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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第3章 異世界エルードの「真実」

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第45話 レナとの出会い


 「この子との出会いは、今から17年前になるのですが、その話をする為に、封印から解放された後についての話をしてもよろしいでしょうか?」


 と、レナとの出会いについて話そうとして、少し申し訳なさそうにそう尋ねたヘリアテス。それに対して、


 「そうね。そこからお願いするわ」


 と、アマテラスが「OK」を出したので、


 「ありがとうございます。それでは……」


 と、ヘリアテスがそうお礼を言うと、当時のことについて話を始めた。


 「長きに渡る封印から解放された私とループスは、この世界の現状を知った後、敵の親玉から身を隠す場所を探していました」


 「よく見つからなかったわね」


 「はい。多分、連中は既に知っていたと思うのですが、()()()()()()など眼中になかったのか、もしくは別の理由があったのか……まぁ、とにかく、そんな感じで私達が連中に見つかることはありませんでした」


 と、アマテラスの言葉に、ヘリアテスは苦笑いしながらそう返した。


 「で、話を戻しますが、私達がこれから住む場所に困っていた時、()()()()が助けてくれたのです」


 と、そう話したヘリアテスに、アマテラスが「ある存在?」と呟くと、


 「皆さん、出てきていいですよ」


 と、何もない食堂の壁に向かってヘリアテスがそう声をかけたので、それにアマテラスだけでなく春風までもが「ん?」と、首を傾げた。


 すると次の瞬間、食堂の壁をスーッと通り抜けたように、幾つもの赤、青、オレンジ、緑色をした、大小様々な光の粒が現れたので、


 「あ、精霊さん達……」


 と、それを見た春風がそう呟いた。


 そんな春風を他所に、


 「あら、その子達って……」


 と、アマテラスが何かに気付いたかのようにそう口を開くと、


 「はい。この子達は『精霊』。()()()()()()()()()()が、今のこの世界の『理』によって姿形を得た存在です」


 と、ヘリアテスはコクリと頷きながら、今目の前に現れた光の粒ーー「精霊」についてそう説明した。


 その説明を聞いて、


 「今のこの世界の『理』……それって……」


 と、今度は春風がそう口を開くと、ヘリアテスは再び「はい」と頷いて、


 「『職能』と『ステータス』、そして『スキル』という『理』……いえ、『システム』と言った方がいいですね」


 と、少し悲しそうな感じの笑顔でそう言ったので、


 「やっぱり、あなた達が作ったものじゃないのね」


 と、アマテラスも表情を曇らせながらそう言いうと、


 「世界の『理』を書き換えるなんて……」


 と、最後に明らかに怒っている感じでそう付け加えた。


 その後、


 「……ごめんなさい。続きをお願い」


 と、そう謝罪してきたアマテラスに、ヘリアテスは「わかりました」と頷きながら続きを話し始める。


 「この『精霊』達なのですが、先程話ましたように、死んだ妖精の力の一部が姿形を得た存在なのですが、中にはその死んだ妖精の『記憶』と人格を持っているものがいまして、その為か私達のこと……そう、500年前の出来事や、その前のことを覚えていたのです。そのことを知って、私とループスのことを恨んでいるかもしれないと最初は怖かったのですが、みんな、こんな状態にまでなってしまった私達を受け入れてくれて、凄く嬉しかったのです」


 と、そう話したヘリアテスの目に、うっすらと涙が浮かんでいるのが見えたので、それを見た春風は少し泣きそうになった。


 それを見て、ヘリアテスは「ああ、失礼しました」と言いながら目に浮かんだ涙を拭うと、続きを話し始めた。


 「そして、精霊達と出会った私とループスは、この子達と協力してこの空間を作り、隠れ住むことにしたのです。幸い私もループスも、生活の仕方についての知識もありましたし、精霊達も外から必要なものを持ってきてくださっていたので、それほど苦しい日々ではありませんでした。ああ因みに、この子達は『人間』達に見つからないように姿を隠せるのですが、時折姿を現しては彼らを驚かせるのが好きなんですって」


 と、ヘリアテスが最後に「ふふふ」と笑いながらそう言うと、その話を聞いたアマテラスが「へぇ、そうなの!」と目を少し大きく見開いて、


 「ヘリアちゃん達を助けてくれて、ありがとうね」


 と、精霊達に向かってニコッと笑いながらそうお礼を言ったので、その言葉を聞いた精霊達は「えっへん!」と言わんばかりに上下に動いた。


 (あ、すっごい喜んでる)


 と、そんな精霊達を見た春風が心の中でそう呟いていると、


 「うーん。封印から解放されてからのことや、この子達のことはわかったけど……」


 と、アマテラスがそう口を開いたので、


 「ああ、大丈夫です。話はここからですので」


 と、ヘリアテスはそう言って、更に続きを話し始めた。


 「それから長い月日の間、私とループス、そして精霊達はこの空間で世間から隠れるように暮らしていたのですが、ある日、家の外で精霊達が何やら揉めているのが見えましたので、気になった私は外に出て揉めている精霊達のもとに向かうと、足下に大きな籠があったので、私は『それは何ですか?』と尋ねたのです。精霊達によると、なんでも幼い精霊達が空間の外を飛び回っている最中に、川に流されていたのを発見して、持ち帰ってきたそうなのです」

 

 その話を聞いて、


 「へぇ、そうなの」


 と、アマテラスがそう呟くと、

 

 「ねぇ、ヘリアちゃん。その籠の中に、何が入ってたの?」


 と、アマテラスが恐る恐るといった感じでそう尋ねると、


 「そのぉ、大変申し上げ難いのですが……その籠の中身が気になった私は、揉めている精霊達を無視してそーっと中を覗くと、そこには白い布に包まった赤ちゃんが眠っていたのです」


 と、ヘリアテスは「あはは」と気まずそうにそう答えたので、


 「へぇ、『赤ちゃん』ねぇ。で、その赤ちゃん、何か特徴みたいなものはあったの?」


 と、アマテラスは「あらあら……」と言わんばかりの表情で再びそう尋ねてきたので、


 「はい。その赤ちゃんは女の子で、()()()()()()()()の他に、()()()()()()()()がありました」


 と、ヘリアテスは()()()チラッとレナを見ながらそう答えたので、


 「……で、他に特徴は?」


 と、アマテラスが何やら真剣な表情で更にそう尋ねた。


 その質問に対して、ヘリアテスは「うぅ……」と何やら気まずそうに呻いた後、


 「その……赤ちゃんを包んでた白い布に、『レナ・ヒューズ』と書かれてましたので、それがこの子の名前だろうと……」


 と、再びチラッとレナを見ながらそう答え、それに続くように、


 「あぅ……」


 と、レナも恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。

 

 

 

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