究極の?オンラインゲーム
康一は、ゲープロの部員達に昼ご飯を渡した。
パソコンルームでは、多くの人が制作したオンラインゲームを楽しむ。
<桃山リバイバル>
戦国時代をベースにしたオンラインRPGで、多くの人間がその仮想世界の中で暮らしたり、おしゃべりしたり、冒険したりという基本的な要素の他に、在る国の君主に仕えて武将になり、他の国との戦に参加したり、自らが大名君主となって兵を指揮して他国を侵略、果ては天下統一までできるなかなかに奥の深いゲームなのだ。
NPCと呼ばれるコンピューターが勝手に操作するキャラクター達も多数存在し、彼らと交流する事も重要になってくる。仲間にすれば頼りになるだろう。逆に敵に回せば苦労する事になる。中には1人で戦局を変える程のとんでもなく強いNPCもいる。
これだけの内容を、作り上げるとはやはりあの3人は凄い。ロシはすっごく勝手なヤツだが、この才能に関しては認めるしかない。
で、このゲームに関しては、デバック(※ゲームの進行上問題がある部分が無いかを調べて直す作業)すらほとんど手伝わなかった俺だが、唯一このゲームに介入したものがある。
それは、俺が考案した唯一のNPCキャラクター「本堂 叶多」だ。
このキャラクターは、崎野部長が俺が手伝った事に対するお礼として作ってくれた。
原画は俺のヘタクソな絵だったが、崎野部長が上手くアレンジしいてくれて良い感じのキャラに仕上がった。だから初めて見た時、かなり感動したっけ。
そんな、俺の力もちょっと注がれているこのゲームを今、色んな人達にプレイしてもらっていると思うと。何だか感慨深い。ほとんどはロシや部長が作ったのだが、どこか、俺の作ったもののようにも感じてしまうのはごう慢なのだろうか?
ゴロゴロ
ふと、嫌な音がした。
俺と3人は窓の外を見る。
「あれ? さっきまで天気だったのに……」
ロシが言ったのも束の間、空はどんどん真っ黒になっていき、稲妻が光った。
「まずいわね……パソコンは電気に弱いから。」
「そうですね、部長。急いで電源を切りましょう!」
俺がその場を動こうとした時、その時だった。
カッ!
物凄い強い光で、目の前が真っ白になる。
何も見えない。意識が……遠のく……
何が起こったのか、まるでわからなかった。
ただ、俺の体はまるで、昔近所の川で溺れそうになった時の様に、大きな何かに流されていった。