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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第3章 異世界エルードの「真実」

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第46話 そして、「神」は「親」になった


 ヘリアテスから告げられた、封印から解放されてから、「赤ん坊」だったレナに出会うまでの経緯。


 その話を聞いて、春風とアマテラスは「へぇ、そうなんだ」と言わんばかりにポカンとなったが、


 「……って、ん?」


 と、春風が首を傾げたので、


 「どうしたの春風君?」


 と、隣に座るアマテラスがそう尋ねると、


 「今、ヘリアテス様は『狐の耳と尻尾があった』と言ってましたが……」


 と、春風は恐る恐るといった感じでそう答えた後、チラッとレナを見た。


 確かに、ヘリアテスは「雪のように白い髪に狐の耳と尻尾があった」と言い、更に「赤ん坊を包んでいた白い布に『レナ・ヒューズ』と書かれていた」と言った。


 それがレナのことだというのは理解出来たが、今、目の前にいる彼女は確かに髪は白いが狐の耳と尻尾らしきものはなく、どう見ても「人間の女の子」なので、春風は「どういうことだろう?」と疑問に思ったのだ。


 その視線(というより疑問)に気付いたのか、


 「あ、そっか!」


 と、レナはハッとなったようにそう口を開くと、スッと自身の左腕を持ち上げた。その左腕には革製のグローブが装着されていたが、レナがそのグローブを外すと、その手首には小さな赤い宝石が1つだけはめ込まれた銀色の腕輪があったので、それ見た春風が、


 (ん? 何だろう。何か()()()を感じる……)


 と、再び首を傾げる中、レナは慣れた手付きでその腕輪を外した。


 すると次の瞬間、レナの髪が更に白く光り出して、その髪の間からピョコンと狐の耳が、お尻の辺りからフサフサとした狐の尻尾が現れたので、


 「わぁ……」


 と、春風が大きく目を見開きながらそう声をもらすと、レナは外した銀色の腕輪を見せながら、


 「この腕輪には『偽装』のスキルと同じ能力がありまして、これに魔力を流すことによって装着者の姿を変えることが出来るんです」


 と、春風とアマテラスに向かってそう説明した。


 その説明を聞いて、


 「はぁ、なるほどねぇ……」


 と、納得すると、


 「ねぇ、ヘリアちゃん。ちょっと聞き難いんだけどぉ……」


 と、ヘリアテスに向かって本当に言い難そうに話しかけたので、


 「は、はい、何でしょうか?」


 と、ヘリアテスも言い難そうに返事すると、


 「その……『川に流されてた』とか言ったてけど、この子の()()()()……ていうか、()()とかはどうなってるの?」


 と、アマテラスは更に言い難そうに尋ねた。


 その質問に対して、ヘリアテスは「うぅ!」と呻きながらチラッとレナを見ると、


 「大丈夫だよお母さん」


 と、レナは真剣な表情でそう言ったので、その表情を見たヘリアテスは意を決したかのように「うん」と頷くと、アマテラスに視線を戻して口を開く。


 「この子が運び込まれた後、私とループスは精霊達にお願いして、この子の故郷を探させました。きっと、本当の親が心配してるんじゃないかと」


 「そうなんだ。で、見つかったの?」


 「はい。その時のこの子には『妖精』の魔力が備わってましたので、それと同じ波長の魔力を手掛かりにしました。元々『妖精』という種族は、親と子で魔力の波長が同じでして、この子の魔力の波長を辿れば、きっと親が見つかると考えたのです。その結果、故郷は見つかりましたが……」


 と、ヘリアテスはそこまで言うと、何故か悲しそうな表情になったので、それを見たアマテラスは「あ……」と声をもらした後、


 「……ど、どうなってたの?」


 と、ヘリアテスに向かって恐る恐る尋ねた。


 その質問を聞いて、ヘリアテスは「うぅ……」と答えるのを躊躇うかのような表情になったが、


 「大丈夫だからね、お母さん」


 と、レナに優しくそう言われたので、ヘリアテスは再び「うん」と頷くと、またアマテラスに視線を戻して、


 「この子の故郷らしき村……というか、集落的なものは見つかりましたが、そこは既に何者かによって壊滅させられた後でした」


 と、悲しそうな表情でそう言った。


 その言葉を聞いて、春風が「そんな!」とショックを受ける中、


 「『壊滅させられた』とは随分と物騒ね。どうしてそう思ったの?」


 と、アマテラスが真剣な表情でそう尋ねてきたので、ヘリアテスは悲しそうな表情のまま、アマテラスを見て答える。


 「実は、精霊達がそう報告しましたので、気になった私とループスは精霊達にお願いして、人に見つからないように注意しながらそこに向かったのです。そこで見たのは、明らかに何者かによって襲撃を受けたかのような惨状でして、その集落的なところにあった家は全て破壊され、焼き尽くされていました」


 「住人達の姿はなかったの?」


 「はい、精霊達の協力を受けて、私とループスで調べてみた結果、そこに住んでいたと思われる妖精達と獣人達は、()()()()が確認されました」


 と、ヘリアテスはそう言うと、


 「その中には、この子の本当の両親もいました」


 と、最後に表情を暗くしながらそう付け加えた。


 その言葉を聞いて、春風とアマテラスも、ヘリアテスと同じように悲しそうな表情になると、


 「そう。それで……その死亡した住人達は?」


 と、アマテラスがそう尋ねてきたので、


 「それがちょっと妙な話なのですが、実は私達がそこに来た時には、既に住人全員がお墓に埋葬されていた後だったのです。誰がやったかまでは……」


 と、ヘリアテスは「これ以上はわかりませんでした」と言わんばかりに首を振りながらそう答えたので、


 「え、ま、まさか、掘り起こしたの?」


 と、アマテラスがタラリと汗を流しながら再びそう尋ねると、


 「あ、はい。勿論、許されることではないのはわかっているのですが、この子の為にも、知らなくてはいけないと思い……」


 と、ヘリアテスはチラリとレナを見ながら、気まずそうにそう答えた。


 その答えを聞いて、


 「ま、まぁ、そういうことなら仕方ないわね」


 と、アマテラスはそう言って「コホン」と咳き込むと、


 「そ、それで、その後はどうしたの?」


 と、ちょっと強引に話題を変えるような感じでそう尋ねた。


 その質問に対して、ヘリアテスは真っ直ぐアマテラスを見ながら答える。


 「はい、この子の故郷について調べ終えた私達は、すぐにここに戻ってこの子をどうしようかと話し合いました。一番いいと思ったのは、『何としても生き残った妖精や獣人を探し出して、この子の親になってもらう』という案でしたが、同時に『この子を放り出していいのか?』とも考えましたし、何より私やループス、そして精霊達を見て笑っていたこの子が、凄く()()()()とも思ってしまったのです」


 と、そう言ってチラッとレナを見たヘリアテスを見て、アマテラスが「あらあら……」と困ったような笑みを浮かべながらそう声をもらした。


 その後、ヘリアテスはまたアマテラスに視線を戻すと、


 「そして話し合った末、『この子を放っておくことなんて出来ない!』という結論に至った私達は、この子の『親』になることを決め、この子を……レナを自分達の『娘』として育てることにしたのです」


 と、真剣な表情でそう言ったので、


 (そう……だったんだ)


 と、春風は「凄いなぁ」と言わんばかりの表情でそう感心した。


 


 


 



 


 

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