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ドS伯爵令嬢の異世界転生漫遊記(またの名を悪魔のドM下僕受難記)  作者: ねこもどき(ラルク)
ブルームテンペストサーカス編
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第14話:サーカスの兄妹と緑の騎士団長からの依頼

<ノッレ視点>


サーカスを見に行った翌日、

私はユーエリア雑貨店本店でイノーゼと一緒に店番してた。

昨日はサムさんとフリッツさんにお店を任せっきりだったからがんばらないと。

バックヤードのお弁当作りはバイトの子たちがやってる。

次期当主になれない次男や三男の貴族や

引退した冒険者や仲良くなった近所の平民の子など

身分を問わず雇っている。

最初はいさかいもあったけど今は仲良く働いてくれてるわ。

店番、商品の出し入れ、

まかない作りなど雑貨店本店長の私らがいなくても

お店を回せるようになってきているわ。

でも、それにしても・・・・


「暇だね~」


「ひま」


私とイノーゼはぼんやりしてた。

開店当初は人が多かったが今は落ち付きそれなりの出入りになってた。

それでも人気店なので売り上げは落ちてないのだけど。


カランコロン。


入り口のドアが開きベルの音が鳴った。誰か来たみたい。

私は笑顔でお客さんを迎え入れた。


「いらっしゃいませ」


「あの~?ここに珍しい飲み物があるって聞いたんやけど?」


紫色のひとつ結びのみつあみの髪に藍色の瞳の言葉が訛っている若い男の人と

男の人同じ髪と目の色の眼帯をしたお下げの女の子がやってきた。

男の人は飲み物を探しているみたい。


「どんな飲み物ですか?」


「透明でしゅわしゅわしてるもんなんやけど」


しゅわしゅわ?ああ、サイダーの事ね。

あの飲み物刺激があっておいしいのよね。私も初めて飲んだ時、驚いたわ。

風魔法であんなにおいしいものができるなんて。

『にさんかたんそ』っていう種類の風を入れるとできるんですって。

ユーエの発想はすごいわね。


「サイダーですね。奥のお弁当コーナーに置いてあります。

 ご自由にお取りください」


「おおきに」


訛った口調の男の人とかわいいおさげの女の子はお弁当コーナーに行った。


「へーいろんな種類があるんやね~」


「お兄ちゃん、普通味とみかん味と青リンゴ味と

ぶどう味と洋梨味っていっぱいあるよ」


「どれにするか迷ってまうな~」


あの2人は兄妹なのね。どおりで似てるわけだわ。

いろいろ種類のあるサイダーの瓶を持って比べている。

私はバイトの店員にレジを任せて、

お盆にいろんな種類のサイダーを入れたコップを乗せて

兄妹の所に持っていった。


「お客様、よかったらサイダーの試し飲みをしませんか?

 気に入った味が分かるかもしれませんし?」


「え?ええの?おおきになお嬢ちゃん。小さいのに偉いなぁ」


私は男の人からなでられた。むう、子供扱いされた。


「小さいって子供扱いはやめてください;

 私はこれでも18歳です!!」


「もしかして、あなたも小人族?」


おさげの女の子がうれしそうに私に聞いてきた。


「そうですけど?」


「私の仲間にも小人族がいるのwへ~他にもいるんだねw」


どうやらおさげの女の子の友達にも私と同じ小人族がいるらしい。


「あ、ごめんな;子供扱いしてもうて;」


「いえ;あ、試し飲みどうされます?」


男の人から謝られてドギマギしてしまった私は慌ててお盆を差し出した。


「もらうわ、これ美味いなぁ~ぶどう味か」


「私はこれ。青リンゴ味がおいしい。しゅわしゅわしておいしいわw」


「ワイはぶどう味が気に入ったわ。

噂通りの珍しい店やな、こんな美味うまいもんがあるやなんて」


兄妹はサイダーを気に入ってくれたようだ。

するとイノーゼが男の人をじっと見ていた。


「もしかして、サーカスの道化師の人?」


「化粧してへんのによう分かったな~。ワイそこの団長やねん。

 もしかして見に来とったん?」


「うん」


あ、よく見たらあの道化師だわ!!化粧してなかったから気づかなかった。


「あ、綱渡りのおねえちゃんだ!」


「よく、分かったわねw

 あの時は髪の色も染めてて髪型も違ってたのにw」


「魔力反応が同じなの」


イノーゼはにこにこしながらそう答えた。

魔力の力が強いのか個人の魔力の違いも分かるようになってる。

道化師の男の人とおさげの女の子はすごく驚いていた。

あの綱渡りのお姫様がこの女の子!!確かに顔立ちがかわいくて似てる。


「あの!!私、あなたのファンです!!握手してもらえませんか?」


「応援してくれてありがとう。もちろんいいわよ」


私は緊張しながら綱渡りのお姫様に手を差し出した。

お姫様はにっこりしながら私と握手してくれた。


「そうだ!出会えたのも何かの縁だし、

友達になりましょう。敬語もなしでいいし」


「え?いいの?」


「友達、友達w」


「そうやなwこんなかわええ女の子たちと友達になれるやなんて、

ミーロ幸せモノやなw」


どうやら、お姫様と友達になれるみたい。やったw

イノーゼも友達友達とはしゃいでいる。


「改めて自己紹介するわ。私はミーロ。

 そこのぼさっとしたお兄ちゃんの妹よ」


「ぼさっとしたはよけいや;ワイはフロドいいます。よろしゅうに~。

 あ、フロドだけにお風呂はきちんと毎日入っとるで~

 お風呂度数は100%や」


「お兄ちゃん寒い」


「ガーーーン;;;;:」


フロドさんの寒いだじゃれに突っ込むミーロに私は笑った。


「私はノッレ。この雑貨店の店長やってます」


「わたしはイノーゼ」


私もイノーゼと一緒に2人に自己紹介した。

フロドさんは驚いて私を見た。


「店長?ここは本店やし;

 もしかして、ノッレはユーエリア商会の社長なんか?」


「いえ、社長は別の人です。私は雇われ店長です」


「そっか~。ワイも雇われ団長みたいなもんで、怖い人がおるんや」


「・・・お互い上司には苦労してるみたいですね;」


「まったくやで;」


どこも上下関係というものは苦労するものみたいね;

フロドさんと一緒にため息をついた。


「あ;少しお話しましょうwサーカス見に来てくれたのよね?

 楽しかった?」


「楽しかった~」


「昨日見に行ったわ。すごいサーカスの芸だったわね」


少し昨日のサーカスについて話した。

火吹き男がすごかったとか、ナイフ投げがハラハラしたとか、

空中ブランコが華麗だったとか、色々話した。


「でも、綱渡りがいちばん綺麗だったわ!!」


「ミーロおねえちゃん綺麗だった」


「ありがとう」


私たちに褒められるとミーロは照れて笑顔になった。


「でも、最後の猛獣使いのショーは少し笑えたわね;」


「あ~かんにんでしたわ~;あれは予想外で、

 あの後、ライオンを調教するよう

 猛獣使いのルルシアに言うといたさかいに;」


フロドさんがが苦笑いしながら昨日のショーの事を謝ってた。

あれは予想外の出来事だったらしい。


「お兄ちゃんのライオン姿面白かったわ(笑)」


「わたしも笑った(笑)」


ミーロとイノーゼは昨日の事を思い出したのかくすくす笑った。


「笑い取るのが道化師の仕事やからなw」


そう言いながらフロドさんはピースサインをしてた。

本職の芸人らしく道化師の化粧してなくても笑える雰囲気があるわね。

それで、一通り笑い終わるとミーロとフロドさんは

青リンゴ味とぶどう味のサイダーの瓶を

レジに持って行って会計を済ませてった。


「じゃ、またサーカスに来てな。しばらくは王都におるさかい」


「ノッレ、イノーゼちゃんばいばい」


「ばいばい」


「ばいばい~」


サイダーの入った袋をミーロとフロドさんは帰って行った。

新しく友達ができて私は1日楽しく仕事が出来た。

しばらくミーロとフロドさんはお店に遊びに来るようになり楽しかった。


<2週間後、ユーエリア視点>


私、ユーエリア・アークレイは別邸の客間で

緑の騎士団の騎士団長ジークハルト・シュタイナーと面会していた。

ジークハルトは緑の長髪に紺の瞳を潤ませながら話し始めた。

細マッチョなイケメンが台無しである。

リックもその隣に座り話を聞いている。

ちなみにウィキは隣室で待機していてここにはいない。

ジークハルトはリックの口利きで私に何か頼みをするために来たとの事。

なんだろう?


「ユーエリア様。

ここ最近、王国中で年頃の貴族令嬢が何者かに攫われる事件が

多発しているのを御存じですか?」


「初耳ですわ」


私はジークハルトは沈痛な顔つきでさらに続けた。


「貴女にも誘拐の危険があります」


「私は令嬢と言っても子供なので誘拐されないのでは?」


私の言葉にジークハルトは怪訝な顔をした


「いえいえ;貴女は9歳の子供には見えませんよ;;;;」


「あ、背も高いし年齢にしては胸が少し大き


「なんか、言った?リック?」


「いえ何でもありません!!!!!」


私の睨みに怯えるリックだった。

怯えるくらいならセクハラ発言するなっつーの!!!


「それで本日は注意喚起と頼みがあってここに参りました」


「頼みですか?」


「ユーエリア嬢は子供ながら商会を発展させた

 類稀なる頭脳をお持ちと殿下から伺いました。

 なのでその頭の良さを信用いたしまして誘拐事件を解決してほしいのです」


「私に探偵の真似事をしろとおっしゃるのですか?」


私の冷たい口調にジークハルトは負けずに続ける。


「無茶なお願いは分かっているのですが。

 わらをもつかむ思いでお願いします。

 騎士団と表向き繋がってない貴女なら犯人も油断してくれそうですし」


「手がかりとかはないのですか?

騎士団が手がかりも掴めない無能とは思えませんし」


私の言葉にジークハルトは意を決して口を開いた。


「手がかりとしてブルームテンペストサーカス団の巡業地と

 貴族令嬢誘拐が起こる街が被っているのです」


「この前、私、そのサーカス団見に行きましたわ」


「そのサーカス団が黒に近い灰色なのです」


どうやらこの前のサーカス団が誘拐事件の犯人の可能性が高いという。


「では、そのサーカス団を調べればよいではありませんか?」


「騎士団のほうでも潜入捜査をしようとしたのですが。

 騎士団員の正体がバレているのかサーカスの入団テストに

 捜査員がすべて落ちまして」


どうやら騎士団員の顔が割れているらしい。

そうなると犯人が貴族階級と繋がってる可能性が高い。

犯人が社交場で情報を得ている可能性がある。

騎士も平民とはいえ最下層な貴族扱いなので

夜会や舞踏会に出てるから全員の顔が割れてるはずだ;

ちなみに私は9歳なので社交界デビューはしていない。

少なくとも2、3年後でないとね;


「で、私に潜入捜査をしてほしいと?

 私は芸はできません」


貴族なのでそういうことは無理。

まあ運動神経は良いのでできないことはないけど、

表向き貞淑な伯爵令嬢ですからね;

私が渋っているとジークハルトがイスから降りて土下座し始めた。


「じ、ジークハルト殿?;」


「お願いします!!強制捜査もできずお手上げなんです。

 なにとぞ、ご協力をお願いします。

 どんな手段でもいいですから捜査してください!!」


プライドも何もないわね;この騎士団長;;;;

困ったなあ;


「俺からも頼むよ;ジークハルトには小さい頃から世話になってるんだ;

 そういえば、

 シュタイナー公爵領は紙の材料であるパルプの木が多かったよな?

 あれと引き換えに依頼受けてみないか?」


「パルプ!!」


リックにも頼まれて私は考え直した。

パルプの木は紙の原材料です。

最近、出版社と印刷会社を商会で買収しましたので

紙の材料が足りなかったのよね;


「いいでしょう貴方の領のパルプの木を低価格で定期的に

商会が購入するという契約で依頼受けましょう」


「ありがとうございます!!」


ジークハルトは顔をぱっと輝かせて喜ばせた。

私の手を握りぶんぶんと振り小躍りしている。

面倒な事になったなあ・・・;

サーカス団を捜査するって黒い執事の漫画じゃないんだからさ;

私はため息をついた。


つづく

さて、緑の騎士団長から依頼を受けたユーエリア。

どうやってサーカスを調査するのでしょうか?

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