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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第3章 異世界エルードの「真実」

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第63話 残された者達・4


 その後、歩夢と美羽は、クラリッサに春風が去った時のことを全て話した。


 そう、クラリッサと他数人が謁見の間を出た後、質問を終えた春風が「無理そうです」と言い、その理由を伝えると、怒った1人の騎士が春風に向かって剣を振るい、その騎士を春風が返り討ちにしたが、今度はそれを怒った他の騎士達も春風に剣を向け、更に五神教会教主ジェフリーも怒って「春風を殺せ」と騎士達に命令すると、そこへレナという「ハンター」の少女が現れて、その後は春風と共に騎士達を相手に大暴れ。そして全員倒した後、そのレナに連れ出される形で春風が自分達のもとを去ったということを、だ。


 全ての出来事を話し終えると、


 「「……ということがあったのです」」


 と、最後2人は同時にそう話を締め括った。


 その後、部屋全体が何やら重苦しい雰囲気包まれたので、それに耐えられなかったのか、


 「お、お姉様?」


 と、イヴリーヌが恐る恐るクラリッサに向かってそう声をかけると、


 「な、なんてことを!」


 と、話を聞き終えたクラリッサは「驚き」と「怒り」に満ちた表情で椅子から立ち上がった。その際、椅子がガタンと大きな音を立てて倒れたので、歩夢、美羽、そしてイヴリーヌはビクッと驚いたが、そんな彼女達に構わず、


 「こうしてはおりません! すぐにお父様のもとへ向かわなくては!」


 と、クラリッサは急いで部屋を出ようと扉に向かい出したので、


 「お、お、落ち着いてくださいクラリッサ様! 確かに、彼がしたことは許されることではありませんが……!」


 と、ハッと我に返った美羽が、大慌てでクラリッサに向かってそう言った。恐らくクラリッサは、春風が騎士達をぶちのめしたことや、自分達のもとから去ったことを怒っているのだろうと考えたからだ。


 そして、美羽に続くように、歩夢とイヴリーヌもハッと我に返って、


 「ま、待って、ください!」


 「お姉様、どうか落ち着いてください!」


 と、クラリッサを止めようとした。


 すると、


 「いいえ、私が怒ってるのは、あの方に対してではありません!」


 と、クラリッサは怒鳴るようにそう言ったので、それを聞いて歩夢、美羽、イヴリーヌが「え?」となると、


 「わたくしが怒ってるのは、騎士達とジェフリー教主にです!」


 と、クラリッサは美羽、歩夢、イヴリーヌに向かってハッキリとそう言ったので、


 「「「……えぇ?」」


 と、3人はクラリッサの言葉にポカンとしながら首を傾げた。


 そんな彼女達を前に、クラリッサは興奮した様子で話を続ける。


 「『騎士』の剣は、『王』と『民』を守る為のもの! それを、『拒否したから』などという理由で、『怒り』に任せて振るうなど、許されることではありません! ましてや、あの方……春風様に、歩夢様や美羽様、そして他の勇者様達は、こちらの都合に巻き混んでしまった人間です! 剣を向けた騎士達も許せませんが、彼らに『殺せ』などと命令したジェフリー教主も、絶対に許してはいけないのです!」


 と、真剣な表情で理由を説明したクラリッサに、


 「「うぅ……」」


 「お、お姉様、そこまで考えて……」


 歩夢、美羽、イヴリーヌがジーンと感動していると、


 「という訳で、早速お父様のもとへ行きましょう! そして、切り掛かった騎士達だけでなくジェフリー教主に()()な処罰を……!」


 と、クラリッサが改めて部屋から出て行こうとしたので、


 「「……って、わぁあああああ! ちょっと待ってくださいいいいい!」」


 と、歩夢と美羽は大慌てでクラリッサを止めた。


 そんな2人に向かって、


 「むむ? どうかなさいました?」


 と、クラリッサが首を傾げながら尋ねてきたので、


 「く、クラリッサ様、『厳正な処罰』って、まさか()()とかじゃありませんよね?」


 と、美羽は恐る恐るクラリッサに向かってそう尋ね返すと、


 「大丈夫です。彼らがしたことは許せませんが、それでもこの国を守る存在ですから……」


 と、クラリッサは穏やかな笑みを浮かべながらそう答えたので、その答えを聞いて、


 「「「ほ……」」」


 と、3人はホッと胸を撫で下ろした。


 すると、


 「あ、あの……」


 と、イヴリーヌがそう口を開いたので、それに歩夢と美羽、クラリッサが「ん?」と返事すると、


 「あ、歩夢様達のお話を聞いて気になったのですが、お二人にとって、春風様はどのような方なのですか?」


 と、「気になります!」と言わんばかりの表情でそう尋ねてきたので、その質問に対して、歩夢と美羽はお互いの顔を合わせると、恥ずかしそうに顔を赤くしつつ苦笑いを浮かべて、


 「「とっても、大切な人です」」


 と、イヴリーヌに向かって2人同時にそう答えた。


 その答えを聞いて、


 「まぁ!」


 と、クラリッサは顔を赤くし、


 「むむ……」


 と、イヴリーヌは何故か難しそうな表情になった。


 そんな状況の中、


 「なるほど、そういうことでしたら……」


 と、クラリッサがそう口を開くと、歩夢と美羽の手をガシッと掴んで、


 「でしたら、お二人も一緒にお父様のもとに行きましょう! そして、春風様のことについて相談しましょう!」


 と、部屋の扉をバンッと開けながらそう言ったので、


 「「え? え?」」


 と、2人が「訳がわからない!」と言わんばかりにポカンとしていると、


 「イヴリーヌ、手伝って」


 と、そんな彼女達を無視して、クラリッサがイヴリーヌに向かってそう言ったので、


 「……わかりました」


 と、イヴリーヌは難しそうな表情のまま、クラリッサの「お願い」を引き受けると、歩夢と美羽の背後に回り込んで、


 「行きましょう」


 と言うと、グイグイと2人の背中を部屋の外へと押し出した。勿論、


 「「え、ちょ、ちょっとぉ!」」


 と、戸惑う歩夢と美羽を無視して、だ。


 その後、


 「さぁ、行きましょう!」


 と、イヴリーヌの助けを借りつつ、クラリッサは歩夢と美羽を引っ張りながら、部屋の外に出てウィルフレッドのもとへと歩きだしたので、


 「「ちょ、ちょっと待って! えええええええっ!?」」


 と、2人はそう悲鳴をあげながら、クラリッサとイヴリーヌと共にその場から歩き出した。


 


 


 


 


 

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