第17話:深夜の戦闘
<ノッレ視点>
ジャンさんとリックの火と水の魔法が相殺された後。
「この誘拐犯!!覚悟しやがれ!!」
リックはそう言うと剣でジャンさんに切り掛かろうとした。
すると横からリックに向けてナイフらしきものが飛んできたが
それが何かで撃ち落とされる。
「危なかった・・・」
どうやらイノーゼが弓矢でナイフを撃ち落としてくれたらしい。
「おやおや?小さなレディがやるものですね~」
茂みからステージ衣装と同じ格好をしたガルドさんが出てきた。
「ガルドさんも・・・」
「そ、誘拐犯の一人。女の子に手を掛けるのはイヤだけど仕事だしね~」
ガルドさんを見ると飄々としているが少し悲しそうだ。
「おねえちゃん、ガルドさんはわたしが何とかするから」
「お、小さなレディがお相手かい?気が進まないけどお相手しましょう?」
1人でガルドさんを相手する気なの?!イノーゼ!!
「私も・・・」
「待った。お前らの相手は俺だ」
目の前にジャンさんが立ちふさがって炎の拳で襲いかかって来た。
「倒さないとイノーゼの所に行けないか;」
「イノーゼ!!」
リックは襲ってくる拳を避けながらジャンさんに悔しそうに切りかかる。
イノーゼが心配なのに・・・・。
私は杖を構えて『クラッカーストーン』で敵に石をぶつけた。
早く!!早く!!イノーゼを助けにいかなきゃ!!
<ニッキー視点>
俺、ニッキーだぜ。すごいガラスの音がしたから飛び起きて。
マークスとロゼッタとキラと一緒に執事のアドバーグさんたちと
ユーエの部屋に向かってる最中だ。
まず、屋敷中の明かりを付けた。
なんか魔道具のリモコンのスイッチで屋敷中の明かりを操れるらしい。
すごいな。
「ウィキリードがお嬢様の護衛をしているはずですが油断はできません。
私たちも向かいましょう」
アドバーグさんは冷静に俺たちを指示してる。
さすが一流の執事だぜ。
大広間に着くと端に階段が見える。
2階に行くにはここを上がるんだ。
ユーエの部屋は2階の奥にある。
階段を上がろうとするとすげえ早い石の塊が降って来た。
「こんばんわ。ユーエリア邸のみんな」
「あたしたちとちょっと付き合ってくれる?」
「あ、空中ブランコ乗りの双子!!」
俺が指差すとサーカスの衣装を着た小さい双子の兄妹が横に立っていた。
「アレがお嬢様が仰ってたサーカス団員ですか?」
「小さい子なのに怖いです~」
「子供なのに魔法が使えるのですか?お嬢様みたいですね;」
アドバーグさんが双子を見て苦々しい顔をして、
アンナさんとクレアさんは怯えていた。
「お姉さんたちに怯えられても困るな~
けど、仕事だし」
「あたしたちを見たからには消えてもらうよ」
そう言うともの凄いスピードで双子が襲い始めた。
み、見えない・・・。
でも、アドバーグさんたちを守らなきゃ。
「アドバーグさん!!俺たちに任せて先行って!!」
「キラも弱いんだからアドバーグさんたちと一緒に行きなさい」
「僕たちが相手する」
アドバーグさんたちを階段の上に押しやって、
俺とロザンナとマークスは剣を構えた。
「任せましたぞ!!!」
「お嬢様は私たちが守るわ」
「必ず勝って追ってきてね」
「ニッキーくんたちがんばってください!!」
アドバーグさんたちはそう言うと2階へ上がっていった。
「3人がかりか。でも僕たちのスピードについてこれるか?」
「見えない攻撃は防ぎようがないわよ?くすくす」
双子が俺たちを次々に殴って攻撃する。
「がっ!!」
「ぐほっ!!」
「がはっ!!」
たまに風で飛ばしているのかもの凄い早さの石の弾丸も飛ばしてくる。
「ごばっ!!!」
「ニッキー!!」
うげっ!!もろに岩の弾丸当たった;;;血吐きそう;
ロザンナが俺を見て真っ青な顔してやがる。
「あははは!!!あの顔見た?俺に任せとけって見栄張ったくせにw」
「とんだカッコつけ野郎だよなwあははw」
双子に大笑いされた;ちくしょう・・・;
「じゃあ、もっとスピード上げてみるか?」
「そうしましょwどこまで耐えられるか楽しみね」
もっと速度が上がった双子は俺たちを翻弄し始めた。
ぐっ、傷が増えてきやがる・・・;
どうしたら・・・。
<イノーゼ視点>
わたしは弓矢を構えて襲ってくるナイフを次々撃ち落としている。
ガルドさんは本気でないのか緩い攻撃しかしてこない。
「小さいのにすごいね~誰から教わったの?」
「ユーエおねえちゃんが教えてくれた」
ユーエおねえちゃんは昔、『きゅうどうぶ』ってところで
弓矢を習ったんだって。
ユーエおねえちゃんは百発百中で正確に的に当ててた。
わたしもそれに近づきたくていっぱい練習した。
「へー、あのお嬢様は弓矢もできるのか~。
淑女のたしなみって奴なのかな?」
「だからわたしもがんばる。『レインアロー』」
わたしは弓矢に魔力を込めて白い矢を雨のように降らせた。
わたしの属性は無属性だから衝撃系の魔法が使える。
矢に当たると爆発する。
「うわあああああ!!!って何て恐ろしい攻撃するんだ!!」
降り注ぐ矢の雨に逃げまくるガルドさん。
あ、ガルドさんの横の岩が矢に当たって爆発した。
「あたらない・・・」
「って当てようとしないでよ!!怖いな~;」
どうもガルドさんはすばしっこくて矢が当たらない。
ガルドさんはすると真面目な顔になった。
「どうやら本気で相手するしかなさそうだね」
ガルドさんは真珠の色の瞳を輝かせて
両手に5本ずつのナイフを小声で呪文を唱えて構えて投げた。
あれ?変な方向にナイフが浮いて動いてる。
「俺も無属性の魔法が使える。その名も『サイコキネシス』。
物を浮かせてナイフで死角から攻撃できる。
女の子を殺すのは
ものすごおおおおおおおくイヤだけどごめんね!!」
ガルドさんは泣いてた。
ナイフが見えない所から襲ってくる。
わたしは息を吸い込み魔力を放出させた。
魔力の波が私から出て来てナイフを弾き飛ばした。
ガルドさんの動きが止まった。
「え?;;;;;」
「わたしもごめんね」
わたしは弓矢にたくさん魔力を注いで矢を撃った。
「『マジックショット』」
無の魔力で覆われて巨大になった弓矢がガルドさんに当たった。
「ガハッ!!」
ガルドさんが弾き飛ばされた。
それで地面に倒れ込んだ。
「ははは・・・小さな女の子に・・・負けた・・
でも・・よかったよ・・君を傷つけなくて・・」
そう言うとガルドさんは気絶した。
ガルドさんはホントは優しい人みたい。
でも、一応動けないようにロープで縛っといた。
おねえちゃんたちはどうしてるんだろ?
<ノッレ視点>
リックが前衛で私を守ってジャンさんを攻撃してる。
私は後ろで『クラッカーストーン』でかく乱させて隙を作ろうとしてる。
「『散雨飛沫』」
リックは連続で剣で突いて攻撃してる。
ジャンさんはそれを避けてカウンターで殴りかかるも
リックの盾で防がれている。
「『フェニックスパンチ』」
ジャンさんから不死鳥のオーラが体中に広がり
拳が燃え上がってリックを弾き飛ばした。
「くっ!!」
「まだまだ!!『炎虎爆炎脚』」
さらにジャンさんは虎が喰うような炎の蹴りをくらわせる。
盾が壊れた。
「とどめだ!!『火炎のこ
「待ってたぜ!!『水破大波剣』」
止めを刺そうとしたジャンさんの炎の拳が襲うけど、
盾の破壊された隙に大きな波の凪ぐような斬撃がジャンさんを切った。
しかし・・・。
「はぁはぁ・・まだ、まだだ」
「さすが筋肉がすごい分タフだな・・・;」
それでもジャンさんは拳を地面にぶつけて立ちあがった。
「俺は負けるわけにはいかないんだ。
子供たちのため・・・それにミーロのため・・」
「え?」
傷ついて闘う理由って何なの?ミーロのため?
ジャンさんはホントは闘いたくないんだ・・・。
理由が知りたい。何のために闘うの?
「はあああああ!!!!
『炎舞陣裂牙翔』」
ジャンさんの後ろに炎の翼がきらめきもの凄いスピードで走って来る。
拳を前に突き出し地面が裂けて
その上を大きな炎の鳥が口を開けて飛び、私たちに襲いかかって来た。
「『グランドシェイキング』」
私は呪文なしで土の上級魔法を放った。
ここ3年間で無詠唱で魔法が使えるようになったわ。
地面が揺れ土石流が巨大な炎の鳥とぶつかる。
ドカアアアアアアア!!!
もの凄い音とともに大爆発が起こった。
煙で見えない。
「どこだ?!」
ジャンさんも見えないんだ。
その時、上空でリックの声が響いた。
「上だ!!『アクアスプレットアウト』!!」
プシュウウウウウウウウ!!!!!
ジャンさんの足元にもの凄い水流が地面から噴き出した。
「くがああああああ!!!!」
ジャンさんは水に呑まれ溺れて苦しがった。
水流が収まるとジャンさんは気絶していた。
「やっと勝てたな・・・;」
「そこまで信念を見せるなんて、やっぱり何か理由が・・・」
リックが息を切らせながら着地した。
気絶しているジャンさんを見て。私は何か理由がある事を確信していた。
ミーロあなたは何を抱えているの?
悪事に手を染める理由は何?私は知りたいと思った。
つづく
バトルバトルの回ですw
どうやらサーカス団にはなにやら信念がありそう。
何か理由があるのかも。
次回もバトルは続きますw