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ドS伯爵令嬢の異世界転生漫遊記(またの名を悪魔のドM下僕受難記)  作者: ねこもどき(ラルク)
水の大精霊編
46/126

第36話:湖からの帰還とアンナの愛の宣言

<リック視点>


ウィキとユーエがウンディーネと一緒に消えた;

くっ・・・どこへ行ったんだ?

まさか、また戦ってるんじゃ?

ユーエはさっきの戦いでかなりの重傷なのに・・・。


「ユーエを助けに行こう!!」


「ユーエ、無事でいて!!」


「ユーエおねえちゃんたちどこへ行ったのかな?」


「お嬢様・・・;」


俺たちはこの場からユーエたちを探しに行こうと立ち上がったその時。


「お待たせいたしました。

 勝手にお仲間を連れ去ってしまいもうしわけありません」


ウンディーネが現れて奴は丁寧に俺たちに一礼した。

あ、ユーエとウィキもいる;無事なようだ。

ユーエの怪我が何故か治っているようだ。


「厳正なる話し合いの結果、私とユーエリア様は精霊の契約を交わしました」


「「「「は?」」」」


ウンディーネの言葉に俺らは理解できなかった。

契約?どういう事?


「あー、だからね・・・かくかくしかじかで;」


ユーエが詳しく説明した。

話し合いの結果、ウンディーネが精霊の契約によって仲間にしたらしい;

仲間ね・・・;

もしかしたら、

ユーエがウンディーネをムチで脅してムリヤリ契約したのかもしれない;


「そ、そうなんだ;」


俺はその光景を想像してひきつった笑いをした。

いきなり、今まで死闘を繰り広げた精霊を仲間にするとは;


「気持ちの切り替えができないな;」


「まお・・じゃなくてウィキ殿を攫ってしまい申し訳ありませんでした。

 貴方がたも傷つけてしまい申し訳ありませんでした」


戸惑う、俺に

ウンディーネはそう深々とお辞儀をして俺たちに謝罪した。


「まあ、俺は気にしてないからリック達も許してやってくれ;」


ウィキにそう言われてそうだなと俺たちもウンディーネに向き合う事にした。


「ウィキもユーエも無事だったし。許すよ。

 これからは仲間なんだろうし仲良くやろうぜ」


「なかよしwなかよしw」


「腑に落ちませんが・・・;

 ・・・ウィキさんがそう言うのでしたら許します」


「私も許すわ。ウンディーネ、これからよろしく」


アンナは少し不満そうだったけど、

俺らはウンディーネと和解した。ウィキとユーエもほっとしたようだ。


「こちらこそよろしくお願いいたしますね」


ウンディーネは優雅に優しく微笑んだ。

お互い打ち解けた俺らは聖域を出てユニコーンと再会した。

(筋肉痛で動けないアンナはウィキに抱きかかえられて真っ赤になってた)


<おや?人間方。はっ;そのペンダントは!!・・ウンディーネ様!!

 まさか、契約のペンダントを人間に差し上げたのですか?

 もしかして大精霊の契約をなされたのですか?>


ユニコーンはユーエのペンダントを見て驚いてた。

どうやら、ペンダントが契約の証らしい。


「はい、このユーエリア様が新たなるマスターです」


<なんと・・・;ん?勇者の血脈の方とは違いますね;

 なぜ、そのお方とご契約をなされたのですか?>


ユニコーンがそうウンディーネに聞いていた。

たしかに、大昔、大精霊と契約したらしい勇者の子孫である

俺の方が契約しやすいように思えるけど;


「単に魔力量の差です。

勇者の子孫は魔力量がユーエリア様に比べて少ないですし」


ガーーン;;;;

契約するのに俺じゃ魔力が足りなかったっていうのかよ;

確かに俺、魔法とか苦手だし剣術のほうが得意だし;

ちょっとショックだった。


「リック、ドンマイ;」


「リックじゃ精霊使いなんて似合わないし

 これでよかったんじゃない?」


「リックさんは剣術が似合います」


イノーゼとノッレとアンナに口ぐちに慰められた。

・・・どうせ、俺は精霊なんて似合わないさ;

いじけてやる・・・。少しは魔法使えるのにさ;水だけだけど;


「ははははw

 確かに大精霊を召喚して勇ましく戦ってるリックなんて想像できないわw

 リックは魔道師タイプじゃなくて剣士の脳筋タイプだもの」


「リックが精霊を呼びだと所を想像するとかなり違和感があるよな;

 『出でよ、ウンディーネ!!大精霊召喚!!』

 なんて、カッコつけても変に思えるぜ;ふっ」


ユーエとウィキに鼻で笑われたああああ!!!(涙)

なんだよ!!笑いやがって!!


「くそう・・・いじけてやるううううう!!!」


俺はうつ伏せになって涙を流した。

のの字を地面に書いた。


なんて喜劇コントをやってからしばらくして水猫の村に戻ってきた。

あれ?イノーゼが瘴気を浄化したのにまた少し漂ってるようだった。


「また、瘴気が漂ってる」


「・・・この世界に邪神が復活しようとしている兆しなのです。

 その影響で世界に瘴気が漂いつつあるのです」


ウンディーネがそう言って顔を曇らせた。

邪神?そんなのがいるのかよ?復活しつつってヤバイじゃん;


「邪神は魔王とは違うの?」


「大昔の世界創世の神話時代に現れた邪悪なる存在です。

 もしかしたら、魔王と繋がりがあると思ったのですが

 私の勘違いだったようです」


ユーエはウンディーネからそう言われてなにか考えてるようだった。

邪神っていうぐらいだから魔王よりも強いんだろうな。


「あ、ウンディーネ様にゃ!!」


「ウンディーネ様!!また、村に瘴気が漂い始めたにゃ!!」


ハイにゃんとテツにゃんが慌ててガスマスクを付けた姿でやってきた。


「私とユニコーンの浄化の力でも瘴気を何とかするのは難しいでしょう;

 どうすれば・・・」


ウンディーネはお手上げと難しい顔してた。


「・・・私にいい考えがあるわ。

 それにはイノーゼとウンディーネとユニコーンの協力が必要だけど」


「わたし?」


「何をするつもりなのですか?」


<何か妙案でもあるのですか?>


ユーエの顔を見てイノーゼとウンディーネとユニコーンは首を傾げた。


「まあ、任せてw」


ユーエは水猫の村と水晶の森がある大空間の天井に手をかざした。

そして、手から光魔法の『レーザー』の魔法を出して

巨大な複雑な模様の魔法陣を描いた。


「これは無属性の浄化の魔法陣よ。

 これにイノーゼとウンディーネとユニコーンの浄化の力を

 注げば永続的に村と森全体が浄化されるわ」


「ここまで複雑な魔法陣を描けるなんて・・・」


ウンディーネはユーエを見て驚きを隠せないようだ。

それで、イノーゼとウンディーネとユニコーンが

それぞれ魔法陣に向かって浄化の力を注いだ。

すると、魔法陣の模様が白く輝き村と森の瘴気が消え去った。


「空気が綺麗になったにゃw」


「空気が爽やかにゃ~www」


ハイにゃんとテツにゃんがガスマスクを脱いで綺麗になった空気を吸い込んだ。

すると、次々と村の家々から水猫たちが出て来て喜んで空気を吸い込んだ。


「ありがとうございます。

 おかげでこの場所が救われました」


<さすがウンディーネ様と契約できる器のお方ですね>


「それほどでもあるよ・・・//」


ウンディーネとユニコーンに褒められて照れているユーエだった。

ついでに、ユーエは水の大迷宮にも魔法陣を刻みこんで

それと村と森のある空間の天井の魔法陣両方の間に溝を掘って、

それにミスリルの線を入れて繋いで浄化を連動させた。

これで水の大迷宮も浄化されて水の精霊の領域は助かったみたいだ。


「じゃあ、無事、ウィキを助け出したし帰ろうか」


「待ってにゃ!!ユーエたん!!

 ハイにゃんも連れて行ってにゃw」


帰ろうとしたユーエにハイにゃんが抱きついてくっついた。


「ユーエたんからはドSの匂いを感じるにゃw

 ハイにゃんをしばいてご主人様になってにゃ!!」


・・・この猫はドSなユーエを気に入ったらしい;

ドMだから隠されたユーエの性癖が分かるのか?;


「ペットか~それもいいかもねw」


「やったにゃ~wwww」


ユーエはハイにゃんをペットにするみたいだ;

ユーエにハイにゃんはすりすりして甘えている。

プレイ用のペット;ますますユーエが怪しくなっていくぜ;


「ちょっと、ハイにゃん;

 勝手に出て行かれても困るにゃ;

 村の警備兵の仕事はどうするにゃ;?」


「あ、それはユキにゃんに任せたにゃw

 もう許可取ってあるにゃw」


「第一種警戒態勢にゃ」


ハイにゃんの言葉にテツにゃんは側にいるユキにゃんを見た。

槍や剣の武器を籠にたくさん背負って武器を構えている

ユキにゃんの姿があった。

やる気まんまんだ;


「にゃははwもう、ハイにゃんのドMは止められないにゃw」


「そうにゃwハイにゃんはドMにゃwww」


「もうハイにゃんにはついて行けないにゃ・・・;」


ケンにゃんがハイにゃんを見てそう言って笑うと

ハイにゃんも胸を張って笑った。

テツにゃんはがっくり肩を落とした。


「ハイにゃん、ずっとユーエたんと一緒にゃw

 さっそくプレイするにゃwwww」


「ここではダメよ」


「にゃw放置にゃ~wwwうれしいにゃw」


ユーエからダメと言われ放置プレイで嬉しさに悶えるハイにゃん;

・・・ユーエの家にまた変なのが増えたな;


「さ、帰りましょう」


「ようやく帰れるな」


「とんだ遠足だったぜ」


「みんな心配してる」


「まあ、貴重な体験ができたし私は良かったわ」


「でも、ウィキさんとのデートが台無しになったのは残念でした」


「にゃ~wユーエたんの家に行けるにゃw

 プレイ部屋とかあるかにゃ?w」


口ぐちにみんな感想を言い合って水猫の村から立ち去る事にした。

「ばいばい~」と他の水猫たちは手を振って見送ってくれた。

水猫たちに「さようなら」と別れを告げて外に向かった。


<私が案内します>


ユニコーンの案内で水の大迷宮を迷わず脱出して

クリア湖の大穴の底に戻ってきた。


「上へ戻るのに水晶の階段を掛けます」


ウンディーネが指をパチンと鳴らすと穴の上に続く水晶の階段が現れた。

キラキラと透明に階段が光っている。


「ありがとうw」


「また、何かありましたらお呼びください。

 ペンダントの中でお待ちしております」


<それではウンディーネ様、人間方。

また、お会いできる日を楽しみにしています>


ユーエがお礼を言うとウンディーネは

ペンダントの水色の宝石の中に吸い込まれていった。

ユニコーンと別れると俺たちは空に続く階段を駆け上った。

階段は湖の端まで続いていて夜明けの朝日の光に輝いて綺麗だった。

湖にうつる日の光と合わさって良い風景だったな。


湖の端に降り立つとアドバーグさんたちが

アークレイ伯爵領の騎士たちを引き連れてやってきていた;

アークレイ伯爵家の人たちも来ている。

げ、大ごとになってるみたいだった。

湖の底へ俺たちを助けに突入する寸前だったらしい。


「お嬢様!!!無事で良かった!!良かったです!!」


「ウィキリードも無事だったようですね」


「ユーエリア?!よかった」


「お姉様!!」


「ユーエリアさん!!」


アドバーグさんとクレアさんは心配そうにユーエとウィキに駆け寄ってた。

ユーエの親父のアークレイ伯爵とユーエの弟のアルフォンス、

それにユーエの義理のお母さんのアークレイ伯爵夫人も駆けつけてきたようだ。


「ええ、大丈夫よ」


「よかった」


「お姉様、無事でホントによかった」


「・・・べ、別に心配したんじゃないですからね」


「素直じゃありませんね(笑)」


「な!!そ、そんな事ないですわ!!////」


ユーエが無事とユーエの家族に言うとみんなホッとしたようだ。

若干、アークレイ伯爵夫人は素直じゃない感じだったけど。

ユーエは心配してくれたのが分かっているのか笑顔だった。

俺たちは微笑ましいユーエたちから離れ、ニッキーたちに目を向けた。


「ん?なんだよ?そのカッコ;」


「完全装備で助けに行こうかと思って」


ニッキーを見ると鉄のフルアーマーの鎧を着ていた;

・・・動きにくそうだが;どうやら本気で大精霊と戦うために用意したらしい。


「ニッキー、カッコ悪い;」


「不恰好です;」


「私もやめろって言ったんだけどね」


マークスとキラとロザンナは一応、

ニッキーに装備をやめるよう注意はしたようだ;


「ふふふふふふふふ、変」


「ははははははははw何それ?」


「くははははははは!!!!似合ってねえな;ニッキー」


「何だよ!!俺は大真面目に

 大精霊と戦おうと思って装備したってのに!!!!」


そんな、鎧に着させられてる感のあるニッキーに

ノッレとイノーゼを含め俺は大笑いした。

ニッキーはそんな俺らを「待てーーー!!」と追いかけはじめた。

逃げる俺たちは無事に大冒険を終えてほっとしたのだった。


<ウィキ視点>


「ウィキさん」


「何だ?」


ざわざわと湖から撤収準備をしている最中、アンナから呼び止められた。

『全快豆』を食べて筋肉痛から回復したらしい。


「私・・・私、ウィキさんの事が好きです!!」


アンナは顔を真っ赤にしながら俺に告白した。


「・・・俺はまだ、恋愛はできそうにないよ」


俺はアイを思い出して表情を暗くした。

まだ、あいつを忘れられない自分もいる。


「アイさんを忘れられないのは分かってます。

 でも、私はウィキさんを愛しています。

 大精霊と戦って気づいたんです夢を諦めきれないなって」


「あ、結婚して子供産んで大往生するって夢?」


「聞こえてたんですか//////」


アンナは顔を真っ赤にした。

俺はあの時、大精霊に向かってアンナが啖呵切った告白が聞こえてた。

・・・あそこまで正直にストレートに告白されてうれしかった。


「告白されてうれしかった・・・。

 でも、戸惑ってる自分も居て過去を昇華できないんだ」


「待ちます・・・。ウィキさんが返事くれるまで待ちます。

 だって、私はハーフエルフですから寿命も長くて気も長いんです」


えっへんとアンナは胸を張った。

ハーフエルフだったのか;気が付かなかった。


「だから、私は宣言します!!

 必ずウィキさんを惚れさせてみせます!!

 アイさん以上の存在になって心を埋め尽くしてあげますから!!」


びしっと俺を指差してアンナはそう宣言した。

ふっ・・・と俺は笑った。


「いいぜ。俺を惚れさせて見せろよ」


「覚悟しておいてください」


俺とアンナはしばらく見つめ合って、ふっと噴き出して笑い合った。

だんだん、他の人を好きになれるかもしれない。

俺の中のわだかまりが解け始めた瞬間だった。

俺を変えてくれるかもしれない。

そう、彼女に期待を俺はしているのかもしれなかった。


つづく


少しだけアンナとウィキの距離が縮まりましたw

アンナもいつかウィキに惚れてもらえるといいですねw

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