第50話:エンジェルム王国と雷森羅国の終戦調停式
<ユーエリア視点>
雷森羅国の王都侵攻戦が終結して2日後。
私、ユーエリア・アークレイの仲介で
エンジェルム王国と雷森羅国の
調停式がエンジェ城で行われました。
エンジェルム王国側はリムニスタ陛下と王妃のリリアーヌ様、
第一王子のリチャード様と第二王子のセドリックことリック、
それに第一王女のエリザベス様と宰相のローマ殿。
そして、私の父のグレンと義母のドヌーブ以上のメンバーです。
きちんと周りの騎士たち(3つの騎士団長も含む)も護衛しています。
雷森羅国側は征夷大将軍の織田信長様と
息子の織田雷信と
菊林忍軍の頭領の菊林伝蔵、
それと副頭領の鷹宮拓海と
他、山形権座、
鏑木新之助、
太平清太の武士数名と
土居服助と始めとした忍者たちが護衛しています。
両者陣営が会議室の長いテーブルに向かい合わせに座り調停式が始まりました。
「では、雷森羅国はユーエリア殿のものになったわけか;」
「優絵殿にワシは死合いに負けた。
なので、国は優絵殿に渡す事にする」
信長の言葉を聞いてむむむと陛下は悩んだ表情をした。
「あ、雷森羅国の政治の実権は
エンジェルムのサムエル王家に譲るので心配ないですよ。
エンジェルムの政治の専門家が政を
仕切ったほうがいろいろと良さそうですし。
雷森羅国の文官たちと協議して
新しい政治体制にするのもおもしろそうです。
両国の法律の良い所を取ればいい国になるとは思いませんか?」
私がそう言うと陛下と信長はぽかんとした表情をしてた。
「新たなる国か・・・。ユーエリア殿は発想が良いな」
「なるほど、和洋折衷な国を作るわけだな。おもしろい」
陛下と信長は興味を示してくれたみたいだ。
「私は雷森羅国の商業の実権を握ります。
文明開化を促進させて民を豊かにして見せますよ」
「ユーエリア商会がますます発展しそうだな」
「文明開化か・・・。新たなる風が吹きそうだな」
ユーエリア商会の発展を真近に見てきた陛下と
いくつかの商会の商品を見た信長は文明開化に期待していた。
「では、雷森羅国はこう言う事で良いとして。
王都の港の修復や死んだ騎士たちの遺族のための賠償金はどうするのだ?」
「それは問題ない。1000万両。
この国だと100億イエン?を払おう。
死んだえんじぇるむの武士たちの賠償も含まれている」
賠償金として雷森羅国は
エンジェルム王国に100億イエン払う事になった。
雷森羅国は金山がたくさんあるらしく、
そこから賄うとのことだった。
「それぐらいあれば遺族や港の修復もできるだろう。
次にユーエリア殿と貴殿のご子息のライシン殿の結婚の件だが・・・;」
「雷信が元服する3年後に優絵殿に嫁に来てもらいたいと考えておるが」
信長がちらりと私の父と義母を見た。
父と義母は困っている;
「さ、3年後ですか・・・・;
ユーエリアはその頃には12・・いや13歳ですな;
それはちょっと早すぎます;;;;」
「まだ、ユーエリアさんは社交界デビューもまだですのに早すぎますわ;;;」
父と義母は早すぎる私の結婚に渋っていた。
たしかに13歳で結婚は早すぎるね・・・;
「早いか?我が国ではもう大人だと思うが・・・」
「ノブナガ殿;エンジェルムでは20歳が大人の年齢だぞ;;;」
陛下からそう言われて信長は驚いてた。
「そんなに元服の年齢が遅いのか;」
「身体が成熟するのがその年齢ですからね。
子供を産むにはその年齢が適切なのです。
妊婦の年齢が早いと産むのもその子供の成長にも影響が出ます。
下手したら子供が死産になることも・・・」
王妃のリリアーヌ様に言われて信長はふむと考え直した。
「戦国の世で子供の夭折が多いのはそういう理由だったのか。
そうだな、では優絵殿が20歳になるまで祝言は待とう」
信長が納得してくれたので父と義母はほっとしていた。
「それと、雷信の他にここにいる拓海も
優絵殿の側室として婿に入れたいのだが。
あと、雷信の側室としてイノーゼ殿と
この伝蔵の孫娘のお初も迎え入れたい」
「そ、側室ですか・・・・;」
「ふ、夫婦となる者がお互い側室がいるなんて前代未聞過ぎます;;;;」
信長の爆弾発言に父と義母は卒倒した;;;
たしかに前代未聞だよね;;;;どんな家族構成だよって話だし;
「たしかに前代未聞だが;すでに優絵殿には許可を得ておる。
あとは優絵殿の父上と母上の許可のみなのじゃ」
「ゆ、ユーエリア!!!それでいいのか?;」
「ユーエリアさん;考え直してちょうだい;;;」
父と義母に詰め寄られて私は苦笑いしました。
「これは政略結婚の意味合いも含まれているのです。
側室がお互い増えようと問題ないと思いますよ」
「むう・・・しかし;;;;」
私の言葉に父は苦い顔をしている。
「イノーゼとお初ちゃんも顔合わせ済みですし。
問題なく家族として過ごせそうです。
なので、父上、了承してください」
「・・・;;;;
うううう・・・ユーエリアが嫁に・・お嫁に行ってしまう(号泣)」
私から頭を下げられ父は号泣した。
そんなに私がお嫁に行くのが嫌ですか;;;;
「・・・ユーエリアさん。
あなたが決めたのなら私は止めません」
「ドヌーブ!!!」
義母がそう言うと父は真っ青な顔をした。
「アークレイ伯爵家の女性としてオダの家に嫁ぐなら家庭円満を心がけなさい。
まあ、あなたの事ですから要領良く過ごせそうですわね」
「はい」
「ううううう・・・・そんな;そんな;(涙)」
義母は母親の顔をして笑顔で了承してくれた。
父はまだ泣いている。
「あなた!!ユーエリアさんが決めた事です!!
いつまでも泣いてないで後押ししてください」
「・・・・うううううう(涙)。
ユーエリア、よ、嫁に行っても俺の娘だからな!!
何かあったらすぐ戻って来なさい!!」
義母に渇を入れられやっと父は未練たらたらで了承してくれた。
「では、結婚問題も解決だな。
あ、イノーゼ殿は平民だから一旦貴族の家に
養子に出してから結婚させる事にしよう」
「えんじぇるむではそういう決まりがあるのか?」
陛下の言葉に信長はなんで?と疑問に思っているようだ。
「うむ、格式の高い家に平民が嫁ぐ場合そういった決まりがあるのだ。
そうだな、アークレイ家の養子にさせよう。
ユーエリア殿の実家の方が色々都合が良いし」
「賜りました」
「イノーゼさんを立派な貴族の女性にして嫁がせますわ」
「イノーゼちゃんが貴族になると会う機会が増えますわねw
楽しみですw」
陛下からそう言われ父と義母はそれを受け入れた。
イノーゼが貴族になる事にエリザベス様はご機嫌になった。
「では、婚約期間は今から約10年間という事で決まりだな。
ユーエリア殿が20歳になったら結婚式を王都で挙げよう。
ウエディングドレスも特注させよう」
「いや、雷森羅国の首都の森京で挙げるべきだ。
白無垢の着物の伝統的な姿のほうが優絵殿に似合うに決まっとる!!」
陛下と信長の間でどこで式を挙げるかで対立しているようだ;;;
なんか言い争いになって一色即発になっている。
「御屋形様、抑えて!!抑えてください!!!」
「陛下!!ここは和平の場ですぞ!!」
伝蔵が信長を宰相が陛下を羽交い締めして抑えている。
剣や刀を抜く寸前になってるし;;;;
「ここは結婚するユーエリア殿と
ライシン殿の意見を聞くべきではないですか?」
第一王子のリチャード様の言葉に
ぴたっと陛下と信長が止まり私と雷信をじっと見てきた。
「え~っと私はウエディングドレスも白無垢も着たいです。
現代日本ではお色直しといって
式中に着替える事もできるようになってるはずですし」
「そうなのか?日ノ本の未来の祝言は革新的なんだな」
「優絵のお色直しか~w綺麗だろうなw」
私の折衷案に雷信は感心し、拓海はドレスや白無垢姿を想像して萌えてた。
(ちなみに私と雷信と拓海はここ数日でお互い名前呼びになってます)
「日ノ本の未来の祝言はそうなっておるのか・・・・。
だったら両方着るべきであろうな」
「式の衣装の件は解決したが、まだ、問題があるぞ。
式はどこであげるかだ」
式で着るドレスや白無垢の件はなんとかなったが
式をどこにするかで陛下と信長は睨み合った。
「こうなったら両方で式挙げたほうがいいんじゃないですか?
そのほうが両国の民にアピールできますし」
柄にもなく王子の敬語モードでリックがそう提案した。
「2度挙式を行うということか・・・・。
そうだな、2日間に分けてお互いの国でやるのもいいな。
ユーエリア商会のワープポイントで国同士を繋げばすぐ行き来できるし」
「ほう、その『わーぷぽいんと』は移動する乗り物なのか?」
信長は陛下の言葉のワープポイントに興味を示していた。
「いや、違うぞ。
そのワープポイントを両国に設置すれば
それに触れるだけで一瞬でお互いの国に瞬間移動できるしろもので
我が国の要所にも設置予定のものだ」
「ほうほう。それはすごい道具だな。
では、祝言は両方の国で行う事で決まりだな」
これで、ようやく調停の内容が決まったようだ。
以下、箇条書きにすると。
・雷森羅国は私、ユーエリア・アークレイのものとする。
(しかし、政治の実権はエンジェルム王国が握る。
商業の実権はユーエリアが支配することとする)
・雷森羅国はエンジェルム王国に
100億イエンの賠償金を払う。
(雷森羅国のお金に換算すると1000万両)
・私、ユーエリア・アークレイは
織田雷信と約10年後に結婚する事とする。
(イノーゼやお初ちゃんや拓海は
各年齢が大人になり次第側室として結婚する)
(イノーゼはそれに従いアークレイ家の養子に迎え入れてから嫁がせる)
結婚後はアークレイ・オダ家として新たな家を興し名乗る事にする。
・私、ユーエリア・アークレイと織田雷信の結婚式は
雷森羅国とエンジェルム王国両方で行う事。
式のドレスや着物やお色直しの時間などは婚約期間に徐々に決める事とする。
以上の事が決まった。
無事、それらを調停の書類にお互いの国のトップが
サインしてつつがなく式を終えた。
陛下と信長が握手した写真が両国の新聞や
瓦版のトップ記事で伝えられた。
こうして雷森羅国と
エンジェルム王国の戦争は終結となったわけである。
つづく
ユーエリアはやっぱり雷信と結婚するんですねw(ついでに拓海とも)
でもユーエリアはまだ幼いので10年間は婚約のままですw
イノーゼとお初ちゃんとも婚約するとは;
雷信はハーレム野郎ですね;;;;
こうして雷森羅国はユーエリアのものになりましたw
次回はユーエリアの10歳の誕生日パーティーですw