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ドS伯爵令嬢の異世界転生漫遊記(またの名を悪魔のドM下僕受難記)  作者: ねこもどき(ラルク)
リチャード様の婚約者編
74/126

第58話:王妃様毒殺未遂事件とエリザベス様暗殺未遂事件

<ユーエリア視点>


お城に着くと、城内は大混乱になってた。

メイドや使用人や従者や大臣の貴族にいたるまで真っ青な顔をしてパニックだ。

無理もない、王妃様が毒殺されかかったんだもんね;

こんな状況でメイドたちに案内される訳にいかず、

私たちはリックの案内で王妃様の寝室に向かった。


「リリアーヌ!!!!リリアーヌ!!!!

 起きてくれ!!!リリアーヌ!!!!!!」


陛下が涙目で王妃様にすがりついて泣いていた。

側では王宮医師が診察しているようだった。


「母上が・・・なんでこんな事に;」


「心痛お察し申し上げますわ」


リチャード様も沈痛な表情をしていて側でジュディがそっと寄り添っていた。


「・・・たぶん、今夜が山でございます。

 今夜、峠を越えても目が覚めるかは微妙かと思います」


「そんな!!!!!どうにかならんのか!!!」


「エリクサーを飲ませましたが効果が薄く。

 どの解毒薬も効果がありません。

 私の力が及ばず申し訳ありません」


医者の言葉に陛下は崩れ落ちた。


「父上!!!なんで母上がこんな事になったのですか!!」


リックは人前なので王子様モードの敬語で陛下に駆け寄って問い詰めた。


「それは私がお答えいたします。

 私と王妃様がお茶をしていました。

 それでおやつのバターケーキをお食べになった所、倒れられたのです」


ジュディは沈んだ表情でそう言った。


「たぶん、ケーキに毒物が含まれていたと思うが・・・;

 ケーキから毒物が検出されなかったのだ。

 しかもお茶に使われた食器類にもなにも出てこなかった」


「な・・・じゃあ母上は何で倒れたのですか;」


「毒という事は分かったが分からない・・・」


「そんな・・・!!」


リチャード様は静かにそう言うとリックは混乱した表情になった。


「一応、毒殺未遂の犯人としてお城のコック長を地下の牢に拘束しているが

 証拠も何もない・・・;

 ああああ!!!リリアーヌ!!なんでこんな事に!!」


陛下は錯乱して泣き叫んだ。

どういう事なんだろう・・・?毒もなく毒殺できるなんて。

混乱の中、私たちは王妃様の回復を祈ってお城に泊まる事になった。

客間でリック達と事件に付いて考察して見た。


「毒物もないのに毒に当たるなんておかしいわ」


「俺、あの後、現場にいたメイドにケーキは

 誰が切り分けたのか聞いたんだけど。

 ジュディが切り分けたらしい」


私が考えているとウィキが口を開いた。

ウィキによるとメイドがケーキをジュディが切っていたのを見たそうだ。


「それで考えたんだが、

 これはジュディが錬金術で作られた特殊毒を使って

 毒殺しようとした可能性が高い」


「特殊毒・・・?」


みんな一斉にウィキを見た。

何か考えているようにウィキは収納魔法でナイフを取り出した。


「ナイフの片面にその特殊毒を塗れば意図的に

 王妃様に毒を食べさせる事ができる。

 拓海、リック、現場にあったものを再現したケーキをお城のキッチンから

 持ってきたから食べてみてくれ」


「なんで俺?!!!!」」


「毒なんていやだ!!」


「毒じゃなくカラシだってば;そうしないと検証できないだろ;」


ウィキはナイフの片面にカラシのチューブを塗って

1つの細長いバターケーキを取り出し、

切って半分づつ拓海とリックに食べさせた。

ケーキは小さく半分に切れば丁度2人分になるそうだ。


「ごぼっ!!ごはっ!!辛っ;カラシ・・・カラシだ!!」


「よかった;俺は何ともなくて;;;」


リックはカラシに当たったのか辛さにせき込んでいた。

しかし、拓海は平気そうにケーキを食べてた。


「これでトリックが実証できたわけね・・・」


「でも、毒が検出されないのはなんでだ?」


雷信が疑問そうにそう言った。そうね毒が検出されないのはなぜかしら?


「王妃様に使われた毒はしばらくすると空中分解されて消えてしまうんだ。

 しかし体内に入ると毒の効果は続く恐ろしいしろものだから証拠は残らない。

 400年前に暗殺によく使われた毒だ。

 バニッシュ草とポイポイ草と毒草とスライムのコアと

聖水を材料に錬金術で巧妙に作れる、

 しかし、問題は毒が消えて証拠も何も残らない事だ」


ウィキは悔しそうに言った。

そんな毒があったのね・・・完全犯罪じゃない;


「ジュディが犯人だって分かったけど・・・;

 ちくしょう、証拠が無いんじゃ捕まえられないじゃないか!!」


「悔しいわ・・・ジュディめ・・・

 絶対、ボコボコにして牢屋にぶち込んでやりたいのに」


「・・・く、そんな毒があるとは;

 王妃様の無念を晴らす事もできないのか;」


「ジュディめ・・・、

 リチャード様のお母様を暗殺しようとするなんて許せない!!」


リックとエリザベス様とジークハルトとスーナ嬢は悔しそうに

ジュディに対して怒りの声をあげた。


「この毒は400年前の錬金術で作れる。

 もしかしたら昔の錬金術を知ってるのなら魔族と関わっているのかもな」


「また、魔族なのね・・・」


ヤーミやノヴァエビルの同類が影にいそうね。

私とウィキは額にしわを寄せて苦い顔をした。

・・・ジュディが魔族と関係がある可能性が深まり、

ますます怪しいと疑念が深まった。

もしかしたら今後も王家に災いを招くのは間違いないだろう。


「とにかく、リックとエリザベス様はジュディに注意した方がいいわ。

 陛下も襲われるかもしれないし;

 ジュディの側にいるリチャード様も危険かも;」


「分かったわ」


「絶対あいつのしっぽ掴んでやるぜ!!」


「王家の方々は俺が守る」


「リチャード様・・・。私が助け出します」


私たちはエリザベス様たちに注意すると

リックとジークハルトとスーナ嬢はジュディ逮捕に決意を新たにしていた。

危険なんだけどな;


「俺は明日、別邸の屋敷に戻って解毒剤を調合する。

 成功する確率は半々だが・・・やるしかないな」


「頼んだわよ、ウィキ。

 王妃様を救うために解毒剤を必ず完成させなさいよ!!」


「う、プレッシャーだな;ま、がんばるよ」


どうやらウィキは明日、解毒剤を調合すべく別邸に戻るらしい。

私はウィキにプレッシャーをかけた。

ウィキは苦笑いしたがやってくれるそうである。

翌日、ウィキは商会のワープポイント経由で別邸に戻って行った。

しかし、王妃様の病状の峠は越えたが眠り続けたままだと言う・・・。

これは死なないで良かったが回復はウィキ頼みになりそうだわ。


私たちは隠れてジュディを見張る事にした。

どうやらジュディはリチャード様とこんな状況なのにデートをしてるようだ。


「ジュディ、口にクリームが付いてるよ」


「あら、いけないw」


庭園や城下町などでかなりいちゃついてる。

今は城下町のクレープ屋で一緒にクレープを食べてる。

ジュディの口に付いたクリームをリチャード様が食べてる。

く・・・ベタないちゃつきようだわね;


「リチャード様・・・」


「スーナ嬢、気を落とさないで;」


スーナ嬢はそれを見て沈んだ表情をしていた。

私は慰める事しかできなかった。

ジュディを見はってたが3日ぐらいは変化が無かった。

3日目の朝、王家の方々と食事をするがみんな暗い。


「「「「「・・・・」」」」」


みんな無言で朝食の席についていた。

焼きたてのスコーンとカンパーニュ、

ミニラデッシュのフレッシュサラダと

サーモンのソテーとボイルウインナー。

せっかくの朝食がまずく見えた。

朝食がスタートすると

なにか、ジュディが不審な行動をした。


「「「「「・・・;」」」」」」


「???」


みんなが食べるのを止めてジュディを見ている。

ジュディは何か良く分かってない様子だった。


「どういたしましたか?」


「ジュディ殿、それは指を洗う物で飲むものではないぞ;


「は;いけませんでした・・・;つい;」


陛下に注意されジュディはフィンガーボールをテーブルの上に置いた。

どうやら飲み物と勘違いしたらしい。

・・・なんか変ね。貴族なのにマナーを知らないなんて。

私はジュディに疑念を覚えた。

朝食が終わった直後、ジュディはこんな事を言いだした。


「みなさん、気を落としがちですので

 気分転換にお昼はお庭で食事をしましょう。

 私、サンドイッチ作りましたのw」


「いい考えだねwジュディ」


ジュディの考えにリチャード様は顔を明るくした。


「しかし・・・」


「王妃様を心配なのは分かりますが部屋の中で閉じこもっていては

 ますます、嫌な事考えますわwねw」


「・・・わかった」


渋る陛下に笑顔で外に出るようジュディはそう勧めた。

しぶしぶ陛下は外でお昼を食べるようにしたようだ。

そして、午前中はお城の庭園を散策することにした。

美しいエンジェ城の西正面に庭があり

有名なアクアの泉の水が宮殿から流れ、

その泉の水路が引かれ池や小川に流れている。

真ん中にある巨大噴水もその流れの恩恵を受けて勢いよく噴き出していた。

鮮やかな草花もたくさん種類があって咲き乱れていた。

さすが、王城の庭園である。立派だわ。


「これがエンジェ城の庭園なのね」


「はい、昔はリチャード様が良く散歩してくれました」


そういってスーナ嬢は暗い顔して側にある花を触った。

・・・こんな時、どう励ましていいか分からない。


「く・・・兄貴め;こんな時でもジュディといちゃついてやがる」


「・・・あのだらしない顔を殴りたいわ」


「・・・リチャード王子はもうすぐ義弟になるのだがあいつは許せんな」


前のほうを歩いているいちゃつくジュディとリチャードを見て

エリザベス様とリックとジークハルトは怒りを覚えているようだ。

彼らの側を歩く王様も苦い顔している。

庭は新緑に包まれツツジがピンクや赤や白などいろいろ咲き乱れていた。


「いい匂いね・・・」


「ジュディのほうがいい匂いがするよw

 ツツジに負けないくらい綺麗だ」


「ありがとうございますw」


それの香りをかいで幸せそうにジュディは微笑んでいる。

リチャードはそれを見てノロけてジュディを褒めてた;


「・・・(涙)」


「く、私もあのバカ王子を殴りたくなってきたわ。

 ムチでしばいたほうがいいかしら」


「俺も刀で成敗したいな」


「クナイで奴のズボンを切って

 ピー(自主規制)を丸出しにさせて辱めさせたい」


涙するスーナ嬢を見て私もリチャード様を殴りたくなってきた。

不敬罪でも一発ムチでしばきたくなった。

雷信も拓海もリチャード様に対し殺気に満ちていた。

そして、お昼になりメイドたちがテーブルやイスを準備した。

どうやらレジャーシートで食べる訳じゃないらしい。

王族だもんね;当たり前か・・・;

今日のお昼のメニューは白身魚とキドニーのパイと

ミントサラダとクロワッサンらしい。

つつがなく食事をするとジュディがテーブルの上にサンドイッチの籠を置いた。


「このサンドイッチ私が作りましたのw

 みなさん、どうぞ食べてくださいw」


どうやらこのサンドイッチはどうやらジュディの手作りらしい。

笑顔でジュディはそれを差し出してきた。


「あなたの作った食事など食べたくないわ!!

 毒でも入ってたらたまりませんもの!!」


「ひどい・・・」


「エリザベス!!なんて事ジュディに言うのさ!!

 ジュディがまるで母上の毒殺未遂犯みたいな言い方するな!!

 いくら姉上でも許さないぞ!!」


エリザベス様はそう言い放ってジュディを睨んだ。

リチャード様はそんなエリザベス様に怒りをあらわにした。


「そうだと私は思っていますわ!!

 私はとにかく食べませんわ!!

 失礼いたします!!」


「待ってくれ!!エリ!!」


そう言ってエリザベスはその場から走って立ち去った。

ジークハルトは急いで彼女を追いかけて行った。

その場の空気が悪くなり一同沈んだ空気になった。


<エリザベス視点>


「まったく、リチャードはそこまであの女を信用してるなんて・・・」


私は怒りを抑えながら庭園を歩いていた。

ジークも振り払ってきてしまったわ;後で謝らないと;

そうだ、薔薇園に行きましょう。

そこならいい香りに包まれて気分が落ち着きそうだわ。

私は薔薇園へ向かった。


「いい香り・・・落ちつくわ」


お城の庭園の薔薇園は私のお気に入りの場所だった。

白、赤、黄、青など色とりどりの薔薇が咲き乱れている。

初代王妃様が薔薇が大好きで初代建国王に作らせたらしいわ。

子供のころからここが大好きだった。

お母様もこの薔薇園がお気に入りで私と一緒に来たわね。

ジークとも一緒にデートしたわw

それにここは迷路にもなっていて天然の薔薇の迷路なんて素敵だわ。

私は中に入って散策した。

しばらく歩いていると薔薇とは違う匂いがしてきた。


「この香りはいったい?

 ・・・!!なんだか・・・眠く・・・」


私はいきなり眠気に襲われて倒れ込んだ。

何者かが私の所に来ているようだわ。

霞んで誰か見えない・・・。

私はそう考えながら意識を飛ばした・・・。


<ジークハルト視点>


「エリはどこに行ったんだ?」


俺たちは手分けしてエリを探していた。

ジュディは俺たちが見張っているとはいえ心配だ・・・。

もし、ジュディの手の物が別にいるなら危険すぎる。


「ジークハルト殿!エリザベス様は見つかりましたか?」


「いや、こっちにはいない」


「こっちもいないぜ」


「エリザベス様どこにいるんでしょうか・・・?」


「俺たちはジュディを見張ってるが変化なしだ」


「・・・しっぽを見せないな」


ユーエリア殿も一緒に探しているが見つからないらしい。

リックとスーナ殿も探しているが見つからない。

ライシン殿とタクミ殿はジュディを見張ってるが動きはないようだ。

エリ・・・一体どこに・・・?


ドボンッ!!!!!


「なに今の音?」


「あっちの池のほうか?!まさかエリ!!」


するとすごい水の落ちた音が庭園に響いた。

あっちの池のほうだ!!!!

俺たちは庭園の池のほうに向かった。


「何これ!!!氷?!」


「あ!!エリ!!!」


池には春なのに大きな氷の塊がいたるところに浮かんでいた。

池の真ん中にはエリザベスが浮かんでいた。気を失っているようだ。

少しづつ沈んでいる。

冷たい池の中に眠ったままでいると死んでしまう!!


「くっ・・・!!!」


「ジークハルト殿!?」


「ジーク!!」


俺は急いで池の中に飛び込んだ。

驚いてユーエリア殿やリックが叫び声をあげた。

冷たい・・・まるで冬の極寒の海の中にいるみたいだ。

俺は沈みゆくエリを見つけ出し抱えて池を脱出した。


「エリ!!エリ!!しっかりしろ!!

 く・・・!!!息をしてない;」


俺は陸に上がり心音が止まり意識の戻らない

エリを人工呼吸と心臓マッサージした。

これはユーエリア殿の商会の本に乗っていた事だ。

緊急救助の際に必要になると緑の騎士団も教習内容として勉強している。

まさか婚約者に実践するとは思わなった。


「ごはっ・・・じ、ジーク・・・」


「よかった気が付いたようだな」


エリは気が付いたみたいだ。よかった生きてる。

俺はエリを抱きしめた。


「私、何者かに・・・眠らされたわ・・・それで・・・」


「エリ!・・・眠ってるだけか;」


そう言ってエリは気を失った。

慌てたが息はあるようで安心した。

何者かがエリを殺そうとしたのか?

俺は疑念を抱いたがそれどころではない;

エリを抱きかかえお城の中に戻った。

身体を温めさせないといけない。

・・・犯人は必ず俺が捕まえるからな!


つづく

王妃様に続いてエリザベスまで何者かに襲われました;

エリザベスは大丈夫なのでしょうか?

ジュディが怪しいけど証拠がないし;

次回に続きます。

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