第30話:クリア湖
<ユーエリア視点>
1週間後、私たちはアークレイ伯爵領内のクリア湖に向いました。
馬車に揺られて2、3時間と近場だ。
馬車は揺れないよう下にサスペンションがあるので車酔いしないです。
馬車は3台、1つは私とウィキとアンナが乗った馬車(御者はアドバーグ)、
2つ目はリックとノッレとイノーゼが乗った馬車(御者はクレア)
3つ目はニッキーとロザンナとマークスが乗った馬車(御者はキラ)。
それぞれ、道を縦に並んで馬車は走行しています。
「楽しみですね。ウィキさんw
クリア湖ってどんなとこなんでしょ?」
「ああ、確か水がかなり綺麗な所だったはずです」
私の目の前に座ってるアンナが隣のウィキにくっついてます。
それでもウィキは落ちついて使用人モードの敬語でアンナと話してます。
「ウィキさんは湖に行った事あるんですか?w」
アンナはウィキの手を握ってさりげなくアピールしてます。
「大昔に少し・・・」
でもウィキは遠い目をしてあまり動じてないようだ。
その後、アンナはウィキにもたれかかったり
自慢の巨乳を寄せて上げたり
上目づかいで目を合わせようとしたりして必死にアピールしたけど
馬車の中では表立った動きはなかった。
こうして、恋愛に動きなくクリア湖に着きました。
クリア湖はアークレイ伯爵領の中心にある湖です。
湖の水は透明でまるでタロットカードの星のカードみたいに
星の壺(アクエリアス)から流れる水のように綺麗でした。
湖の底が水が透明のせいでよく見える。魚などの生き物はいないようだ。
湖の中心には巨大な穴があいていて滝になっています。
そこはウォーターミストの大滝と呼ばれていて湖の底に激流が流れ落ちてます。
周りには木々が多く、
秋なので紅葉のような葉っぱが紅く萌えていて綺麗でした。
風流に湖面には紅い葉が散らばっていました。
周りの紅葉の景色を映し出してまるで鏡のようで綺麗でした。
「綺麗ですね」
「そうですね」
ムード満点な様子でウィキとアンナは湖の景色に見とれていました。
少しはこれを機会に紅葉のように恋に萌えてくれればいいのですが。
「それじゃあ、湖の周りを散策しましょうか?」
私の言葉にみんなで湖の周りを散策しました。
黄色い銀杏の葉と紅葉の葉が舞って綺麗です。
それが湖に流れて行きます。
「まるで、湖がお化粧してるみたいですね」
「湖を女性に例えるとそう見えますよね。
まあ、湖に住んでる大精霊も女性らしいですから」
「そうなんですか?」
「かなりの美女らしいですよ」
ウィキがそういうとアンナは頬を膨らませました。
「ウィキさんは美しい女性がお好き何ですか?」
「いや、俺は可愛い系が好きです。
美女だと気が強そうで苦手で;」
「かわいい・・・w」
それなら私にもチャンスがありそうwと身体をくねらせ
小声でアンナは嬉しがってました。
「「・・・・(じ~っ、ニヤニヤ)」」
「な、何見てんだよ?」
リックとニッキーはウィキとアンナの様子を見てニヤニヤしています。
ウィキは動揺してニヤニヤ男どもを見た。
「いや~なぁ?」
「やっとウィキにも春が来たのかとw」
どうやらリックとニッキーはデートをデバガメしてるようです。
ニヤリとウィキをからかっています。
「なっ!!俺は別に・・・!!///////」
ウィキの表情を見る限りまんざらではなさそうです。
少しはアンナを意識してるようで安心したわ;
ゴツン!!
私はリックとニッキーをげんこつで頭を殴りました。
「いってーーーー!!!!!(涙)」
「ううう・・・すげえ痛ぇ(涙)」
「2人の邪魔しないの!!!」
私はリックとニッキーにお灸を据えました。
ここでムチ使う訳にもいかないし。
「そうよ;2人の邪魔しちゃダメよ!」
「デリカシーのない男どもね!」
ノッレとロザンナもリックとニッキーにに白い目で見てる。
「リックおにいちゃんとニッキーおにいちゃん、
ニヤニヤ気持ち悪い;」
「気持ち悪い」
「気持ち悪いです」
「気持ち悪いですな」
「気持ち悪いです;」
「「・・・orz」」
イノーゼの気持ち悪いの一言に追随する、
マークスとキラとアドバーグとクレアだった。
リックとマークスは100のダメージを精神に受けた(笑)
「「・・・・/////」」
ウィキとアンナは真っ赤になってた;
すると、ウィキはこれが仕組まれたものだと気づいたようだ。
「まさか、お嬢様、この遠足仕組んだな;;;;」
「さあね?ご想像にお任せするわ。
さ、歩きましょw」
ウィキの追及を流し、私たちはウィキとアンナから離れて歩きました。
遠目で見る限りアンナが押してます。
ウィキと腕も組んでるのでいい感じだわねw
湖の周りを散策し終わったら、
アドバーグとクレアがどこからかイスとテーブルを組みたてました。
(ちなみにイスとテーブルは収納の袋
(質量関係なく入る)に入れてありました。
この収納の袋はユーエリア商会で5000イエンで売ってます。)
ウィキとアンナ用には豪華なカップル用ロココ調な
イスとテーブルを用意しました。
2人をイスに座らせて、
アドバーグは音楽機に録音データの入った無属性の魔道石をセットしました。
~♪~~~~~♪♪♪~~~~♪♪♪♪♪♪
音楽機からクラシックな音楽が流れ出してムードを盛り上げます。
「「・・・・」」
みんなに見られながらウィキとアンナは見つめ合って黙ってます。
時折、用意された紅茶を飲みながらアンナは真っ赤になってます。
ウィキはアンナのドキドキが伝わってかなり気まずいようです;
長い事黙ってる時間が流れアンナが口を開きました。
「・・・あの、ボートに乗りませんか?」
「ボートですか?」
どうやらアンナは湖のボートにウィキを誘うようです。
これも計画の内で2人っきりでボートデート大作戦なのです。
「湖にあるらしいんです。滝を見に行きたいのでご一緒してください」
「もしかして2人っきりで?」
「はいwww」
ウィキはアンナの誘いに戸惑っているようです。
助けてくれと私に目を向けてきましたが
私はアンナと一緒に行けとウィキに目線で命令しました。
ウィキは「はぁ・・・」とため息をつきました。
「分かりました行きましょう;」
「あ、ありがとうございますwww」
ウィキから了承を得たアンナは小躍りしそうな勢いで喜びました。
こうして、ウィキとアンナは2人っきりでようやく過ごせます。
デート後に何か恋愛に進展があればいいけど;
これはアンナしだいだわ;
<アンナ視点>
私はドキドキしながらウィキさんと一緒にボート乗り場に向かいました。
ボートは湖の桟橋にあります。2り乗り用の白いボートが一隻浮かんでました。
このボートはわざわざお嬢様が作って湖にデートの為置いてくださいました。
私は先に乗ったウィキさんに手を差し出されボートに乗ります。
手からドキドキが伝わってなければいいんですが;
「漕ぎますよ」
「は、はい・・・」
ウィキさんがオールで透明な湖の水を漕いで進みます。
それにしても、ウィキさんはカッコいいですw
銀色の輝く髪に二重な神秘的な琥珀色の瞳、
肌もきめ細かくて、私、負けてます;;;
これでも毎晩、化粧水と乳液のパックしてますのに;
って凹んでる場合じゃないです;
何か話題、話題;
「ウィキさんはどのような女性がタイプですか?」
これは気になる所です・・・。
可愛い人が好みなのはさっき分かりましたが詳しい事が知りたいです。
「あ、私は」
「あ、敬語じゃなくてもいいですよ。
飾らないそのままのウィキさんでいいです」
ウィキさんは思案してから普通の言葉で話し始めました。
「さっき行ったように可愛い人が好きだな。
話題が合う人も好きだし。
少し抜けていても愛嬌があれば許せるな」
なるほど、ドジっ子でも良いわけですねw
私もそんな感じが時々ありますしw
(私もときどきお皿を割ったりしてます)
私も好みの範囲に入ってるんですねwこれはいいこと聞きましたw
あ、気になる事があるんでしたw
「そういえば、私、見てしまったんです。
夜中、ウィキさん縛られてムチでお嬢様に叩かれてるのを」
「ごほっ!!ごほっ!!なんでそれを・・;;;」
夜中、私がトイレをしに屋敷を歩いてると
迷ってしまい地下の階段を下りてしまいました。
それで地下室のドアが少し開いてて
そこを覗いたら複雑に紅いロープで縛られたウィキさんと
ムチを持ったお嬢様を見ました。
その事を言ったらウィキさんはかなり動揺して咳き込みました。
「ウィキさん、痛がってなくて逆にすごく恍惚な表情してました;
もしかしてドSな女性がお好きなんですか?
だったら私もお嬢様に頼んでドSの勉強をしてムチを・・・」
もし将来、夜のご奉仕の時にウィキさんの性癖と
合わなかったらどうしましょう;
私もドMなウィキさんのためにドSな趣味を勉強するべきなのでしょうか?
「待った!!待った!!そこまでしなくていいから!!
っていうかアレはお嬢様が特殊なの!!
商会で売り出す夜の道具の実験みたいなもんだし;」
「そうなのですか・・・;」
てっきりウィキさんがドMな趣味な方だと思ってしまいました;
お嬢様の商会の商品の性能テストだったんですね;
私は気を取り直して次に気になる事を聞く事にしました。
「ウィキさんはお付き合いしている方はいるのですか?」
ウィキさんはイケメンです。
(お嬢様からカッコいい殿方の意味って聞きました)
なので、お付き合いしている女性がいるか気になります。
もし、お付き合いしている女性がいたら私は泣きます(涙)
いなくても、もしライバルとかがいたらどうすればいいでしょうか?;
「昔はいたな・・・」
ウィキさんは昔付き合った女性がいたようです;
そうですよね、これだけ美しい人ですもんね;
でも、今はいないみたいですwよかったw
「どんな人だったんですか?」
「最初、彼女に会った時、あいつドジでリンゴがなってる木から
落ちそうになったんで助けたんだ。
それで、取ったリンゴがないって彼女は泣いてたんだけど、
それをポケットに入れた事を忘れてて
1日探しまくってそれから気が付いて
俺、バカって彼女を笑ったっけ;」
間の抜けた方だったんですね;
でもウィキさんの表情をみると
その彼女さんをまだ愛してるように見えて笑ってました。
他に彼女さんのドジな話は続きました。
頭にシャンプーハットを忘れて目にボディーソープが染みて泣いてた話や
ぬいぐるみと勘違いして小熊に近づいて
親熊に襲われて助けて熊と結局仲良くなった話しや
彼女さんはモテモテだったみたいで他の男の人に付き合ってって言われて
どこへ?って言って泣かせた天然な話や
お酒をジュースと間違えて飲んで彼女さんは脱ぎだして大騒ぎになって
大人になったら飲めって怒った話などいろいろ話してくれました。
「それで一緒に過ごしてるうちに好きになって、
俺は他の男どもの告白の失敗例を参考に
『付き合うってどっかに行く事じゃないぞ、
俺と恋人になれ』って詳しく説明してやっと彼女と付き合えたんだ」
理解させるのに苦労したとウィキさんは思いだして少し苦笑いしてた。
かなり彼女さんは天然さんだったんですね。
「それでしばらく過ごして幸せな日々が続いた・・・。
だけど、ある日、とある村に行ったら剣を持った男らに彼女を殺されたんだ」
「・・・!!」
彼女さんは殺されたんですか?!
ウィキさんの衝撃の発言に私はショックを受けました。
ウィキさんは彼女さんが殺されたのを思い出したのか
泣きそうなすごく悲しい顔をしてます。
「その上、その男らに俺は長い間、とある所に長い間閉じ込められた。
それをお嬢様が助けてくれて今がある」
ウィキさんそんな過去があったなんて。
彼女を殺された上にウィキさん自身は監禁されてたなんて・・・。
「・・・なんで泣いてるんだ?ほら」
「あ・・・」
私はいつの間にか涙を流してたようです。
ウィキさんにハンカチを差し出されて涙をふきました。
泣いてしまって恥ずかしい。
「すみません」
「いや・・いいんだ。
まだ、この世界に彼女・・アイを悲しんでくれる人がいてほっとした」
ウィキさんは少し悲しそうにほほえんでそう言った。
「まだ、そのアイさんが好きなんですね・・・」
「ああ、だから俺は・・・」
話を聞くうちに分かってました、まだアイさんが忘れられないんですね;
・・・どうしたらウィキさんを悲しみから救えるんでしょうか?
私・・・。
私はそう考えながらウィキさんを見つめると、その時・・・。
<邪なる魔の者よここから立ち去りなさい!!
さもなければ、私が水の天罰を下します!!>
いきなり湖全体に女性の声が響きました。
な、なんなんでしょう・・・。
「ど、どなたなんでしょう?」
「ま、まさか・・・大精霊?」
大精霊の声?;
大精霊とは魔法の属性の力を管理する自然の精霊の長です。
なんで、大精霊がここにいるのでしょうか?;
<警告は聞き入れなかったようですね。天罰を下しましょう!>
謎の大精霊らしき女性の声がそう言うと、
いきなり水色の水晶の珠が現れてウィキさんが中に入ってしまいました。
「ウィキさん!!!」
「・・・・!!!!!大精霊のしわざか?!」
するとウィキさんの入った水晶の珠は
湖の中心の巨大な穴の中に入っていきました。
ウィキさんが!!ウィキさんが!!
突然の出来事に私は混乱しました。
私はお嬢様たちに助けてもらおうとみんなの所に戻りました。
ウィキさん!!きっと、助け出します!!
つづく
ウィキの過去話が聞けました;
ウィキにもつらい過去があったのです;
そして、ウィキは何者かに連れ去られてしまいましたね;
いったい何者がつれさったのか?