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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第2章 「物語」の始まり

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第29話 春風、質問する


 「今回、俺達をこの世界に召喚した時に用いた『勇者召喚』について、幾つか質問したいのです」


 と、ウィルフレッドに向かってそう言った春風。


 その言葉を聞いて、


 「な、何?」


 と、ウィルフレッドがポカンとしていると、


 「あ、すみません。ちょっと口調がおかしかったでしょうか?」


 と、春風は謝罪しながらそう尋ねたので、


 「あ、いや、すまない、そのままで構わないが、何故其方は『勇者召喚』について知りたいのだ?」


 と、ウィルフレッドも春風と同じように謝罪しつつそう尋ね返した。


 その質問に対して、春風は真っ直ぐウィルフレッドを見ると、


 「申し訳ありません、これは()()()にとって()()()()()()()()()なのですので、それを確かめる為にも必要なことなのです」


 と、国王を前にしてるのにも関わらず()()()()()()()でそう答えた。


 その答えを聞いて、ウィルフレッドは()()を感じたのかタラリと汗を流すと、


 「そ、そうなのか。わ、わかった、それでは遠慮なく質問してくれ」


 と、コクリと頷きながらそう言ったので、


 「ありがとうございます。それでは……」


 と、春風は深々と頭を下げてお礼を言った後、質問を始めた。


 「まず1つ目ですが、今回の『勇者召喚』はどちら様が行ったのですか?」


 と、そう尋ねた春風に、ウィルフレッドは「それは……」と答えようとすると、


 「それは、わたくしです」


 と、それを遮るかのように、クラリッサがウィルフレッドの前にでながらそう答えた。


 突然のクラリッサの発言に、春風は「え?」と目を大きく見開くと、


 「え、えーっと……クラリッサ姫様自ら行ったのですか?」


 と、少し驚いたと言わんばかりの態度で、クラリッサに向かってそう尋ねたので、


 「その通りです。5柱の神々より授かった『勇者召喚』は、この世界にとって『希望』となり得る存在を召喚する為のもの。わたくしは王女として、わたくしの『大切なもの』がいるこの国を守りたいのです」


 と、クラリッサも真っ直ぐ春風を見てそう答えると、


 「それで、クラリッサ姫様自ら『勇者召喚』を行うと名乗り出たのですね?」


 と、春風は続けてそう尋ねたので、


 「その通りです」


 と、クラリッサはコクリと頷きながらそう答えた。


 春風はその答えを聞いて、


 (そうなんだ。よくウィルフレッド陛下許してくれたなぁ……)


 と、チラッとウィルフレッドに視線を向けながら、心の中でそう呟くと、


 「……無礼を承知でお尋ねしますが、クラリッサ様は何の職能を持ってるのですか?」


 と、今度は少し恐る恐るといった感じでそう尋ねた。


 その質問を聞いて、クラリッサは「え?」と首を傾げたが、すぐに表情を変えて、


 「はい、わたくしは『司祭』の職能保持者で、自慢ではありませんが、これでも力はある方なのですよ」


 と、「ふふん!」と胸を張りながらそう答えたので、


 (お! ということは『神職者』ってことでいいのかな?)


 と、春風がそう疑問に思った、まさにその時、


 「その通りです! クラリッサ様は我々五神教会に所属している他の『司祭』の職能保持者よりも素晴らしい資質をお持ちなのです!」


 と、それまで黙っていたジェフリーも何故か「ふふん!」と胸を張りながらそう答えたので、春風はギョッと驚きながらも、


 (え、何であんたまで自慢すんの?)


 と、ジェフリーの発言に少しドン引きしたが、すぐに「そ、そうなんですか」と呟くと、すぐにクラリッサに向き直って、


 「ということは、王女様が神様達と協力して俺達を召喚したのですか?」


 と、尋ねた。


 すると、


 「え、か、『神様達と協力』……ですか?」


 と、クラリッサは「何言ってんのあんた?」と言わんばかりの表情でそう尋ね返してきたので、


 (しまった! 質問ミスった!?)


 と、春風は慌てて口元を押さえると、


 「も、申し訳ありません。えっとぉ、『勇者召喚』を行ったのは、クラリッサ姫様お一人で、でしょうか?」


 と、若干おかしな口調で謝罪しながら更にそう尋ねた。


 その質問を聞いて、クラリッサは「え? え?」と若干混乱したが、すぐに首をブンブンと横に振ると、


 「あ、はい。実は皆様を召喚する時、『何かあってはいけないから』ということで、五神教会の方から数人ほど私と同じ『司祭』の職能保持者達がサポートに入ってくれたのです」


 と、恥ずかしそうに顔を赤くしながらそう答えた。

 

 その答えを聞いて、春風は「そ、そうでしたか」と呟きながら、右手で自身の右目を隠すと、


 (『神眼』には何の反応もなし。ということは、今のクラリッサ様の言葉に嘘はないということか)


 と、心の中でそう結論づけた。


 実は春風が質問を始める前、念の為にとスキル『神眼』を発動させていた。ただ、普通に発動したら周りが驚いてしまうのでは(というか自分の正体がバレしまうのでは)ないかと考えて、


 (俺の()()に……スキル『偽装』、発動)


 と、自身の両目に「偽装」をかけたのだ。


 その結果、


 (うーん。周りは特に変わりなし、か)


 と、春風がそう思ったように、周囲の人達は全く気付いてない様子だったので、


 (よかった、バレてないぞ)


 と、春風は心の中でガッツポーズをとった。


 そして、クラリッサへの質問が終わると、


 (今のクラリッサ王女様の話、もし『ルール』を守った異世界召喚をするなら、彼女の実力はオーディン様やアマテラス様、ゼウス様から見たらどうなんだろう?)


 と、春風は「うーん……」と唸りながらそう疑問に思った。


 そんな春風を見て、


 「あ、あのぉ……」


 と、クラリッサがそう声をかけてきたので、それに春風が「ん?」と反応すると、


 「右目……どうかなさったのですか?」


 と、クラリッサが心配そうにそう尋ねてきたので、


 (おっといけない!)


 と、春風はそう思って手を右目から離すと、


 「いえ、何でもありません」


 と、ニコッと笑いながらそう答え、最後に、


 「すみません」


 と、クラリッサに向かって頭を下げながらそう謝罪した。


 それを聞いて、クラリッサは「は、はぁ、そうですか」と呟くと、


 「あの、ウィルフレッド陛下」


 と、春風はウィルフレッドに向かってそう声をかけたので、


 「む、な、何だろうか?」


 と、ウィルフレッドは若干警戒しつつそう返事すると、


 「他にも幾つか質問したいことがあるので、よろしいでしょうか?」


 と、春風は真面目な表情でそう言ったので、


 「あ、ああ構わない」


 と、ウィルフレッドもそう許可を出した。


 それを聞いた春風は、


 「ありがとうございます」


 と、再びウィルフレッドに向かってお礼を言うと、


 「では……」


 と、新たな質問を始めた。


 


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