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ユニーク賢者物語(修正版)  作者: ハヤテ
第7章 対決、「断罪官」

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第254話 逃げる者達と追う少女・2

 今回は、いつもより短めの話になります。


 春風を連れ去ったアメリア達が、フロントラルの都市全体を囲む外壁のてっぺんまでジャンプしたその頃、


 「そ、そんな……」


 と、目の前で起きたとんでもない事態に、レナは呆然としていた。


 (ど、どうしよう。このままじゃ、春風が連れてかれちゃう)


 と、レナは最悪の結末を考えて顔を真っ青にしたが、すぐに表情を「怒り」に満ちたものへと変えて、


 「そんなの……絶対にやだ!」


 と叫ぶと、


 「はぁあ!」


 という掛け声をあげたと同時に、自身の両足……もっと言えば、()()()()()を炎に包んだ。


 そして、アメリア達と同じように外壁のてっぺんを見ながらググッと身を縮めると、


 「たぁ!」


 と叫びながら思いっきりジャンプした。


 次の瞬間、足首から下を包んでいた炎が、足の裏へと移動し、ゴォッと音を立てて地面に向かって噴射された。


 勢いよく噴き出た炎によって、ジャンプしたレナの体が持ち上げられる。


 だがしかし、


 「うぅ、このぉ……」


 それでもてっぺんどころか、外壁の半分の高さまでしか届かず、


 「あ!」


 そこで炎の勢いが弱まったのか、レナの体がどんどん下へと向かっていった。


 そんな状況の中、


 「い、嫌だ!」


 と、レナはそれでも諦めずに、もう一度足の裏から炎を噴射さえせたが、先程よりも勢いが弱く、それどころか、


 「はぁ……はぁ……」


 無理をした所為か、レナは疲れきった表情で苦しそうに肩で息をするようになり、それがますますレナの体を地面に向かわせていたので、


 「嫌だ……嫌だよぉ」


 と、レナは悔しそうに目から涙を浮かべた。


 その時だ。


 「……え?」


 レナの周囲に、赤、青、オレンジ、緑色をした、大小様々な光の粒が、幾つも集まってきたのだ。


 そう、レナの『友達』で『家族』でもある、『精霊』達だ。


 集まってきた精霊達に、


 「もしかして、力を貸してくれるの?」


 と、レナがそう尋ねると、精霊達はまるで「うんうん」と頷くかのように上下に動き、その後、赤く輝く精霊達が、次々とレナの体にくっつき始めた。


 その瞬間、赤く輝く精霊達の光が、まるで炎のように変化してレナの体を包み込んだ。


 その炎となった赤い光に包まれたレナは、


 「あ、あったかい。力が漲ってくる」


 と、まるで疲れが取れたかのような笑みを浮かべると、


 「みんな、ありがとう」


 と、精霊達に向かってお礼を言った。


 すると、今度は緑色に輝く精霊達が、レナの周りに集まり、更にその輝きを強くした。


 その瞬間、レナの両足が風を纏い始めたので、


 (す、すごい! これなら行ける気がする!)


 と、レナがそう感じると、


 「みんな、本当にありがとう!」


 と、精霊達に向かって再びお礼を言い、それに対して、精霊達は「どういたしまして!」と言わんばかりに、再び上下に動いた。


 それを見た後、


 「よーし!」


 と、レナはそう言うと、再び外壁のてっぺんを見上げて、


 「いっけぇえええええ!」


 と叫ぶと、上に向かって思いっきり飛んだ。


 精霊達がくれた「炎」と「風」が、レナをどんどん外壁のてっぺんまで運んでいく。


 (もう少し、もう少しで……)


 と、レナが心の中でそう呟くと、とうとう外壁のてっぺんまで到達したので、


 「やったぁ!」


 と、レナは喜びに満ちた声をあげた。


 そして、


 「あ、いた!」


 と、春風を担いだアメリア達の姿を発見すると、


 「春風ぁあああああ!」


 と、レナは思いっきり叫んだ。


 そして現在、


 「れ、レナァ!?」


 と、自分達に向かって飛んできた炎に包まれた状態のレナに、春風がギョッと大きく目を見開くと、


 「な、何だと!?」


 と、アメリアもギョッとなって後ろを振り向いて、


 「な、何だあれは!?」


 と、春風と同じようにギョッと目を大きく見開きながら叫んだので、その叫びを聞いた三つ編みの少女と幼い少年が「え?」と声をもらすと、


 「春風を、返せぇえええええ!」


 という叫びと共に、レナがもの凄い勢いで飛んできて、ガシッと春風にしがみついた。


 「「「な!?」」」


 突然のことに驚くアメリア、三つ編みの少女、幼い少年を他所に、


 「返せ! 返せぇ!」


 と、必死になって春風を引き剥がそうとするレナ。


 そんなレナに、


 「ちょ、レナ落ち着いて! ていうか、熱……あれ、熱くない? いや、そんなこと言ってる場合じゃなくて……!」


 と、春風が混乱していると、


 「はっ! お、おい何してる! やめろ、離せ!」


 と、我に返ったアメリアが、レナに向かってそう怒鳴ったが、


 「やだやだ! 絶対に嫌ぁ!」


 と、レナも必死になって叫びながら、春風を引き剥がそうとする力を強くした。


 その時だ。


 「あ!」


 無理な体勢をしていた為、レナは左足を滑らせてしまい、その左足が三つ編みの少女に触れてしまったのだ。その瞬間、


 「あ、駄目!」


 と、それまでアメリアの体を包んでいた金色の光が、レナの体までも包み込んだのだ。


 すると、ボンッと大きな音を立てて、レナを包んでいた「炎」と「風」に更に強化され、5人はまるで大砲から発射された砲弾のように勢いよく真っ直ぐ飛んでいった。


 「「「わぁあああああ!」」」


 「「きゃあああああ!」」


 あまりの衝撃に、悲鳴をあげた春風達5人。


 そのまま飛んでいくかという思われたが、少しずつ下ある森に向かって落ちていった。


 しかし、それでも勢いが弱まることがなかったので、


 「や、やばい! ぶつかるぅううううう!」


 と、春風がそう悲鳴をあげたように、5人は勢いよく森の中へと落下していった。


 


 

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