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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第3章 異世界エルードの「真実」

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第57話 「今後について」の話し合い・2


 「結局、倒すしかない……ということですか」


 と、「はは」と弱々しく笑いながらそう言った春風。


 しかし、その表情はまるで「不安」や「恐怖」といった負の感情が複雑に混ざっているかのように暗く、


 「は、春風……」


 そんな様子の春風を、レナは心配そうに見つめていた。


 すると、その視線に気付いたのか、春風はハッとなってレナを見ると、


 (だ、駄目だ! ここで俺が暗くなっちゃいかんだろ! 『大切なものを守る』って、決めたんだろうが!)


 と、春風はそう考えて、自身の両頬をパンパンッと叩くと、


 「よし!」


 と、コクリと頷いて、


 「アマテラス様、親玉連中を倒す為に、俺は何をすればいいのでしょうか?」


 と、アマテラスに向かってそう尋ねた。


 その質問に対して、アマテラスは「うーん」と唸りながら考える仕草をすると、


 「ま、普通に考えたら、()()()()しかないわねぇ。幸い、今この世界には連中が作った『レベルアップ』の概念があるわけだから、これを利用させてもらいましょう」


 と、最後に「ふぅ」とひと息入れた。


 その答えを聞いて、


 (やっぱ、そうなりますよねぇ)


 と、春風がそう思っていると、


 「で、も!」


 と、アマテラスが語気を強めながらそう口を開いたので、それに春風だけでなくレナ、ヘリアテス、グラシアがビクッと驚くと、


 「『強くなる』って言っても、今言った『レベルアップ』は、()()()に強くなる為のものだからね。敵は()()()()()にも『神』を名乗ってる訳だから、そいつらを相手にするには肉体だけじゃなく、『技術面』や『精神面』でも強くなくちゃいけないわ」


 と、アマテラスは真剣な表情でそう言ったので、


 「肉体だけじゃなく、技術と精神も……」


 と、春風がボソリとそう呟き、それに続くように、


 「そう。武術で言うところの『心技体』って奴ね」


 と、アマテラスもコクリと頷きながらそう返した。


 その言葉を聞いて、


 (心技体……『心』と、『技』と、『体』。『技』と『体』はなんとかなるとしても、『心』か……)


 と、春風は自身の胸をグッと掴みながらそう考えると、


 「一体、どうやって鍛えたらいいんだよ」


 と、「困ったなぁ」と言わんばかり表情で再びボソリとそう呟いた。


 すると、その呟きが聞こえたのか、


 「あ、そうだぁ!」


 と、レナが何かを思いついたかのようにハッとなってそう叫んだので、


 「れ、レナ、いきなりどうしたの!?」


 と、驚いたヘリアテスがそう尋ねると、レナはそんなヘリアテスを無視して、


 「春風、『ハンター』になりなよ!」


 と、春風に向かって表情を明るくしながらそう言った。


 その言葉を聞いて、春風だけでなくアマテラスとヘリアテス、グラシアがポカンとしていると、


 「は、ハンターって、レナさんが今やってる……?」


 と、ハッとなった春風が恐る恐るそう尋ねてきたので、


 「そうそう、そのハンター!」


 と、レナは「うんうん!」と力強く頷きながらそう言うと、


 「さっきも言ったけど、『ハンター』ってのはね、報酬と引き換えに色んな仕事を請け負う職業なの。で、その間色んな人達と出会ったり話をしたりといった交流がある訳だから、そういったことを沢山していけば、生活する為のお金にもなるし、仕事の中には『魔物』や『悪い人』を相手にするのもあるから、『肉体的な強さ』と『技術面での強さ』を得られるし、何より今言ったように色んな人達と交流するから、もしかしたらそれで『精神的な強さ』も得られると思うの」


 と、真面目な表情でそう説明したので、それを聞いた春風は、


 「『ハンター』か……」


 と呟くと、


 (確かに、その『ハンター』ってのをやれば、アマテラス様が言った『心技体』……精神、技術、肉体的な強さを得られるかもしれない。でも……)


 と、そこまで考え込んだ後、


 「俺に……出来るのでしょうか?」


 と、レナに向かって不安そうな表情でそう尋ねた。


 その質問を聞いて、


 「は、春風さん……」


 と、ヘリアテスが不安そうな表情を浮かべたので、


 (おいおい、何を質問してるんだ俺は……)


 と、呆れ顔になりながら、心の中でそう呟いていると、


 「大丈夫! 春風ならきっと出来るよ!」


 と、レナが元気よくそう言ったので、その言葉に春風が「え?」と首を傾げると、


 「だって春風、ウィルフレッド王の事情をしっかり聞いてたし、聞いたうえでハッキリと自分の意思を言えてたし、何より……クラリッサ姫やサポートしてた人達のこと、本気で助けようとしてたじゃない」


 と、レナは笑顔でそう言ったので、


 (あ、そういえばそうだった)


 と、春風はその時のことを思い出して、


 「いや、だってあの時、クラリッサ姫は本当は倒れそうなくらい無理してたのがわかったし、あの人に何か変なことが起きたら、きっとウィルフレッド陛下やご家族の方、それに先生やクラスのみんなもきっとショックで悲しくなっちゃうんじゃないかって思ってましたし……」


 と、レナに向かってその理由を説明すると、


 「ほらぁ、そうやって他の人のことをキチンと考えることが出来るなら、きっと『いいハンター』になれるよ!」


 と、レナは再び笑顔でそう言ったので、


 「あ、いや、それは……」


 と、春風はまだ何か言おうとしたが、その時、


 ーーあ、待って。あと1つあるんだけど、これは僕からの個人的な「お願い」と言えばいいのかな。


 (……え?)


 と、春風の頭の中で、この世界に来る前にオーディンが言った言葉が浮かびあがった。


 (なんで、今ここでオーディン様の言葉が……?)


 と、春風はそう疑問に思った後、出発前のオーディンとの会話を思い出し始めた。


 時は遡って、エルードへの出発前。


 「あの、俺に何をしてほしいんですか?」


 と、恐る恐るそう尋ねた春風に、オーディンは答える。


 「え、えっとね、本当に個人な『お願い』なんだけど、向こうに行って、何か困ってたり悲しんでたりしてる人がいたら、出来る限りでいいから、助けてあげてほしいんだ」


 その答えを聞いて、


 「……は?」


 と、春風は嫌そうな表情でそう声をもらしたので、それにオーディンが「ま、まぁそうだよね」と苦笑いすると、


 「春風君、君の気持ちはわかるよ。でも、君が暮らしてる『地球』に『善人』と『悪人』がいるように、向こうにだって『いい人』っていうのがいるかもしれない。もし君が本気で『地球を救いたい』って思ってるなら、時にはそういった人達を助けることだって必要になってくると思うんだ」


 と、真剣な表情で春風に向かってそう言ったので、


 「……俺に、出来るでしょうか?」


 と、春風は不安そうな表情でそう尋ねると、


 「大丈夫。君なら、きっと出来るさ」


 と、オーディン穏やかな笑みを浮かべながらそう答えた。


 そして時は流れて、現在。


 (オーディン様。まさか今ここで、あなたの言葉を思い出すなんて……)


 と、その時のことを思い出した春風は、「ははは」と苦笑いすると、


 「『俺なら出来る』……か」


 と、小さな声でそう呟いて、


 「レナさん、俺やります! 『ハンター』に、なります!」


 と、レナに向かってそう言った。


 その言葉を聞いて、


 「春風!」


 と、レナはパァッと表情を明るくし、


 「ふふふ、よく言ったわ春風君」


 と、アマテラスはニヤリとしながらそう言った。


 


 


 

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