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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第3章 異世界エルードの「真実」

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第39話 春風、「本当の神」に会う

 今回はいつもより少し長めの話です。


 レナを追いかけるように白い扉を潜った春風。


 (え? また森? でも……何か違う)


 その先に広がっていたのはまた森の中だったが、先程までいた薄暗い森の中とは違って何処か神秘的な雰囲気を感じたので、春風は「どうなってるんだ?」と言わんばかりに周囲を見回した。


 すると、自身の後ろの方で何かが光ったのを感じて、思わず春風が後ろを振り向くと、


 「あれ!? 扉が!」


 なんと、春風とレナが通った白い扉が、眩い光と共にスーッと消えたので、春風は驚きのあまり目を大きく見開いた。


 そんな春風を見て、レナは「ふふ……」と笑うと、


 「春風、こっちこっち。もうすぐだからね」


 と、声をかけたので、春風はそれに「は、はい」と頷きながら返事すると、彼女と一緒にその場から歩き出した。


 それから少しの間、春風とレナがその神秘的な雰囲気をした森の中を歩いていると、大きな湖の前に出た。その湖も、先程まで歩いていた森の中と同じく神秘的な雰囲気をしていたので、


 「わぁ……」


 と、春風は大きく目を見開きながら感動した。


 そんな春風に向かって、


 「いい所でしょ?」


 と、レナそう尋ねると、


 「は、はい、とっても」


 と、春風は大きく目を見開いた状態のままそう答えたので、それにレナが再び「ふふ」と笑うと、


 「ありがとう」


 と、笑顔でお礼を言った後、恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にしながら、


 「あー、春風! ほら、()()()! あそこが目的地だよ!」


 と、とある方向を指差しながらそう言った。


 それに春風が「ん?」と反応すると、


 (あれは……ログハウス?)


 レナが指差した方向、湖のほとりに、一軒のログハウスがあるのが見えたので、


 「あそこ……ですか?」


 と、レナに向かって確認するかのようにそう尋ねた。


 それにレナが「うんうん!」と力強く頷くと、


 「さ、行こう!」


 と、その場から歩き出したので、春風もそれに着いていくことにした。


 すぐに近くまで歩くと、そのログハウスはとても大きいもので、


 (はー、これまた立派なものだなぁ)


 と、ログハウスを見た春風がそう感心していると、中でタタタッと何かが走ってる音が聞こえたので、それを聞いた春風が「ん?」と首を傾げていると、「バァン」という音と共にログハウスの大きな扉が開かれて、


 「おかえりぃ、レナぁ!」


 と、その向こうから小さな人影が現れて、ガバッとレナに抱きついてきた。


 (うわ、何だ!? 何が出てきたんだ!?)


 と、突然のことに驚いた春風が、その人影の正体を確かめようとジーッとよく見ると、


 (お、()()()?)


 その正体は、大昔の東洋の民族衣装っぽい衣服に身を包んだ、長い金髪と金色の瞳を持つ、見たところ10歳から12歳くらいの幼い少女だったので、


 (だ、誰だろう? レナさん妹さん、かな?)


 と、春風がそんなことを考えていると、レナはニコッと笑って、


 「ただいま、()()()()!」


 と、その幼い少女をそう呼んだ。


 その言葉を聞いて、


 (あ、『お母さん』なんだ……)


 と、春風は心の中でそう呟いた後、


 「……ん?」


 と、首を傾げて、


 「はぁあああああ!?」


 と、驚きに満ちた叫びをあげたので、レナと「お母さん」と呼ばれた幼い少女は2人して、


 「「え、何事!?」」


 と、目を大きく見開きながら春風を見た。


 その後、お互い固まった状態で見つめ合っていると、


 「……は! し、失礼しました! みっともないところをお見せしてしまって!」


 と、我に返った春風が、大急ぎでレナと幼い少女に向かってそう謝罪すると、


 「「い、いえ、こちらこそすみません」」


 と、レナと幼い少女も2人して春風に向かってそう謝罪した。


 それからすぐに、


 (えっとぉ、『お母さん』ってことは、()()()は……!)


 と、春風が大慌てで次に言うべき言葉を考えていると、


 「あの……」


 と、幼い少女がそう口を開いたので、


 「あ、はい、何でしょうか?」


 と、春風はそう返事した。


 すると、幼い少女はレナから離れると、1歩前に出て、


 「失礼を承知でお聞きしたいのですが、『異世界』の方……ですよね?」


 と、春風に向かって恐る恐るそう尋ねたので、それに春風が「あ……」と声をもらすと、ゆっくりと深呼吸して両目を閉じた。


 すると次の瞬間、春風の背中が赤く光り出して、その光から、「地球の神オーディン」と契約した証である赤い翼が現れたので、


 「え!? 何その翼!?」


 と、それを見たレナがギョッとしていると、


 「その翼……『神』と契約を交わしたのですね?」


 と、幼い少女が再びそう尋ねてきたので、


 「その通りです。そして、申し遅れました。自分は『地球の神』が1柱、オーディン様と契約を結びました、雪村春風と申します」


 と、春風は丁寧な口調でそう自己紹介した。


 それを聞いて、「えぇ!?」と驚くレナを他所に、


 「ああ、やはりそうでしたか」


 と、幼い少女は「ふふ」と小さく笑いながらそう言うと、


 「こちらこそ申し遅れました。私の名は、ヘリアテス。こちらのレナ・ヒューズの()()()()にして、この世界『エルード』の、『太陽と花』を司りし女神」


 と、見た目通りの幼い少女のものとは思えない雰囲気を出しながらそう自己紹介すると、


 「といっても、今は『悪しき邪神』などと呼ばれてますが」


 と、最後に「はは」と自嘲気味に笑いながらそう付け加えた。


 その自己紹介を聞いて、


 (ああ、やはりこの方が……)


 と、春風が納得していると、


 「あの、『神』の名を出したということは、もしかして『異世界召喚』に関わるものですか?」


 と、幼い少女……否、女神ヘリアテスーー以下、ヘリアテスがそう尋ねてきたので、


 「その通りです。ルーセンティア王国が行った、『ルールを無視した異世界召喚』によって、今、この世界だけでなく、自分と、この世界に召喚された人間達の故郷『地球』が消滅の危機に陥ってしまったのです。そして自分は、それを阻止する為にオーディン様と契約を結び、この世界に来たのです」


 と、春風はヘリアテスに向かって、自身がこの世界に来た目的を話した。


 その話を聞いて、


 「え、えぇ!?」


 と、レナは驚きのあまり目を大きく見開き、


 「そ、そんな! この世界だけでなく、他の世界まで……!」


 と、ヘリアテスはショックで今にも泣き出しそうな表情になった。


 そんなヘリアテスを見て、


 (うわぁ、凄いショックを受けてるなぁ)


 と、春風は辛そうな表情になったが、すぐに首をブンブンと横に振ると、


 「ヘリアテス様、無礼を承知で、お願いしたいことがあります」


 と、ヘリアテスに話しかけたので、


 「は、はい、何ですか?」


 と、ヘリアテスがそう返事すると、


 「お手を拝借してもいいでしょうか?」


 と、春風はスッと右手を差し出しながらそう尋ねた。


 それにヘリアテスが「え?」と首を傾げたが、すぐにハッとなって、


 「どうぞ」


 と、春風の前に自身の右手を差し出した。


 それを見た春風は「では失礼します」と言って、差し出されたその手に触れると、


 「あ、凄く暖かい……」


 と、思わずボソリとそう呟いたが、


 「は! し、失礼しました!」


 と、すぐにそう謝罪したので、


 「ああ、気にしないでください」


 と、ヘリアテスは「ふふ」と笑いながらそう言った。


 その時だ。


 ーージリリリリリリリ!

 

 「「「っ!」」」


 突然、春風の上着のポケットからそんな音が鳴り出したので、2人と1柱はギョッとなった。


 その後、


 (え、まさか……)


 と、春風はすぐにポケットに手を入れて、そこから()()()()()であるマジックスマートフォンーーマジスマを取り出し、その画面を見ると、


 「……アマテラス様?」


 そこには、春風と「勇者」達の祖国「日本」の女神である「アマテラス」こと「天照大神」の名が表示されていた。

 

 


 

 


 

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