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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第1章 誕生、ユニークな「賢者」?
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第5話 破られた「ルール」


 「その不完全な『異世界召喚』の所為で、地球が消滅の危機に陥ってしまったの」


 「はぁあああああああ!?」


 アマテラスの言葉を聞いて、春風はそう絶叫した。


 そしてその瞬間……。


 ーー今、君の故郷が……「地球」が大変なことになってしまっている。


 アマテラス達に会う前に、真っ暗な闇の中で男性の形をした「光」が放った言葉が、春風の脳裏に浮かび上がったので、


 「ちょ、ちょっと待ってくださいアマテラス様! それ、一体どういう意味ですか!?」


 と、春風はアマテラスに掴み掛かる勢いでそう問い詰めた。


 そんな春風に対して、アマテラスはスッと右手を上げながら、


 「落ち着いて春風君。今から順を追って説明するから」


 と、落ち着いた表情で春風に向かって「待った」をかけた。


 それを受けて、春風はハッと我に返ると、アマテラスから2、3歩下がって、


 「す、すみませんでした」


 と、アマテラスに向かって深々と頭を下げながら謝罪した。


 そして、それを見たアマテラスが、穏やかな笑みを浮かべながら「気にしないで」と言うと、


 「まず、今も普通に行われている『異世界召喚』なんだけど、実はそれを行う為には、幾つかの『ルール』を守らなきゃいけないの」


 と、すぐに真剣な表情でそう話し出したので、


 「え!? 異世界召喚って『ルール』があるんですか!?」


 と、春風はギョッと驚きながらそう尋ねた。


 その質問を聞いて、アマテラス、ゼウス、オーディンはコクリと頷くと、


 「おうよ。んで、その『ルール』を破っちまうとな、恐ろしい『()』を受けちまうのさ」


 と、ゼウスもアマテラスと同じように真剣な表情でそう答えたので、それを聞いた春風は、


 「お、恐ろしい『罰』……ですか。一体、それはどうのような……」


 と、その「罰」について尋ねようとしたが、すぐに「いや、違うな」と首を横に振りながらそう呟くと、


 「その『ルール』というのは、どのようなものなのですか?」


 と、先に「ルール」について尋ねることにした。


 その質問を聞いて、まずはアマテラスが答える。


 「まず、異世界召喚を行うにあたって、召喚を行う側は3つの『あるもの』を用意しなきゃいけないの」


 「3つの……あるもの?」


 「1つ目は、『人材』。そもそも『異世界召喚』ていうのは、『人』と『神』による共同作業なの。それ故に、『異世界召喚』を行う者は、必ず『神職者』でなければいけないのよ」


 「神職……それって、『神官』とか『巫女』という意味でしょうか?」


 と、春風が首を傾げながらそう尋ねると、


 「ええ。それも、ただの『神職者』じゃ駄目。そうねぇ、例えば私達『神々』を相手に()()()()()()とか、()()()()()()()()とか、そういった感じに接することが出来るくらいの高い素質を持った者じゃなきゃいけないのよ」


 と、アマテラスは半ば冗談気味にそう答えたので、それを聞いた春風は、


 (えぇ? そんなことが出来る人、いるんですか?)


 と、若干引き気味になりながら、心の中でそう疑問に思っていると、


 「ああ、問題ねぇよ。そういった存在ってのは世間から隠れながら生きてるからな」


 と、まるで春風の心の中を読んでいるかのようにゼウスがそう言った。


 それに春風が「え、心読まれた!?」と驚いていると、アマテラスは「ふふ」と笑いながら説明を続ける。


 「次に、2つ目が『動機』。召喚する側は『異世界召喚』を行う為に、『どうして行うのか?』、『何の為に行なうのか?』を説明する為の理由……即ち『動機』を用意しなきゃいけないの」


 (そ、そっか。確かに、別の世界の存在を召喚するんだから、変な理由とか、くだらない理由で実行するなんて、許されるわけがないもんな)


 「で、3つ目が『対価』。召喚を行う側は、相手側の世界を守る『神』を納得させるだけの『対価』を用意しなきゃいけないの」


 「対価……それって、『魔力』のようなエネルギーみたいなものですか?」


 と、春風が首を傾げながらそう尋ねると、アマテラスは首を横に振りながら答える。


 「いいえ。それはあくまで召喚の術式を発動する為のものであって、『対価』にはならないの」


 そう答えたアマテラスの言葉を聞いて、春風は「え、じゃあ……」と考える素振りをすると、


 「まさか、誰かを『生贄』にする……なんてことしませんよねぇ?」


 と、恐る恐るそう尋ねた。


 その質問を聞いて、アマテラスだけでなくゼウスやオーディンまでもが「はぁ」と溜め息を吐くと、


 「あのねぇ、春風君。『異世界召喚』をする理由ってのは、殆どがその世界に生きてる人達を救う為なのよ。その為に、その世界に生きてる人達を捧げようなんて、それこそ本末転倒じゃない?」


 と、アマテラスは呆れ顔でそう言ってきたので、それに春風が「そ、そうですか」と返事すると、


 (ん? ちょおっと待てぇえええええい! それ、全国の『生贄文化』がある地域の人達が聞いたら、ショックで発狂するんじゃないですかぁあああああ!?)


 と、表情に出さないように、心の中でそう絶叫した。


 そして、そんな春風を見て、


 「「「あはは。でしょうねぇ」」」


 と、アマテラスら3柱の神々は、まるで春風の心を読んだかのように苦笑いを浮かべながら言った。


 その後、「あ、また心読まれた!?」と驚く春風を無視して、アマテラスは更に説明を続ける。


 「……と、ここからは真面目な話ね。で、何を『対価』にすればいいのかというと、他の世界に生きる存在を召喚するわけだから、当然、その世界の文明の発展に大きく貢献出来るものじゃなきゃいけないの」


 その説明を聞いて、


 「お、おおそうでしたか……」


 と、春風が納得の表情を浮かべていると、


 「で、最後なんだけど、召喚する側は今言った3つのものを用意したうえで、召喚する側の世界の神と、相手側の世界の神、両方から「OK」を貰わなきゃいけないの。これが、『異世界召喚のルール』ってわけ」


 と、アマテラスはそう説明を締め括ったので、


 「お、おお。結構、色々と大変なんですね」


 と、春風はタラリと汗を流した。


 それを見たアマテラスは、


 「そうよぉ、とっても大変なの。でも、これを守らないと、さっきもゼウスが言ったように、恐ろしい『罰』を受けなきゃいけないのよねぇ」


 と、「困ったものだわぁ」と言わんばかりの表情でそう言った後、すぐに真面目な表情になって、


 「で、今回『エルード』っていう異世界で行われた『異世界召喚』なんだけど、それを実行するにあたって、守られた『ルール』の数は……0(ゼロ)よ!」


 と、春風に向かってそう言ったので、


 「ぜ、ゼロォ!?」


 と、春風は驚きのあまり目を大きく見開き、


 「そう。もう完全にルール違反……いえ、()()()()()と言った方が正しいわね。そして、そのルールを無視して『異世界召喚』を実行した『エルード』という異世界は『罰』を受けることが決定したんだけど……」


 と、アマテラスは更にそう話をして、それを聞いた春風が、


 「だ、だけど……何ですか?」


 と、恐る恐るそう尋ねると、


 「それに引っ張られる形で、地球も『罰』を受ける……つまり、消滅することになっちゃったの」


 と、アマテラスはかなり険しい表情でそう答えた。


 


 


 


 

 


 




 

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