし、僕は真実の愛に目覚めました!!
僕を狙った賊から命がけでスーナは守ってくれたのです。
その真摯な愛に僕は答えたいと思います」
そう言ってリチャード様はスーナ嬢に跪いた。
「スーナ、手を出して」
「はい」
リチャード様に言われスーナ嬢は手を出した。
するとリチャード様はスーナ嬢の掌にキスをした。
「僕は生涯スーナ1人だけを愛する事をここに宣言します!!
全女性の王子ではなくスーナだけの王子になります!!」
「リチャード様////」
リチャード様の宣言にスーナ嬢は照れて真っ赤になりながら微笑んだ。
「「「「「きゃあああああああああ!!!!(大泣き)」」」」」」
「「「「「「リチャード様ああああああああ!!!!!(号泣)」」」」」」
今まで侍らせていたであろうリチャード様の
ガールフレンドたちは叫び声をあげて大泣きした。
会場にいる貴族の女性半数が泣くとはリチャード様は
今までどれだけの女性と付き合ってきたのか;
「僕の宣言は以上です」
そう言ってリチャード様はスーナを連れて王家の方々の席に戻った。
こうして婚約発表も済みつつがなく舞踏会は進んだ。
すると、リチャード様はスーナ嬢を連れてダンスホールに向かうみたいだ。
「こうして見るとお似合いのカップルだよな」
「きれいw」
「確かに絵になるわね」
ウィキが踊っているリチャード様とスーナ嬢を見てしみじみそう言った。
イノーゼもうっとりしている。
確かにお似合いのカップルだわね。
「ホラー趣味とは思えないほどスーナ殿は輝いてるな」
「でも、あの王子、スーナ殿の趣味を知ったらどう反応するだろう?;」
「・・・たぶん大丈夫だろう?;」
拓海の一言に雷信は冷や汗をかきながらそう言った。
「リチャード様が生涯スーナ嬢を愛すると誓ったんだから、
その言葉を信じましょw」
「そうだな、あの2人なら何があっても乗り越えられるだろうよ」
私とウィキはリチャード様とスーナ嬢を見ながらこれからを信じた。
2人の未来に幸が多いといいわねw
新たなカップルの誕生に私たちも笑顔になった。
<リチャード視点>
僕はスーナと一緒にワルツを踊った。
僕はまるで初めて女性と踊るかのように緊張していた。
けど、スーナをエスコートできるよう僕はワルツのステップを踏んだ。
「緊張するなぁ;」
「ふふふ、リチャード様はいろいろな方と踊り慣れているから
ダンス慣れていらっしゃるでしょ?」
確かに僕はいろんな女性とダンスを踊ってきたけど・・・。
「本当に好きな女性と踊るのは初めてなんだよ」
「リチャード様/////」
僕の言葉にスーナは照れて真っ赤になった。
その顔かわいいなぁ・・・。
スーナの顔を見て緊張がほぐれてきた。
そしてワルツを何曲も踊った時、突然女性が割り込んで来た。
「きゃっ!!」
「ごめんあそばせ!!
さ、リチャード様、
こんな地味な女性と踊ってないで私と踊りましょw」
スーナを化粧のケバい女が弾き飛ばして僕の手を無理矢理取って踊り始めた。
く・・・、スーナになんて事するんだ!!この女!!
「放せ!!僕はスーナ以外の女性と踊る気は毛頭ない!!」
僕は女の手を振り払って倒れたスーナに駆け寄った。
「大丈夫か?スーナ!」
「ええ・・・」
僕はスーナの手を取り立ち上がらせた。
そしてケバい女に向かって僕は睨みつけた。
「スーナになんて事するんだ!!!
僕の婚約者に対する暴言と仕打ちを何とするつもりだ!!」
「リチャード様!!
なんで、その女性なのですか?!
私の方が美人で美しい女性じゃないですか!!」
そう言ってケバい女はヒステリーに叫んで泣いた。
「そうよ!!そうよ!!
なんで、その地味な女とリチャード様が結婚するのよ!!」
「私の方が美人でかわいいわ!!」
「いや私の方が綺麗よ!!」
「私の方がリチャード様に相応しいわw」
「私が!!」
「わたくしが!!」
「そんな・・・」
会場にいる女性たちがそう口ぐちに言って騒ぎ始めた。
僕をめぐって争いが起きている。
スーナは女性たちの心ない言葉に傷ついて涙目になっていた。
スーナに対するその暴言許せない!!
「く・・・僕のスーナがかわいくないだと!!
心が醜い貴殿らよりスーナのほうが何百倍かわいいぞ!!
僕はスーナだけを女性と今は思っている!!
スーナの方が美人でかわいくて心が美しい!!」
そう言って僕は泣きそうなスーナを抱きしめた。
「「「「「り、リチャード様・・・(号泣)」」」」」
騒いでた女性たちは僕に心が醜いと言われ
泣きながらその場に倒れ込んだ。
するとケバい女はフンと鼻を鳴らしてこう言った。
「その女は影でホラー趣味をしてるともっぱらの噂ですのよ?
ガイコツやゾンビの人形を暗闇の中で愛でる暗い女ですわ。
それでもその女を愛せますの?」
「・・・なんでそれを!!」
そう言ってケバい女はスーナをバカにして笑った。
スーナはびくっとして真っ青な顔をしていた。
どうやらケバい女が言った事は真実らしい。
けど・・・。
「そもそもスーナのホラー趣味は
僕がホラー小説をあげた事がきっかけだから
前から知ってたよ」
「「「「「「「「え?!」」」」」」」」
「知ってらしたんですか・・・?」
僕の言葉に会場が目を丸くした。
スーナは恐る恐る僕を見てそう言った。
「幼いころスーナが僕のあげた『王城の怪談全集』を読んでて、
それに出てくる王城を走るガイコツの人形が好きって話してたしね」
「覚えててくれたんですのね」
スーナは目を輝かせて僕を見ていた。
趣味を理解してくれたのが嬉しかったみたいだ。
「だから僕はそんなスーナを愛してる」
「リチャード様!!」
スーナは嬉し涙を流し抱きついてきた。
僕はそんなスーナを抱きしめ返した。
「だからスーナをバカにする奴は許せない!!
おい!!誰かこのケバい女を会場から追い出せ!!」
「「「「はい!」」」」
僕は騎士たちに命じてケバい女を会場から追い出させた。
「なああああ!!!!リチャード様あああ!!!!」
「「「「「「お帰りはあちらです!!」」」」」
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」
騎士たちに引っ立てられた
ケバい女の叫び声が会場から遠ざかっていった。
「さ、邪魔者はいなくなったし踊ろうか?」
「はい」
僕はスーナと再びワルツを踊り始めた。
心ゆくまで僕らは踊り続け、舞踏会は楽しい物だったと思う。
舞踏会が終わり、深夜のお城のバルコニーで
僕とスーナは月明かりに照らされて喋っていた。
「今日は楽しかったですわ」
「僕もだ」
そう言って僕はスーナの髪に触れた。
しかし、スーナは突然暗い顔をした。
「そのリチャード様はこんな趣味を持つ私でホントにいいのですか?
世間的に私の趣味は変ですよね・・・;」
スーナは少し沈みながら俯いた。
あの女の言った事をまだ気にしてたのか。
「それを言うなら僕も変だよ。
ホラー小説をコレクションしてるくらいだし。
『エルエル街の悪夢』シリーズは全巻持ってるし」
僕は実はホラー小説が大好きで専用の図書室を城に持ってる。
国内国外問わず有名ホラー小説は全部持ってるつもりだ。
「あ、そういえば
私、『エルエル街の悪夢』の作者からサインをもらいましたの」
そう言ってスーナは『エルエル街の悪夢』の初版本を見せた。
表紙には作者のコーノミヤ・ジンジャーのサインが書かれてる!!
しかも、スーナさんへって書いてあるし!!
「こここここ、これをどこで手に入れたんだ?!
まさか本人に会ったの?!」
「ふふふ・・・w
実はユーエリア殿がコーノミヤ・ジンジャーだったのですわw
そのペンネームで3歳から小説家デビューしてたのですってw」
「なにーーーーーー!!!!!!!」
まさかユーエリア殿がコーノミヤ・ジンジャーだったのか?!
商才だけでなく文才もあるとは・・・;
しかも3歳から小説を書いてたなんて恐ろしい鬼才だ!!
「これは今度、ユーエリア殿に会ったらぜひサインをもらわないと!」
「私、ユーエリア殿と友達になりましたのよw
新作をいち早く読ませてくれるって約束しましたw」
「僕も僕も読みたい!!」
「はい、一緒に読ませてもらいましょうw」
僕らは一晩中ホラー小説について語り合った。
同じ趣味のスーナが側にいて本当に幸せだと思う。
ずっと一緒にいてほしいと思った。
一緒にコーノミヤ・ジンジャーの新作の小説読もうなw
サインをぜひユーエリア殿に頼んで書いてもらおうw
リチャードさんへって書いてもらうのが楽しみだ。
つづく
まさか、スーナ嬢の趣味がリチャードの影響だったとはね;
リチャードはお城にホラー小説だけの図書室を持ってますw
もちろんコーノミヤ・ジンジャーの小説も持ってますw
コーノミヤ・ジンジャー(ユーエリア)に会ってサインをもらう事でしょうw
これでリチャード様の婚約者編は終わりですw
次回は新章ですw