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ドS伯爵令嬢の異世界転生漫遊記(またの名を悪魔のドM下僕受難記)  作者: ねこもどき(ラルク)
伯爵令嬢転生編
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第1話:悪魔との遭遇

エンジェルム王国の名門貴族「アークレイ伯爵家」。

アークレイ伯爵家は王国の建国以来、約400年続く名門貴族です。

私、ユーエリア・アークレイはその名門貴族の伯爵令嬢なのです。


・・・中身は異世界の日本の女子高生なんだけどね。

前世の名前は国府宮優絵こうのみやゆうえ。名古屋人です。


「ふう・・・」


私は別邸の書庫の一室で一見優雅に読書しながらため息をついた。

(ちなみに文字は何故か日本語と同じだった。

王国を建国した人にトリッパーや転生者がいるのかな?)

さすが、貴族の書庫だけあって蔵書が多い。

なんて、感心しつつ今までの経緯を思い出していた。

私が生まれたのは異世界のやんごとなき伯爵家のご令嬢。

家族は父、義母、異母弟がいます。

問題は義母で、もちろん生みの母とは違います。

義母はなんと私の母の妹です。叔母ですね。

実の母は私を生んだ後、亡くなったようです。

母が亡くなった後、娶った妻が義母というわけです。

家同士のつながりから後妻が義母に決まったらしいです。

亡き妻の妹と再婚するとは父も複雑だったのでしょう。

姉妹ドンブリってやつ?


「まあ、当然私は腫れ物扱いになるわけで・・・」


私はアークレイ伯爵家の私有地である森の中の別邸に追いやられました。

私は実母に良く似ているらしく私の顔を見ると面影を思い出すらしいです。

父は亡き母を思い出す悲しみから、義母は嫉妬から居心地が悪くなるわけです。

で、私は森の中の別邸で数人の使用人とスローライフの真っただ中にいます。


5歳で。


「普通の幼子だったら泣いてるよ、まったく」


精神が成熟しててよかったと思いました。

生まれた時から前世の記憶があったのは良かったのでしょう。

別邸と言っても英国のヴィクトリアン・ハウスに似て豪華です。

立派な絵画や絨毯が立派な広間サルーンにアンティ―ク調の家具が豪華な応接間ドローイングルーム

銀の燭台や食器、グラスが並ぶ食堂ダイニングルーム

曾祖父がコレクションしていた蔵書が満載の書庫まで。

いたれりつくせりの屋敷なので満足しています。


ただ、食生活は米や日本食がないので不便ですが。

パンだけじゃ飽きるっつーの!!

ギブミーKOME!!!米!!


「まぁ、食材が豊富なのが救いでした」


エンジェルム王国は農業が盛んなので食糧事情がとても良いです。

しかし、菓子はあまり発展しておらず、

やたら甘い味の砂糖菓子しかないのが現状です。

なんか、甘ければ甘いほど菓子は貴族のステータスになるそうで;

なんじゃこりゃと思いました。

普通のショートケーキは?ザッハトルテは?モンブランは?

せめてクッキーはないのか?

ないんだなこれが・・・;

で、暇なので心機一転、厨房を借りお菓子づくりをして現代の洋菓子を模索して食べている訳です。

今日のお菓子はシュークリーム(自作)です。

王国は酪農が豊富なので生クリームも作れました。

使用人にもおすそわけして好評なので良かった。


「いつかクロカンブッシュを作るのもいいかもしれません」


シュークリームの山を積み上げるのも楽しそうですし。

なんてシュークリームを立ち食いしながら本を探します。

令嬢としては行儀が悪いですが誰もいないのでモーマンタイ(無問題)。


「ん?」


なんだか物々しい銀地に黒い装飾の本を見つけました。

こんな本あったかしら?

なんか呪われそうな本ね;


「読むのやめとこ・・・」


私が本棚に呪われそうな本をしまおうとしたその時・・・。


<おい!!そこの娘!!>


本から声がしました。やはり呪われていたようです。

私は黙って、本棚に押し込もうとしました。


<だーーーー!!!!ちょっと待て!!黙って押しこもうとするな>


「私の日常に呪われた本を不要です。さようなら」


<さようならじゃくて!!!!!ここは気になる~とか開けてみよう!

とか普通のガキはするもんじゃないのか?>


食い下がる呪われた本(仮)。

抵抗するのかなかなか本棚に入りません。


「・・・私は普通の幼子ではないので。さようなら」


<ぐが!!!なんてバカ力だ!>


本棚に力いっぱい無理やり押しこめるとその場から去ろうと踵を返しました。


<待て待て待て!!!そのまま行くなって!!>


しつこい本は本棚から出て浮きあがり、私の目の前に立ちふさがりました。


「・・・ウザいですね」


<さすがに傷つくぞ、その絶対零度な視線と言葉>


「思った事を言って何が悪いのです?このゲス本」


<・・・うわ~ストレートですね~。俺、泣いてもいい?ってか泣くよ(涙)>


ゲス本は何やら傷ついた声で泣いています。

いじめっ子になった気分になったので気まずい。

仕方ないので何用か聞く事にしました。


「で、何の用なの?」


<よくぞ聞いてくれた!!俺、この本に封印されてるのよ。

 だから出してくれない?>


「・・・悪い事して封じられた悪霊か悪魔か魔王の類じゃない?」


<ぎくっ!!>


どうやら図星だったようです。


「・・・さよなら」


私はゲス本から去ろうとしました。

慌てて引きとめようとするゲス本。


<だーーーーーーーーーーーーー!!!!!

 そうさ、そうだけど!!!悪魔って便利だよ!!

下手な人間より魔法も腕力も上だし>


「魂を代価にして願いをかなえる系?」


<ぎくっ!!良く知ってるな・・・>


「さよなら」


再び去ろうとするとゲス本はさらに引きとめます。


<なっ!!せめて俺を本から出すだけでいいから!!何もしないから!!>


「っていうか封印してあるのに何もできない5歳児に何を求めてるの?」


<お前には封印を打破できるほど魔力があるみたいだし。大丈夫だって>


どうやら私は魔力チートだそうです。

わ~い転生特典|(棒読み)


<だからなっ!なっ!頼むよ!>


「ウザい」


<ぐぼっ!!!!!!>


私は思いっきり立ちふさがっている本を殴り飛ばしました。

ウザい本は書庫の隅まで殴り飛ばされました。

あ~すっきりした寝よ寝よ。


「さて、昼寝でもしましょうか」


「くくくく・・・・よくもやってくれたなガキ!!」


私が声のする方に振り向くとウザい本から何やら黒い靄が出て来て人型に形作られていきます。

真っ黒な悪魔らしき物体が姿を現しました。


「さっきのお前のパンチで魔力を吸収させてもらったぜ!!

 おかげで出てこられた、感謝するぜ」


なんということでしょう;

殴ったのが逆効果だったようです。封印が解けてしまった。


「さて、さっきのお返しにお前の魂を喰らってやる!!覚悟しやがれ!!」


もの凄い勢いで襲ってくる悪魔に・・・。


『おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら 

まに はんどま じんばら はらばりたや うん

 おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら 

まに はんどま じんばら はらばりたや うん

 おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら 

まに はんどま じんばら はらばりたや うん

 おん あぼきゃ べいろしゃのう まかぼだら 

まに はんどま じんばら はらばりたや うん』


「ぎゃああああああ!!!!!なんだその呪文は!!

やめろおおおおお!!!!!!」


最強の真言といわれています、

すべての災難を取り望く最強の真言の光明真言を唱えました。

効果はてきめんだ。

前世でお坊さんに習っといてよかった。


「とどめで聖水でもくらっとく?」


「やめて!!ホントマジやめて!!!」


聖水をポケットから出して一滴たらしてみる。

ちなみに聖水は街の教会からもらったものである。


「とける!!とける!!マジいやああああああああ!!!!」


「お~ほっほっほっ!!無能な下僕よ声を出してお鳴きこのブタ!!」


「俺、悪魔で豚じゃな・・ぎゃあああああ!!!!」


「女王様とお呼び!!」


「女王様・・・ぎゃああああ!!!!」


「声が小さい!!」


「女王様ああああああああ!!!!!(涙)」


ドSな女王様が下僕に蝋燭たらしてる感覚に似てきたな・・・;

のってしまった私も私だけど。


「死にたくない?」


「死にたくないです!!」


「なんでもする?」


「なんでもしますううう!!!!」


調教している気分になって来たな・・・;

悪ふざけしてるのもなんだしやめるか。


「じゃあ、今日からあんたは私の下僕ね」


私は聖水をポケットにしまった。

そうすると悪魔はニヤリと笑った。


「油断したな・・・下僕なんてなるかこのやろう!!!!!!!!」


再び悪魔が私に襲いかかろうとしたので

私はビシっと手をかざすと


『闇の心を持ちしもの

 破壊の力を持ちしもの

 悪神なりし眷族よ

 我が世界の理と聖神により

 その力 我に従属せよ!!

 天魔王調教ティム!!』


「なにいいいい!!!!ぎゃあああああ!!!!!」


呪文を唱えると悪魔にチョーカーが付いた。

苦しがっているようだ。


「あー、逆らうと呪文の契約の力によって死ぬから」


「なにぐええええ!!!

っていうかなんで悪魔を従属させる魔法知ってんだよ!!」


「ヒミツwあはw」


「かわいくねえんだよ!!!ぐえええ!!!」


あ~前世でヨーロッパの魔女狩りから逃れて日本に来た

数百歳の魔女から聞いた。

さっきの呪文は実は英語である。読者には分かりやすく

日本語で表記してあるので安心してね。

メタだった・・・;


「くそう・・・なんで、なんでこんなガキなんかに・・・|(涙)」


「やられる方が悪い。あんたは弱肉強食に負けたそんだけ」


「・・・ううう正論なのが悔しい」


悪魔は床に手をついて泣いた。まさにorz状態である。


「で、あんたは今日から私の下僕だけど。

 そのままの姿じゃ色々都合が悪いわね。

 バレたら真っ先に教会から狩られる。

 あ、教会にホモな神父もいるからもしかしたら掘られるかも」


「うわあああああ!!!!!いやだああああ!!!」


コウモリの羽根にヤギの角に真っ赤な瞳。

はい、正真正銘悪魔です。

人間社会からは異端ですね。

ホモな神父に掘られる悪魔。見てみたいかも。

でも、泣いている下僕に免じてここは我慢しておこう。


「なので人間に化けろ。命令」


「って、どんな人間になればいいんっすか?」


「どうしよっか。。。」


私は目ぼとしいモデルが無いか探すと。

壁にかかってある肖像画に目が止まった。


「これ!これにしよう!!」


アークレイ伯爵家初代当主の家族が描かれている肖像画。

その中に美形の執事服を着た男が描かれていた。

銀髪にコハク色をした瞳の色男が当主に寄り添って描かれている。


「美形好きっすね・・・;」


「・・・ホントは黒髪の執事が良いけど版権上無理だし」


「は?」


またメタ発言してしまった;;;;;


「とにかくこれになれ」


「はいはい・・・」


悪魔はしぶしぶ変身をした。

漂っていた靄がなくなり姿かたちが肖像画の執事そっくりになった。


「お~ぱちぱちぱち」


思わず私は拍手をした。ヘタレ悪魔とは思えない美形っぷりですな。


「ヘタレはよけいっす・・・;」


「あ、声に出てた?」


「・・・分かりやすいっすねご主人」


どうやら思った事が声に出てたようだ。

サトラレはいかんね。


「ご主人だとうちの父と被るから私の事はお嬢様と呼ぶように。

 それと、はっきり決めておきたい事が2つある」


「なんっすかお嬢様?」


「1つ、私とその周りにいる関係者は絶対に殺すな。

 命に代えても守り抜け」


このご時世、この世界には盗賊や果てはモンスターまでいる。

外に出たらいつ死ぬかわからないので、用心棒が必要。必須ね。


「分かりました。で、あと1つは?」


「2つ目は私に知識を教える事。

 魔法、武術、錬金術、その他、お前が知る全ての知識を教えなさい。

 えっと、あんた何歳?」


「1000年以上は生きてるっす」


「その1000年間の知識全部ね」


私がそう言うと悪魔がきょとんとして笑いだした。


「ははははは!!!まるでファウストみたいっすね」


「あ~全世界の知識と引き換えに悪魔と契約した奴の事?

 ってなんで地球の物語知ってるのよ?」


「悪魔っていうのは世界関係なくランダムに呼び出されるっすからね~

 その大バカ野郎の事は有名っす」


そんなに有名なのか。

まあ伝説の漫画家が題材にしたくらいだし。


「とにかく以上を守ってくれれば基本的にはいいわ。

 細かい事は別途命令するから」


「はははは!!金でも名誉でも永遠の命でもなく知識を求めるか。

 おもしろい!!

 まあ、お嬢様の生涯仕えてやるよ」


「やる?お仕えさせてくださいでしょ?」


私は冷笑と共にポケットから再び聖水を出した。

悪魔は真っ青になった。


「ま、間違えました!!!

 お嬢様どうかわたくしめをお仕えさせて下さい!!!」


「よろしい。2度目はないわよ?」


「イエッサー!!!!」


こうして私は名もなき悪魔を下僕にした。

あ、悪魔の名前どうしよ?

あとで考えればいいか。


つづく


下僕にされた悪魔がヘタレで哀れ|(笑)

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