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第23話:お風呂テーマパーク家族ご招待の知らせと弟の家出

<ユーエリア視点>


お風呂テーマパークが完成したという連絡が入りました。

なので、私、ユーエリア・アークレイは本邸へ出向きました。

一応、家族である父上のグレン・アークレイ伯爵と

義母上ははうえのドヌーブ・アークレイ伯爵夫人に報告と

こけら落としの完成披露プレオープンに

招待しようという訳です。

ちなみに異母弟おとうとのアルフォンス・アークレイは別室にいるようです。


「『お風呂テーマパークぬくぬくの里』?」


「はい、父上。私の経営する商会が技術を全て担当しましたので

父上たちも完成披露にご招待いたしますわ。

もちろん王族の方々はもちろん全ての公爵家の方々も

商人ギルドの方々も来られます」


そう、テーマパーク開発に関わった名だたる代表の人達が

プレオープンに来ます。


「水着で肌を露出してお風呂に入るのでしょう?

 何てはしたない・・・;」


義母であるドヌーブが扇子で口を上品に隠しながら嫌味を言った。


「そういえば、貴族専用の個室露天風呂もあるとか。

 お父様と入るとお義母様かあさまも良いかと・・・。

 うなじに流れる汗。大自然を眺めながらの落ち付いた2人っきりの時間。

 特別に父上と義母上ははうえだけで貸し切る事も・・・」


「・・・!!ぜひ!!ぜひ!!行きましょう!!」


私の甘事に食い付く義母。

それを見て父は苦い顔していた。


「では、家族全員参加という事でよろしいですか?」


「あなたw」


「う、うむ・・・ご招待に預かろう」


父の肩にしなだれる義母に父は仕方なくプレオープンに行く事をOKした。


<アルフォンス視点>


僕はこっそりドアを開けて父上たちがいる部屋を覗きこんでた。

そこにはお姉様もいた。

お姉様とはあんまり会った事ない。

母上がお姉様のいるお屋敷に行っちゃダメって言うんだ。

何で意地悪言うんだろ?母上のケチ!!

部屋に居るお姉さまは金色の流れる髪と同じ色の黄金の瞳で

白い薔薇のコサージュが散りばめられた

フリルのピンクのドレスが似合っててすごく綺麗な人だった。

しかも、ユーエリア商会っていうたくさんのお店を持つすごい商人なんだ!

自分でもの凄いお金を稼いでるなんてすごい!!

なんか、お風呂のテーマパークってところに家族全員で行けるみたいだ。

やった!!お姉様と遊びに行ける!!

僕はうれしくなった。


お姉様がお屋敷に帰っていくと。

僕は部屋に入った。

しばらくして母上が僕に会いに来た。

お風呂のテーマパークに行く事を教えてくれた。


「楽しみだね!」


「私たちは仕方なく行くのです!

 本来なら大勢の前で肌をさらす場所などに行きたくないのに。

 そんな恥知らずな施設を作ったあの子の正気を疑いますわ!」


母上はいつもお姉様の悪口を言う。

なんで、母上はお姉様を嫌ってるんだろう?


「なんで、母上はお姉様を嫌っているのですか?同じ家族なのに!!」


「・・・!!あの子はアルフォンスとは母親が違うのです!!

 この家では半端者なのですわ!!」


母上がそうお姉様を嫌ってる風に叫んだ。


「でも、半分は僕と血がつながってるんだ!!」


「血が繋がっていようとなかろうと

 あんな平民と暮らす娘など近づいてはいけません!!」


お姉様は最近、孤児院の子供たちを引きとって

お屋敷に住まわせてるって父上から聞いた事がある。

平民にも手を差し伸べるなんて優しい証拠だ。

そんな風にお姉様を嫌う母上なんて・・・。


「・・・!!母上なんて大っ嫌いだ!!」


「アルフォンス!!」


僕は泣きながら部屋から飛び出した。

母上の分からず屋!!


僕は屋敷の外に出て泣いた。

なんで、同じ家族なのに仲良くできないんだろう?


「・・・あれ?アル様?こんなとこでなにしてるんですか?」


従者のドーソンが外で剣の稽古をしていたのか僕を見つけて話しかけてきた。


「・・・ひっく・・実は・・・」


僕は泣きながらさっきの出来事をドーソンに話した。


「ああ、奥様ですか・・・;

 奥様も複雑なんですよ;ユーエリア様に

 どう接したらいいか分からないんです」


ドーソンは茶金色の髪を掻きながらしゃがんで

僕に緑色の瞳で視線を合わせて複雑そうにそう言った。

でも、お姉様が自分が産んだ子供じゃないからって母上はあんまりだ!!


「でも、あんな風にお姉様の悪口を言う母上なんて嫌いだ」


「アル様」


「そうだ!!僕もお姉様のお屋敷で暮らそう。

 ドーソン、僕の荷物を持って来て!!」


いい考えだよね。あんな母上と暮らすよりずっといい。

もうちょっとしたら父上も呼ぼう。

父上も味方につければ母上も心を入れ替えるはずだし。

僕の言葉にドーソンは呆れた。


「そんな事をしても連れ戻されるだけだと思いますが;」


「・・・僕の荷物を持ってこないと

 ドーソンが屋敷の100万イエンの壺を割った事、父上に話す」


「すぐ持ってまいります;」


ドーソンはそう言うと部屋からこっそり僕の荷物を持ってきてくれた。


「じゃあ、しゅぱーつ!!」


「はぁ・・・知りませんからね;」


僕たちはお姉様のお屋敷に向けて出発した。

お姉様のお屋敷は僕の屋敷から歩いて30分ぐらいの森の中にある。

僕の曾祖父様が建てたお屋敷だって。

お姉様のお屋敷が見えてきた。

僕の屋敷よりモダンな造りのマナーハウスだなぁ。

こんこんと入口のノッカーを叩くけど誰もやってこない。


「留守かな・・・?

 ま、いいや。入っちゃえ」


「や、ヤバイですよ~勝手に入っては;」


ドーソンが止めるのも無視して僕はお姉様のお屋敷に入った。

あれ?人の気配がしない。なんでだろ?

お屋敷を探しまわるけど誰も居なかった。


「おかしいな~」


「きっと留守なんですよ。帰りましょうよ;」


・・・帰ろうかな?いやいやいや;

あの母上のいる家に帰りたくない!!

そんな事考えていると誰かの足音がした。

とっさに近くの壁に隠れる。


「うっかりしてました~;

 お屋敷の入り口のカギを閉め忘れるなんて;

 今日は孤児院でパーティーなのに~。

 鍵も閉めたし戻りましょw

 ニホンショクのごちそうも出るらしいしwふふふw」


あれはメイドのアンナだっけ?

すごい急ぎながら部屋の中に入っていった。

あれ外に行くんじゃないのかな?

ちょうどいいや孤児院のパーティーに僕も参加しよう。

部屋の中に入ったアンナに孤児院に連れて行ってもらおうと思って

ドアを開けた。


「・・・?!ここはどこ?」


「屋敷の中ですよね?なんでこんなとこに繋がってるんですか!!;;;」


中に入ると木でできた変な組み上げた物や

ブランコや変なローラーが付いた滑り台が向こうに見えた。

奥の方には僕の屋敷より大きな白い建物があって、

近くには牛や豚や鶏などの牧場があってヤギまでいる;

すっごいきゃべつやにんじんやトマトなどが生えてる広い畑もそばにあるし;


「ねえねえ、ここで何してんの?」


おかっぱ頭の小さい女の子が僕の服の袖を引っ張ってた。


「え?;」


「ヤギの乳しぼり行こ、行こ」


僕が戸惑っていると女の子は手を引っ張って

牧場のヤギがいっぱいいる所に連れてった。


「待ってください~」


ドーソンは女の子の足の速さに付いて行くのが精いっぱいだ。

柵の中にヤギが放し飼いにされてて、それぞれヤギは草を食べてた。

そこには孤児院の子たちだろうか?

そばかすのお兄さんと一緒にヤギの乳搾りしている。

絞った乳を鉄の大きな容器に入れてた。


「みんな、よく絞れよ。

 今日のパーティーにそれでレアチーズケーキを作るからな」


「わーいwちーずけーきだ~www」


「ごちそうごちそう!!」


「やったぜw」


「ヤギさんいっぱい出してねw」


どうやら今日のパーティの材料にヤギの乳を搾ってるみたいだ。

ヤギのお乳のレアチーズケーキっておいしいのかな?


「ん?お前、見たことない奴だな?新入りか?

 ユーエの奴、

 この場所を作ったからって王国中の孤児たちをここに受け入れてるからな;」


そばかすのお兄さんは僕を見ながら困った顔した。

ユーエってお姉様の事かな?

どうやらお姉様は国中の孤児をここに招き入れてるようだ。

お兄さんは僕を孤児の子と勘違いしてるようだ。

屋敷を出る前、僕はこっそり楽そうなゆったりとした

シャツと短パンに着替えたから勘違いしてるのかな?


「ほれ、ヤギの乳はこうやって絞るんだ」


「は、はい」


僕はお兄さんにお手本を見せてもらってヤギの乳を初めて絞った。

ヤギってあったかいんだ。

ある程度、絞り終えたら鉄の入れ物のふたを閉めてリアカーに乗せてた。


「俺は今から孤児院に戻ってパーティーのごちそう作ってくるからな」


「ごちそう!ごちそう!」


「ニッキー兄ちゃんの食べ物楽しみなんだよなw」


「オレ、テンプラがいいw」


「わたし、おそばw」


「ここはトンカツだろ?!」


みんな、口々に好きな食べ物を言ってる。

てんぷら?おそば?とんかつ?ってなんだろ?聞いたことない料理だなぁ。


「お前たちは遊んで待ってろよ。じゃあな」


そう言うとニッキーお兄さんはリアカー引いて白い建物の方へ走ってった。


「さ、アスレチックで遊ぼうぜ~」


「早くさいごまで行けるかきょうそうだ~」


「わたしもまけないわ~」


みんなはそう言いながら変な木でできた物に向かって走ってく。

慌てて僕もついていく。ドーソンも慌てて僕の後をついてった。

近づくとロープを編みのように貼ってあるヤグラのようなものがあった。

次々とみんな登ってく。僕も恐る恐る登ってみた結構怖い;

上まで辿り着くと滑車の付いたロープが垂れ下がってる;

下には落ちないように網目のハンモックが掛かってた。


「いくぞ~~~~~あああああ!!!!!」


男の子が叫んでロープに捕まって向こうに流れて行く。

次々と小さな女の子まで向こうにいく。

・・・よく怖がらないな;

僕もロープにつかまってみる。

するともの凄いスピードで動き始めた。


「わあああああああ!!!!」


あっという間に向こう岸のヤグラに付いた。

後からドーソンも「ぎゃあああ!!!」と叫び声を上げて

ロープに捕まって追ってきた。

ヤグラから坂になってる板を下ると太い切り株が高さが違う感じで立っていた。

みんな、それに飛び移って向こうへ行ってた。

僕も飛び移ってみる。


「ほっ、はっ、やっ」


「はあはあはあ・・・ここは体力の訓練場なのでしょうか?キツいです」


ドーソンも文句言いながら渡りきった。

訓練場っぽいけど楽しそうにみんな遊んでるみたいだしなあ;

次は何か平べったい布が張ってあるのにすごい高さで跳んで渡ってる。

僕も飛び乗ると布の反動で高くジャンプできた。


「わ!わ!楽しい!」


「これはすごいジャンプが出来ますw」


「僕の方がすごいよwほらwほらw」


「って5メートルは飛びすぎですよ!!;;」


高く飛ぶ僕にドーソンはハラハラした顔してた。

僕は何回かジャンプすると楽しくなってきた。

他の所に飛び移っても楽しいw

あっという間にそこが終わった。

ドーソンも珍しかったみたいだ。


「跳ねる事の出来る布ですかw

 どんな布で出来てるんでしょうか?

 興味深いです」


「そうだね~wお次は何か動物の大きな看板の絵が描いてあるよ。

 口の部分に穴があいてる」


「アル様、出たり入ったりしないでください(笑)」


「だって、面白いよ~」


どうやらそこをくぐって通り抜けるようだ。

口の穴に出たり入ったりする僕にドーソンは笑ってた。

口の高さが変えてあるのに越えるのが大変だ。

そこを通り抜けると木のはしごを横に高く水平にしてあって、

それにぶら下がりながらみんなが手を伸ばして移動してる。

僕もそれにぶら下がると少し手が痛かったけど向こう側に行けた。

ドーソンは「腕の訓練になりそうですね」と言ってた。


「次はなんか斜めの板にロープが下がってる」


「これも腕力がいりますね」


斜めの板の三本のロープをそれぞれ捕まりながら上がってくようだ。

そこを上がると横に吊り橋があった。

みんな左右に揺らしてる。それにドーソンは慌ててた。楽しいのに。


「何か楽しいね」


「ゆゆゆゆゆ、揺れる;;;」


そこを渡ると木の棒が変な所にいっぱい付いてる小さな塔があった。

みんな器用に登ってる。等の監視塔を目指してるようだ。

登るのに苦労したけどその上はすごい眺めだった。

白い大きな屋敷や広い畑や草原が地平線まで続いてる。


「ここは一体どこなんでしょうか?

 とても屋敷の中とは思えません」


「すごい良い景色」


僕はその景色にドーソンの疑問なんて吹っ飛んだ。

すごい・・・それでいいと思うけど。

一通り景色を見終わると、どうやら滑り台でここから降りるみたいだ。

滑る所にローラーが付いてる。先を見るとものすごい長い滑り台みたいだ。

アスレチックの最初の所まで続いてる。

僕は滑り始めると風になった。ローラーが滑る早さを速くしてるようだ。

ときどき曲がりくねったりしながら滑って風が気持ちいい。


「わああああああ!!!!」


「風に!風になってます~~~~~!!!」


僕は驚きながらあっという間に滑り台を滑り降りた。

ドーソンもうしろから叫び声がして、

ついてきてかなり楽しそうだったみたいだ。


「こんな滑り台があったんですね」


「僕も驚いたよ」


こんな遊び場があるなんてここは楽しい所だなと思った。

向こうにブランコがあるみたいだ。

2、3人乗りなのか木のイスの部分が箱になってる。


「楽しそう。行ってみよう」


「アル様、待ってください!!」


僕らはブランコの方に向けて走り出した。

僕はここに来た目的をすっかり忘れてた。


つづく



家族編の始まりです。

ユーエリアの家族が初めて登場しましたw

ユーエリアの弟のアルフォンスはシスコンですw

結構、書いててシスコンって楽しいと思ってしまいましたw

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