表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶のかけらと家族のかたち  作者: 櫻木サヱ
新しい日常の光

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/90

家族の絆が織り成す午後

午前のリハビリが終わり、昼下がりの施設は柔らかな日差しに包まれる。母・フミは庭に出て、ゆっくりと花を眺めながら歩く。忠彦は隣で手を添え、美佐も母の反対側で見守る。


母が一瞬、立ち止まり、遠くの空を見つめる。

「家に帰りたい…」

忠彦は静かに手を握り、優しい声で答える。

「焦らんでええ、母さん。ここで一緒におるけぇ、安心して」


母は短くうなずき、庭の花に目を戻す。美佐も手を添え、母の視線を落ち着かせる。家族の支えが、母の心に静かな安らぎを与える瞬間だった。


午後、室内で母が少し暴れる場面があった。ナースの美咲が横で観察しつつ、職員に指示を出す。

「母さんが暴れるのは不安や疲れからです。焦らず、声かけと手を添えることで落ち着かせましょう」


忠彦は母の手を握り、ゆっくりと声をかける。

「大丈夫じゃ、母さん。父ちゃんがおるけぇ安心して」

母は少しずつ落ち着き、椅子に腰を下ろす。美佐もそばで手を握り返し、家族の温かさが母の心に届く。


その後、家族は談話室でゆっくり過ごす。母は穏やかに微笑み、忠彦と美佐がそれぞれ手を添える。ナースの美咲も少し離れた場所から見守り、記録を取りつつ、家族の様子に微笑む。


「こうして少しずつ、母さんも私たちも慣れてきたんじゃな」

忠彦の言葉に、美佐も頷く。家族の日常が安定し、母の安心感が深まっていく瞬間であった。


夜、ベッドサイドで手を重ねる家族。母は穏やかに呼吸を続け、忠彦と美佐も静かに寄り添う。

美咲は少し離れた場所から観察し、記録にこう残す。

《日常の小さな出来事の積み重ねが、母の安心と家族の絆を育む。揺れる日常でも、寄り添う手が確かな支えとなる》


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ