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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第4章 もう1つの「始まり」

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第75話 アクシデント


 ちょっとした()()()()(?)の末、クラスメイトの祈、祭、絆、進、耕を仲間(?)にした水音は、再び王城内の資料保管庫へと入った。


 その中にある膨大な数の本を見て、


 『おおーっ!』


 と、絆達は歓声をあげ、そんな彼女達を、見張りの兵士達は暖かい目で見つめていた。


 そんな状況の中、


 「桜庭! お前ずるいぞ!」


 「そうだよ! 僕達に内緒で1人で自主勉強なんて!」


 「そうだそうだ!」


 と、怒った進、耕、祭に文句を言われたので、


 「あー、うん。ごめんなさい」


 と、水音は頬を引き攣らせながらも、進達に向かって謝罪した。


 その後、


 「それで、どの本から読むつもりなんだ?」


 と、絆に尋ねられたので、それに水音が「ん?」と反応すると、


 「そうだな。昨日はこの世界の『歴史』についてだったから、今日は僕らが身につけてる『職能』とか『スキル』についてかな?」


 と、少々悩みながらそう答えたので、


 「オッケー! じゃあ、みんなで探してみようぜ!」


 「うんうん! みんなで探せば、きっと早く見つかるよ!」


 と、進達がそれぞれ別々の本棚へと向かうと、


 「ちょ、ちょっと! 乱暴に扱ったりしないでよ! 『大事な資料』って、ウィルフレッド陛下が言ってたんだから!」


 と、「しまった!」と言わんばかりにハッとなった水音は、すぐに進達に向かってそう言った。


 その言葉を聞いて、


 「わーかってるって!」


 「大丈夫大丈夫!」


 と、進達からそんな返事が来たので、それを聞いた水音は、


 (だ、大丈夫かなぁ)


 と、かなり不安になっていると、


 「さ、桜庭君……」


 と、水音の隣で、祈が水音の服を少し引っ張りながら声をかけてきたので、


 「な、何? 時雨さん」


 と、水音が少し緊張した様子でそう返事すると、


 「一緒に、探しに行きませんか?」


 と、祈が何故か上目遣いでそう言ってきたので、


 「……は、はい」


 と、水音は少し気まずそうな感じでそう答えて、その後は祈と共に自分も本を探し始めた。


 それからどのくらい時が経ったのか、現在水音達が集まってる資料保管庫内に備え付けられた机には、それまで水音達が集めた本が山のように積まれていて、集めた本人である水音達はというと、


 『だ、駄目だ、内容が難しすぎる……』


 と、それぞれ手にしている本の内容の難しさにグッタリしていた。


 幾ら称号「異世界人」の効果で文字が読めるようになったとしても、肝心の内容が理解出来なければなんの意味もなかったようで、それが、水音達を更にゲッソリとさせていた。


 そんな状況の中、


 「も、もう少し、探してみるね」


 と、祈がヨロヨロと立ち上がりながらそう言ったので、


 『いってらっしゃーい』


 と、水音達は弱々しくそう返事した。


 その後、祈が本棚の1つを前に、「次はどの本にしようかな?」と、考え込んでいると、


 (うん、あれにしよう!)


 と、とある1冊の本を見てそう決めたのだが、その本は祈の背丈よりも少し高い位置にあったので、祈はどうしようと考えたが、


 (ちょっと高いけど、これくらいなら届くかも)


 と、そう結論づけると、祈は背伸びしながらその本が並べられた棚に手を伸ばした。


 そして、


 (うん、届いた!)


 と、その本を掴むと、祈は「うーん」と唸りながら、その本を引っ張り出そうとしたが、思ったよりも少し苦戦したので、


 「うーん!」


 と、祈は顔を赤くして唸ると、スポンと本を取り出すことに成功したので、


 「や、やったぁ……!」


 と、祈はそう声をあげながら喜んだが、


 「あ、あれ? きゃあ!」


 引き抜いた瞬間バランスを崩したのか、祈は本を手にしたままドスンと尻餅をついてしまった。


 その音を聞いて、


 「い、いのっち!?」


 「祈、大丈夫か!?」


 と、驚いた祭と絆が声をかけると、


 「いたた。だ、大丈夫だよ、マーちゃんにキーちゃん……」


 と、祈は痛そうにお尻を摩りつつ、弱々しい笑顔でそう答えたので、その言葉に祭と絆がホッと胸を撫で下ろした、次の瞬間……。


 尻餅をついた衝撃の所為か、幾つかの他の本までもが棚から出てきて、それらが全て祈に向かって落ちて来たのだ。


 それを見て、


 「い、祈!」


 「危ない!」


 と、驚いた絆と耕がそう叫び、


 「きゃああ!」


 と、落ちてきた本を見て祈が悲鳴をあげた、次の瞬間、


 「時雨さん!」


 と、水音が叫ぶと同時に、水音の全身が()()()に包まれたのだ。


 それを見て、


 「お、おい桜庭……!」


 と、進はギョッと大きく目を見開きながら驚いたが、そんな彼構わず、水音は祈に向かってダッと駆け出した。それも、()()()()()()()()で、だ。


 そんな水音を見て、


 「え、は、速くない!?」


 と、驚く祭だったが、


 「間に合えええええええ!」


 と、水音はそれに構わずダッシュで祈に駆け寄った。


 そして、祈のすぐ傍まで近づくと、


 「ごめん!」


 「え? きゃあ!」


 と、水音は祈を抱き抱えて、前方に向かって駆け出した。


 そしてその後すぐに、落ちてきた本が次々と床に散らばった。


 それからすぐに、進達が水音と祈のもとへと駆け出し、


 『勇者様、どうかなさいましたでしょうか?』


 と、見張り役の兵士達も、2人に向かって駆け出した。


 一方、間一髪のところで落ちてきた本回避出来た水音と祈はというと、


 「だ、大丈夫、時雨さん?」


 と、青い炎に包まれた状態の水音がそう尋ねてきたので、


 「う、うん。私は大丈夫、です…」


 と、祈は顔を赤くしながらも、水音に向かって頷きながらそう返事した。


 その時だ。


 ーーギュルルル!


 (し、しまった!)


 と、水音大きく目を見開いたように、水音の胸の辺りから、以前と同じく青い鎖の形をしたエネルギーが現れて、それが水音の全身に巻き付いてきたのだ。


 「ぐ、あ、あああああ!」


 と、水音はそう悲鳴をあげたが、その青い鎖状のエネルギーは更に水音を締め付けてきたので、


 「く、あああああああ!」


 と、それが更に水音を苦しめた。


 そして、そんな水音を見て、


 「さ、桜庭君! 桜庭くーん!」


 と、祈は悲鳴をあげた。


 


 

 


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