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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第3章 異世界エルードの「真実」

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第62話 残された者達・3


 ルーセンティア王国王城内、「勇者」の1人である海神に用意された部屋。


 その部屋の中で、


 (な、何で……?)


 (何でこんなことになってるの!?)


 と、海神と天上はダラダラと滝のように汗を流し、ガタガタと体を震わせていた。


 そんな彼女達の目の前にいるのは、


 「改めて、はじめまして。わたくしはルーセンティア王国王女の、クラリッサ・リンダ・ルーセンティアといいます」


 「その妹の、イヴリーヌ・ヘレナ・ルーセンティアです。ルーセンティア王国の第2王女です」


 自分達を「勇者」としてエルード(この世界)に召喚した、ルーセンティア王国の2人の王女、クラリッサとその妹イヴリーヌだ。


 現在、4人はお互い向かい合うように部屋に備え付けられた椅子に座っている。何故、そんなに多く椅子があったかについては、本当に余計なことなので、ここでは触れないでおこう。


 まぁそれはさておき、自分達の目の前にいる()()()()()()を見て緊張している様子の海神と天上に向かって、クラリッサとイヴリーヌがそう自己紹介すると、


 「わ、海神(わだつみ)歩夢(あゆむ)です! 『海神』が苗字で、『歩夢』が名前です!」


 「天上(てんじょう)美羽(みわ)です! 『天上』が苗字で、『美羽』が名前です!」


 と、海神と天上はビシッと姿勢を正しながら、クラリッサとイヴリーヌに向かってそう自己紹介したので、


 「わかりました、()()()と、()()()ですね?」


 と、クラリッサに笑顔でそう言われてしまったので、


 「「そ、そんな! 『様』なんていりませんから!」」


 と、海神改め、歩夢と、天上改め、美羽は大慌てでクラリッサに向かってそう言ったが、


 「そうはいきません。お二人だって、この世界を救う『勇者様』の一員なのですから」


 と、クラリッサに真顔でそう返されてしまったので、それに歩夢と美羽は「うぐ!」と呻いた後、


 「「わ、わかりました」」


 と、最終的に受け入れることにした。


 その後、再び緊張でガタガタと体を震わせていた2人だったが、


 「あ、あの、クラリッサ様」


 と、歩夢がクラリッサに向かって声をかけたので、


 「はい、何でしょうか?」


 と、クラリッサがそう返事すると、歩夢は一瞬ビビったが、すぐに表情を変えて、


 「その……私達に、何か御用でしょうか? というか、お体の方は大丈夫なんですか……?」


 と、クラリッサに向かって恐る恐るそう尋ねた。


 その質問に対して、クラリッサは「あー……」と恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、


 「そ、そのことに関しては、ご心配おかけして申し訳ありませんでした」


 と、歩夢に向かって深々と頭を下げながら謝罪した。


 その謝罪を聞いて、歩夢と美羽はギョッとなったが、


 「え、えっと、()()()()ということは、もしかして私達を召喚した時に……?」


 と、今度は美羽が恐る恐るクラリッサに向かってそう尋ねると、


 「は、はい。誠に情けない話ですが、()()()()()()正直に申しますと、わたくしとサポートに入って下さった方達は、『勇者召喚』の行使にかなりの魔力と体力を消費しまして、皆様と挨拶していた時点で、もう全員その場に倒れそうになってました」


 と、クラリッサは顔を真っ赤にしたままそう答え、


 「ただ、()()()には見破られてしまいましたが……」


 と、最後にそう付け加えた。


 その言葉を聞いた瞬間、それが春風のことだと歩夢と美羽が理解すると、


 「「そうですか」」


 と、表情を暗くしながら言った。


 そんな2人を見て、


 「あ、あの……」


 と、クラリッサが声をかけると、


 「「い、いえ、なんでもありません!」」


 と、歩夢と美羽は慌てた様子でそう返事したので、それを聞いたクラリッサは「は、はぁ」と呟くと、すぐに首をブンブンと横に振って気持ちを切り替えると、


 「それで、わたくしとサポートに入った人達は追い出されるように謁見の間を出た後、まるで緊張の糸が切れたかのようにその場に倒れてしまいまして、目を覚ますと自分の部屋のベッドで寝ていた状態だったのです」


 と、真面目な表情でそう話し、


 「本当にお恥ずかしい話ですが……」


 と、最後にそう付け加えると、「あはは」と苦笑いを浮かべた。


 その後、


 「それで、ここにいるイヴリーヌの話によりますと、なんでもあの後、()()()()()が起きて、あの方はここを出ていったそうですね?」


 と、2人に向かって真面目な表情でそう尋ねた。


 クラリッサのその質問に、歩夢と美羽はその時のこと思い出して、2人同時に悲しそうな表情になると、


 「「はい」」


 と、返事した。


 そんな歩夢と美羽を見て、クラリッサとイヴリーヌは大慌てでなんとか2人の表情を明るくすると、クラリッサは「コホン」と小さく咳き込んで、


 「そして、わたくしはイヴリーヌから()()()のことについて詳しい話を聞こうと思い部屋を出たのですが、なにぶん夜遅いうえに『誰に話を聞けばいいのか?』『というよりお話を聞かせてくれるか?』と考えてしまって、わたくしイヴリーヌも『どうしよう?』と中々動けずにいましたが、丁度この部屋から明るそうな声がしたので、こうしてこの場に来たという訳なのです」


 と、クラリッサはここに来た理由についてそう説明した。


 それを聞いて、歩夢と美羽が「そうでしたか」と呟くと、


 「あの、失礼を承知でお願いしたいのですが、わたくしが謁見の間を出た後に起きた出来事について、どうか教えてほしいのです」


 と、クラリッサは2人に向かって深々と頭を下げた。


 そんなクラリッサに、歩夢と美羽は「ど、どうしよう!」と言わんばかりにお互い顔を見合わせると、


 「ここで黙ってても……」


 「しょうがない……よね?」


 と言い合うと、最後に「あはは」と苦笑いした。


 そして、2人はクラリッサに向き直ると、


 「わかりました。お話しします」


 「ただ、クラリッサ様にとっては、あまり()()()ではないかもしれませんが」


 と、真剣な表情でそう言ったので、


 「構いません。どうか、教えてください」


 と、クラリッサはそう返事し、


 「「わかりました」」


 と、歩夢と美羽はコクリと頷きながらそう言うと、クラリッサに当時のことについて話を始めた。


 


 


 

 


 

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