第25話:ウィキとアルフォンスの決闘と姉弟の添い寝
<ウィキ視点>
いきなりお嬢様の弟のアルフォンスに決闘を申し込まれた。
いろいろ誤解しているっぽい;
けど、まあお嬢様から命令されたし決闘するか。
食堂の周りのテーブルやイスが片付けられて決闘できる空間が出来た。
「では、ウィキvsアルフォンス殿の決闘を始めます。
審判は俺、リックが担当します。
ちなみに解説はアドバーグさんとアンナにやってもらいます」
「いや~お嬢様の師であるウィキリードと
お嬢様の弟であるアルフォンス様の戦いですか。
格差は歴然ですが、アルフォンス様には善戦してほしいものです」
「でもでも、個人的には~イケメンのウィキさんに勝ってほしいです~www
ウィキさん、がんばって~wwww」
解説席のアンナから投げキッス飛ばされた;;;;
・・・アピールされても困るのだが;
「では、両者とも剣を構えて・・・」
「ちょっと、待ってください!!
なんで、あんたは木刀なんですか?!」
決闘を始めようとしたら俺の木刀をアルフォンスは不満らしい。
「真剣だと危ないだろ?ハンデだよハンデ」
「ハンデだって・・・!!どこまで僕をバカにすればいいんですか?!
・・・いいでしょう!!手を抜いたまま僕に殺られればいい!!
後悔しても知りませんよ!!」
・・・どうやらアルフォンスをさらに怒らせたらしい。
殺るって・・・;殺す気まんまんだな;
「話は終わったか?じゃあ、決闘始め!!」
リックがそう開始を宣言するとアルフォンスは走って
真剣でこっちへ斬りかかって来た。
俺は木刀を一振りする。
「『進波斬』」
「うわっ!!」
「おっとウィキリードの『進波斬』です」
「ウィキさんの基本技ですね。無属性の魔力を通して地面を走る斬撃ですw
かっこいい~www一撃ですあっけな~www」
俺の地面を走る斬撃にアルフォンスは弾き飛ばされた。
そのまま倒れてる。
解説の2人もあっけなさに呆れているようだ。
「あっけなかったな」
「・・・まだ、まだだ!!」
俺の言葉にまだと言って立ちあがるアルフォンス。
「さっきは油断しただけです!!
『波神剣斬』!!」
「これは、アークレイ家に伝わる剣術の1つ
『波神剣斬』です」
「わわわわ;;;;すごい金色の衝撃波の剣の攻撃です~;;;」
お返しとアルフォンスは黄金の衝撃波の斬撃を連続して繰り出した。
攻撃から金色の魔力反応を感じる。
こいつもお嬢様と同じく全部の属性を持ってるのか;
しかも、アークレイ家に伝わる剣術なのか;
アドバーグさん解説サンキュー。
「はっ、ほっ、やっ」
「避けるなああああ!!!」
「やだ、当たると痛いもん」
俺がそれを楽々避けると怒った表情で次々とそれを繰り出すアルフォンス。
そういえば、アルフォンスはお嬢様より2歳年下だったな7歳だっけ?
7歳で全属性の魔力を操れるとは大したもんだ。
血筋なのか・・・。
「『ガードフィールド』」
俺は『波神剣斬』を結界でガードした。
ちなみに『ガードフィールド』にはこんなこともできる。
「ぐっ!!な、なんだ?見えない壁が当たった!」
「結界の塊を飛ばしたんだよ!!
結構、防御技も工夫すれば攻撃できるし」
「なんと結界を攻撃技にするとは・・・」
「ウィキさん、すごいです~wwww」
次々と『ガードフィールド』を飛ばしてアルフォンスにぶつけた。
アドバーグさんとアンナも感心している。
アルフォンスがズタボロになっていった。
俺はアルフォンスの目の前に立った。
「降参しろ」
「だれが・・・。
く、負けてたまるか!!
お姉様を邪な男から守るんだあああ!!!!
『神剣追牙』!!!!」
「危ない!!」
「きゃああああ!!!!」
一瞬の隙をついて黄金に輝く渾身の突きをアルフォンスは俺にしてきた。
それを見た解説席の2人や周りが叫び声をあげた。
あくまで抵抗するとは・・・。姉LOVEだよねこいつ;
俺はアルフォンスの渾身の突きを木刀で逸らした。
「『魔追撃反斬』」
「ぐはっ!!」
「そこまで!!勝者ウィキ!!」
カウンターで回転させるように俺はアルフォンスの背中を木刀でぶっ叩いた。
そのままアルフォンスは倒れ気絶した。
審判のリックの声が響いた。
「アル様!!!!」
慌ててアルフォンスの従者の少年が駆け寄って来た。
アルフォンスを心配そうに起き上がらせた。
まだアルフォンスは気絶している。
「ウィキリードさんでしたか?
そこまでアルフォンス様を痛めつける必要なかったのではないですか?!」
従者の少年は俺を睨んだ。
「でも、手加減しすぎると逆にそいつは怒ると思うぞ。
奴も男なんだ。納得させるには必要だった」
・・・やるからには全力でやらないと納得しないと思うぞ。
お嬢様の弟ならなおさらお嬢様に似てプライドがありそうだし。
「・・・でも、あなたはアークレイ家の使用人です」
「接待決闘でもしろと?」
「・・・」
俺の言葉に従者の少年は黙りこくった。
手加減したら貴族のプライドに傷が付く事に気が付いたのだろう。
「お嬢様、弟さんをどっかに寝かせといたら?
一緒にいてあげろよ。その方が喜びそうだし」
「・・・そうね。じゃあ、運んで」
「了解」
俺の提案にお嬢様は俺にアルフォンスを運ぶよう命令した。
俺は食堂をお嬢様と一緒に出てアルフォンスを背負って
孤児院のとある一室に運んだ。
<ユーエリア視点>
ここは孤児院内の和室の一室。
和室の畳はイ草に似た草が森にあったのでそれで作った。
布団もちゃんとあり敷布団で和風だし。
私は押入れのふすまを開けて布団を出して敷いた。
ウィキはアルフォンスを布団に寝かせると、
「2人っきりで過ごした方がいい。
邪魔な俺は退散するわ。じゃあな」
そう言って食堂に戻って行った。
しんと静まった和室で私は眠る弟を見た。
弟の金髪の髪を撫でると弟は心地よさそうにしてた。
今は目を閉じてるが開けると父譲りのコバルト色の綺麗な目が見れるだろう。
「・・・まったく無茶して」
それにしても、数回しか会ってないのにシスコンっぽく育ったもんである;
・・・なんで、そこまで私を慕うかな?;
やれやれと私はため息をついた。
しばらく、一緒にいると弟は目を開けたようだ。
「・・・お姉様?」
「起きたようね。気絶したのをここに運んだのよ」
私の言葉にきょろきょろとアルフォンスは視線をさまよわせた。
「珍しい部屋ですね。草の匂いがします」
「和室っていって遠い国の伝統の部屋だそうよ」
「ワシツかぁ~良い部屋ですね」
アルフォンスはこの部屋を気に入ったようだった。
すると何かに気が付いたようにアルフォンスは顔を曇らせた。
「寝ていたってことはあの男に僕は負けたのですね」
悔しいのか手を握って悔しさに震えていた。
「ウィキは私の師だもの。負けて当然だわ」
ウィキは悪魔だから人間の子供に負ける訳ないし・・・(私を除いて)。
「師匠?もしかしてお姉様はあの男と師弟関係なのですか?」
「そうね、いろいろ教えてもらってるわ」
「まさか、部屋に連れ込まれてあんなことやこんなことを・・・」
「何想像してるのよ;子供にそんな事するわけないでしょう;」
真っ青な顔して変な想像しているアルフォンスに私は呆れた。
まあ、私が逆にウィキにいろいろプレイしている事実はあるけど;
私の言葉にアルフォンスはほっとしたようだ。
「そう、そうですよね;」
「それで、何しにここに来たの?
父上たちとは一緒じゃなさそうだし」
勝手に抜け出してきたのかしら?と私が推測してると
「母上とケンカしたんだ。
だって、母上はいつもお姉様の悪口ばっかり言ってるし」
「ああ・・・」
あの義母上は自分の息子にも私の悪口を聞かせてたらしい。
「なんで同じ家族なのに仲良くできないんだろう」
「義母上も複雑なのよ・・・。
私は義母上のお姉さんと似てるからそれで嫌ってるだろうし」
そう義母の姉は私の母でもある。
父の愛した母の面影を見てしまう私は嫌われて当然だからね。
「そのお姉さんが嫌いだからお姉様を母上は嫌ってるのですか?」
「・・・内心は複雑なのよ」
その言葉に憮然とするアルフォンス。
「・・・もう寝なさい。
一緒に寝てあげるから。寝れば嫌な事も忘れるだろうし」
「・・・分かりました。お姉様、お休みなさい」
そう言ってアルフォンスは瞳を閉じた。
私もそっと布団の中に入って眠った。
翌日、ウィキを呼びよせて本邸にアルフォンスがいる事を連絡させた。
向こうはアルフォンスがいなくなって混乱してるようだった。
ウィキによると両親はアルフォンスの無事にほっとしたようで、
すぐにこっちに来るようだ。
念話でそう言ってた。
かなり、父と義母はご立腹のようだが仕方ないだろう。
私は荒れる事を覚悟した。
つづく
結局、アルフォンスはウィキに負けましたね;
それでもユーエリアから添い寝してもらって幸せ者め;
で、次回はユーエリアの父と義母がやってきます;