第371話 「詳細報告」からの……
お待たせしました、1日遅れの投稿です。
それから春風は、歩夢らクラスメイト達から、自身がルーセンティア王国から去った後の出来事を聞いた。
大体の話は以前ヴァレリーから聞いた話と違いはないが、実際にクラスメイト本人からその時の詳しい話を聞いて、春風は少しずつ表情を暗くしていった。
そして、
「……これが、フーちゃんが私達のもとから去った後に起きたことなの」
と、歩夢が話をそう締め括ると、
「うわぁ、そんなことが……」
と、春風は手で顔を覆いながら、力無くそう呟いた。
そんな春風を、周囲の人達が心配そうな目で見る中、
(参ったなぁ。話の内容的にはヴァレリーさんから聞いたのと変わらないけど、こうしてユメちゃん達から直接聞くと、かなり堪えるなぁ。まぁ、原因作ったのは俺だけど……)
と、春風は心の中でそう呟きながら、改めて自身の行いに対して罪悪感を抱いた。
確かに、春風自身にも「事情」がある。それも、いち高校生にはあまりにも大き過ぎる「事情」が。
しかし、だからといって何も知らない歩夢らクラスメイト達や、担任教師である朝霧爽子を置いていったことに関しては何も思ってないわけではない。
今だからこそここで記すが、歩夢らと別れてルーセンティア王国を出て、その後レナの実家であるヘリアテスのところに世話になっていた当初、春風は2つの「悪夢」を見るようになってしまったのだ。
1つは「地球とエルード、2つの消滅を止めることが出来なかった」という悪夢。
そして、もう1つは、
「なんで私達を置いていったの?」
「なんで僕達を裏切ったの?」
そう、「ルーセンティア王国に置いていったクラスメイト達から責められる」という悪夢だ。
夢の中のことではあるが、出来ることならそこで春風は「違う!」と反論したかった。しかし、「信じてもらえないかもしれない」という不安で、そうすることが出来なかった。それ故に、
(そうだ。仕方ない。責められても仕方ないことをした、俺が悪いんだ)
と、春風はそう考えて、クラスメイト達からの責め苦を黙って聞くしかなかったのだ。
まぁそれはさておき、歩夢達の話を聞き終えて、春風は「ふぅ……」とひと息入れると、
「ありがとうございます、皆さん」
と、歩夢達に向かって敬語でお礼を言うと、その後すぐに、
「そして……置いていってすみませんでした」
と、深々と頭を下げながらそう謝罪した。
その謝罪を聞いて、
「ふ、フーちゃん……」
と、歩夢が戸惑っていると、
「あー、あのさぁ雪村……」
と、クラスメイトの1人である「暁君」と呼ばれた熱血漢風の少年……以下、暁がそう口を開いたので、それに春風が「ん?」と反応しながら顔を上げると、
「俺達去年一緒のクラスだっただろ? で、ずっと言いたかったんだけどよぉ……」
と、暁はなんとも歯切れの悪そうな感じでそう言ったので、その言葉に春風が「え?」と首を傾げると、
「その敬語やめてくんねぇか? 俺達同い年なわけだし」
と、暁はビシッと春風を指差しながらそう言い、それに続くように、
「あー。そういえば雪村君、教室……ていうか、学校の中だといつも敬語だよねぇ」
と、野守も今思い出したかのようにそう口を開いてきて、それを聞いた周囲の人達……というよりその場にいる全エルードの住人達が、
『え、そうなの?』
と、一斉に春風に視線を向けてきたので、
「え、いや、そのぉ……」
と、その視線に春風が戸惑っていると、
「……ていうか、雪村君」
と、「夕下さん」と呼ばれていた三つ編みの少女……以下、夕下もそう口を開いたので、それに春風だけでなく周囲の人達までもが「ん?」と一斉に彼女に視線を向けると、
「桜庭君から聞いたんだけど……雪村君、学校じゃ随分と猫をかぶっていたみたいね」
と、夕下がジト目でそう言ってきたので、
「ブフォッ!?」
と、その言葉に春風は思わず吹いてしまった。
その後、春風は「ゲホ! ゲホ!」と咳き込むと、
「ちょっと! いきなり何言い出すんですか!?」
と、夕下に向かってそう尋ねた。その質問に対して、
「だって、桜庭君が『春風は学校じゃ大人しくしてるけど、それ以外だと結構はっちゃけてるていうか、ぶっ飛んでる』って言ってたから。後、『敬語も使う頻度も少ない』とも」
と、夕下がそう答えると、
「「「「あー、そういえば言ってたなぁ……」」」」
と、歩夢、美羽、暁、野守が遠い目をしながらそう言ってきたので、それに春風は「な!?」と絶句すると、
(み、水音の奴ぅ……)
と、この場にいない少年を思い浮かべて、心の中で恨み言を呟いた。
すると、
「ていうかさぁ雪村君……」
と、今度は野守がそう口を開いてきたので、
「な、何でしょうか野守君?」
と、春風が恐る恐るそう返事すると、
「さっきから海神さんと天上さんのこと、苗字で呼んでないよね?」
と、野守がチラッと歩夢と美羽を見ながらそう尋ねてきた。
その質問を聞いて、春風が「え?」とポカンとした表情になると、
「……あ!」
と、春風は思わず「しまった!」と言わんばかりに手で口を覆った。
そう、確かに野守の言う通り、春風は学校の外では歩夢と美羽のことを「ユメちゃん」「美羽さん」と呼んでいるが、学校の中では2人のことは「海神さん」「天上さん」と苗字で呼んでいた。
しかし、ルーセンティアで別れて、ここフロントラルで再会した時、春風は他のクラスメイト達がいるにも関わらず、2人のことを苗字で呼ばず、学校の外と同じように呼んでいたので、こうして野守に指摘されるまでずっとそれを忘れていたのだ。
そして、漸くそのことを思い出して、
(や、ヤバい。再会した嬉しさでつい……)
と、春風が心の中でそう呟きながらダラダラと滝のように汗を流していると、
「フーちゃん……」
と、歩夢がそう声をかけてきたので、
「な、何でしょうか?」
と、春風が敬語でそう返事すると、
「もう、無理しなくていいんだよ?」
と、歩夢が悲しそうな表情でそう言ったので、そんな彼女の言葉に春風は思わず、
「うぐぅ!」
と呻きながら自身の胸を押さえつけると、
「は!」
歩夢だけじゃなく、美羽、暁、野守、夕下もジッと春風を見つめていたので、
「え、ええっとぉ……」
と、春風は何か言い訳しようとしたが、尚も見つめてくるクラスメイト達の視線に耐えられなかったので、
「だぁあああああ、もう! わーかった、わかったよぉ! ほら、これでいいんだろこれで!?」
と、春風は観念したかのように、敬語ではなくくだけた口調でそう言った。
そんな春風の言葉に、
『おお!』
と、周囲からそんな声があがり、
「はは! なんか雰囲気が変わったね!」
と、野守が茶化すようにそう言うと、
「あんまし目立つのは好きじゃないんだよ俺は」
と、春風は顔を赤くしながらそう言ったが、
「……でも、私はこっちのフーちゃんの方がいい」
「うん、それは私も同じかな」
と、歩夢と美羽がニコッとしながらそう言ったので、
「……勘弁してよ2人とも」
と、春風は更に顔を赤くしてそっぽを向きながらそう言った。
謝罪)
大変申し訳ありませんでした。この話の展開を考えていたら、その日のうちに終わらせることが出来ず、結果として1日遅れの投稿となってしまいました。
本当にすみません。




