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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第4章 もう1つの「始まり」

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第78話 「皇帝陛下」が来る?


 「ストロザイア帝国皇帝、ヴィンセント・リアム・ストロザイア。彼がルーセンティア王国(この国)に来る」


 と、水音達に向かってそう言ったウィルフレッド。


 その言葉を聞いて、水音達はポカンとなったが、


 「え!? ヴィンセント皇帝陛下が、ここに来るんですか!?」


 と、すぐにハッと我に返った爽子が、驚いた口調でそう尋ねてきたので、


 「うむ。驚くのも無理はないが、真の話だ」


 と、ウィルフレッドは真剣な表情でコクリと頷きながらそう答えた。


 その答えに爽子が「なんてこった!」と言わんばかりショックを受けている中、


 (ま、まさか、ヴィンセント皇帝陛下がここに来るなんて!)


 と、水音も爽子と同じような表情になっていた。


 そして、水音がふと周りを見回すと、どうやら爽子だけでなく、歩夢、美羽、純輝、煌良、優も、水音と同じ表情していた。


 するとその時、


 「あのぉ……」


 と、祭が恐る恐る手を上げながらそう口を開いたので、


 「ん? ど、どうした出雲?」


 と、それを見た爽子がそう反応すると、


 「先生……というか、桜庭君や海神さんもなんだけど、その『ヴィンセント皇帝陛下』って人のこと知ってるんですか?」


 と、祭が未だに恐る恐るといった感じでそう尋ねてきた。


 その質問に対して「え?」と声をもらした爽子が周囲を見回すと、祭だけじゃなく祈、絆、進に耕、そして他のクラスメイト達までもが、爽子を見て「どういうこと?」と言わんばかりに首を傾げていたので、


 (あ、そうだよ! ヴィンセント陛下のことを知ってるのは僕と先生、海神さんに天上さん、正中君、力石君、小日向さんだけだった!)


 と、水音は今になって思い出したかのようにハッとなった。


 そして、それは爽子も同様で、「あー……」と気まずそうな表情を浮かべると、


 「その話をする為に、まずは確認したいんだけど、みんなは『ストロザイア帝国』自体については座学で習ったよな?」


 と、周りのクラスメイト達を見回しながらそう尋ねた。


 その質問に対して、祭は「え?」と首傾げた後、


 「えっと……確か、このルーセンティア王国に並ぶ大きな国で、『魔導具』っていう魔力を秘めた武器や道具を作る技術力が高い……でしたよね?」


 と、祈が少し自信なさそうにそう答えたので、


 「うん、正解だ」


 と、爽子が笑顔でコクリと頷くと、


 「で、ウィルフレッド陛下の自室には、そのストロザイア帝国で作られた、『鏡型通信魔導具』っていうのが置かれているんだ」


 と、祈だけでなく他のクラスメイト達に向かってそう言った。


 その言葉に祈が、


 「そ、そうなんですか!?」


 と、驚きながらそう尋ねると、


 「そうだ。あれは使う人間が魔力を流すことによって、遠くにいる人間と話をする為の魔導具なのだ。勿論、普通の鏡としても使えるぞ」


 と、爽子の傍に立っていたウィルフレッドが、爽子の代わりにそう答えたので、


 『おおっ!』


 と、祈をはじめとした水音、歩夢、美羽、純輝、煌良、優の6人を除いたクラスメイト達がそう声をあげた。


 それを見て、爽子は「あはは」と苦笑いすると、


 「……で、この世界に召喚された日の夜、私と桜庭、海神、天上、正中、力石、小日向は、()()()()()()()()()()でウィルフレッド陛下の部屋に入ることになって、陛下達と話をしている時にその鏡の魔導具が光って、そこからヴィンセント陛下と、その妻であるキャロライン皇妃様と話をする流れになったんだ」


 と、再び周りのクラスメイト達を見回しながら、その時のことを話した。


 それを聞いて、


 「そ、そうだったんですか」


 と、祈が納得したかのような表情を浮かべていると、


 「そ、それで、そのヴィンセント皇帝陛下っていう人が来るっていうのは、どういうことなんですか?」


 と、すぐに「おや?」と言わんばかりの表情でそう尋ねてきたので、


 「うむ。実は先程、ヴィンセント皇帝から連絡があってな、『仕事がひと段落したから、準備が出来次第そっちに行くからな。楽しみに待ってろよ』だそうだ」


 と、ウィルフレッドは1歩前に出ながらそう答えた。


 その答えを聞いて、

 

 「は、はぁ、そうでしたか……」


 と、水音はそう納得した後、


 「あの、それでヴィンセント陛下は、何をしにこちらに来るのですか?」


 と、ウィルフレッドに向かってそう尋ねると、


 「勿論、其方達『勇者』への挨拶と、『春風』殿について詳しい話を聞く為だ。前はその話をする前にちょっとした騒ぎになってしまったがな」


 と、ウィルフレッドは「ははは」と苦笑いしながらそう答えたので、その答えを聞いて、


 (ああ、そういえばそうだったなぁ)


 と、水音はその時のことを思い出して、ウィルフレッドと同じように「ははは」と苦笑いした。


 その後、水音は気持ちを切り替えて、


 「それで、その方はいつ頃こちらに来るのでしょうか?」


 と、ウィルフレッドに向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、ウィルフレッドは「む?」と反応すると、


 「うむ、早くても明日か、明後日になるとのことだ」


 と、水音に向かってそう答えたので、


 「え!? 『明日』か『明後日』って、幾らなんでも早すぎませんか!? 座学では、こことストロザイア帝国の首都『帝都』はかなりの距離があると習いましたが!」


 と、水音はその答えに目を大きく見開きつつ、ウィルフレッドに向かって「どういうことだ!?」と尋ねると、ウィルフレッドは「うむ」と頷いて、


 「其方達も知ってるように、ストロザイア帝国は魔導具の作成技術がかなり高い。で、その技術を利用した強力な『移動手段』が出来上がって、それを使ってこちらに来るそうだ」


 と、水音達に向かってそう説明したので、


 『そ、そうだったんですか』


 と、爽子だけでなく歩夢らクラスメイト達までもが、皆「あはは」と苦笑いを浮かべながらそう納得した。


 一方、水音はというと、


 (うーん。『皇帝陛下』がここに来る……か)


 と、心の中でそう呟くと、


 (あれ? ちょっと待てよ? 僕、春風のこと何処まで話をしていいんだ!?)


 という疑問に至り、


 (うわぁ! ど、どうしよう!)


 と、頭を抱えるのだった。


 


 


 

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