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ドS伯爵令嬢の異世界転生漫遊記(またの名を悪魔のドM下僕受難記)  作者: ねこもどき(ラルク)
雷森羅国の侵攻編
52/126

第40話:雷森羅国の野望とイノーゼ誘拐

織田雷信おだらいしん視点>


俺は巨大な式神の鳥の背に乗って雷森羅ライシンラの国に帰った。

海を渡り、故郷の島が見えてくると杏槌城あづちじょうが見えた。

父上の昔いた国の城を再現したらしいが立派だよな。

特に黄金の天守閣がすばらしく、国一番の城であると誇りに思う。

俺は城の庭に降り立ち式神を札にしまった。


「若、お帰りになりましたか?」


「じい、今帰ったぞ」


織田家に仕える忍びの菊林忍軍の頭領、

菊林伝蔵きくばやしでんぞうが俺を出迎えた。

伝蔵は俺が幼いころからの守役もりやく

じいと呼んで俺はしたっている。


「して?『えんじぇるむ』なる国はどうでしたか?」


「おもしろかったぞ。まあ、父上にも話すから天守閣に行こう」


俺はじいを従えて城の天守閣に向かった。

天守閣には『天守の間』という城の主の専用の部屋がある。

そこで、父上は家臣から話を聞いたりするのだ。

俺とじいは下座に座り、父上が来るのを待った。

すると、ドカドカと勢いのよい足音がして

ドカッと上座のあるじの席に父上が座った。

ちなみに父上と父の側近の野田と俺とじい以外誰もいない。


「ライ!よく帰ったな。して、報告を聞こうか?」


俺の父上は扇子を持ちながらひじをついていた。

・・・俺の父上、織田信長おだのぶなが

雷森羅ライシンラ征夷大将軍せいいたいしょうぐんでありながら

歌舞伎者かぶきものな性格の豪快な方である。

ちなみに歌舞伎者かぶきものとは奇想天外な振舞いをする人の事である。


「はっ。『えんじぇるむ』なる国は珍しい茶葉や茶器、

 民は奇妙なひらひらした着物などを着ており、

 かなり文化が成熟しているようでした」


「そうか・・・。

 独自の茶道も行ってそうだな。茶器かワシも昔、

 九十九髪茄子つくもなす

 珠光文琳しゅこうぶんりんの一級品の茶器を

 持っていたが国を捨てる時、

 失くしてしまったからなぁ。

 『えんじぇるむ』の茶器も手に入れてみたいぞ」


父上は昔の茶器を思い出していた。

父上の昔いた国では天下に3つある有名な茶器を

父上は手にしていたと聞いている。

失くしたのはそのうちの2つだろう。

父上はよく家臣を集めて茶会を行っているからなぁ;

茶道は武士のたしなみだそうだ。

『えんじぇるむ』の茶器にも興味を持ってるらしいし。


「して?その国の武士はいかほどの強さか分かるか?」


すると父上は一転して真剣な表情をして

『えんじぇるむ』の強さについて聞いてきた。


「普通の武士はそれほどではございませんでした。

 しかし、見どころがある武士もおりました。わっぱでしたが」


「ふふふ・・・若き武士の育成もしておるようじゃな。

 ツワモノがいるほど国盗くにとりのしがいがあるというものよ・・・」


「全くその通りで・・・くくく」


父上は『えんじぇるむ』の国盗くにとりをする気でいる。

まだ見ぬ敵国の武士の強さにニヤリと心躍こころおどっているようだ。

そばに控えている側用人そばようにん

野田海老留のだえびるも追随して不気味にくくくと笑っている。

野田はいつも鬼の仮面を被っていて素顔を見せない。

声から少年らしいみたいだが幼い時から成長している気配がない。

しかも父上は野田から若返りの秘薬を与えられ若返り、

国を捨てて雷森羅に移住してから20代の姿のままだという。

影のように父にしたがい野田は不気味な存在だった。

俺は父上たちの野心を分かりかねていた。

父上が昔いた国では狭い島国の中、国同士が争っていたらしい。

その戦乱を国を移ってもしようというのだ。

父上がなぜ戦を引き起こそうとしているのか;

俺は正々堂々の武士同士の死合しあいは

好きだが戦のような民に被害のある侵略は好きではないのにな;


「そういえば忍びの報告で『あーくれい』という

 公家くげ童女どうじょと一緒に武士たちから逃亡したとか?」


「見られていましたか・・・;」


どうやら忍びに父上は俺を見張らせていたらしい;


「ほっほっほっ。若は忍びの気配を感じませんでしたか?

 まだまだ修行がたりませんぞ」


じいが好々爺風に笑いながらそう俺を窘めた。

仕方ないじゃないか;うちの国の忍びは国一の隠密なんだし。


「で、結局その童女どうじょを逃がしたのか?」


「はい、その家の武士に返しました」


父上はそれを聞いて何か思案していた。


「ふむ、しかし、その童女どうじょ使えるな・・・。

 我が配下の菊林忍軍の報告によると

 『あーくれい』という公家くげ童女どうじょ

 『えんじぇるむ』の中でも一、二を争う金持ちだそうだ。

 その童女どうじょが『ゆーえりあ商会』なる商屋を営み、

 やり手の商人でもあるらしいぞ」


「あんな童女どうじょがですか?」


まさかあんなに幼い童女どうじょである

イノが『えんじぇるむ』一の商人?まさか;


童女どうじょでも『えんじぇるむ』の国一の商人だという

 報告を忍びから聞いた。

 わずか6歳で商人を始め、わずか3年で国一番の商人になったと。

 しかも、国の商売のほとんどを牛耳ぎゅうじっていると聞いている。

 国に影響のある存在である事は間違いないな」


俺は父上からそれを聞いて驚いた。そんな風にイノは見えなかったからだ。


「しかし、若と一緒にいた童女どうじょ

 その商屋のあるじとは限りません。

 我が忍びでも童女どうじょがそうらしいとしか

 詳細は分かりませんでした。

 『あーくれい』家の家族構成の詳細は厳重に隠されておりますゆえ。

 その屋敷に忍び込もうとした忍びが見えない壁に

 阻まれ屋敷内に入れなかったようです」


「妖術の類か?」


「恐らくは・・・」


父とじいの話から思い出した。

そういえばイノも妖術で見えない壁で

俺が空から落ちるのを助けてくれたな。


「その『あーくれい』が営む『ゆーえりあ商会』なる

 商屋のあるじの名前や容姿の詳細は

 『えんじぇるむ』の国の殿様や公家くげたちや

 商人衆によって外の者から知られないように隠されております。

 我が忍びの力でも詳しくは分かりませんでした」


じいたちの忍びでも情報が掴めないとは;かなりの力を持った商屋らしい。


「しかし、その童女どうじょが商屋のあるじ

 血縁者である事は間違いなかろう。

 その童女どうじょをかどかわせば『えんじぇるむ』の国も動くかもしれん。

 それを叩き台に一気に攻める!!

 『えんじぇるむ』を支配に収め、

 そして天下統一の足がかりにしてくれるわ!!」


父上はパチンと扇子を床に叩き『えんじぇるむ』の

国盗くにとり決意したようだ。


「ライ、伝蔵以下忍び数名と『あーくれい』の童女どうじょをかどかわせ!!

 そして丁重にここに連れてこい!!」


「ははっ!!」


「賜りました父上」


こうして、俺はじいたち忍びとともにまた

『えんじぇるむ』に向かう事になった。

イノ・・・。また、会う事になるとはな。

いくさの人質にするのは忍びないが・・・。我慢してほしい。

俺はそう考えながらこれからいくさが起こる事に戦慄していた。


<数日後、ユーエリア視点>


今日はユーエリア伯爵家本邸の庭で写真撮影会を行う事になった。

私を始め、ノッレとイノーゼと義母であるドヌーブも

コスプレをして写真撮影に挑んでます。

ちなみに写真魔法でそれらを撮影するのはウィキ。

ナースやミニのメイド姿やセーラー服や

アニメのコスプレなどいろんな衣装が用意してあり、

更衣ボックスも庭に設置してあるので着替え放題です。

アルフォンスはその様子を見つめながら興味津々でした。

アルフォンスの従者のドーソンも感心している。


「お姉様!!綺麗です!!」


「お嬢様、お美しいですよ」


「あら?そうかしら?」


アルフォンスやドーソンに褒められて私は微笑んだ。

私のコスは某カチューシャした救難信号な部活の主人公の制服のコスです。

久々に制服っぽい恰好をしたのでご機嫌です。

あ、私の身長は今では155cmに伸びました。

あと5cmで前世の元の身長に戻ります。

この分だと大人になる頃には前世より大きい女の子になるかも;


「丈の短いスカートってミニスカっていうんだっけ?

 ユーエは足が綺麗だから似合うわよ」


「ありがと」


そう言いつつノッレは某デスゲームした

RPGのヒロインの剣士のカッコをしていた。

作り物の剣を構えてカッコいい。

しかし見た目幼女なのでかわいさが目立ってる。


「ミニスカという恰好は恥ずかしいですわ!!//////

 よくユーエリアさんはできますわね;」


「そういう義母上ははうえも似合ってますわw」


義母上ははうえはミニの赤に近いピンクの

ナース姿で大人の色気を見せていた。

長い髪を後ろに纏めたり、

赤いグロスを唇に塗ってるので某ナース服を着たPVのアーティストみたいだ。

ミニスカを手で隠しながら恥ずかしがっていた。


「けれど///////;そんな恰好を写真に残すなど;」


「このように写真に残し色気を見せる事こそ殿方の心を得るには必要ですわ。

 それにこういうコスプレをすれば夜の営みに刺激になりますし

 盛り上がるかと」


「・・・夜の営み////////」


義母上ははうえは父上とのいや~んな想像をしているのか

顔を真っ赤にして妄想している。


「あ、水晶のガラス(カケラで怪我しない安全な奴)を

 その恰好で蹴りをして壊すのもかっこいいかもしれません」


「あ、お嬢様。あのアーティストのPV思い出したな;」


「・・・?壊すのに何の意味がありますの?」


私がそういう提案をすると、ウィキも元ネタを思い出したのか納得した。

義母上ははうえはなぜそんな事を勧めるのか分かっていないようだ。

そんなこんなで写真撮影を勧める私たち

(ナース姿で水晶のガラスを壊すのを義母上ははうえはやりました)。

時たま、ハイにゃんが


「ユーエたんwボンテージの女王様ファッション着てほしいにゃw

 それでハイにゃんをヒールで踏んで写真撮ってにゃwww

 きっと楽しいにゃw」


「却下」


「つ、冷たいにゃ;でも、そこが好きにゃw

 でも、にゃ~;;;;残念にゃ;;;;」


とプレイ用の恰好を進めてきたが私は却下した。

ハイにゃんは残念そうだ。

それを着ると激し過ぎるので写真に残すのはヤメとこう。今、昼だし;

それで写真撮影会が進みトリはイノーゼでした。


「イノーゼ綺麗ね」


「すっごいかわいいw」


「・・・・//////(みとれてる)」


「イノーゼちゃんお姫様みたいです」


「写真撮影し甲斐があるな」


「イノーゼたんwかわいいにゃw」


「王室のドレスとティアラを貸してもらえるなんて、

 この子は平民だけれどかわいさがあって衣装が似合っててすごいですわ」


イノーゼの衣装のすがたにみんな驚きの声をあげました。

アルフォンスもイノーゼにみとれてます。

義母上ははうえもイノーゼの姿に「ほうっ」と

みとれてため息をついています。


「はずかしい・・・/////」


イノーゼは恥ずかしそうにお姫様ファッションのドレスを着ていた。

これはエンジェルム王国の王女エリザベス様のお下がりのドレスで

薄い水色と白のコントラストが美しくてイノーゼに似合ってる。

さらに、頭には王家に伝わる秘宝のティアラまで乗っていた。

光属性の魔道石のダイヤモンドカットされた石が

散りばめられたプラチナのティアラで

時価数十億とも言われている超高級なティアラである。

このティアラは初代王妃のものだったらしい。


「よく、こんなドレスやティアラを貸してもらえたわね;」


「あ、エリザベス様がイノーゼのファンらしいから特別だって」


ノッレもこのドレスやティアラがなぜ貸してもらえたのか気になるようだ。

基本イノーゼを始めとした私達はいろんなコスした写真を商会で売っている。

なので写真をコレクションする人も多く。

エリザベス様は特にイノーゼのファンなのだ。

商会で売っているイノーゼの新しい写真が出たら即、

買い占めるほどである。

なので、特別に秘宝の光のティアラとドレスを

貸してもらって写真撮影をする事になったのである。

なるほどとみんなが納得した所で写真撮影が始まった。


「イノーゼちゃん笑って~そういい感じw」


「・・・(にこっ)」


王家から貸してもらった玉座風イスにイノーゼは座って

ウィキに写真に撮られてる。

扇子を頬に当てたり、上品に笑ったりしてイノーゼは写真に写っていく。

順調に撮影が進むと突然、突風が吹いた。


「きゃあああああ!!!」


もの凄い風にイノーゼもびっくりしている。

すると、突風が吹きイノーゼが玉座から消えた。


「あれ?イノーゼは?」


「ここだ」


謎の声のする方に振り向くと少し離れた所に黒ずくめの忍者たちと

着物を着て刀を腰に下げた黒目黒髪の侍少年が

イノーゼの手を掴んで立っていた。


「何者?」


私は突然現れた侍の着物少年と忍者たちに顔をしかめた。


「『あーくれい』の童女どうじょはいただいた。

 返してほしくばこの国の殿様に伝えろ!!

 我が雷森羅ライシンラの国は

 『えんじぇるむ』なる国の国盗くにとりをする!!

 抵抗すればこの童女どうじょの命はない物と思え!!

 では、さらば!!」


そう侍の少年は言い、

そばの忍者姿のじいさんが煙玉を地面に投げ煙幕で周りを煙で覆い隠すと

気が付いた時には彼らは巨大な黒い鷹に乗っていて遠くへ飛んでいった。


「けほっ;けほっ;

 あれは式神?」


煙にせき込みながら、

奴らが乗っている巨大な鷹が式神の類だと

私はそれの霊力を感じながら感づいていた。


「イノーゼたんがさらわれたにゃ!!」


「あの男の子。この前、イノーゼを連れて王都の街を逃げた奴だよ!!」


「そうでしたね;まさかまたイノーゼちゃんを攫うとは;」


ハイにゃんはイノーゼを攫われて顔を真っ青にしている。

どうやら、アルフォンスと従者のドーソンはあの少年と面識があるようだ。


「ユーエリアさん;どうしましょう;

 あの子も心配ですが王国の秘宝のティアラも

 持って行かれてしまいましたわ;」


義母上ははうえの言葉に王国の秘宝のティアラまでも

盗られてしまった事に気づいた;


「それよりもイノーゼが・・・;

 ユーエ;どうするの?」


「そうだぜ;お嬢様;奴らは国盗くにとりって言ってたし;

 ここに攻めてくるって事じゃないか?」


イノーゼが攫われて心配そうにどうするかノッレは聞いてきた。

ウィキの言葉に戦争か・・・と私はこの状況を考えた。


「エンジェ城に行くわ。

 国が動く一大事になりそうな気がするし。

 イノーゼを取り戻すよう進言しないと」


「お城に行くにゃか?」


「私とウィキと両親とアークレイ家の筆頭執事のカイルを

 つれてお城に行くわ。

 ハイにゃんたちはお留守番ね」


「一緒に行けなくてがっかりにゃ;;;」


「ううう・・・気になるのに;」


「僕はお城に連れて行ってもらえないのですね;」


私はウィキと両親とアークレイ家の筆頭執事のカイルを連れて

王様に謁見しにお城に行く事にした。

(ちなみに王様に謁見できるのは貴族とその貴族の側近の臣下のみ)。

謁見できないペットのハイにゃんや平民のノッレや

貴族なのに幼いアルフォンスは愚痴ってたがしかたない;

これから先、なにか戦いが始まる気がした。


つづく


イノーゼが連れ去られてしまいました;;;

しかも日本の歴史の武将、織田信長も登場して

戦争になってしまうのか?

次回に続きます。

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