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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第4章 もう1つの「始まり」

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第77話 医務室にて・2


 その後、水音は爽子と残りのクラスメイト達に、自身が資料保管庫で何をしていたかと、その理由ついて説明した。


 勿論、()()()()()は伏せいる。


 (だって、言える訳ないからね)


 「……という訳で、先生やみんなに心配かけてしまい、すみませんでした」


 と、ひと通り説明し終えた水音が最後にそう締め括ると、


 「ぐす。そ、そうだったんだな。私こそ、みっともないところ見せて、ごめん」


 と、未だに涙を流しつつも、しっかりと水音の話を聞き終えた爽子も、最後は水音に向かってそう謝罪した。


 その謝罪を聞いて、


 「そ、そんな、先生は悪くないですよ! こんな状況ですし、先生だってずっと僕達の為に頑張ってたんでしょ!?」


 と、水音はオロオロしながらそう尋ねると、爽子は「それは……」と表情を暗くしたが、すぐハッとなって首をブンブンと横に振ると、

 

 「そう……だな。『教師』だというのに、今の私に出来るのは、みんなで『力』の使い方を学ぶくらいだから、出来ることがあるのなら、私は全力で取り組むさ。ただ……」


 『ん?』


 「やはり、私は()()()()()()というよりも、桜庭達と、無事に日本に帰る為という理由の方が強いかな。『勇者』としては、許されない理由だけどな」


 と、「はは」と苦笑いしながらそう言った爽子に、水音達は「せ、先生……」と泣きそうになった。


 すると、爽子は「あ、でもな!」と再びハッとなって、


 「勿論、雪村だって一緒だ! 『力』をつけて、強くなって、いつかこっちから雪村を迎えに行くというのも、私の目的の1つでもあるんだからな!」


 と、水音達に向かってそう言った。


 それに進らクラスメイト達が「おお!」と感心する中、水音はというと、


 (『こっちから迎えに行く』……か)


 と、1人、爽子の言葉について考えていた。


 (確かに、今、春風は何処で何をしているのかわからない状態だ。いや、そもそも、春風はどういうつもりで僕達のもとを去ったんだろうか?)


 と、水音は今この場にいない春風についてそう疑問に感じてはいたが、やがて「ふ……」と小さく笑うと、


 「ま、春風なら、きっとどんなピンチだって……」


 と、独り言のように小さくそう呟いた。


 その時だ。


 『え?』


 と、爽子とクラスメイト達が一斉に水音に視線を向けたので、それに水音が「ん?」と反応すると、


 「桜庭君、雪村君のこと、何か知ってるの?」


 と、耕が首を傾げながらそう尋ねてきたので、


 「え? 何って……」


 と、水音がそう返事しようとしたが、


 「は!」


 と、水音は思わず右手で自身の口を覆い、


 (しまった! ()()()()()()()!)


 と、先程自身が呟いた言葉が、心の中ではなく直接口に出していたことに気がつき、後悔のあまりダラダラと汗を流し始めた。


 その後、水音はジーッと見つめてくる爽子達に、


 「え、いや、なんでもないよ! なんでもない……!」


 と、口を覆ったままそう言ったが、


 「いやいやいや! そこまで言いかけておいて何でもない訳ないだろ!?」


 と、進にそう詰め寄られてしまい、水音は「それは……」と更に汗をダラダラと流すと、


 「おい、桜庭」


 と、爽子のすぐ傍で、それまで黙っていた煌良がそう口を開いたので、


 「な、何、力石君……」


 と、水音がそう返事すると、


 「いや、桜庭だけじゃないな……」


 と、煌良は「ふ……」と不敵に笑いながら、


 「海神。そして天上」


 と、歩夢と美羽にも視線を向けたので、それに2人がビクッと反応すると、


 「お前ら3人、雪村とどういう関係なんだ? もうこの際だから、教えてくれたっていいんじゃないのか?」


 と、煌良は、水音、歩夢、美羽の順に視線を移しながら、3人に向かってそう尋ねた。


 その質問に対して


 「「「いやぁ、そのぉ……」」」


 と、水音だけでなく、歩夢と美羽までもがダラダラと汗を流し始めた。


 その時だ。


 「その質問の答え、少し待ってはくれないだろうか?」


 『っ!』


 という声がしたので、水音達は思わずその声がした方へと振り向くと、


 「あ、ウィルフレッド陛下!」


 「やぁ」


 そこには国王であるウィルフレッドがいた。勿論、その傍には妻のマーガレットと、2人の娘であるクラリッサとイヴリーヌの姿もあった。


 その姿を見て、


 「ウィルフレッド陛下、いつからそこに?」


 と、爽子がそう尋ねると、ウィルフレッドは気まずそうに、


 「あーいや、最初からいたのだがな。爽子殿達がここに入った瞬間から……」


 と、そう答えたので、その答えを聞いた瞬間、水音達は先程までの会話が全部聞かれていたことに気がつき、


 「あ、あぅ……」


 と、爽子は恥ずかしそうに顔を真っ赤にし、そんな爽子を他所に、


 「ウィルフレッド陛下、ご心配おかけして申し訳ありませんでした」


 と、水音はウィルフレッドに向かってそう謝罪した。


 その謝罪を聞いて、


 「いやいや、其方が気にすることはない」


 と、ウィルフレッドは「はっはっは」と笑いながらそう言うと、


 「祈殿。危うく怪我しそうになったと聞いたが、大丈夫だったか?」


 と、祈の方へと向きながらそう尋ねたので、


 「ふえ!? あ、はい。わ、私は、だ、大丈夫です!」


 と、祈はビクッとしながらも、ウィルフレッドに向かってそう答えた。


 その答えを聞いて、ウィルフレッドが「おお、そうか」と笑顔で言うと、すぐに真面目な表情になって、


 「水音殿、歩夢殿、美羽殿」


 と、水音、歩夢、美羽にそう声をかけてきたので、それに3人が「は、はい!」と返事すると、


 「先程も言ったように、煌良殿の質問についてだが、答えるのはもう少し待ってはもらえないだろうか?」


 と、ウィルフレッドは再びそう尋ねた。


 その質問を聞いて、


 「えっと……それは、どうしてでしょうか?」


 と、水音がそう尋ね返すと、


 「その答えを聞きたい人物が()()1()()いるのだ」


 と、ウィルフレッドが真面目な表情のままそう答えたので、


 「え? それは、一体……?」


 と、爽子が「どちら様ですか?」と尋ねようとすると、


 「ストロザイア帝国皇帝、ヴィンセント・リアム・ストロザイア。彼がルーセンティア王国(この国)に来る」


 と、ウィルフレッドは真剣な表情でそう答えた。


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