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ドS伯爵令嬢の異世界転生漫遊記(またの名を悪魔のドM下僕受難記)  作者: ねこもどき(ラルク)
エンジェルム王国のクリスマス編
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第91話:リックのベースの苦悩と吟遊詩人との出会い

<リック視点>


クリスマスまであと2週間を切った。

ある程度まではベースを弾けるようになったけど、

俺はある曲でつまづいていた。


「なんだ!!この複雑なコードは!!」


「『ST●Y AWAY』は最初のベースソロが一番見せ場だからなぁ;」


ラ●クの曲の『ST●Y AWAY』の最初のベースソロに

俺は苦戦していた。

タクミも苦笑いしながら俺の練習を見てくれてる;


「見せ場かあ・・・;

 失敗したら大恥だよな;;;;」


「そうだよな;出だしでこけたら

 曲が始まらないし;」


俺はその光景を想像して顔を真っ青にした。

ライヴは約4万人は入る場所でやるそうだ;

・・・大勢のお客に白い目で見られたら俺、心労で死ぬ!!

死ぬよ!!!


「・・・ムチで調教してもこの曲だけは

 かんばしくないわねぇ・・・;(苦笑)」


「ユーエ、ムチを持って凄むのはやめてくれ;;;」


ここ1週間、ムチで調教してユーエも俺に教えていた;;;

今までの練習を思い出すと涙が・・・(涙)。

手にムチの跡ができたぞ;;;;


「しかし、もうその演奏会まで2週間もないぞ」


「そうだな、1週間後には会場でリハーサルやるし」


ライシンとヒデトが俺を見ながら苦い顔している。

俺、もしかして足引っ張ってる?


「・・・このままだと形にならないわね。

 こうなったらこの曲を外してライヴやるしかないのかしら?」


「ちょっ!!待ってくれ!!」


ユーエはこの曲を外すと言い出した。

俺の見せ場がなくなる!!!それはかんべんしてほしい!!


「俺、がんばるから!!この曲を外すのはやめてくれ!!」


「でも、ベースソロ上手うまくできないんでしょ?

 あと1週間で形にならなかったらさすがにマズいわ」


あと1週間・・・・;ユーエにそう言われて

俺は自分の指をじっと見つめた。

指さえ上手うまく動けばいいのに・・・;


「・・・頼む!!!あと1週間、いや3日でいいから

 俺に時間をくれ!!」


「・・・できるの?」


「・・・たぶん」


俺が必死に頼み込むとユーエは冷たい表情をしてできるのか聞いた。

俺は自信がなくて、たぶんとしか答えられなかった。


「・・・このままできなかったら

 その辺の吟遊詩人に頼み込んで

 この曲だけベースを弾いてもらうことにするから」


「く・・・・ち、ちくしょおおおおおお!!!!!」


別の奴に弾かせるというユーエの一言に

俺は悔しくなって音楽室から飛び出した。

俺は悔しくて悔しくて涙が出た。

気が付くと別邸のワープポイントから王都の2番街まで逃げて来ていた。


「はあ・・・;

 俺、カッコ悪いよな・・・;」


自分ができないことから逃げ出したなんて

男としてカッコ悪いよな。

自分の無力さに打ちひしがれながら王都の街をとぼとぼと歩いていた。


すると、軽快な音楽が流れてきた。


「これはギターの音か?」


そういえばユーエリア商会でエレキギターを売り出したって言ってたっけ。

エレキギターの弾き語りなんて珍しいよな。

そう考えながら音のするほうへ歩いて行った。


「わっ・・・」


そこにはエレキギターを弾いた吟遊詩人だろう

青い目でピンクのショートカットの髪の女の子が道の端で歌を歌っていた。

澄んでいる明るい声が周りに響いている。

周りにちらほらお客さんもいるようだ。

俺はその女の子のギターの音を聞いてうやらましいと思っていた。

あんだけ自由に指を動かせるなんてすごいよな。

すると曲が終わったのかお客さんが拍手していた。

俺も拍手をする。


「・・・ん?君も吟遊詩人?」


「え?ま、まあな;」


女の子が俺を見つけてそう問いかけた。

あ、俺、ベースを肩に掛けたままで飛び出してきたんだった。

俺は吟遊詩人ということにしてごまかした。


「それ、ユーエリア商会のTOモデルのベースじゃん!!

 すごい高くて手に入らないんだよ!!」


俺のベースを見て女の子は驚いた表情をしてた。

これってそんなにレア物だったのか;;;


「ねえ、私と一緒に演奏してみない?」


「え?でも、俺、ヘタだぞ;;;」


女の子から一緒に演奏しないかと誘われた。

俺は突然誘われてドギマギした。


「いいの!いいの!!

 音楽って楽しむ物でしょw

 上手うま下手へたは関係ないのw」


「え?ちょ・・;」


そう言って女の子は俺の手を引っ張って

前の方に連れてかれた。

お客さんたちが俺に視線を集中させる。


「私が適当に弾くから

 君も適当に合わせてw」


「・・・分かった」


女の子がギターを引き始めた

かなり軽快な曲で俺もノってベースを弾き始めた。

女の子の音につられて俺も楽しく演奏する。

こんなに楽しく弾けたのは生まれて初めてだった。

音楽ってこんなに楽しいもんなんだな。

そして、1曲弾き終わるとお客さんから拍手された。

お客さんも楽しんでくれたみたいだ。


「君、上手うまいじゃん!!」


「え?そうか?;」


女の子から褒められて俺は照れた。

女の子の笑顔に俺は見とれてしまった。

結構、かわいい女の子だった。


「君も吟遊詩人目指してるの?」


「似たような物かな?;

 今度、ライヴ、演奏会することになってるから;」


「演奏会!!もういっぱしの吟遊詩人なんだね!!」


女の子から尊敬の視線を向けられて俺はちょっと困った。

俺、そんなに有名じゃないんだけどな;


「あ、自己紹介がまだだったw

 私、カミーユっていうの」


「俺はリックだ」


女の子はカミーユっていうらしい。

結構かわいい名前だな。


「リックはもう吟遊詩人になってて偉いね。

 私もデビュー目指してるけど、まだまだ半人前で・・・」


「カミーユはギターも歌も上手いじゃん!!」


カミーユは全然半人前じゃないよ!!

なんか惹き込まれる何かがある気がするし。


「ありがとw

 でも、親からは吟遊詩人なんてやめなさいって

 反対されているんだ。

 それで、最近悩んでて・・・」


親から反対されてるなんて

カミーユ歌が上手いのに・・・。

俺はカミーユの暗い顔を見てなんとかしてあげたいと思った。


「カミーユは吟遊詩人になりたいんだよな。

 だったら吟遊詩人の素晴らしさを親に分からせればいいじゃん!!」


「でも、どうやったら伝わるかな?」


俺の言葉にカミーユはどうやったら親に伝わるか聞いてきた。


「一度、演奏会に招けばいいじゃん。

 有名な演奏会を見れば考えが変わるかもしれないし」


「そうかな?」


音楽の素晴らしさを見ればカミーユの親も考えを変えるかもしれない。

そうだ!!いいこと思いついた!!


「カミーユ!!俺の演奏会に参加しないか?」


「リックの演奏会に?」


「かなりデカいライヴを12月25日にやるんだ!!

 4万人のお客さんが見に来るんだぜ!!」


「よ、4万人!!」


俺はカミーユをライヴに参加させようと思いついた。

4万人のお客さんの前で弾くと知ってカミーユはびっくりしていた。


「そ、そんな大勢のお客さんの前で弾くなんて無理だよ!!」


「カミーユの才能ならできるって!!

 俺だってヘタだけどやるつもりだぜ!!

 それに言ってただろ!!音楽は楽しむ物だって!!

 楽しんじゃえば緊張なんてなくなるよ!!」


「・・・で、でも」


カミーユは俺の誘いに戸惑ってた。


「そんだけ大勢の前で演奏すれば

 吟遊詩人に箔が付くはずだぜ!!

 絶対、カミーユの親も考えを改めるはず!!」


「・・・私でいいの?」


「カミーユだからいいんだ!!」


俺は笑顔ではっきりとカミーユにそう言った。

するとカミーユは決意した表情をした。


「分かった。リックの演奏会に参加させてください」


「よっしゃ!!じゃあ、責任者のユーエに話さないとな!!」


「え?どこ行くの?;;;」


俺は戸惑うカミーユの手を引っ張ってワープポイントを経由して別邸に戻った。


「リック、どこに行ってたのよ?;

 ってその女の子は?」


突然、カミーユを連れて戻ってきた俺にユーエリアは怪訝な顔してた。


「ユーエ!!この子もライヴに参加させてほしい!!」


「突然なに?」


「実はかくかくしかじかで」


俺はユーエにカミーユに会った経緯とライヴに参加させる理由を話した。


「ふ~ん、吟遊詩人を目指してるのね」


「そのカミーユってギター上手いのか?」


「結構、良いギターを持ってるな」


「ふむ、一度弾いてみてくれないか?」


ユーエとヒデトとタクミとライシンは興味津々で

カミーユを見た。

一度、弾いてみてくれないかとライシンに言われて

カミーユはドギマギしつつもギターを弾き始めた。

軽快な曲を弾いてみんな音を気持ちよさそうに聞いている。


「この子、すごい逸材だわ!!」


「プロでもいけるんじゃないか?」


「『ぽっぷす』系の『ぎたー』の音色がすごくいいな」


「ぜひ、ライヴに入れたいよな」


みんなもカミーユを認めてくれたみたいだ。

みんなに褒められてカミーユは照れた表情をしていた。


「ただし、この子を参加させるには条件があるわ」


「なんだよ、条件って;;;」


ユーエはカミーユをライヴに参加させるのに条件があるという。

一体なんの条件を言うつもりだ?


「リックが『ST●Y AWAY』の最初のベースソロを

 完璧にすること」


「そういえば、そのことで飛び出したんだった;」


そういえば、そのことで悩んでたんだった。

カミーユに会ってそのことをすっかり忘れてたぜ;


「分かった!!!カミーユをライヴに参加させるためなら

 俺は意地でもベースソロを完璧にしてみせるぜ!!

 3日!!!3日で完成させる!!」


「言い切ったわね。愛の力なのかしら?」


「////////」


俺の宣言にからかうようにユーエは俺を見た。

ライシンとタクミとヒデトもなにかニヤニヤしてるし;

カミーユは顔を真っ赤にしていた。

俺も動揺してあたふたした。


「そ、そんなんじゃねえ!!!

 と、とにかく約束だからな!!!!

 3日間は徹夜だな!!よし、やるぞ!!!」


俺はベースを持ち直して練習を始めた。

絶対、ベースソロを完成させて

カミーユをライヴに参加させてやるぜ!!

俺は気合を入れなおして練習に集中した。

ぜってーやってやるぜ!!!!


つづく



新キャラのカミーユが登場しましたw

なんかリックとむふふな予感ですwww

愛の力でリックはベースソロを弾けるようになるのでしょうか?

次回に続きますw

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