第98話:ハイにゃんのドM初め(前編)
<ユーエリア視点>
クリスマスも年末も過ぎて年が明けました。
エンジェルム王国でも地球の日本と同じように
年明け3日間は休む人が多いです。
もちろんアークレイ伯爵家でも例外ではありませんでした。
ちなみに私はさすがに正月は別邸ではなく本邸にいました。
「お姉様、このコタツは温かくて気持ちいいですね」
「ぬくぬくw」
アルフォンスとイノーゼがコタツに入ってぬくぬくしています。
アークレイ伯爵家本邸でも和室が導入されて、
それと共にコタツも置いてあります。
エンジェルム王国では和室ブームが起きるぐらい和風の文化が馴染んでます。
貴族の屋敷には必ずあるレベルです。
コタツは中の熱の魔法陣の掘られた鉄のホットプレートで
40度熱が維持されている。
ホットプレートの周りには金網で安全に囲ってある。
外見や仕組みは地球の日本のコタツとほぼ同じで重宝してます。
「コタツに入りながら食べるみかんは最高だな」
「みずみずしい果実を食べるとお肌にいいですものね」
父上と義母上もコタツに入りながらカゴに入ったみかんを食べている。
なんか、見た目外国人風なのがギャップを誘うわね。
「お茶をお持ちいたしました」
ウィキが和室の襖を開けてお茶を持ってきた。
コタツの上に緑茶の入った湯のみを置く。
ちなみに湯のみにはそれぞれ家族の名前が入っている特注品である。
(ユーエリア商会では湯のみの名前入れサービスも行っている)
「やっぱり年明けには緑茶よね」
「落ち着きますね」
「のんびり」
私が湯のみの緑茶をすするとアルフォンスとイノーゼも続いてずずっと飲んだ。
「緑のお茶は最初、色に戸惑ったがこうして飲むとおいしいな」
「さっぱりとしますわ」
父上と義母上も緑茶を味わっていた。
初めて2人が緑茶を飲んだ時はかなり拒否感を示していたが
今は普通に飲めるようになった。
「正月の3日間はまったりと過ご・・」
「ユーエたーーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!」
私がコタツで寝転ぼうとしたその時、
ハイにゃんが襖を開けてバーンと入ってきた。
何事なのよ!!
「ユーエたん!!!ハイにゃん、欲求不満にゃ!!」
「よ、欲求不満?」
一体何言い出すんだ?この猫は?
「ユーエたんに最近しばかれてもらってないにゃ!!
ずっとクリスマスライヴの練習ばっかりで構ってもらってないにゃ!!」
「あ~そういえばそうだったわね」
年末にかけてライヴで超忙しかったから
ハイにゃんをそういえば、しばいてない。
プレイもご無沙汰だった。
「ハイにゃん、放置されるのは嬉しいにゃけど;
ずっと放ったらかしで忘れられるのも嫌にゃ!!」
「あ・・・ごめんごめん;」
ハイにゃんに済まなく思って撫でた。
「なでなでするより、しばいてにゃあああああああ!!!!!
ハイにゃん刺激が足りないにゃあああ!!!!」
「・・・かなりキテるわね」
ハイにゃんの欲求不満度は120%だ;
目が血走ってるし・・・;
「ハイにゃん、ドM初めを要求するにゃ!!」
「ドM初めって・・・・;」
「姫初めみたいなものか?」
ハイにゃんがドM初めをしろと言ってきた;
なんなのよドM初めって;;;
ウィキも何を想像したのか、いかがわしい用語を言ってるし。
「姫初めってなあに?」
「・・・//////」
ほらイノーゼが聞いてくるじゃないのよ;;;
アルフォンスは意味を知ってるのか顔を真っ赤にしてるし。
っていうか弟はなんで知ってるのよ;
「淑女はまだ知らなくていい事ですわ;」
「イノーゼが結婚する頃には分かるだろう;」
「?分かりました」
義母と父も気まずそうにそう誤魔化した。
イノーゼは無垢そうに分かりましたと言った。
イノーゼは無垢なままでいてほしいわね;
「ユーエたん!!!早くにゃああああ!!!」
「はぁ・・・分かったわ
この変態猫おおおおおおお!!!!!!!」
バチーーーーーーーーーン!!!
私は自前のムチでハイにゃんをしばいた。
ハイにゃんは恍惚そうな顔をしている;
「今年一発目の萌だにゃあああああ!!!!!!」
「「「「・・・・;」」」」
そんなハイにゃんを見て私の家族は微妙な顔をしていた。
「にゃあ!にゃあ!にゃあ!
まだまだ物足りないにゃあああああ!!!!
もっとしばくのにゃ!!!!」
「・・・;」
さすがに私もハイにゃんのドMさ全開には引くわ;
無言で私はムチでハイにゃんをしばき続けた。
びしっ!!ばしっ!!びしっ!!
「にゃあああああああ!!!!!!!!
これでオードブルは終了にゃ」
「ってしばきを料理に例えないでよ;;;;」
どこのフルコースだよ!!!!
プレイのフルコースなんて変態だな;;;
私は皿に乗ったハイにゃんを思い浮かべた;
なんか・・・食べれなさそうだわ;;;
「次はメインディッシュにゃあああ!!!
外に出るのにゃ」
「え?外?」
私は興奮するハイにゃんに庭に連れだされた。
そこにはプレイ用の道具が並んでいた。
「っていつの間に道具を外に出したのよ!!!」
「野外で露出プレイをするためにゃw」
ろ、露出プレイ・・・;
ハイにゃん・・・そこまでドMってたか;;;;
「・・・さすがに明るい日の下でこの道具を見ると引くなあ;」
「・・・段々、娘が壊れていく(涙)」
「あの猫は害悪ですね;」
「おかあさま、なんでわたしの目を隠してるの?」
「教育上よくないからよ;;;;」
ウィキは庭に出されたプレイ用の道具に引き、
父上は私を見て涙目になって、
アルフォンスはハイにゃんを心底イヤそうに見ていた。
義母上はイノーゼの目隠しをしていた。
義母上の言う通り教育に悪いわね。
「それにしてもこんなに巨大な道具どうやって運んだんだ?」
「ノッレたんとニッキーたんと
マークスたんとロザンナたんとヒデトたんに運んでもらったにゃ;」
「あいつら・・・」
庭に置いてあるプレイ用の道具は巨大でとても持ち出せるものではない。
なのでウィキが訝しげに思っていると、
ハイにゃんが運んだ犯人を言った。
私はそれを聞いて頭痛がした。
代表してノッレに念話で確かめてみる。
「ノッレ!!!!今どこにいるの!!!」
<え?ユーエ?私はニッキーたちとリックのいるお城にいるわ。
今、かるた大会を陛下とノブナガさんたちとやってて・・・
あっ!!札取られたわ;;>
のん気にお城でかるた大会ですか・・・;
今、私はハイにゃんのせいで家族間が微妙な空気になってるのですけど;
「・・・(怒)」
<ゆ、ユーエから怒りの魔力が伝わってくるわ;;;;>
念話からでも魔力を通じて私の怒りが分かるらしい。
「私が怒る理由、分かってるんでしょ(怒)」
<ご、ごめんなさい!!!!!!;;;;;;
ハイにゃんが昨日、欲求不満で暴れて仕方なく・・・>
どうやらハイにゃんは昨日欲求不満で暴れたらしい;;;
それでこの結果か;;;
<・・・ロザンナなんかデザインしたドレスまで
ハイにゃんにめちゃくちゃに引き裂かれたわ;
他にも被害が出て別邸の一部の壁が半壊に・・・;>
「あ・・・;分かったわ;
ユーエリア商会の金庫から修理費出して直しとくから;;;」
どうやら予想よりヒドい被害が出てるらしい。
ペットの不始末は主人である私の責任なので
フォローを後でしておこう。
<ハイにゃんを鎮められるのはユーエしかいないわ;>
「分かった。私がきっちりハイにゃんにお仕置きするから」
<・・・がんばってね;>
「・・・善処するわ」
私はそう言って念話を切った。
腰に下げたムチを取り出しギュッと握る。
私はふつふつと怒りのオーラが湧いてきた。
「・・・ハイにゃん(怒)」
「は、ハイにゃ!!」
私はハイにゃんを怒りの形相で睨みつけた。
ハイにゃんは期待した表情で私を見ている。
「昨日は別邸で暴れたそうね・・・(怒)」
「にゃ!!バレたにゃ!!!!!!!」
昨日暴れたことは本当みたいね。
ハイにゃんは焦った表情をしている。
「きっちりお仕置きするから覚悟しなさい!!!!
このバカ猫!!!!!!!!!!!!!!!!!」
バチーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!
私の怒りが含んだしばきがハイにゃんに炸裂した。
「にゃあああああああ!!!!!!!!!
いつもより刺激が強いにゃあああああ!!!!!!!!!」
ハイにゃんは超気持ちよさそうな顔をしてふっとばされた。
「・・・ゆ、ユーエリアが怖い;;;;;」
「あんなに怒ったユーエリアさんは初めて見ますわ;」
「あらら;お嬢様本気だな;」
「お姉様のそんな姿見たくなかった(涙)」
「ユーエおねえちゃん強ーい」
家族も私の怒り様にかなり引いていた。
ここまで本気で怒らせるとはハイにゃんの奴め・・・;
スペシャルドSコースでお仕置きする必要がありそうね。
このままで済むと思ったら大間違いよ!!!
私はムチをびゅんびゅん振り回しながら怒りを発散していた。
「こ、興奮するのにゃあああああああ!!!!」
「・・・」
ハイにゃんは嬉しそうに興奮していた。
このまま怒っても逆効果なのが癪に障るわね;;;;
でも、このまま放置してまた暴れられても困るし;;;
はあ・・・かなりジレンマだわ;;;;
ドMを反省させるにはどうしたらいいのかしら?
私はかなりハイにゃんの処遇に困った。
扱いに困る猫である。
つづく
ハイにゃんはユーエリアを怒らせましたね;;;
・・・ハイにゃんはどんなプレイをさせられるのでしょうか?
次回に続きますw