第86話:ディアボロの実力とレイナの氷の力
<ユーエリア視点>
魔族のディアボロが『闘魂の槍』を構えて
私たちに襲いかかってきた。
私たちはディアボロを取り囲み応戦した。
「『フレイムザン』!!」
ディアボロが槍に火の魔力を集中させて突いてきた。
「な、すばやい!!!」
「魔力で身体能力も上がってるのか!!」
「ふっ、さすが古代の王族の魔力だ。
奪った甲斐があるというものだ!!」
自慢げにディアボロが攻撃してくる。
私たちは避けるのが精一杯だった;;
私とウィキもスピードについてこれず、ところどころ攻撃が掠っている。
「どうした?避けるのが精一杯だな?(ニヤリ)」
「なに!!こっちも反撃させてもらうぜ!!
『進波斬』!!」
挑発するディアボロにウィキは『進波斬』で
空中に衝撃破を走らせ斬撃で死角から攻撃した。
「ふっ、遅いな」
「なっ!!避けやがった!!」
ディアボロはウィキの攻撃を避けた。
「お返しだ。『ファイヤーインパクト』!!」
ディアボロは槍を振るって刃状の炎の衝撃破を飛ばしてきた。
ウィキの『進波斬』よりも大きいわ!!
みんなを飲み込むほどそれは大きかった。
「く、『ガードフィールド』」
私はとっさに魔法の結界で防御するが
衝撃が大きすぎる抑えきれない!!
「「「「「きゃあああああ!!!」」」」」
「「「「「「わあああああ!!!」」」」」」
私たちは空中に吹き飛ばされた。
なんて威力なのよ!!!
「ユーエリア様!!『アクアネット』!!」
水の大精霊のウンディーネがペンダントから出てきて
水の魔法の網で私たちが吹き飛ばされるのを防いだ。
「助かったわ」
「あの魔族はかなりの魔力の持ち主ですね。
サラマンディー並の魔力を持ってますわ」
ウンディーネはディアボロの魔力が
火の大精霊のサラマンディー並みと推測した。
く、ビオラの魔力はそんなにもあったのか
その魔力を奪ったディアボロはすごい強くなってるようだ。
「それじゃあ、かなり危険じゃんか;」
「迂闊に近づくとさっきの火の衝撃破で弾き飛ばされるわ;」
「・・・どうしたらいいの?」
リックとノッレとイノーゼもディアボロの実力に戦慄していた。
「攻撃を上手くやり過ごせせばいいのだがな」
「でも、あいつ素早すぎて隙がないぜ」
「・・・さっきから攻撃してるけどすべて避けられてるな」
「反応が早そうにゃ;」
雷信とタクミは敵の攻撃をやり過ごす方法を考えているが
いいアイデアが思いつかないようだ。
ヒデトもさっきから血の剣を空中に飛ばして
ディアボロを攻撃してるけど全部避けられているようだ。
ハイにゃんもその素早さを見て困ってた。
「俺達の実力じゃ速さについて来れないな;」
「僕ら、無理」
「可能性があるとしたらウィキとユーエぐらいかしら;」
ニッキーとマークスとロザンナのレベルでは敵わないと感じてるようだ。
ロザンナは私とウィキならなんとかなると思ってるようだ。
しかし、私とウィキの速さの1.5倍はディアボロはありそうだ。
「どうすれば・・・」
「ここは王妃の力を頼ったほうがいいな」
「私?」
リンカも敵の強さに歯痒い思いをしていると
サラマンディーがレイナを見て彼女の力を頼るべきと言った。
突然、指名されてレイナは戸惑った。
「王妃の氷の魔力なら相対する火の魔力を封じ込められるかもしれない。
しかし、それには奴に近づかなければならないが・・・」
「でも、あいつ隙がないわ・・・」
どうやらディアボロの魔力を封じるには奴に近づく必要があると
サラマンディーは言った。
私は敵の隙の無さに困り果てた。
どちらにしろ近づかないと無理だわ・・・。
「ここは麻呂に任せてほしいのじゃ」
「ラウームド?」
雷の大精霊のラウームドがペンダントから現れた。
何か策があるらしい。
「人間の運動神経は細胞のシナプスに向かって
電気信号で動かされてるのじゃ。
なのでその電気信号を素早くさせれば動きも素早くなるはずじゃ」
「そうか!!ラウームドは雷の大精霊だもんな」
「人間の身体の仕組みはそうなっているのか;
知らなかった。
さすが雷森羅様、博識ですね」
拓海は高校での生物の授業を思い出したのか
ラウームドのアイデアにぱっと顔を輝かせた。
雷信は意外な知識と感じたのかラウームドの博識さをほめた。
「しかし、一時的に素早くなるが数分後、反動で動きが鈍るから
一発勝負じゃな;」
「・・・賭けね;」
無理に電気信号を加速させると反動があるらしいと
ラウームドは言った。
私は大きな賭けだと感じていた。
「・・・雷の大精霊様、お願い。」
「王妃さん、いいのかの?」
「これしか方法がないなら・・・やるしかない」
レイナはラウームドに加速の魔法をかけてほしいと頼んだ。
「分かったのじゃ。
『シナプスアクセラレータ』!!」
レイナの覚悟に応えるように
ラウームドは電気信号を加速させる魔法を唱えた。
すると、レイナは素早くディアボロに近づいて行った。
「な!!いつの間に!!」
「覚悟。『スノーサンクチュアリ』」
あまりの素早さに驚くディアボロ。
レイナは魔法でディアボロを巨大な雪の結晶で覆い結界と化した。
「なんだこの結界は!!う、動けん!!」
「ユーエリア殿、今よ」
「ビオラ王子の奪われた魔力を返してもらうわ!!
『ドレインマジック』!!」
レイナに促され私は動けないディアボロから
魔法で魔力を吸収した。
吸収した魔力は火の魔道石に保存し貯めておいた。
「ぬおおおおお!!!力が!!
力が抜けていく・・・!!!!!」
ディアボロは苦しみだして力が抜けていっているようだ。
そして完全にディアボロから火の魔力を抜き去った。
「よっしゃ!!これでビオラの魔力を取り返したぜ!!」
「よかった」
「ざまあ、みやがれ!!!」
リックはディアボロから魔力がなくなったのを見るとガッツポーズをした。
リンカも安心したようでほっとしていた。
ニッキーは中指をディアボロに立ててニヤリと笑った。
「く、くそう・・・・」
「これで火の魔法は使えないわね!!
覚悟しなさい!!」
力が抜けて悔しがるディアボロを私は睨みつけた。
「まだだ!!まだ!!『闘魂の槍』がある!!
槍よ!!俺に力を!!!!」
ディアボロはまだ諦めてないのか『闘魂の槍』を掲げた。
すると街・・・いやレオンバロン皇国中から魔力が
槍に集めって行く。
「まさか、空気中の火の魔力を槍に吸収してるのか?」
「あの槍は9つある勇者の武器の1つだ。
その中でも『闘魂の槍』は火の魔力に特化しているんだ。
あの槍を持てば誰でも火の魔力を操れる。
たとえ、火の魔力を持ってなくても空気中の魔力で代用できる;」
槍を見てウィキは驚きの声を上げた。
サラマンディーはあの槍を知っているらしく、
どうやら勇者の武器の1つらしい。
あれさえあれば誰でも火の魔力を使えるなんてヤバいわ;
強大な火の魔力を感じるし・・・;
「くくくくく・・・・!!!!!
喰らえ!!!!!
『フェニックスバーンブラスター』!!!!!」
ディアボロは槍の矛先に巨大な火の鳥を生み出した。
それはバロンの街を覆うほど巨大だった。
それを私たちに向けて放った。
「『セイントアクアドラゴン』!!」
ウンディーネが対抗して巨大な水龍を魔法で創りだして
火の鳥にぶつけた。
「く・・・なんて力ですか!!
私の魔法では抑えきれないです!!」
ディアボロの放った火の魔法が強力すぎて
ウンディーネの力は押され始めた。
「このままじゃ!!俺たちは火の鳥に飲み込まれるぞ!!」
「どうすれば・・・」
「私がなんとかする・・・」
ウィキが目の前の押されている状況に焦った。
私はなんとか打倒できるよう考えを巡らせた。
するとレイナが一歩前に出て手をかざした。
「氷の魔力よ、お願い!!
水龍に力を貸して!!」
レイナは『セイントアクアドラゴン』に氷の魔力を込め始めた。
すると『セイントアクアドラゴン』は凍り始めて
変化し始めた。
「な、なんだ?!水の龍が氷の龍に変化していく!!」
『セイントアクアドラゴン』が完全に氷の龍になった。
鱗が氷の結晶になって光り輝いている。
それを見てディアボロは驚愕の声を上げた。
そして、火の鳥を身体で縛り付け凍りつかせていった。
ピキピキピキ・・・・パキン!!
そして、完全に火の鳥は凍りついて崩れ落ちて消えた。
「そんな馬鹿な!!!
な!!来るな!!やめろおおおおおおお!!!!!!!」
そのままの勢いで氷の龍はディアボロに向かって進み、
奴を飲み込んだ。
そして、氷の龍の体内で氷漬けとなり吐き出された。
そして地面に落ちていった。
私たちはそれを追って風魔法で空を飛んで地面に降り立った。
「完全に凍りついてるな;」
「地面に落ちたのに氷が割れてないのが残念だわ」
ウィキと私は地面に落ちて凍りついたディアボロを見て
破壊されてないのを残念に思った。
「さて、こいつどうしようかしら?」
「待て。また会ったな」
「心配して来てみればディアボロやられてるわね」
私は凍りついたディアボロの処遇について考えていると
瞬間移動で来たのかノヴァエビルとリリスプリムが目の前に現れた。
「あああ!!!デカパイ女と野田だっけ?」
「デカパイって言うなああああああ!!!!」
リックがまたしてもリリスプリムをデカパイ女と言って彼女を怒らせてた。
「氷ごとですが『闘魂の槍』はいただいてくぞ」
「凍りついたディアボロごとってのが面倒だけど
アイテムさえもらえればいいしねw」
どうやら2人は『闘魂の槍』が目的で来たらしい。
「まさか、お前らは邪神の復活が目的で
勇者の武器を集めているのか?」
「さすが大精霊だ。
小生らの目的が分かってるようだな
9つの勇者の武器にはそれぞれ邪神の力が眠っている
それに400年前の前魔王の力も封じられているのだ」
「だから、封印を解くためにこの槍が必要なのよね」
どうやら魔族の目的は邪神の復活らしい。
そのために勇者の武器を集めているようだ。
ついでに前魔王と言ったら、たぶんウィキだろう、
ウィキの力も勇者の武器に封じられてるらしい。
サラマンディーの指摘を肯定した
ノヴァエビルとリリスプリムはヤレヤレといった表情をした。
サラマンディーは魔族どもを睨みつけている。
「邪神の復活なんてさせません!!」
「槍を奪わせはしないのじゃ!!」
ウンディーネとラウームドもノヴァエビルとリリスプリムを睨みつけた。
互いに警戒し合い一触即発な雰囲気になった。
ここでノヴァエビルとリリスプリムを止めないと
大変なことになりそうね;;;
私たちも武器を構えて魔族たちに向き合った。
つづく
またノヴァエビルとリリスプリムが登場しました;
彼らもまた闘魂の槍を狙ってる様子;
次回もまたバトルですw




